情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2020年版




はじめに

本書は, 情報処理技術者試験の一つである, ネットワークスペシャリスト試験の受験対策書です。どうすれば合格できますか?

この問いかけに、私は確信をもって次のように答えます。

「午後試験を制する者は合格を手に入れる」
その答えを目に見える形にしたものがこの本です。本書は、次に示すコンセプトに基づいて執筆されています。

・午後試験に照準を合わせた解説
「第1部 基礎編」では,基本となる要素技術を, LAN, 特定用途向けのネットワーク, TCP/IP, アプリケーションの四つの章に分けて解説しています。

「第2部 応用編」では,午後試験で頻出のトピックを大きく設計,信頼性,性能, セキュリティ,移行・運用の五つの章に分類して解説しました。

いずれの章でも取り上げているのは、午後試験で頻出の要素技術です。午後試験まで視野に入れた解説を読み進めることで,試験合格に役立つ知識を身に付けることができます。

・豊富な試験対策情報
各章の第1節で午後試験対策のアドバイスを取り上げています。試験をよく把握した上で, 効率よく試験勉強に取り組めます。

高度な応用能力と課題解決能力が評価される,この国家試験にチャレンジする機会を通して, きっと多くのものを得られるに違いありません。私は皆様より先に合格しただけの者に過ぎませんが,「努力したことは無駄にならない」と申し上げることができます。受験勉強を通して,体系的に知識を修得することができたからです。熱心に自己研鑽に励む皆様に,本書がわずかでも参考になれば幸甚です。

この場をお借りして、お世話になった方々への謝辞を申し上げます。本文の執筆に際しては, 多数の良書,Webサイトを参考にさせていただきました。著者が本試験(平成12年度)に初めて合格したときに手厚くサポートしてくださったアイタック塾のスタッフ・塾生の方々,著者が試験対策講座で講師を担当させていただいた受講者の方々,原稿を的確にレビューしてくださった技術者の方々,前年度版の誤記を親切に指摘してくださった読者の方々,皆様からいただいたご教示によって本書がより一層磨き上げられたことを心より感謝いたします。併せて,誤記の責は全て私にあり,前年度版の読者の皆様におかれましては、不備を心よりお詫び申し上げます。

最後に,本書の発刊に当たり,企画・編集面で多大なるご尽力をいただいた翔泳社のスタッフの皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。

ICT ワークショップ
著者 山下 真吾

ICTワークショップ (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/3/17)、出典:出版社HP

目次

本書の使い方

第1部 基礎編

第1章 LAN
1.1 午後試験対策のアドバイス

1.2 イーサネット
1.2.1 イーサネットの種類と仕様
1.2.2 DIX 規格のフレームフォーマット
1.2.3 IEEE802.3 規格のフレームフォーマット
1.2.4 IEEE802.2 規格のフレームフォーマット

1.3 無線 LAN
1.3.1 無線 LAN の種類と仕様
1.3.2 無線 LAN 規格のフレームフォーマット
1.3.3 APと無線 LAN コントローラ

1.4 LAN 関連のプロトコル/規格
1.4.1 フロー制御
1.4.2 オートネゴシエーション/オート MDI/MDI-X
1.4.3 VLAN

1.5 スイッチ
1.5.1 アドレス学習機能と転送機能
1.5.2 スイッチの様々な機能

1.6 演習問題
問題1 MTU
問題2 VLAN のビット長
問題3 無線 LAN の標準規格
問題4 IEEE 802.1XとRADIUS
問題5 スイッチのグループ化

第2章 特定用途向けのネットワーク
2.1 午後試験対策のアドバイス

2.2 WAN
2.2.1 アクセス回線
2.2.2 WAN サービス
2.2.3 WAN 高速化装置

2.3 ストレージネットワーキング
2.3.1 SAN と NAS
2.3.2 SANのプロトコル
2.3.3 リモートバックアップ

2.4 ユニファイドコミュニケーション
2.4.1 SIP
2.4.2 VoIPネットワーク

2.5 演習問題
問題1 SAN
問題2 SIP

第3章 TCP/IP
3.1 午後試験対策のアドバイス

3.2 IP
3.2.1 IPの特徴
3.2.2 IPヘッダ
3.2.3 IPパケット

3.3 TCP/UDP
3.3.1 TCP/UDP の特徴
3.3.2 TCP ヘッダ
3.3.3 UDP ヘッダ
3.3.4 TCP コネクション

3.4 ARP
3.4.1 ARPの仕組み
3.4.2 特別な用途の ARP

3.5 ICMP
3.5.1 ICMPのパケットフォーマット
3.5.2 ICMPメッセージ
3.5.3 ICMP の利用

3.6 DHCP
3.6.1 DHCP の機能
3.6.2 DHCP による設定情報の割当て順序

3.7 NAT
3.7.1 NAT/NAPT
3.7.2 NAT 越え

3.8 ルーティング
3.8.1 ルーティングの仕組み
3.8.2 スタティックルーティング/ダイナミックルーティング
3.8.3 EGP / IGP

3.9 IPv6
3.9.1 IPv4 からの主な変更点
3.9.2 アドレス空間の拡張
3.9.3 近隣探索とアドレス自動設定機能
3.9.4 パケットフォーマットの簡略化

3.10 演習問題
問題1 アドレス設計
問題2 TCPの3ウェイハンドシェイク
問題3 TCPのフロー制御
問題4 IPv6のリンクローカルユニキャストアドレス
問題5 Gratuitous ARP
問題6 ICMPのメッセージ
問題7 ルーティング, プロキシ ARP
問題8 OSPF

第4章 アプリケーション
4.1 午後試験対策のアドバイス

4.2 DNS
4.2.1 ドメイン
4.2.2 名前解決の仕組み
4.2.3 ゾーン情報
4.2.4 プライマリDNS サーバ/セカンダリDNS サーバ
4.2.5 公開ドメイン情報/非公開ドメイン情報
4.2.6 Dynamic DNS
4.2.7 DNS キャッシュ汚染

4.3 電子メールシステム
4.3.1 メール送受信の仕組み
4.3.2 メールの仕様

4.4 Webシステム
4.4.1 HTTPの仕組み
4.4.2 Web アプリケーション

4.5 演習問題
問題1 DNS のレコード
問題2 DNS
問題3 DNS のセキュリティ対策
問題4 From フィールド
問題5 Get メソッドとPOST メソッド
問題6 URL の書式
問題7 通信プロトコル

第2部 応用編

第5章 設計
5.1 午後試験対策のアドバイス

5.2 仮想化設計
5.2.1 仮想化機構の構成
5.2.2 仮想マシンの設計
5.2.3 物理サーバとネットワークの設計

5.3 演習問題
問題1 仮想化設計

第6章 信頼性
6.1 午後試験対策のアドバイス

6.2 冗長化構成
6.2.1 リンク, スイッチングハブの冗長化
6.2.2 ルータの冗長化
6.2.3 サーバの冗長化
6.2.4 回線の冗長化
6.2.5 NICの冗長化

6.3 演習問題
問題1 複数の要素技術を組み合わせた冗長構成

第7章 性能
7.1 午後試験対策のアドバイス

7.2 QoS #JYP
7.2.1 QoS 制御の技術
7.2.2 IPデータグラム
7.2.3 イーサネットフレーム

7.3 演習問題
問題1 伝送時問

第8章 セキュリティ
8.1 午後試験対策のアドバイス

8.2 暗号化/認証
8.2.1 暗号化方式
8.2.2 認証方式

8.3 アクセス制御/不正アタック対策
8.3.1 ファイアウォール
8.3.2 プロキシ
8.3.3 侵入検知システム,侵入防御システム
8.3.4 ウイルス対策
8.3.5 迷惑メール対策
8.3.6 ネットワーク経由のサイバー攻撃

8.4 セキュリティプロトコル
8.4.1 認証プロトコル
8.4.2 RADIUS
8.4.3 IEEE802.1X
8.4.4 トンネリング
8.4.5 IPsec
8.4.6 SSL, TLS
8.4.7 無線LAN

8.5 演習問題
問題1 モバイル端末による VPN 接続

第9章 移行・運用
9.1 午後試験対策のアドバイス
9.1.1 移行・運用の全体像
9.1.2 運用設計
9.1.3 移行
9.1.4 運用

9.2 運用設計
9.2.1 体制・環境の整備
9.2.2 サービスの設計

9.3 移行
9.3.1 計画,実施,テスト
9.3.2 構成管理と変更管理

9.4 運用
9.4.1 通常運用の管理
9.4.2 インシデント管理
9.4.3 問題管理

9.5 ネットワーク監視
9.5.1 監視に用いられるプロトコル

9.6 演習問題
問題1 運用設計と構成管理

第3部 令和元年度秋期 本試験問題・解答・解説
午後I問題
午後I問題の解答・解説
午後Ⅱ問題
午後Ⅱ問題の解答・解説

付録 ネットワークスペシャリストになるには
ネットワークスペシャリスト試験とは
統計情報
試験の構成・採点
対象者像
出題範囲
受験の手引き

索引

ICTワークショップ (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/3/17)、出典:出版社HP

本書の使い方

本書は,以下のような内容で,ネットワークスペシャリスト試験合格への学習を進めていきます。

・第1部 基礎編
ネットワークに関する基礎的な要素技術を詳しく解説します。

・第2部 応用編
午後問題に頻出するネットワークの応用的な要素技術を詳しく解説します。

・第3部 令和元年度秋期 本試験問題・解答・解説
令和元年度の午後I・午後II問題と解答,ならびに解答に至るまでの着眼点や考え方を丁寧に解説します。

・読者特典
翔泳社の Web ページで、本書と併せてご利用いただけるコンテンツを提供します。

■読者特典
翔泳社のWebサイト(下記の配布サイト)で,以下のコンテンツを読者特典として提供します。

(1) 過去問アーカイブ – 13年分の試験問題,解答・解説,解答用紙
令和元年度試験の午前I・午前 II, 平成 19~30年度試験の全問題とその解答・解説及び解答用紙です。本書と併せてご利用ください。

(2) 演習問題補遺
本書の第2部(第5~9章)に掲載した演習問題に加えて,第2部の各章でさらに1問から3問の「演習問題」を提供します。

(3)「午後問題の解答テクニック」
午後I問題,午後II問題それぞれの特徴をふまえて,解答テクニックを丁寧に解説した「午後試験攻略法」です。

提供するコンテンツはすべて PDFファイルになっています。 試験問題などを配布している Webサイトは次のとおりです。表示されるリンクをクリックすると,ダウンロードページへ移動します。ファイルをダウンロードするには,本書に記載されているアクセスキーが必要になります。該当するアクセスキーが掲載されているページはWebサイトに表示されますので,そちらを参照してください。

読者特典をダウンロードする際には、SHOEISHA iDへの会員登録が必要です。詳しくはWebサイトを参照してください。

※提供するコンテンツは、本書の読者の方だけがご利用いただけます。
※コンテンツの提供は、令和元年度の午前I, 午前 IIの解説は2020年4月下旬,他は3月下旬に開始を予定しています。また,2021年9月30日にコンテンツの提供を終了いたします。お間違いないよう,お願いいたします。
※なお、読者特典の内容やダウンロード期限は予告なく変更になる場合がございます。ご了承ください。

ICTワークショップ (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/3/17)、出典:出版社HP