改訂新版 毒物劇物取扱者 合格教本




目次

毒物劇物取扱者試験とは
本書の使い方

第1章 毒物及び劇物に関する法規
1-1毒物及び劇物取締法の目的と定義
1-2毒物及び劇物取締法の禁止規定
1-3営業の登録・登録基準・登録事項
1-4毒物劇物取扱責任者
1-5登録の変更・届出
演習問題1-1

1-6毒物劇物の取扱・表示方法
1-7毒物劇物の譲渡手続・交付の制限
1-8廃棄方法
1-9運搬・事故の際の措置
1-10立入検査等
1-11登録の失効
1-12業務上取扱者の届出
演習問題1-2
章末問題

第2章 基礎化学
2-1物質の三態
2-2元素の周期表
2-3原子量と分子量
2-4原子の構造
2-5電子配置
2-6物質量
2-7溶液の濃度
2-8化学結合
2-9化学式と化学反応式
2-10熱化学方程式
演習問題2-1

2-11酸と塩基
2-12酸と塩基の中和
2-13酸化と還元
2-14電池
2-15電気分解
2-16ボイル・シャルルの法則
2-17金属イオンの分離と確認
2-18炭化水素
2-19アルコールとエーテル
2-20アルデヒドとケトン
2-21カルボン酸とエステル
2-22芳香族炭化水素
2-23化学の基本法則と化学用語
演習問題2-2
章末問題

第3章 毒物劇物の性状
3-1毒物劇物の性状について学ぶ前に
3-2毒物劇物の色
3-3 〜して何色になる
3-4分解すると〜、燃焼すると〜
3-5毒物劇物の臭い(臭気)
3-6催涙性
3-7潮解性
3-8風解性(風化)
3-9引火性
3-10発火性

3-11爆発性
3-12不燃性
3-13金属
3-14酸化剤と還元剤
3-15その他の特徴的な性状
章末問題

第4章 毒物劇物の貯蔵法
4-1貯蔵法
章末問題

第5章 毒物劇物の廃棄法
5-1廃棄法
5-2希釈法と中和法
5-3燃焼法
5-4酸化法、還元法
5-5アルカリ法、分解法
5-6回収法、焙焼法
5-7隔離法
5-8沈殿法
5-9活性汚泥法
章末問題

第6章 漏洩時の応急措置
6-1漏洩時の応急措置
章末問題

第7章 毒性・解毒剤
7-1毒物劇物の毒性
7-2毒物劇物の解毒剤
章末問題

第8章 鑑別法
8-1鑑別法の基礎知識
8-2沈殿の色
8-3溶液の色
8-4発生する気体の色
8-5発生する臭気
8-6性状、反応生成物から推測
章未問題

第9章 用途
9-1用途
章末問題

毒物及び劇物取締法施行令 別表第2
さくいん
参考文献およびURL・ダウンロードについて

竹尾 文彦 (著) , 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社; 改訂新版 (2018/4/14)、出典:出版社HP

毒物劇物取扱者試験とは

1毒物劇物取扱責任者とは
毒物劇物取締法の目的は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことです。これにより、毒物劇物営業者は、毒物または劇物を直接取り扱う製造所、営業所または店舗ごとに毒物劇物取扱責任者を置き、毒物または劇物による保健衛生上の危害の防止に当たらせなければなりません。

2毒物劇物取扱責任者になるためには
(1)毒物劇物取扱責任者になるための資格
毒物劇物取扱責任者になるためには次のいずれかの資格が必要となります。
1薬剤師
2厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
3都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者

(2)応用化学に関する学課を修了した者とは
上記2の「厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者」とは、以下のような方です。

①大学等
大学(短期大学と旧専門学校を含む)で応用化学に関する学課を修了した者。応用化学に関する学課とは次の学部、学科。
(ア)薬学部
(イ)理学部、理工学部または教育学部の化学科、理学科、生物化学科
(ウ)農学部、水産学部または畜産学部の農業化学科、農芸化学科、農産化学科、園芸化学科、水産化学科、生物化学工学科、畜産化学科、食品化学科など
(エ)工学部の応用化学科、工業化学科、化学工学科、合成化子工学科、応用電気化学科、化学有機工学科、燃料化学科、高分子化学科など
(オ)化学に関する授業科目の単位数が必修科目の単位中28単位以上または50%以上である学科

②高等専門学校
高等専門学校工業化学科またはこれに代わる応用化学に関する学課を修了した者

③専門課程を置く専修学校(専門学校)
専門学校において応用化学に関する学課を修了した者については、30単位以上の化学に関する科目を修得している者。

④高等学校
高等学校(旧実業高校も含む)において応用化学に関する学課を修了した者で、30単位以上の化学に関する科目を修得した者。

(3)毒物劇物取扱責任者になれない者
次のいずれかに該当する人は、毒物劇物取扱責任者にはなれません。
1 18歳未満の者
2 心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
3 麻薬、大麻、あへんまたは覚せい剤の中毒者
4 毒物若しくは劇物または薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、または執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者

3毒物劇物取扱者試験の受験資格
国籍、性別、職業、年齢などに関係なく、誰でも受験できます。

4毒物劇物取扱者試験の種類
毒物劇物取扱者試験は、取り扱う毒物劇物の種類により3つに分類されています。
①一般毒物劇物取扱者試験……すべての毒物劇物
②農業用品目毒物劇物取扱者試験……農業用品目である毒物劇物
③特定品目毒物劇物取扱者試験……特定品目である毒物劇物
ます。

5毒物劇物取扱者試験の実施
毒物劇物取扱者試験は、年1回都道府県ごとに行われます。したがって都道府県ごとに試験の時期、試験時間(1時間30分~2時間)、問題数(40問~100間ぐらい)は異なります。解答方式は、マークシートが多いようです。

受験案内は、各都道府県の関係部署(薬務課など)より試験日のおよそ2ケ月前には発表されます。都道府県ごとに試験の実施時期が異なりますので、複数の都道府県で受験することも可能です(九州地方は全県同日実施)。

6受験の手続き
必要書類は、受験願書、写真、受験手数料です。都道府県によっては、戸籍抄本または住民票抄本(本籍の記載されているもの)が必要な場合もあります。これらは、郵送か代理人または本人が直接持参して手続きを行います。

受験願書は、各都道府県の薬務課で入手できます。また薬務課以外に保健所でも配布している都道府県や郵送で入手できる都道府県もあります。

(7)試験科目毒物劇物取扱者試験は、筆記試験と実地試験で行われます。筆記試験は次の3つの内容から出題されます。
①毒物及び劇物に関する法規
②基礎化学
③毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱方法

実地試験は、毒物及び劇物の識別及び取扱方法について出題されます。試験科目名は、各都道府県によって異なります。筆記・実地試験と分けずに科目名で分けていたり、科目名が全く異なる場合もあります。

8合格基準
都道府県ごとに合格基準は定められており、ホームページ上で公開している都道府県もあります。6割以上かつ各科目で基準がある都道府県が多いようです。難易度については、都道府県ごとに試験は実施されますので各都道府県によって異なります。合格率も都道府県ごとに異なります。およそ20%~50%未満の間のようです。

竹尾 文彦 (著) , 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社; 改訂新版 (2018/4/14)、出典:出版社HP

本書の使い方

毒物劇物取扱者試験は筆記試験と実地試験から成り、筆記試験は「毒物及び劇物に関する法規」、「基礎化学」、「毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱方法」の項目から出題され、実技試験は毒物及び劇物の鑑別及び取扱方法について、出題されます。

■まず第1章から第3章をしっかり学習しよう
本書は、毒物劇物取扱者試験を受験する上で必要となる基礎知識を効率よく学習できるように工夫してあります。どの都道府県、どの試験の種類(一般、農業用品目、特定品目など)で受験する場合でも、本書の第1章から第3章はしっかりと学習してください(第3章については農業用品目、特定品目で受験の場合には、その品目に分類されている毒物劇物のみ学習してください)。

■受験地の過去問題を分析してから第4章から第9章を取り組もう
第4章から第9章に関しましては、各都道府県によって出題傾向に差があるので、それをつかんでから取り組まれることをお勧めします。そのためにも、受験を予定している都道府県が過去に実施した試験問題を少なくとも過去3年分、できれば過去5年分を入手して、出題形式の確認、出題傾向の分析を行ってください。

とはいえ、出題傾向はあくまでも傾向です。今までの傾向が大きく変わることもあるので、注意してください。力の入れ方は項目により変えるとはいえ、そのためにもまんべんなく学習していただくのが理想です。

■毒物劇物の性状を理解することが基本
おそらく多くの方が、筆記試験の「毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱方法」と実地試験の勉強が最も大変だと感じ、その出来が合否を分けることになるのではないかと思います。この部分の勉強については、毒物劇物の性状を理解しておくことが基本となりますが、これについては第3章にまとめてありますので、まずはその毒物劇物が常温で固体、液体、気体のいずれであるかを意識しながら(今後、常に意識するようにしてください)、読み進めて行ってください。これを知っておくだけでも、選択肢を絞り込むことができます。

とにかく、毒物劇物の性状についてしっかりと理解しているかどうかが、貯蔵法、廃棄法、毒性、鑑別法など、多岐にわたる内容を理解するための基本となります。毒物劇物の性状との関連性を推測して覚えると効率がよいですし、知識の定着が期待できます。効率よく理解するために、項目ごとに「暗記プリント」を用意しておりますので、知識の定着にご利用ください。

■各種資料をダウンロードで用意しています
また、勉強が進むと、本書を読んでいて、毒物劇物の性状、貯蔵法、廃棄法、毒性、鑑別法などが個々の毒物劇物別に書かれていればよいのにと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方のために、インターネットからダウンロードするという形式で「毒物及び劇物に関する参考資料(改訂版)」を用意していますので、ご利用ください。

暗記がとにかく得意で、「丸暗記の方が、私には向いている。」という方には、この資料を中心に勉強していくのも一つの方法かもしれません。そして、自分がしっかりと理解できているかどうかを確認するために、本書には章末問題があります。紙面の都合で頻出問題に絞って掲載しておりますが、問題が少ないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

そんなときには受験する各都道府県の過去問題を解いたり、「ダウンロード問題(一般、農業用品目、特定品目別のものもあります)」を利用したり、私たちがまとめて、技術評論社から出版されている「らくらく突破毒物劇物取扱者オリジナル問題集」(別売)をご利用いただいたりすると、理解度の確認ができ、より理解が深まるのではないかと思います。

本書を利用くださっている方々が学習を円滑に進められるように、これらの各種ダウンロード資料を必要に応じて利用できるようにしてありますので、皆さまの勉強のツールとして利用いただけましたら、幸いです。かなりボリュームがある資料もありますが、必要な方はp.327を参照して、インターネットからダウンロードしてみてください。

ここまでいろいろと書いてきましたが、最終的には勉強法は人それぞれです。自分に合った勉強法で覚えていってもらえば、それでいいのだと思います。自分の考える形で、本書とツールをどうぞご利用ください。

■農業品目で受験した方がよいのか?
また、特定品目で受験を考えられている方は少し状況が違うかもしれませんが、農業用品目で受験を考えられている方は、よほど農薬にくわしくない限り農業用品目で受験するよりは、思い切って一般で受験した方が勉強しやすいということもあるかもしれないと個人的には思っています。

あくまで個人の見解ですが、こんなことも少し意識して、受験する試験の区分(種類)を考えられるとよいのではないかと思います。参考程度にお考えください。

皆さまからのご意見・ご感想は、私たちの励みになっております。もしよろしければ、書籍レビューなどを通して、ご意見等をお聞かせいただけましたら幸いです。本書をよりよいものとするためにも、よろしくお願い申しあげます。本書を利用してくださっている方々が、無事に合格を勝ち取られることをお祈り申し上げます。

竹尾 文彦 (著) , 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社; 改訂新版 (2018/4/14)、出典:出版社HP

本書の構成

1学習項目
①節のテーマ:節のテーマとこの節で何を学習するかを示しています。
②重要度:各項の重要度を示しています。各節の中でも項目によって重要度は違います。★★★は出題頻度が高いことを示し、逆に★は出題頻度が低いことを示しています。この重要度を参考に覚えましょう。
③図表:文字だけではわかりづらいところは図表を用いて説明しています。
④練習問題:この節で学んだことを復習する○×問題です。第1章と第2章のみ掲載。
⑤ポイント:各節のポイントをまとめています。第1章と第2章のみ掲載。

2章末問題
各章の最後に章末問題を掲載しています。いままで学習した内容を確認しましょう。

3問題集について
本書を読み、さらに問題を解きたい場合や、もっと深く理解したい場合などには、小社刊「らくらく突破毒物劇物取扱者オリジナル問題集」(竹尾文彦+花輪俊宏著、2180円+税)をあわせてご利用ください。本書と同じ構成(章立て)となっていますので、効率的に学習することができます。

4ダウンロードについて
本を手にしていただいた方へのささやかなお礼として「毒物及び劇物に関する参考資料(改訂版)」、暗記プリント、読み方ガイドなど各種資料います。以下のURLからご覧ください。
http://gihyo.jp/book/2018/978-4-7741-9673-2/support/
または、
http://www.sho-oh.ac.jp/dokugeki/
ダウンロードの詳細やパスワードについては、p.327をご覧ください。

竹尾 文彦 (著) , 花輪 俊宏 (著)
出版社: 技術評論社; 改訂新版 (2018/4/14)、出典:出版社HP