司法書士試験に独学で、一日一時間の勉強、一年で一発合格する方法




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はじめに

大滝七夕

私が、司法書士試験を受けようと考えたのは、行政書士として開業してから、四年目のことである。

行政書士事務所の経営が軌道に乗り、宅建業や建設業の事業承継、後継者問題、それに介護事業関係の業務を専門的に手掛けていたため、業務では、司法書士の知識が必要になることもある。

司法書士の業務については、提携している司法書士に回していたし、現在もそうしているが、クライアントと面談するときは、専門知識がどうしても必要になる。

「詳しくは、司法書士の先生に聞いてくださいね」
というのでは、クライアントの信用を勝ち取れない。

もちろん、司法書士の資格は有していないにしても、不動産登記法や商業登記法等の専門書を読み込んで、その知識を基にして、説明していたのだが、やはり、基礎から勉強していないと、戸惑ってしまうこともある。一から勉強する必要性を感じた私は、いっそのこと、本格的に司法書士試験の勉強をしてしまおうと考えたのだ。

大滝 七夕 (著), 判例六法ラノベ化プロジェクト (著)
ノベル時代社 (2018/5/23)、出典:出版社HP

著者について

私のことを知らない方のために、簡単な自己紹介から始めよう。この著作では、大滝七夕と名乗っているが、これは本名や作家名ではない。ネット書作を公開するときだけのペンネームである。

私は新潟県村上市の山奥で生まれた。今は、平成の大合併によって、村上市になったが、私が生まれた当初は村であり、市の中心部からバスで一時間近くゆられて、更に、バス停から、一時間以上も山の中を歩いて、ようやくたどり着く秘境と言ってよいド田舎である。クマが出ることもあるし、田画と鶏小屋と畑以外には、何もない。冬になると、雪に埋もれて、除雪車が来ない限り、孤立してしまう。屋根に上がって雪を降ろさなければ、戸が動かなくなる。こんな豪雪地帯である。

そして、その界隈の集落には、なぜか、大滝姓の家が多い。彼らには血縁関係があるわけではないが、集落の全員が大滝姓というところもある。私の親友もみんな大滝姓で、大滝姓でなかった私は、疎外感を覚えたものである。みんな大滝姓だから、もちろん、「大滝さん」と呼んでも通じない。

そこで、子供はもちろん、大人でも下の名とか屋号なるもので呼び合うわけだが、私だけは、姓名で呼ばれることもあって、寂しいなと思ったこともあった。そんな気持ちを察してくれて、いっそ、大滝姓ということにしておけば、と言ってくれた親友がいて、それ以来、大滝姓には愛着があるのだ。

もちろん、そんな山の中で行政書士事務所を開業しているわけではない。大学受験を機に、上京して、以来、都内に住み、行政書士事務所を構えている。大学は、毎年多数の司法試験合格者を輩出している名門の法学部法律学科で、私も、当然の如く、旧司法試験に挑戦した。法科大学院制度が始まる直前のことである。

大学三年の時に初めて受けた短答式試験に一発合格した経験を有している。それに先立ち、大学二年の時には、宅建試験と、行政書士試験を受け、やはり、一発合格している。

大学三年の春から、行政書士事務所の補助者としてアルバイトを初め、卒業後は、紆余曲折を経て、弁護士の先生と共に、弁護士と行政書士の合同事務所を設立。その間に、介護事業関係の業務を手掛ける必要性が生じたことで、社会保険労務士の資格試験にも挑戦して、これも一発ではなかったものの、合格を果たしている。

そして、この原稿を執筆しているのは、平成三十年であるが、開業後、十五年近くになる現在も、行政書士事務所の経営を継続しているし、ありがたいことに年ウン千万円以上の収入を確保することができている。

ちなみに、このあたりのことは、
『バイト補助者からの成り上がり、実録行政書士開業十年』
『食える行政書士になりたければネットも営業もやめよう実録行政書士開業十年』
『食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方』シリーズ
で、詳しく紹介している。いずれも、現在、アマゾンで配信しているので、興味がある方はお読みいただきたい。

大滝 七夕 (著), 判例六法ラノベ化プロジェクト (著)
ノベル時代社 (2018/5/23)、出典:出版社HP

司法書士試験に独学で、一日一時間の勉強、一年で一発合格する方法

こう書くとまるで自慢話をしているように聞こえるかもしれないが、ここまでで私が言いたいことは、私のスペックは、全くの素人ではないということである。これから、私は、「司法書士試験に独学で、一日一時間の勉強、一年で一発合格する方法」をあなたに伝授するわけであるが、その前に、私のスペックを前置きしておきたかったのである。

つまり、法律に全く触れたことがない方が、司法書士試験に、「独学で、一日一時間の勉強、一年で一発合格する」ことは、おそらく、無謀だろうということである。それでも、私の方法論は、初心者の方でも、応用できるものである。「資格スクールの講座を受けつつ、一日五時間の勉強で、二年で一発合格する」ことは十分可能である。

法律の勉強をしたことがない方が、法科大学院出身の受験生のまねをして短期合格を狙っても空回りするだけである。「急がば回れ」ということわざがあるとおり、焦っても空回りするだけだ。王道の受験勉強を時間をかけてやっていく以外に方法はない。しかし、やり方さえ間違えなければ、そして、絶対に合格するという強い熱意があれば、一発合格は可能である。一発は無理でも、最終的に合格は勝ち取れるだろう。

とは言え、司法書士試験に挑戦する方の多くは、私と同様にある程度、法律に触れている方ではないだろうか。

今は、法学部出身であるばかりでなく、法科大学院に通っていたという受験生も、たくさんいらっしゃるはずである。新司法試験を受けて、惜敗して、司法書士に転向するという方もいるのではないだろうか。

そんな方であれば、私の方法論通りにやれば、「独学で、一日一時間の勉強、一年で一発合格する」ことができる。むしろ、できない方がおかしい。それほど、高スペックでなくても、法学部で、少なくとも、民法、会社法あたりはしっかり勉強して、基本書を読みこなせるレベルに達していれば、「独学で、一日一時間の勉強、一年で一発合格する」ことは、十分可能である。

ざっと概観してみると、私は、旧司法試験には合格できなかったものの、宅建、行政書士、司法書士、社会保険労務士の四つの資格を有していることになる。しかし、現在、登録して活用しているのは、行政書士だけである。

意外に思われるかもしれないが、私は、十年近く前に司法書士試験に合格しているものの、司法書士の登録はしていない。もちろん、廃業したわけではなく、最初から、登録していないのだ。

現在も、相変わらず、司法書士業務は、提携先の司法書士事務所に回している。その方が、私にとって得だからだ。提携先の司法書士事務所に仕事を回す一方、先方からも仕事を回してもらうという関係にあるので、私の事務所で、すべて、やるよりも稼ぎがいいし、質の高い仕事ができるからである。

このあたりのこと、事務所の経営戦略については、しつこくて申し訳ないけれども、『食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方」シリーズを読んで、参考にしていただきたい。

「じゃあ、なんで、司法書士の資格を取ったの?」

と疑問に思われるかもしれないが、私のねらいは、先に述べた通り、業務に必要な正確な知識を得ることであった。そのためには、司法書士試験の勉強をすることが、最も手っ取り早く、かつ、効率的だったのだ。

では、「独学で、一日一時間の勉強、一年で一発合格する」とはどういうことか。誤解を与えてしまうといけないので、先に、概略を説明しておこう。

まず、「独学で」というのは、資格スクールの講座を利用していないということである。
司法書士試験の勉強を思い立ったら、多くの方が検討するであろう、資格スクールの司法書士試験合格講座というものである。

清水の舞台から飛び降りるつもりで、何十万もの費用を投下して、さあ、勉強しなきゃ…!とやると思うが、その手の講座を私は全く利用しなかったということである。資格スクールの講座が胡散臭いとか、やり方が気に食わないという意味ではない。

私にとっては、必要なかったから、利用しなかっただけである。もちろん、私が司法書士試験の勉強を思い立った時に、法律について全くの素人だったら、躊躇うことなく、資格スクールの講座を利用することを検討したであろうが、受験を思い立った時、先に述べた通りのスペックであったから、その必要が無かったのだ。

司法書士試験における鬼門は、不動産登記法と商業登記法と言われている。なるほど、不動産登記法にしても、商業登記法にしても、大学で詳しく勉強することは、めったにないであろうし、実務に触れない限り、一生縁がない法律と言えよう。法律自体、ややこしくて取っつきづらいし、膨大な先例が出ているので、独学で理解するのは到底無理だ…。

しかも、書式という鬼門中の鬼門がある。民法や会社法以上に重要な科目だから、講座で勉強するしかないのではないか。そう思い込んでいる方も少なくないと思う。しかし、不動産登記法と商業登記法は、『手続法』である。『実体法』と呼ばれる民法のように、学説の対立も少ないし、論理的に考えなければならないと言う部分は少ない。

基本的な続きの流れを押さえて、後は、細部をつめていくだけである。学校の勉強でいえば、民法は、数学とか理科のように、論理的に考えなければならない部分もなくはない。それでも大半は暗記科目であるが。

それに比べて、手続法である不動産登記法と商業登記法は、論理的にも何もない。英語の単語とか、漢字の読み書きのように覚えればいいだけだ。テキストを一読して、理解したら、後は、覚えるだけだ。

高校の時、英語の単語を覚えるのに教師の説明を聞く必要があったか?漢字の読み書きを覚えるのに教師に手取り足取り教えてもらう必要があったか?教師が手取り足取り、字の書き方とか読み方を教えるのは、小学生までで、後は、自分でやるだけだったのではないか。

テキストをざっと読んで、理解したら、後は登記六法と書式を丸暗記すればよい。それだけの話である。

大滝 七夕 (著), 判例六法ラノベ化プロジェクト (著)
ノベル時代社 (2018/5/23)、出典:出版社HP