らくらく突破 毒物劇物取扱者 オリジナル問題集




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はじめに

私たちがまとめた「毒物劇物取扱者合格教本」が平成22年(2010年)に技術評論社から出版され、今まで毒物劇物取扱者試験を受験する多くの方々にご利用いただいていること、たいへんうれしく思っております。

出版以来、書籍レビューなどを通して、書籍を利用された方々から数多くの貴重なご意見をいただきました。「この本のおかげで合格できた。」というご意見には、私たちも「本当によかったですね。合格おめでとうございます。」という気持ちで、素直にうれしく思います。逆に「あまり役に立たなかった。」、「理解しづらい本だ。」というご意見には、せっかくご購入いただいたのに申し訳ないという思いになりますし、何が問題なのかを知るためのヒントとなるので、ありがたい気持ちになります。

私たちは「どんな人にもわかりやすく」を具体化すべく、この本をまとめたつもりでしたが、「この本は化学の基礎力がある程度ある人でないと理解できない。」というご意見をいただいたときには、私たちもショックでした。どうすればどんな人にもわかりやすい内容となるのか、この課題に対する答えは容易には得られないかもしれませんが、私たちなりに考え、さまざまな形でこれからも皆さまに発信していきたいと思っています。

そんなレビューの中で最もご意見が多かったのが、掲載問題数が少ないというものでした。私たちもそのことは認識しておりましたが、そんなある日、技術評論社から「問題集を書いてみませんか?」という申し出をいただきました。そして、このたび、「毒物劇物取扱者オリジナル問題集」という1つの形でみなさんにご披露することになりました。

この問題集は「毒物劇物取扱者合格教本」をお持ちの方にも、お持ちでない方にも役立つように工夫したつもりです。気に入っていただけましたら、毒物劇物取扱者試験の勉強にご利用ください。そして、書籍レビュー等から利用してみての感想をお聞かせいただけましたら、幸いです。

最後に、これらの書籍をご利用いただいた皆さまからのご厚志は、当学科学生の教育のために利用させてもらっています。この場を借りて、読者の皆さまに感謝申しあげます。誠にありがとうございます。

平成28年11月 著者ら記す

竹尾 文彦 (著), 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2016/12/8)、出典:出版社HP

目次

はじめに
毒物劇物取扱者試験とは
本書の使い方

第1章 毒物及び劇物に関する法規
1-1択一問題
1-2さまざまなパターンの問題

第2章 基礎化学
2-1択一問題
1原子の構造
2電子配置
3物質量
4溶液の濃度
5化学結合

6化学式と化学反応式
7酸と塩基、酸と塩基の中和
8酸化と還元
9ボイル・シャルルの法則
10炭化水素

11アルコールとエーテル
12アルデヒドとケトン
13カルボン酸とエステル
14芳香族と炭化水素
15化学の基本法則と化学用語

16異性体
17熱化学方程式
18その他

2-2さまざまなパターンの問題

第3章 毒物劇物の性状
3-1五肢択一問題
1毒物劇物の色
2〜して何色になる
3分解すると~燃焼する
4毒劇物の臭い
5クロロホルム臭

6刺激臭
7催涙性
8潮解性
9風解性
10引火性

11爆発性
12不燃性
13金属
14その他の特徴的な性状
15一般品目でも出題される可能性の高い農業用品目
16農業用品目で出題される可能性の高い薬物

3-2組み合わせ問題
コラム 薬物の分類について

第4章 毒物劇物の貯蔵法
4-1五肢択一問題
4-2組み合わせ問題
コラム 薬物名と元素名(元素記号)との関連性について

第5章 毒物劇物の廃棄法
5-1五肢択一問題
1希釈法
2中和法(アルカリ)
3中和法(酸)
4溶解中和法
5燃焼法(可燃性・有毒ガス発生なし)

6燃焼法(可燃性・有毒ガス発生あり)
7燃焼法(可燃性・その他)
8燃焼法(燃えづらい・有毒ガス発生なし)。
9燃焼法(燃えづらい・有毒ガス発生あり)
10燃焼法(燃えやすいか、燃えづらいかどちらともいえないもの)

11燃焼法(その薬物に特有な燃焼法)
12酸化法
13還元法
14アルカリ法
15分解法

16回収法
17焙焼法
18隔離法
19沈殿法
20活性汚泥法

5-2組み合わせ問題
コラム 薬物の状態と性質について

第6章 漏えい時の応急措置
6-1五肢択一問題
1水で希釈
2水に溶かす
3水で覆う
4灯油または流動パラフィンの入った容器に回収
5アルカリで中和

6酸で中和
7むしろ、シート等で覆う
8水酸化ナトリウム等でアルカリ性とする
9水酸化ナトリウムと酸化剤の混合溶液で処理
10アルカリで加水分解

11中性洗剤等の分散剤で洗い流すか
12漫元剤(硫酸第一鉄等)で処理
13硫酸第二鉄等で処理
14食塩水で処理
15硫酸ナトリウムで処理

16泡で覆う
17蒸発させる
18爆発を防ぐ
19専門業者に処理を委託

6-2組み合わせ問題
コラム 保護具について

第7章 毒物劇物の毒性・解毒剤
7-1五肢択一問題
1毒性
2解毒剤

7-2組み合わせ問題
1毒性
2解毒剤
コラム 農業(農業用品目)の分類について

第8章 毒物劇物の鑑別法
8-1五肢択一問題
1炎色反応
2沈殿の色―白色沈殿
3沈酸の色一赤色沈殿
4沈殿の色―黄赤色沈殿
5沈殿の色―黒色沈殿

6溶液の色一藍色、紫色、藍紫色
7溶液の色一黄色
8溶液の色―その他の色
9溶液の色一蛍石彩
10発生する気体の色

11発生する臭気
12性状・反応生成物から推測一性状
13性状・反応生成物から推測一反応生成物

8-2基礎的な問題(組み合わせ問題)
コラム 検出法について

第9章 毒物劇物の用途
9-1五肢択一問題
1殺鼠剤
2除草剤
3殺虫剤
4嫌蒸剤
5殺菌・消毒剤

6防腐剤
7漂白剤
8酸化剤
9爆薬(爆発物)の製造
10マッチの製造

11溶剤
12アンチノック剤
13鍍金と写真用
14乾燥剤
15セッケン製造

16アニリン原料
17洗濯剤・洗浄剤
18冷凍用寒剤
19ガラスのつや消し
20釉薬

21アマルガム
22ドーピングガス
23土質安定剤
24染料の製造原料
25塩化物の製造

9-2組み合わせ問題
コラム 除外濃度について

第10章 総合問題・その他の形式の問題
10-1正誤組み合わせ問題
10-2さまざまなタイプの問題

さくいん
参考文献

竹尾 文彦 (著), 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2016/12/8)、出典:出版社HP

毒物劇物取扱者試験とは

毒物劇物取扱責任者とは
毒物劇物取締法の目的は、毒物および劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことです。これにより、毒物劇物営業者は、毒物または劇物を直接取り扱う製造所、営業所または店舗ごとに毒物劇物取扱責任者を置き、毒物または劇物による保健衛生上の危害の防止に当たらせなければなりません。

毒物劇物取扱責任者になるためには
(1)毒物劇物取扱責任者になるための資格
毒物劇物取扱責任者になるためには次のいずれかの資格が必要となります。
1薬剤師
2厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
3都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者

(2)応用化学に関する学課を修了した者とは
上記2の「厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者」とは、以下のような方です。

①大学等「大学(短期大学と旧専門学校を含む)で応用化学に関する学課を修了した者。応用化学に関する学課とは次の学部、学科。
ア薬学部
イ理学部、理工学部または教育学部の化学科、理学科、生物化学科など
ウ農学部、水産学部または畜産学部の農業化学科農芸化学科、農産化学科、園芸化学科、水産化学科、生物化学工学科、畜産化学科、食品化学科など
エ工学部の応用化学科、工業化学科、化学工学科、合成化学科、合成化学工学科、応用電気化学科、化学有機工学科、燃料化学科、高分子化学科など
オ化学に関する授業科目の単位数が必修科目の単位中28単位以上または50%以上である学科

②高等専門学校
高等専門学校工業化学科またはこれに代わる応用化学に関する修了した者。

③門課程を置く専修学校(専門学校)
専門学校において応用化学に関する学課を修了した者については、30単位以上の化学に関する科目を修得している者。

④高等学校
高等学校(旧実業高校も含む)において応用化学に関する学課を修了した者で、30単位以上の化学に関する科目を修得した者。

(3)毒物劇物取扱責任者になれない者
次のいずれかに該当する人は、毒物劇物取扱責任者にはなれません。

①18歳未満の者
②心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
③麻薬、大麻、あへんまたは覚せい剤の中毒者
④毒物若しくは劇物または薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、または執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者

毒物劇物取扱者試験の受験資格
国籍、性別、職業、年齢などに関係なく、誰でも受験できます。

毒物劇物取扱者試験の種類
毒物劇物取扱者試験は、取り扱う毒物劇物の種類により3つに分類されています。
①一般毒物劇物取扱者試験 すべての毒物劇物
②農業用品目毒物劇物取扱者試験 農業用品目である毒物劇物
③特定品目毒物劇物取扱者試験 特定品目である毒物劇物

毒物劇物取扱者試験の実施
毒物劇物取扱者試験は、年1回都道府県ごとに行われます。したがって都道府県ごとに試験の時期、試験時間(1時間30分~2時間)、問題数(40問~100問ぐらい)は異なります。解答方式は、マークシートが多いようです。受験案内は、各都道府県の関係部署(薬務課など)より試験日のおよそ2か月前には発表されます。都道府県ごとに試験の実施時期が異なりますので、複数の都道府県で受験することも可能です(九州地方は全県同日実施)。

受験の手続き
必要書類は、受験願書、写真、受験手数料です。都道府県によって、戸籍抄本または住民票抄本(本籍の記載されているもの)が必要な場合もあります。これらは、郵送か代理人または本人が直接持参して手続きを行います。受験願書は、各都道府県の薬務課で入手できます。また薬務課以外に保健所でも配布している都道府県や郵送で入手できる都道府県もあります。くわしくは各都道府県にお問い合わせください。

試験科目
毒物劇物取扱者試験は、筆記試験と実地試験で行われます。筆記試験は次の3つの内容から出題されます。

①毒物及び劇物に関する法規
②基礎化学
③毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱方法

実地試験は、毒物及び劇物の識別及び取扱方法について出題されます。試験科目名は、各都道府県によって異なります。筆記・実地試験と分けずに科目名で分けていたり、科目名が全く異なる場合もあります。

合格基準
「都道府県ごとに合格基準は定められており、ホームページ上で公開している都道府県もあります。総合得点で60点以上かつ各科目の得点が40点以上を合格基準としている都道府県が多いようです。難易度については、都道府県ごとに試験は実施されますので、各都道府県によって異なります。合格率も都道府県ごとに異なります。およそ20%~50%未満の間のようです。

竹尾 文彦 (著), 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2016/12/8)、出典:出版社HP

本書の使い方

本書のコンセプト
毒物劇物取扱者試験は九州全県で統一の試験で実施されているような例がありますが、基本的には各都道府県単位で試験が実施されており、出題の形式もさまざまです。そのため、それぞれの都道府県が過去に実施した試験問題を手に入れ、その試験の傾向や特徴をつかむことは、とても重要です。少なくとも過去3年分、できれば過去5年分の問題を入手し、試験の傾向をつかんでおくことをお勧めします。

しかし、試験の全体像をつかむ、試験の傾向を正確に把握するためにも、毒物劇物取扱者試験で求められる基本的な事項、たとえば、出題問題が薬物の性状、貯蔵法、廃棄法、毒性、用途などのうち、どの項目にあたるのかを把握できる力を身につけ、試験で頻出する最重要事項を理解しておく必要があります。また、試験の傾向が万が一、大きく変わったときにも動じることがない対応力を身につけておくと安心です。

本書は全国で行われている試験の最近の出題傾向を分析した上で作成しており、広範な毒物劇物取扱者試験の全体像を把握し、よく見られる出題形式に慣れることを1つの目的にしております。また、本書では問題と解説を見開きで見やすくするとともに、問題の解説をなるべく充実させるようにしました。

学習者が試験合格のために、薬物一つひとつについて単にポイントを丸暗記していくという作業がどれだけ苦痛なのかは、試験対策をしている私たちにとっては痛いほどよくわかることです。その苦痛をなるべく軽減するため、問題の解説を充実させ、その薬物について覚えなければならない重要事項を関連づけて覚えられるように工夫しました。それにより、さまざまなタイプの問題に対応できる応用力も同時に身につくのではないかと思っております。

私たちが執筆し、すでに技術評論社から出版されている「毒物劇物取扱者合格教本」をお持ちの方には、それとの相乗効果で学習が円滑に進められるように、また、本書だけでも充分に成果が出せるように工夫したつもりです。余力のある方には、出題頻度がそれほど高くはない薬物についての問題をダウンロードできるようにしました。興味のある方は、ご利用ください。

本書を手にとってくださった方が、効率よく学習でき、合格へ一歩一歩近づいていって欲しいという思いを込めたつもりです。本書を利用くださった方には、利用してみた感想などを書籍レビューなどでコメントいただけましたら、ありがたく思います。

学習の進め方
昔の毒物劇物取扱者試験では記述問題も見られましたが、最近ではほとんど選択問題しか見られなくなりました。とはいえ、一言で選択問題といってもさまざまなタイプがあり、数多くの問題を解き、それらに慣れておく必要があります。また、多くの問題を解くことで、試験に合格しうる実力が身につくことにもなります。

毒物劇物取扱者試験は「一般」、「農業用品目」、「特定品目」に区分されていますが、本書で学習するときには、どの試験区分の受験であっても法規と基礎化学の章(第1章と第2章)はすべて学習するようにしてください。薬物の性状、貯蔵法など、第3章以降については、一般試験を受験される方はすべての問題、農業用品目の試験と特定品目の試験を受験される方については、問題の頭にそれぞれ「農業用品目」、「特定品目」と記されている問題を解いていってください。

おそらく活字を読むことは苦痛なことだと思いますが、問題を解き、解説を読むことをしばらく我慢して繰り返してください。この過程の中で、試験を受験する上で必要となる基礎知識が自然に身につくことになると思います。

また、薬物についての問題では、その薬物の分類が特定毒物、毒物、劇物のいずれであるか、常温で固体、液体、気体のいずれであるかを意識しながら問題を解き、解説を読み進めて行ってください。これらを知っておくだけでも、正解を導いたり、選択肢を絞り込んだりするための大切なツールになります。そして、それと同時に自分が受験する都道府県の毒物劇物取扱者試験の過去問題を入手し、試験の傾向をつかんでおいてください。

問題集を一通り学習した段階で、本番を想定した模擬試験形式で過去問題に取り組み、自分の実力を確認してください。そして、自分の理解が不足している部分を把握した上で、問題集に戻って、自分が苦手な科目、項目を重点的に復習してみてください。これの繰り返しにより、合格しうる実力が身につくものと思います。とはいえ勉強法は人それぞれ、自分に合った方法で学習を進めていっていただければよいのだと思います。

また、ダウンロードページものぞいてみてください。本書に載せられなかった問題をダウンロードできます。頑張るみなさんのお役に立てるのなら、幸いです。しかし、試験に出題されている問題や毒物・劇物のすべての範囲を網維している訳ではなく、出題頻度が非常に低いものなどはあえて外してあります。試験本番で見たこともない問題が出題される可能性があることもご承知おきください。

竹尾 文彦 (著), 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2016/12/8)、出典:出版社HP

本書の構成

①節のテーマ
この節で何を学習するかを示しています。

②項のテーマ
この項で何を学習するかを示しています。

③試験区分
第3章から第10章では、農業用品目の試験には「農業用品目」、特定品目の試験には「特定品目」と記しています。一般の試験の場合は何も記していません。また、第1章と第2章では、試験区分は記していません。

④重要度各問題の重要度を示しています。この重要度を参考に問題を解きましょう。重要度★★★は頻出です。必ず解いてみてください。重要度★は余力がある方は解いてみてください。

⑤出題薬物基本情報
問題を解きやすくするために出題薬物基本情報を入れている節もあります。

⑥解答・解説
問題に対する解答と解説です。解説は覚えるポイントなどについても触れています。

⑦物資の性状と区分
解説の終わりには、物質の性状と、毒物か劇物かの区分が記されています。

竹尾 文彦 (著), 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2016/12/8)、出典:出版社HP