みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商2級 商業簿記 第9版




はしがき

本書は、独学で日商簿記検定に合格することを目的とした受験対策用のテキストです。

・・・という本はたくさんありますが、本書は教室講座と書籍の両方の強みを取り入れたという点で他書とは一線を画しています。教室講座の強みというのは、なんといっても講師の解説です。テキストを一読しただけではよくわからない内容も、講師が噛み砕いて説明することによって、わかりやすいものになります。

しかし、テキストを読めばわかる簡単な内容についても、講師が解説するため、どうしても講座のコマ数が多くなってしまう=時間がかかるというマイナス面も教室講座にはあります。そこで本書は、読めばわかる内容については教科書的な説明にとどめ、特に重要な項目や読んだだけではイメージしづらい内容については、教室講座で解説するような、具体例を用いた説明(「これならわかる」)をつけました。

また、本書を用いて講義をした場合の板書イメージをそのまま「図解」としてのせました。「図解」はテキストの内容を視覚的にまとめたものなので、復習のさいに活用していただけると思います。

教室講座では、各項目を学習したあと、練習問題を解いたりすることもあります。そのため、本書では各CHAPTERの最後に「基本問題」をつけました。これによって、本書で学んだ内容をすぐに問題を解いて確認することができます。

上記のような工夫をすることによって、教室講座と書籍の強みを生かした、最強の『簿記の教科書』ができたと自負しております。どうか本書を活用していただき、正しい方法で、簿記の知識を身につけてください。皆様の合格を心よりお祈り申し上げます。

第9版刊行にあたって
本書は、「簿記の教科書日商2級商業簿記第8版』について、消費税率の改正および出題傾向に基づき、改訂を行ったものです。

2020年2月
滝澤ななみ

「簿記の教科書・問題集」で合格するためには?

ここでは、日商簿記の効果的な勉強方法を紹介します。

Step1「簿記の教科書」をしっかりと読み込む!
最低2回は読みましょう。実際に勘定科目を書きながら読み進めると効果的です。

Step2「簿記の教科書の章末にある基本問題を繰り返し解く!
こちらも最低2回は解きましょう。1回目は教科書を見ながらでも構いません。2回目以降は何も見ずにスラスラ解けるようになるまで繰り返しましょう。

Step3「簿記の問題集(別売り)」の個別問題を解く!
教科書の基本問題がすべて解けるようになったら、問題集にとりかかります。教科書で身につけた知識を、本試験で活用できるレベルまで上げていきます。わからないところは、教科書の関連CHAPTERに戻り、しっかりと復習しましょう。

Step4「簿記の問題集(別売り)」の模擬試験問題を3回分解く。
本試験形式の問題を解くことで、Step1~3の知識がしっかり定着しているかを確認することができます。また、過去問題集を解くこともオススメいたします。
※TAC出版刊行の過去問題集「合格するための過去問題集」

『簿記の教科書』の効果的な使いかた

①まずは簿記の流れを確認しましょう。
日商簿記2級商業簿記で学習する内容がひと目でわかる、フローチャートです。学習するうえで非常に重要なので、しっかりと頭に入れておきましょう。

②本文を読み込みましょう。

③図解をみて、重要事項を記憶に刷りこみましょう。
本文の内容を視覚的にまとめた最重要ポイントです。最重要ポイントがまとめられているので、試験直前に図解部分だけを流し読みすることも効果的です。

④「これならわかる」で「なぜ、どうして」のモヤモヤを解消!受験生がつまずきそうなモヤモヤポイントについては、身近な例を使いながら、解説しています。

⑤「ひとこと」を確認して、さらに納得!
補助的な知識を説明した箇所です。さらに理解が深まります。

⑥基本問題で知識を確実に!
各CHAPTERの終わりの基本問題を解き、確認することで、知識を定着することができます。

さらに…こだわりポイント
●新出勘定科目
「新しく出てきた勘定科目については、本文の左右にアイコンで表記しました。資産・負債・純資産・収益・費用の分類により、それぞれのカラーで示してありますので、ひとめで把握できます。

●補助資料(巻末508ページ)
登場する勘定科目が一覧でわかるようにまとめたものです。5要素のとこ当てはまるのか、一目でわかります。問題演習のさいにも効果的に使っていた。だけます。なお、この資料は、ダウンロードでもご利用いただけます。詳しいは、TAC出版書籍販売サイト・サイバーブックストアにアクセスしてくたさい。https://bookstore.tac-school.co.jp/

●SIWAKE-195~仕訳195~(本書別冊部分)
教科書で登場する重要な仕訳は、別冊のSIWAKE-195でまとめました。切り離していつでもどこでも利用することができます。

●Reviewマーク
1度学習したテーマについては、Reviewを入れました。該当箇所に戻って確認してください。

日商簿記検定試験について

受験資格 なし
試験日 年3回(1級は年2回)
6月 (第2日曜日)/11月(第3日曜日)/2月(第4日曜日)
※2月は1級試験の実施はありません。
申込方法 試験の約2か月前から開始。申込期間は、各商工会議所によって異なります。
受験料
(税込)
1級 7,850円 / 2級 4,720円 / 3級 2,850円
※一部の商工会議所では事務手数料がかかります。
試験科目 1級商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算
2級商業簿記・工業簿記
3級商業簿記
試験時間 1級 3時間 / 2級 2時間 / 3級 2時間
合格基準 1級 70点以上。ただし、1科目ごとの得点は10点以上
2級70点以上
3級70点以上

 

刊行時のデータです。最新の情報は、商工会議所の検定試験ホームページ(https://www.kenteine.jp/)をご確認ください。なお、簿記入門者向けに簿記初級が、原価計算入門者向けに原価計算初級がネット試験(40分)にて実施されています。

本試験の出題傾向(2級商業簿記)
2級の本試験問題は、第1問~第3問が商業簿記、第4問、第5問が工業簿記という構成になっています。商業簿記の出題内容は下記のとおりです。

第1問 仕訳問題が5題出題されます。配点は20点です。
(CH.01~14、17、19、20、21)
第2問 勘定記入の問題やその他個別的な問題、伝票から仕訳日計表を作成する問題が出題されます。配点は20点です。(CH.01~14、15、18)
第3問 決算に関する問題が出題されます。精算表の作成や財務諸表の作成、 2日本支店合併財務諸表の作成などが出題されています。また、連結財務諸表の作成、製造業会計も出題範囲となっています。配点は20点です。(CH.16~23)

※CH.は、本書の関連CHAPTERを示しています。

目次

特別企画 日商簿記2級商業簿記スタートアップ講義
簿記の流れ

CHAPTER01 株式の発行
1株式会社とは
2株式会社の純資産項目
3株式の発行
4新株発行(増資)の手続き
5合併
基本問題

CHAPTER02 剰余金の配当と処分
1剰余金の配当と処分とは
2損益勘定からの振り替え
3剰余金の配当と処分の処理
4準備金積立額の計算
基本問題

CHAPTER03 株主資本の計数変動
1株主資本の計数変動
基本問題

CHAPTER04 税金
1法人税等
2課税所得の算定方法
3消費税
基本問題

CHAPTER05 商品売買
1三分法、分記法、売上原価対立法
2仕入割引・売上割引
3仕入割戻し・売上割戻し
4クレジット売掛金
5売上原価の算定と期末商品の評価
6商品の払出単価の計算
基本問題

CHAPTER06 手形と電子記録債権(債務)等
1手形の裏書き
2手形の割引き
3手形の不渡り
4電子記録債権(債務)
5その他の債権の譲渡
基本問題

CHAPTER07 銀行勘定調整表
1銀行勘定調整表とは
2不一致が生じる原因
3銀行勘定調整表の作成
基本問題

CHAPTER08 固定資産
1固定資産とは
2固定資産の購入
3固定資産の減価償却
4固定資産の売却
5固定資産の買換え
6固定資産の除却・廃棄
7建設仮勘定
8固定資産の改良・修繕
9固定資産の滅失
10圧縮記帳
11固定資産(管理)台帳
基本問題

CHAPTER09 リース取引
1リース取引とは
2リース取引の分類
3ファイナンス・リース取引の処理
4オペレーティング・リース取引の処理
基本問題

CHAPTER10 研究開発費と無形固定資産
1研究開発費
2無形固定資產
3ソフトウェア
基本問題

CHAPTER11 有価証券
1有価証券の分類
2有価証券の購入と売却
3配当金・利息の受け取り
4端数利息の処理
5売買目的有価証券の評価替え
6満期保有目的債券の評価
7子会社株式・関連会社株式の評価
8その他有価証券の評価基本問題

CHAPTER12 引当金
1貸倒引当金
2修繕引当金
3商品保証引当金
4退職給付引当金
5賞与引当金
基本問題

CHAPTER13 収益・費用
1収益・費用の認識基準
2売上の計上基準
3サービス業の処理
基本問題

CHAPTER14 外貨建取引
1外貨建取引の換算
2輸入時の処理
3輸出時の処理
4決済時の処理
5決算時の処理
6為替予約
基本問題

CHAPTER15 伝票と仕訳日計表
1三伝票制
2仕訳日計表の作成と各勘定元帳への転記
3推定問題の解き方
基本問題

CHAPTER16 精算表と財務諸表
1精算表の作成
2級で出題される決算整理事項
3財務諸表の作成
4損益計算書
5貸借対照表
6株主資本等愛動計算書
基本問題

CHAPTER17 税効果会計
1税効果会計とは
2法人税等の調整
3貸倒引当金の繰入限度超過額
4減価償却費の償却限度超過額
5その他有価証券の評価差額6繰延税金資産と繰延税金負債の表示
基本問題

CHAPTER18 帳簿の締め切り
1帳簿の締切方法
2英米式決算法
基本問題

CHAPTER19 本支店会計
1本支店会計とは
2本支店間の取引
3本支店合併財務諸表の作成
4帳簿の締め切り
基本問題

CHAPTER20 連結会計I
1連結財務諸表とは
2支配獲得日の連結
3支配獲得日後1年目の連結
4支配獲得日後2年目の連結
基本問題

CHAPTER21 連結会計Ⅱ
1内部取引高と債権債務の相殺消去
2貸倒引当金(期末貸倒引当金)の修正
3未実現利益の消去
基本問題

CHAPTER22 連結会計Ⅲ
1連結財務諸表
2連結精算表
3連結会計の総合問題の解き方
基本問題

CHAPTER23 製造業会計
1製造業会計の基本
2製造業の会計処理①
3製造業の会計処理②
4製造業の会計処理③
5製造業の財務諸表
基本問題

CHAPTER24 参考
1開業費の処理
2配当財源が繰越利益剰余金とその他資本剰余金の場合
3手形の更改
4企業残高基準法と銀行残高基準法
5定率法の改定償却率と償却保証額
6有価証券の売却時の手数料の処理
7洗替法と切放法
8権利落ち株式の会計処理
9役員賞与引当金
10売上割戻引当金
11返品調整引当金
12支店が複数ある場合の処理
13損益勘定による当期純利益の振り替え
14主要簿と補助簿
15タイムテーブルと開始仕訳
16連結会社間で振り出した手形の割引き
17期首貸倒引当金の修正
18期首商品に含まれる未実現利益の消去
19連結貸借対照表の利益剰余金の求め方

CHAPTER25 3級新論点
1普通預金と定期預金
2当座預金の処理
3差入保証金
4貯蔵品勘定への振り替え
5法定福利費

補助資料
索引