これだけ覚える!給水装置工事主任技術者試験 改訂3版




読者の方々へ

本書は平成18年に初版が発行されましたが,ここに装いを新たに改訂3版としてお届けする運びとなりました。これは、たくさんの受験生からご支持をいただいた賜として感謝申し上げます。
さて,給水装置工事主任技術者試験は,給水装置工事主任技術者として必要な知識及び技能について,厚生労働大臣が行うものです。この試験は,学科試験1,学科試験2に分けて実施されます。学科試験の区分,出題数,試験時間を表1に示します。ただし,管工事施工管理技術検定の1級又は2級に合格した方は,学科試験2の免除を受けることができます。

表1 出題数と試験時間

試験の区分 試験時間 試験科目 出題数 合格最低基準点
午前 学科試験1 150分 公衆衛生概論 3 1
水道行政 6 2
給水装置工事法 10 4
給水装置の構造及び性能 10 4
給水装置計画論 6 2
給水装置工事事務論 5 2
午後 学科試験2 60分 給水装置の概要 10 4
給水装置施工管理法 10 4
合計 210分 60

 

問題の形式はすべて四肢択一です。すなわち,四つの選択肢の中から「適当なもの」、「適当でないもの」などのように指示されたものを解答します。また,問題はすべて必須問題として出題されますので,全問解答しなければなりません。

合格判定基準では、次の①,②,③を満足する必要があります。ただし,管工事施工管理技術検定の1級又は2級に合格した方で、規定により試験科目の一部免除を受けた方については,①及び③を満足していれば合格となります。なお,配点は1題につき1点です。

① 学科試験1の合計得点が27点以上
② 全学科の合計得点が40点以上
③ 各試験科目の得点が合格最低基準点以上

したがって,①では出題数が40問題ありますので27/40×100=67.5%,②では出題数が60問題ありますので40/60×100=66.7%の正答率がなければなりません。さらに,各科目ごとの最低得点数が決められているなど,非常に難しい試験になっています。そこで本書では,これから本試験を受験する方々のために,簡潔でわかりやすい内容とするため,次の点に配慮しながら編集を行いました。

1 過去に出題された問題を詳細に分析し,これから出題が予想される内容を中心に編集しました。

2 本文の各項目と「覚えるべきポイント」と「重要事項」に絞り込んだ解説を箇条書きとし,受験にすぐ役立つようにしました。

3 同一分野の内容は1か所にまとめました。重複して学習する労力を減らすための工夫をしました。

4 章冒頭には[合格への道しるべ]を設け、出題傾向を示しました。また,要所には[実践力UPのツボ]を,章末には[アドバイスコーナー]を設け,受験のテクニック,コラムなどを掲載することで、効率的に合格へのステップを進むことができます。

5 各項目には出題率の高さなどの重要度に応じて★★★★★〜★をつけ,ひとめでどこが重要なのかをわかるようにしました。さらに細目については、[重要],[注意]マークをつけることで,どの細目をどう覚えればよいかを示し,学習の指針となるようにしました。また、キーワードとなる用語については太字にして注意を喚起しました。

6 各章末に、[よく出る問題で合格力アップ]を設け,試験のポイントがつかめるようにしました。キーワードを探したり,作問上のヒッカケやワナとなる表現を見つけながら,問題対応力を養成できます。

7 受験のための自学自習はもちろん,講習会などでも活用できるように留意しました。

本試験は8科目に分類されていますが,これらは互いに有機的なつながりをもって構成されています。このため,同じ内容が複数の科目にわたって出題されているのです。本書では,同一分野の内容を一か所にまとめるため,どちらかの科目に集約して編集してあることをご理解のうえ学習してください。ただし,重要事項は重複して掲載し,知識の定着を図れるようにしています。ここで,過去5年間の検定試験問題について,本書で扱う内容に対する的中率を下表に示します。

表2 過去5年間の的中率(%)

試験科目 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度
公衆衛生概論 100 36.3 16.6 66.7 100
水道行政 92.9 75 95.8 79.1 100
給水装置工事法 60 52.5 37.5 57.5 97.2
給水装置の構造及び性能 75 67.5 70 70 87.5
給水装置計画論 80 70.8 37.5 83.3 79.2
給水装置工事事務論 100 70 100 95 90
給水装置の概要 90 82.5 85 85 87.5
給水装置施工管理法 87.5 65 67.5 72.5 82.5

* 平成25~28年度は改訂2版,平成29年度は改定3版の的中率を示している。

本書をしっかり学習すれば70パーセント以上の得点率は見込める内容構成になっています。
給水装置工事主任技術者試験の出題範囲は多岐にわたり、専門性の非常に高い試験です。しかも,長文の問題があり難易度の高い検定試験でもあります。

国家試験の合格基準は,一般に60%程度といわれています。しかし,この試験の合格基準は前述のように厳しめに設定されています。確実な合格を目指すためには、すべての科目で70%以上の正解が得られるように目標を立てて受験に臨んでください。本書をくり返し読みこなすことで、合格に近づくことができるでしょう。

本書を執筆するに当たり,複数の企業,団体から貴重な資料提供をいただき,本書への転載許可をご快諾いただきました。心より厚くお礼申し上げます。なお,最新の検定試験の概要に関する問合せは下記にご連絡ください。

公益財団法人 給水工事技術振興財団
〒163-0712 東京都新宿区西新宿2丁目7番1号
小田急第一生命ビル12階
電話:03-6911-2711 FAX:03-6911-2716

読者のみなさんが,給水装置工事主任技術者の資格を取得し,主任技術者としてさらにご活躍されますことを心からお祈りいたします。

2017年3月
著者

春山 忠男 (著)
出版社: オーム社; 改訂3版 (2017/3/24)、出典:出版社HP

目次

1章 公衆衛生概論

1-1 水道の歴史・水質汚染
1 水道の歴史
2 水質汚染と飲料水の事故例

1-2 水質と健康影響
1 水系感染症と病原体
2 化学物質による汚染

1-3 水道施設
1 用語の定義
2 水道施設のフローシート
3 水道施設(法第5条)

1-4 水道水質基準
1 水道施設の基準
2 水道水質基準
3 水道水の水質基準値

1-5 塩素による衛生対策
1 消毒の目的と衛生上の措置
2 消毒方法
3 残留塩素の消毒効果
4 残留塩素の測定方法

よく出る問題で合格力アップ

2章 水道行政

2-1 水道法の概要
1 水道事業の認可(法第6条)
2 業務
3 簡易専用水道(法第34条の2)

2-2 指定給水装置工事事業者制度
1 給水装置の構造及び材質の基準
2 指定給水装置工事事業者制度
3 給水装置工事主任技術者制度

よく出る問題で合格力アップ

3章 給水装置工事法

3-1 給水装置工事の施工
1 給水装置工事の原則
2 給水管の取出し
3 分岐穿孔
4 給水管の埋設深さ及び占用位置
5 給水管の明示
6 止水栓の設置
7 給水管の防護
8 水道メーターの設置
9 土工事
10 配管工事
11 給水装置に設置するスプリンクラー

3-2 検査
1 検査の概要
2 書類検査
3 現地検査

3-3維持管理
1 維持管理の基本
2 異常な臭味
3 異常な色
4 異物の流出,出水の不良、汚水吸引

よく出る問題で合格力アップ

4章 給水装置の構造及び性能

4-1 給水管及び給水用具の性能基準
1 耐圧性能基準
2 浸出性能基準
3 水撃限界性能基準
4 逆流防止性能基準
5 負圧破壊性能基準
6 耐寒性能基準
7 耐久性能基準
8 給水管及び給水用具の性能基準の適用

4-2 給水装置のシステム基準
1 配管工事後の耐圧試験
2 水の汚染防止
3 水撃防止
4 侵食防止
5 クロスコネクション防止
6 逆流防止
7 寒冷地対策

よく出る問題で合格力アップ

5章 給水装置計画論

5-1 給水装置の基本計画
1 給水方式の決定
2 計画使用水量の決定
3 直結増圧式の同時使用水量
4 受水槽式給水法の容量

5-2 給水管の口径決定
1 口径決定の基本原則
2 直結直圧式
3 直結増圧式の動水勾配線図

5-3 図面作成
1 図面の表示記号
2 図面作成上の留意点
3 平面図と立面図の関係

よく出る問題で合格力アップ

6章 給水装置工事事務論

6-1 工事事務論
1 給水装置工事主任技術者の役割
2 給水装置工事主任技術者に求められる知識と技能
3 基準適合品の使用
4 指定給水装置工事事業者による給水装直工事王任技術者の支援
5 給水装置工事記録の保存

6-2 給水装置の構造及び材質の基準に係る認証制度
1 認証制度の概要
2 基準適合品の確認方法

よく出る問題で合格力アップ

7章 給水装置の概要

7-1 給水装置の概要
1 給水装置の定義
2 給水装置工事の概要

7-2 給水管と継手
1 鋼管
2 銅管
3 ダクタイル鋳鉄管
4 合成樹脂管
5 継手

7-3 給水用具
1 分水栓
2 止水栓
3 給水栓
4 減圧弁,安全弁(逃し弁), 定流量弁
5 逆止弁
6 バキュームブレーカ
7 空気弁,吸排気弁
8 ウォータクーラー
9 湯沸器
10 浄水器
11 直結加圧形ポンプユニット
12 節水形給水用具、節水が図れる給水用具

7-4 水道メーター
1 水道メーターの概要
2 水道メーターの種類
3 水道メーターの構造
4 水道メーター選定の留意事項

7-5 給水用具の故障と修理
1 水栓の故障と対策
2 ボールタップの故障と対策
3 ボールタップ付きロータンクの故障と対策
4 副弁付き定水位弁の故障と対策
5 大便器洗浄弁の故障と対策
6 小便器洗浄弁の故障と対策
7 湯沸器の故障と対策

よく出る問題で合格力アップ

8章 給水装置施工管理法

8-1 給水装置工事の施工管理
1 施工管理の概要
2 工程管理
3 品質管理
4 安全管理

8-2 建設業法
1 建設業の許可
2 一般建設業と特定建設業
3 施工技術の確保

8-3 労働安全衛生法
1 作業主任者
2 事業者が講ずべき措置
3 労働者の就業にあたっての措置
4 酸素欠乏症等防止規則

8-4 建築基準法
1 給水・排水その他の配管設備
2 建築物に設ける飲料水の配管設備
3 飲料水の配管設備の構造

よく出る問題で合格力アップ

参考文献&資料提供

春山 忠男 (著)
出版社: オーム社; 改訂3版 (2017/3/24)、出典:出版社HP