2020年 大原の公認会計士受験シリーズ 短答式対策 財務会計論(理論)




まえがき

平成18年より改正公認会計士法に基づく新公認会計士試験が実施されました。「出題範囲の要旨」によれば、「財務会計論の分野には、簿記、財務諸表論、その他企業等の外部利害関係者の経済的意思決定に役立つ情報を提供することを目的とする会計の理論が含まれる」とされています。

このうち、財務諸表論は「企業等の財務諸表の作成及び理解に必要な会計理論、会計諸規則及び諸基準並びに会計処理手続について出題する」とされ、さらに「会計諸規則及び諸基準の範囲には、会社計算規則、財務諸表等規則等の他、基本的には企業会計審議会の意見書及び企業会計基準委員会の企業会計基準を含めるが、これらの意見書及び基準の解釈上必要な場合には、企業会計基準委員会の適用指針及び実務対応報告、日本公認会計士協会の実務指針等も適宜出題範囲とする」とされています。

この「出題範囲の要旨」を見る限り、新試験における財務諸表論=財務会計論(理論)の出題傾向が、旧試験のそれに比して大幅に変わっているとはいえません。旧試験では、出題のベースを会計諸規則及び諸基準においている問題が大半を占めました。もちろん、会計諸規則及び諸基準以外のいわゆる会計純理論の出題もなされてはいましたが、そのような純理論に関してはきわめて標準的な見解から選択肢を絞り込むものが大多数でありました。この傾向は新試験にそのまま引き継がれています。

このように考えた場合、いかなる対策をとればよいかという結論は、容易に導き出せます。それは「基本重視の学習」です。基本を重視した学習とは、会計諸規則及び諸基準を常に傍らに置いた、通説としての財務会計を学ぶことをいいます。この点、公認会計士審査会・新公認会計士試験実施に係る準備委員会は、「改正公認会計士法における公認会計士試験の実施について」の中で、「短答式試験においては、公認会計士となろうとする者に必要な基本的知識を体系的に理解しているかどうかを客観的に判定するために、幅広い分野から基本的な問題を多数出題することが適切である」と述べています。

したがって、受験生諸君は、とにもかくにも「基本重視」の短答式対策を実施することを願いたい。どんなに深い知識を有し、さまざまな学説をマスターしている受験生であ験を突破しないことには、次なるステージ、すなわち論文式試験へと進むことはできないのです。繰り返しになりますが、会計諸規則及び諸基準を軸とした基本学習を重ねていただきたい。

なお、次々と新しい会計諸規則及び諸基準(いわゆる新会計基準)が公表されています。近年の短答式試験における新会計基準の出題比率は相当に高く、許ム計基準のマスターが短答式試験突破の鍵となることは間違いありません。本書、『短答式対策財務会計論(理論)2019年版』は、新会計基準の公表に伴う試験範囲の拡大に対し完全に準拠するものとなっており、出稿段階(2019年12月1日)における最新の会計理論に対応したものになっています。本問題集を存分に活用し、短答式試験を是非とも突破していただきたい。

2020年(令和2年) 2月
資格の大原 公認会計士講座
財務会計論 理論スタッフ一同

本書の特徴と構成

最新の会計基準を含む、出題可能性の高い論点を網羅
・従来の頻出論点だけでなく、最新の会計基準も含め全100題を厳選。

試験傾向に対応した問題演習に最適
・試験傾向に対応した問題演習を行うことにより、短答式試験の得点に直接結びつく学習が可能。

資格の大原 公認会計士講座 (著)
大原出版、出典:出版社HP

本書の使い方

本書は公認会計士試験の短答式試験対策用の問題集です。<本書の特徴と構成>でもご紹介したとおり、本書では本試験レベルの問題を100題収録しています。まずは、順番どおりに問題を解いていきましょう。解答時間は、1肢30秒程度を目安にしてください。答え合わせの際には、解答の番号が正解できたか否かだけでなく、解説の文章にも必ず目を通し、誤りの肢について誤りの理由と正しい内容を確認しましょう。

また、参照規定のある肢は、法令基準集等で該当規定を確認するようにしましょう。解き直しの際は、1回目に不正解となった問題が正解できるようになったかと、1肢1肢の正誤判定を正確に行うことができるようになったかを確認しましょう。本書に収録した100題500肢のすべての正誤を正しく判定できるようになっていれば試験の合格はすぐそこまで来ています。

財務会計論(理論)出題論点一覧表

出題論点・テーマ 2015年第Ⅰ回 2015年第Ⅱ回 2016年第Ⅰ回 2016年第Ⅱ回 2017年第Ⅰ回 2017年第Ⅱ回 2018年第Ⅰ回 2018年第Ⅱ回 2019年第Ⅰ回 2019年第Ⅱ回
財務諸表論の基礎概念
概念フレームワーク
利益概念
その他
一般原則
損益計算
貸借対照表総論
資産及び負債の概念
棚卸資産
固定資産
固定資産の減損会計
その他
線延資産
負債会計
資産除去債務
その他
資本会計
自己株式等
ストック・オプション
その他
一株当たり当期純利益
会計上の変更及び誤謬の訂正
企業結合会計
リース会計
連結財務諸表
四半期財務諸表
キャッシュ・フロー計算書
研究開発費等の会計
税効果会計
退職給付の会計
金融商品の会計
外貨換算会計
資格の大原 公認会計士講座 (著)
大原出版、出典:出版社HP

目次

問題編
解答・解説編

第1章 財務諸表論の基礎概念
1概念フレームワーク(1)
2概念フレームワーク(2)
3概念フレームワーク(3)
4企業会計制度と会計基準
5会計基準の国際化
6利益概念
7会計公準・会計主体論

第2章 一般原則
8一般原則(1)
9一般原則(2)
10一般原則(3)

第3章 損益計算
11収益と費用
12当期業績主義と包括主義
13期間損益計算の基本原則
14収益認識基準(1)
15収益認識基準(2)
16内部利益・役員賞与

第4章 貸借対照表総論
17貸借対照表の本質と完全性の原則
18貸借対照表の表示原則

第5章 資産及び負債の概念
19資産の概念
20負債の概念
21資産・負債の評価(1)
22資産・負債の評価(2)

第6章 棚卸資産
23棚卸資産の範囲
24棚卸資産の取得原価の決定
25棚卸資産の払出単価の計算
26棚卸資産の評価(1)
27棚卸資産の評価(2)

第7章 固定資産
28有形固定資産の定義・分類
29有形固定資産の取得原価の決定
30減価償却費の計算要素、評価減
31正規の減価償却、減価償却の効果
32減価償却費の計算方法
33個別償却・総合償却
34減耗償却、取替法・廃棄法
35無形固定資産
36固定資産の減損会計(1)
37固定資産の減損会計(2)

第8章 繰延資産
38繰延資産の概念
39繰延資産の内容

第9章 負債会計
40引当金(1)
41引当金(2)
42資産除去債務(1)
43資産除去債務(2)

第10章 資本会計
44資本の概念
45純資産の部の分類
46自己株式及び準備金の額の減少等(1).
47自己株式及び準備金の額の減少等(2)
48ストック・オプション(1)
49ストック・オプション(2)
50株主資本等変動計算書
51受贈資本及び評価替資本

第11章 一株当たり当期純利益
52一株当たり当期純利益

第12章 会計上の変更及び誤謬の訂正
53会計上の変更及び誤謬の訂正(1)
54会計上の変更及び誤謬の訂正(2)

第13章 企業結合会計
55企業結合の範囲
56企業結合の会計処理(1)
57企業結合の会計処理(2)
58企業結合の会計処理(3)
59事業分離の会計処理(1)
60事業分離の会計処理(2)

第14章 リース会計
61リース会計の概要
62リース取引の会計処理と開示(1)
63リース取引の会計処理と開示(2)

第15章 連結財務諸表
64連結基礎概念、非支配株主持分
65一般基準(連結の範囲)
66一般基準(連結決算日、親会社及び子会社の会計処理)、連結貸借対照表
67連結貸借対照表
68連結損益計算書
69持分法
70包括利益の表示(1)
71包括利益の表示(2)
72関連当事者の開示
73セグメント情報等の開示

第16章 四半期財務諸表
74四半期財務諸表の基礎概念
75四半期財務諸表の作成基準

第17章 キャッシュフロー計算書
76キャッシュ・フロー計算書の基礎概念
77キャッシュ・フロー計算書の表示方法

第18章 研究開発費等の会計
78研究開発費の会計
79ソフトウェアの会計

第19章 税効果会計、法人税等
80一時差異等
81繰延法と資産負債法
82繰延税金資産・繰延税金負債、財務諸表の開示
83連結財務諸表における税効果会計
84法人税等の表示

第20章 退職給付の会計
85退職給付の会計の基礎概念
86退職給付債務等
87退職給付費用等
88退職給付会計における財務諸表の表示方法等

第21章 金融商品の会計
89金融商品の範囲
90金融資産・金融負債の発生及び消滅の認識
91金融商品の評価(1)
92金融商品の評価(2)
93貸倒見積高の算定
94ヘッジ会計
95複合金融商品

第22章 外貨換算会計
96取引発生時の処理
97決算時の処理
98外貨建金銭債権債務の換算等、ヘッジ会計
99在外支店の財務諸表項目の換算
100在外子会社等の財務諸表項目の換算

解答(キリトリ用)

資格の大原 公認会計士講座 (著)
大原出版、出典:出版社HP