税理士試験教科書 簿記論・財務諸表論Ⅱ 基礎完成編【2020年度版】
【税理士試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)】も確認する
まえがき
本書を手にしたみなさんにとって大切なことは「まずは、いかにして税理士試験の会計科目(記論、財務諸表論)に合格していくか」ということではないでしょうか。
そこで、認識しておきたいのが、次の状況です。
・簿記論はほぼ100%計算問題であり、財務諸表論では50%が計算問題、残りの50%が理論問題で出題され、計算問題の内容は薄記論と財務諸表論で差がないこと
・計算問題を解くにも、理論的な背景(財務諸表論の理論部分)がわかっている方が有利なこと
・学習する際にも理論と計算を平行した方が頭には入りやすいこと。
・近年の簿記論の問題が難化していること(合格率は毎回、10数%で安定)
・財務諸表論の合格率は、平均すると20%程度と高いこと
・仮に記論を落としても、財務諸表論さえ合格していれば、学習量的にみて税法に進めること
これらの状況を勘案すると、簿記論と財務諸表論は絶対に同時に学習した方がいい。1つのミスをしたかどうかで合否が入れ替わってしまうほど合格ラインが低い)薄記論の試験だけのために、1年かけて学習するのはリスクが大きすぎる。
このような判断から、簿記論・財務諸表論一体型の教科書及び問題集になっています。さらに、本書はネットスクールが提供するWeb講座の採用教材にもなっていますので、独学で学習する方が授業を聴きたいと思ったときにも無駄なく活用いただけます。
また本書は、日商簿記2級の学習経験者がスムーズに学習し、合格してもらうために作られた本ですので、日商簿記2級の復習からはじまり、本試験のレベルまでを収載しています。
状況は我々が整えます。
みなさんは、この本で勇気を持って始め、本気で学んでください。そうすれば、みなさん自身ばかりではなく、みなさんの周りの人たちをも幸せにできる、そんな人生が開けてきます。さあ、この一歩、いま踏み出しましょう!
ネットスクール株式会社
代表 桑原知之
目次
簿財一体型の学習法
本書の構成・特長
WEB講座講師からの学習アドバイス
2020年度試験向け税理士講座簿記論・財務諸表論日程表
税理士資格を目指す魅力
試験概要
本書で使用する略語や記号について
Chapter1 法人税等・租税公課
Section1 法人税等
Section2 事業税と外形標準課税制度
Section3 その他の税金(相税公課)
Chapter2 税効果会計
Section1 税効果会計の概要
Section2 会計上と税務上の差異
Section3 将来減算一時差異
Section4 将来加算一時差異
Section5 その他有価証券の税効果会計
Section6 税効果会計の出題
Section7 表示と注記事項
Section8 法定実効税率
Chapter3 消費税
Section1 消費税とは
Section2 消費税の会計処理
Chapter4 リース会計
Section1 リース取引の概要
Section2 ファイナンス・リース取引
Section3 オペレーティング・リース取引
Chapter5 減損会計
Section1 減損会計の必要性と基本的考え方
Section2 減損会計の流れと会計処理方法
Section3 資産のグルーピング
Chapter6 退職給付会計
Section1 退職給付会計の概要と基礎知識
Section2 退職給付会計の各項目
Section3 退職給付にかかる会計処理
Section4 勘定連絡図とワークシート
Section5 差異の会計処理
Section6 その他の論点
Chapter7 引当金
Section1 引当金
Chapter8 社債
Section1 社債の一連の処理
Section2 社債の買入償還
Chapter9 純資産会計
Section1 純資産会計の基礎知識
Section2 株主資本項目の変動
Section3 自己株式
Section4 新株予約権
Section5 新株予約権付社債
Section6 純資産に関する注記
Chapter10 繰延資産
Section1 繰延資産の会計処理
Chapter11外貨換算会計
Section1 外貨建取引の概要
Section2 為替予約
Section3 外貨建有価証券の評価
Chapter12 棚卸資産
Section1 売価還元法
Chapter13 金融商品
Section1 保有目的区分の変更
Section2 株式配当金の処理
Section3 新株予約権の取得者側の処理
Section4 その他の金融商品
索引
【税理士受験を始めた人に共通する最大の悩み】
⇒簿財の会計2科目のボリュームが多くて心が折れそう……しかし、実は海財の学習内容は50%重複しています。
⇒悩みをスッキリ解決する新学習法が、薄財一体型の学習法です!
本書の構成・特長
教科書
1episode
冒頭で、これからどのような内容を扱うのか、何が問題なのかを簡潔にまとめてあります。内容がイメージでき、スムーズに学習を進めることが出来ます。
2重要度ランキング
学習テーマごとに、A、B、Cで重要度を示しています(Aがもっとも重要度が高いことを表します)。なお、「簿記論」と「財務諸表論計算問題」では重要度が異なることがあるので、A、Aと科目別に示しています。
3側注
補足的な説明や知識を示しています。
4設例
会計の学習では数値例が必須です。テーマごとに【設例】を設けていますので、数値により確認しながら、内容の理解を深めることができます。また、教科書の設例に税効果会計を適用した場合の仕訳で出題頻度の高いものを随時入れています。
5ポイント
テーマごとに「注意点」をP(ポイント)としています。復習するさいにもPを追っていくことで、学習内容の再確認ができます。
問題集
Ⅰ重要度ランキング
問題ごとに、A、B、Cで重要度を示しています(Aがもっとも重要度が高いことを表します)。
Ⅱ難易度の区別
問題ごとに、基本問題は基本、応用問題は応用と難易度を示しています。
WEB講座講師からの学習アドバイス
簿記論・財務諸表論のWEB講座講師である穂坂治宏先生より、受験生の皆さんへ学習アドバイスです。長丁場の税理士試験を乗り切るためにも、プロの学習法を学び、効果的に学習を進めていきましょう。
プロフィール
講師 穂坂治宏
講師歴16年、税理士(登録平成6年)。「わかればできる」をモットーに、経験に基づく実践的な講義は、楽しみながら学習出来ると大好評!WEB講座税理士簿記論・財務諸表論講義等を担当。
【基礎完成編の内容について】
教科書と問題集は、「基礎導入編」「基礎完成編」「応用編」の3部構成となっています。基礎完成編で主に取り上げられている項目は「税効果会計」「リース会計」「減損会計」「退職給付会計」「社債」「純資産会計」「外貨換算会計」などです。基礎導入編で取り上げた内容と同様、これらの項目はいずれも税理士試験で頻繁に出題される重要項目となりますので、引き続きしっかり学習を進めていきましょう。
【基礎内容はこれで万全】
記論と財務諸表論の計算問題では実にさまざまな項目が出題されますが、その内容の多くはこの基礎完成編までに取り上げられた個別項目が中心となっているのです。したがって、まずはここまでの内容をしっかりマスターできていれば、本試験で出題される基礎項目の多くは解答できるようになります。苦手項目を残さないよう、それぞれの内容をしっかり理解できるようしておくことが大切です。
【繰り返し練習しましょう】
基礎完成編の教科書と問題集は学習内容が完全に対応されていますので、教科書の学習を終えたら必ず問題集の問題を実際に解くようにしましょう。初めのうちは標準時間内に解き終えることができないかもしれませんが、繰り返し解くことにより解法手順が身につき、その結果、解くスピードが増すとともに正確な解答ができるようになってきます。問題集の問題は繰り返し解く練習をするようにしましょう。
2020年度試験向け税理士講座 簿記論・財務諸表論標準コース日程表
税理士資格を目指す魅力
【税に関わる3つの独占業務】
税理士には、税理士法で規定された独占業務「税務代理」「税務書類作成」「税務相談」の3つが認められており、税理士の資格のない者がこれらの税理士業務を行うことを法律は禁止しています。
税理士は、クライアントの依頼により税務書類の作成や税務の相談、さらに税務調査の立ち会いなど税務のプロフェッショナルとして日々活躍しています。法人・個人に係る適正納税を実現する専門家として、その社会的信頼と責務は大きく、これからも社会から必要とされ続ける仕事、それが税理士の魅力です。
【最新のデータから見る税理士像】
税理士の年齢層割合主な前職の割合
税理士は60歳代が最も多く、定年もありません。1度資格を取得すれば、生涯仕事ができます。したがって、40歳代から60歳代にかけてセカンドキャリアのために税理士を目指す魅力もあるといえます。
主な前職の割合
税理士は科目合格制度会計事務所で実務経験を積みながら資格取得を目指すことができます。一般会社の経理でものは必要なことから、科目合格でもキャリアップすることできます。
独立開業の割合
税理士は独立開業できます。独立業する前に会計事務所や税理士法人で経験を積む税理士もいます。女性はとくに補助税理士として仕事と家事の両立ができるにあり、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
【拡がる活躍のフィールド】
税理士の主な仕事は、独占業務である税務業務や中小企業の会計帳簿の記帳、決算書の作成などの会計業務の2つです。現在では、パソコンの会計ソフトを利用した業務が主流となっています。
しかし、最近はこれらの業務のみならず、会社経営に関わる様々なコンサルティング業務にまで拡がりを見せています。経営全般に関わるコンサルティングはもちろん、相続・事業承継対策に関わるコンサルティングなど、税理士の活躍のフィールドはますます拡がり、クライアントの様々なニーズに応えるための高度な専門性も必要となってきています。
税理士試験の概要
税理士試験の2大特徴
特徴その1 科目選択制度
以下の試験科目全11科目から5科目を選択して受験する制度です。会計科目の2科目と選択必須科目1科目以上を含む税法科目3科目の合計5科目に合格する必要があります。
会計科目 | 必須の2科目 | 簿記論 |
財務諸表論 |
税法科目 | 選択必須の1科目 | 法人税法 |
所得税法 | ||
選択科目 | 相続税法 | |
消費税法または酒税法 | ||
国税徴収法 | ||
固定資産税 | ||
事業税または住民税 |
特徴その2 科目合格制度
1度の受験で5科目全てに合格する必要はなく、1科目ずつ受験することができます。なお、1度合格した科目は生涯有効となります。
税理士試験の受験資格及び試験日程については、国税庁ホームページをご覧下さい。http://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm