HSK・中国語検定 最強の学習法




 

はじめに いますぐあなたが「HSK・中国語検定」を目指すべき理由

検定こそが「使える中国語」への最短ルートだ

本書を手にとっていただいたということは、きっとあなたは「HSK」や「中国語検定」の受験を考えているのだと思います。

そう思ったきっかけが何であるにせよ、それは本当に素晴らしいことです。なぜなら、日本人が「現地でもしっかりと通用する中国語」を本気でマスターしようと思うのなら、検定試験を利用するのが、最も確実かつ効率的なやり方だからです。

「でも、試験勉強と実践的な語学力って、別物でしょ?」―そう思っている方も多いのではないでしょうか。

たしかにいくらTOEICの点数が高くても、英語が話せないという人はいます。試験には試験固有のテクニックが有効であるのも事実です。

しかし、本書をお読みいただければわかるとおり、実は中国語の勉強に関して言えば、資格試験対策がそのまま「使える中国語」に結びつく部分が大いにあります。

ですから、私は「検定こそが実践的な中国語力への最短ルートだ」と断言します。もちろん本書は、試験で高得点を取るための技術的な部分も徹底的にフォローしていますが、重要なのは「それで終わりではない」ということ。

この本を通じて本気で学習を進め、検定合格を勝ち得たあなたの手元には、たしかな中国語力が必ずや残っていることでしょう。

ただの「お勉強」で終わらせないことをお約束します。まず、このことをお伝えさせていただいたうえで…さあ、先に進みましょう!

日本人は「短期間で」中国語を習得できる

これから学習をはじめるという方にまずお伝えしておきたいのは、「日本人にとって、中国語ほど学びやすい外国語はない」ということです。英語とは比較にならないほど、中国語は習得しやすい。

私は大学3年生のときに思い切って中国に留学しました。いつも驚かれるのですが、そのときの私は「ニーハオ」と「数字の1から10」が言える程度でした。要するに「中国語の知識ゼロ」の状態で中国に飛び込んだのです。

しかし5カ月後、私の中国語力は中国の大学入学レベルに達していました。夏休みにシルクロード旅行をしたときには、中国人に間違われたこともありますから、本当にごくごく短期間で一気にレベルアップできたのです。

そしていまでは、中国(蘇州)と日本の両方に拠点を持ちながら、中国語スクールを運営し、日本人のみなさんが中国語を最短で習得するためのサポートを行っています。

教育に携わるようになって、これまで5000人以上の方々を指導してきましたが、本当に強く感じているのは「日本人は中国語と相性がいい」ということです。だからこそ、「何か外国語を身につけたい」と思っている人に、私は迷いなくこう言うようにしています。

「絶対に中国語をやるべきだ」

正直なところ、外国語を学びたい人だけでなく、日本人全員に言いたいくらいです。指導している受講生の方も、多くの人が短期間でハイレベルの資格試験をクリアし、そして実際に中国語を話せるようになっています。

日本人は「中国語の8割」を学習し終えている

「それって、ちょっとオーバーじゃない?」と思う人もいるかもしれませんね。でも、決して誇張ではありません。

理由は、日本人には漢字の知識という強い武器があるから。欧米人など、漢字以外の文字を持つ国の人にとって、数千・数万の漢字を覚えるのは至難の業です。あなたが大人の欧米人で、これからあの膨大な漢字をまったくのゼロから学ばなければならないと想像してみてください。気が遠くなりますよね。

一方、私たちは子どものころからせっせと漢字をインプットし続けています。ですから、日本人が「よし、中国語を学ぼう」と思った時点で、実はもうすでに「いちばん苦労する部分」はスキップできる。7~8割の学習を終えている状態なのです。

実際、HSK上級の合格者の9割以上が、日本人か韓国人です。このデータからも、漢字の蓄積のある日本人が、中国語学習においてどれほど有利かがわかると思います。

それにもかかわらず、現状で中国語を使いこなせる日本人はそれほど多くありません。あるデータによると、日本国内の中国語学習者は200万人強。全人口のたった2%弱です。

これもまた、ものすごいチャンスだと思いませんか?多くの人が中国語に見向きもしないときに、あえて中国語を勉強し、確実にモノにする。それだけで、希少人材への仲間入りができるのです。

いまの時代、英語ができる日本人はたくさんいます。英語が苦手な人でも、日本人と相性のいい中国語を習得すれば、一発逆転のチャンスが訪れます。

「検定」は、語学習得の最強のツールだ!

と言われても、多くの人にとって中国語はゼロからのスタート。いったい何から手をつければいいのかわかりませんよね。だからこそ、検定の利用を私はおすすめしたいのです。

現在、日本で受験できる中国語の検定の2大巨頭と言えば、HSK(漢語水平考試)と中国語検定。これらの上級レベルである「HSK6級」で6割以上のスコア、あるいは「中国語検定準1級」の合格を目指すという目標を立てて、実践で使える中国語を身につけていくのです。

「さすがにトップレベルは無理なんじゃないか……」と思いますよね。できます!そのための学習法を述べていくのが、この本です。

これらは、私が自分のスクールで実践している方法です。留学などで中国語学習に専念できる受講生ならば約半年、日本で仕事をしながらでも週1時間の学習で約2年もあれば、「HSK6級」で6割スコア、「中国語検定準1級」に合格の水準にまで成長することができます。

しかも、試験に受かるだけではなく、会話力もしっかり身につく。では、「中国語の検定試験を利用して、最短で実践的な中国語を身につける最強の学習法」とはいったいどんなものなのか?――この三宅式中国語学習法の全体像を、これから惜しみなくお伝えしていくことにしましょう。

三宅裕之

三宅 裕之 (著)
出版社: KADOKAWA/中経出版 (2013/12/12)、出典:出版社HP

Contents

はじめに いますぐあなたが「HSK・中国語検定」を目指すべき理由

Chapter1 HSK中国語検定を利用すれば、最短で中国語をマスターできる
01なぜ検定が「最強の中国語学習法」なのか?
02「HSK」と「中国語検定」どちらを受けるべき?
03三宅式中国語学習法は、3つのフェーズで完成する
04語学の勉強には「続ける仕組み」が欠かせない
Column【メンタルブロックの外し方】会話上手になれる魔法のフレーズ

Chapter2 三宅式中国語学習法フェーズ01まずは発音の基礎を固めよう
05今すぐ「2カ月の発音トレーニング」の覚悟を決めよう
06発音トレーニングの教材はこれだ!
07「声調」→「ピンイン表」の順序でマスターしよう
08勉強中、「ずっと口が動いている」のが正しい
09発音トレーニングは一人でやるには限界がある
10発音マスターの強い味方となる2つのツール
11「3つの心がまえ」が中国語マスターへの近道
12発音に飽きてきたら、「楽しい勉強」を取り入れる
13発音のトレーニングはいつまで続けるべきか?
Column【メンタルブロックの外し方2】「語学が苦手」の信念を書き換える

Chapter3 【三宅式中国語学習法フェーズQ】「読む・聞く・話す・書く」の総合力を身につける
14シャドウイングが「最強の学習法」だ
15教材を「この1冊!」に絞り込もう
16シャドウイングの効果を最大化する
17総合教材1オール会話文より、文章のある教材を選ぶ
18総合教材2ステップのシャドウイングで、中国語脳をつくる
19総合教材3「要約学習法」で「書く・話す」に磨きをかける
20総合教材4膨大な試験問題を読みこなす「速読力」を養成する
21短文教材1中国語に「文法学習」はない
22短文教材2に「1文法1例文」が短文暗記のコツ
23単語教材1HSK6級には「5000語レベル」の語彙力が必要
24単語教材2「システマチック暗記法」で100%定着を目指す!
25単語教材3「どうしても覚えられない単語」を克服する方法
26「1分間スピーチ」で自分を語る中国語力を磨く
Column【メンタルブロックの外し方3】「できない自分」を笑い飛ばす

Chapter4 【三宅式中国語学習法フェーズ3】HSK・中国語検定に備える
27検定試験対策は「実力アップ」が目的ではない
28「過去問集・模擬試験」を120%活用する方法
29検定試験で結果を出すための「直前の過ごし方」
Column【メンタルブロックの外し方4】ネガティブな思い込みのメリットに気づく

Chapter5 HSK・中国語検定に向けて、学習を「続ける仕組み」をつくる
30語学の学習が続かないのは、「重要なのに緊急でない」から
31「やるしかない!」と思えるまで、自分を追い込む
32「未来のイメージ」を「現在の爆発力」に変える方法
33マイナスの感情を味方につければ、もう投げ出さない
34目標レベル設定の精度を上げる
35「行動目標」と「達成目標」を区別しよう
36「捨てる」を断行し、勉強時間を確保せよ
37「いつ学習するのか?」をはっきり決めてしまおう
38ナマケモノでも続けられる「自分を縛る仕組み」
39語学の学習に「集中できる環境」を確保する
40「中国語力の成長が止まった」と感じたときにどうするか?
41「成長を実感できる仕組み」をつくる
42勉強する気が起きないとき、ハートに火をつける方法
43「学習以外の刺激」があなたの中国語力を育てる
Column【メンタルブロックの外し方】アンカリングで「しんどい」を「楽しい」に変える

おわりに

本文デザイン 斎藤啓一(panix)
本文イラスト 美馬成子
協力 前嶋裕紀子

三宅 裕之 (著)
出版社: KADOKAWA/中経出版 (2013/12/12)、出典:出版社HP