令和02年システムアーキテクト合格教本




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はじめに

本書は、システムアーキテクト試験の受験参考書です。

システムアーキテクト試験は、名前のとおり、システムのアーキテクチャを設計する人材の能力を評価する試験です。システムアーキテクトが担当する業務の中核は、要件定義・外部設計・総合テスト・移行設計です(ただし、データベーススペシャリスト・ネットワークスペシャリスト・情報処理安全確保支援士が担当する部分を除く)。

いわゆるSE(システムエンジニア)の仕事であると解釈してもかまいません。ITベンダに勤務するエンジニアの多くは、基本情報技術者試験→応用情報技術者試験→システムアーキテクト試験の順に合格されるキャリアパスを想定していると思われます。その点を考慮すれば、システムアーキテクト試験は、ITベンダの係長職もしくは課長職である方々もしくはその候補者が受験する試験であるともいえます。

システムアーキテクト試験は、国家試験である性格上、特定のITベンダ(例えば、マイクロソフト社)の製品に関する問題は出題されません。したがって、広く一般的な要件定義・外部設計等に関する知識があれば十分に合格できます。ただし、この“広く一般的な”という点が、問題を難しくしている側面もあります。実務では、業務に必要な知識の範囲が狭く深く、ITベンダの製品に依存しているケースが多いからだと思われます。

そこで、本書は“広く一般的な”知識を要求される試験問題に焦点を合わせ、特に午前Ⅱ・午後I・午後Ⅱ試験に役立つ構成としました。

本書の特徴は、次の3点です。
①出題ジャンル別に試験問題を並べ替え、イメージが湧きやすくなるように配置しています。

②午後I(記述式)については、なるべく別解や間違った解答に関する解説も入れ、別解の許容範囲が理解できるようにしています。

③午後Ⅱ(論述式)については、論文を書く手順や守らねばならないルールを示し、わかりやすさを狙って、同じシステム開発事例に基づいた論文例を掲載しています。

本書の内容は、システムアーキテクト試験に合格するための必要知識・情報をほとんど網羅するものであり、多くの読者が合格されることを期待しています。

令和2年2月
著者 金子則彦

金子 則彦 (著)
出版社: 技術評論社; 第6版 (2020/3/16)、出典:出版社HP

目次

はじめに

試験ガイダンス
1 システムアーキテクト試験の概要
2 午前I対策

午前II問題
1 午前Ⅱ対策

2 企画・計画
2.1 共通フレーム2013
2.2 エンタープライズアーキテクチャー

3 要件定義
3.1 共通フレームの要件定義プロセス
3.2 機能要件と非機能要件
3.3 BPMN
3.4 BABOK

4 機能設計
4.1 DFD
4.2 オブジェクト指向
4.3 UML
4.4 デザインパターン

5 概念データモデル設計
5.1 E-R図
5.2 UMLのクラス図の多重度

6 プログラム構造設計
6.1 プログラム構造
6.2 モジュール設計

7 レビュー・テスト
7.1 レビュー
7.2 テスト

午後Ⅰ問題
1 午後I対策
1.1 出題傾向
1.2 問題文・設問文の傾向
1.3 問題へのアプローチ
1.4 解答をまとめるアプローチ例
1.5 午後I問題の演習方法

2 販売・購買業務
2.1 レンタル契約システムの再構築
2.2 飲料製造会社の業務及びシステムの移行
2.3 ソフトウェア開発業務の委託管理システムの導入
2.4 売上・回収業務のシステム改善
2.5 購買管理システムの設計
2.6 仕入納品システムの変更

3 物流・在庫業務
3.1 物流システムの再構築
3.2 物流センタのシステム構築
3.3 化学品メーカの容器管理システムの開発

4 店舗管理業務
4.1 コンビニエンスストアにおける発注業務の効率改善
4.2 システムにおける災害対策

5 会計・人事業務
5.1 債券システムの設計
5.2 利益管理システムの改善
5.3 勤務管理システムの導入
5.4 市役所の人事給与パッケージ導入

6 移行
6.1 販売システムの移行設計

7 システム開発管理業務
7.1 システム開発のテスト計画
7.2 ソフトウェア開発の品質管理・進捗管理

8 その他
8.1 公的業務を行う団体の情報開示システムの構築
8.2 ETCサービス管理システムの構築
8.3 生命保険会社のマイナンバー制度導入
8.4 金融機関とのデータ連携システムの構築
8.5 問合せ管理システムの導入

午後Ⅱ問題
1 午後Ⅱ対策
1.1 出題傾向
1.2 問題選択のポイント
1.3 問題のスタイル
1.4 解答字数と解答時間の配分
1.5 試験場での問題選択

1.6 “論述の対象とする計画又はシステムの概要”の書き方
1.7 論文構成(下書き)の書き方
1.8 設問アの書き方
1.9 設問イ“分析・設計において工夫した点”の書き方
1.10 設問ウの書き方

1.11 論文構成(下書き)の書き方
1.12 論文例
1.13 採点基準と採点のポイント
1.14 演習方法
1.15 本文をもっと上手に書くコツ

2 要件定義
2.1 システム要件定義の準備
2.2 要件定義
2.3 業務要件の優先順位付け

3 システム間連携
3.1 システム間連携方式
3.2 複数のシステムにまたがったシステム構造の見直し

4 標準化・部品利用
4.1 フレームワークの利用
4.2 業務ソフトウェアパッケージの導入

5 外部設計・内部設計
5.1 ユーザビリティを重視したユーザインタフェースの設計
5.2 複数の業務にまたがった統一コードの整備方針の策定
5.3 柔軟性をもたせた機能の設計
5.4 障害時にもサービスを継続させる業務ソフトウェアの設計

6 テスト
6.1 システムテスト計画の策定
6.2 大規模システムの一部を改造した場合の全体テストの方法

7 移行
7.1 移行計画におけるタイムチャートの事前確認
7.2 システムの段階移行

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索引

本書に記載されている会社名製品名などは、それぞれ各社の商標登録商標、商品名です。なお、本文中にTMマーク、®️マークは明記しておりません。本書に記載されたURL等は予告なく変更される場合があります。

金子 則彦 (著)
出版社: 技術評論社; 第6版 (2020/3/16)、出典:出版社HP

試験ガイダンス

1 システムアーキテクト試験の概要

システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、平成7~20年に実施されたアプリケーションエンジニア試験の後継版であり、主にシステムエンジニア(いわゆるSE)向けの試験です。システムアーキテクト試験では、アプリケーションエンジニア試験では問われなかった組込みシステムの関連問題が出題され、それが両者の大きな違いになっています。

対象者像、役割と業務
システムアーキテクト試験の対象者像、役割と業務(組込みシステムを除く)は、下表のとおりです。

対象者像 高度IT人材として確立した専門分野をもち、ITストラテジストによる提案を受けて、情報システム又は組込みシステム・loTを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、情報システムについては開発を主導する者
役割と業務 ・情報システム
情報システム戦略を具体化するための情報システムの構造の設計や、開発に必要となる用件の定義、システム方式の設計及び情報システムを開発する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。
①情報システム戦略を具体化するために、全体最適の観点から、対象とする情報システムの構造を設計する。
②全体システム化計画及び個別システム化構想・計画を具体化するために、対象とする情報システムの開発の必要となる用件を分析、整理し、取りまとめる。
③対象とする情報システムの要件を実現し、情報セキュリティを確保できる、最適なシステム方式を設計する。
④要件及び設計されたシステム方式に基づいて、要求された品質及び情報セキュリティを確保できるソフトウェアの設計・開発、テスト、運用及び保守についての検討を行い、対象とする情報システムを開発する。なお、ネットワーク、データベース、セキュリティなどの固有技術については、必要に応じて専門家の支援を受ける。
⑤対象とする情報システム及びその効果を評価する。

 

出題形式と試験時間
システムアーキテクト試験の出題形式などは、下表のとおりです。

試験区分 午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 9:30~10:20
(50分)
10:50~11:30
(40分)
12:30~14:00
(90分)
14:30~16:30
(120分)
出題形式 多肢選択式
(四肢択一)
多肢選択式
(四肢択一)
記述式 記述式
(小論文)
出題数と解答数 30問出題から30問解答 25問出題から25問解答 4問出題から2問解答 3問出題から1問解答

 

午前I試験の免除制度
平成30年度秋以降の応用情報技術者試験合格者・いずれかの高度試験合格者・いずれかの高度試験の午前I試験で基準点以上の成績を得た者は、令和2年度のシステムアーキテクト試験を受験する場合、午前I試験を免除されます。

応募者数・受験者数・合格者数など
平成24~令和元年度のシステムアーキテクト試験の応募者数などは、下表のとおりです。

H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R01
応募者 9,901 9,346 8,814 8,181 8,157 8,678 9,105 8,341
受験者 6,683 6,113 5,735 5,274 5,363 5,539 5,832 5,217
合格者 965 864 860 697 748 703 736 798
合格率 14.40% 14.10% 15.00% 13.20% 13.90% 12.70% 12.60% 15.30%

 

試験区分別の得点分布
令和元年度の試験区分別の得点分布は、下表のとおりです。

得点 午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ
90点~100点 24名 87名 71名
80点~89点 211名 847名 314名
70点~79点 468名 997名 711名
60点~69点 556名 1,322名 860名
50点~59点 461名 481名 643名
40点~49点 271名 354名 370名
30点~39点 108名 72名 132名
20点~29点 19名 29名 49名
10点~19点 4名 3名 8名
0点~9点 2名 0名 5名
合計 2,124名 4,192名 3,163名

上表の特徴の1つに、午前I免除者の数の多さがあります。受験者数5,217-午前Ⅰの合計人数2,124 = 3,093人が午前I免除者の人数であり、3,093人+4,192人 = 73.8%が、午前Ⅱ受験者に占める午前I免除者の割合です。午前Iの試験範囲は広く、対応しづらいので、まず午前I免除者になってから、その次にシステムアーキテクト試験の受験対策をするのが得策です。

2 午前I対策

午前I試験は、高度系試験と呼ばれる”ITストラテジスト”や”ネットワークスペシャリスト”などの共通試験です。したがって、システムアーキテクトのためだけの午前I試験対策はありません。本書は、基本的に午前1対策を対象に含めていませんので、午前1対策を真正面から取り組みたい読者は、他書を参照してください。ここでは、午前I対策の概要と午前Ⅱ対策を考えるうえでのヒントになる事項を取り上げます。

出題形式・試験時間など
午前I試験では、30問の四肢択一問題が出題され、9:30~10:20の50分間で解答します。したがって、平均解答時間は、50分÷30間=1.7分/間です。

金子 則彦 (著)
出版社: 技術評論社; 第6版 (2020/3/16)、出典:出版社HP