やさしく学ぶ 測量士補試験 合格テキスト
はじめに
測量士補試験は,測量法及び測量法施行令に基づいて行われる国家試験で,合格すれば測量士補の資格を取得できます。試験は年1回実施(例年5月中旬)され,年齢,性別,学歴,実務経験などに関係なく受験できます。合格ラインは28問中18問以上の正答とされ,例年の合格率は20~40%となっています。
本書は、はじめて測量士補試験にチャレンジする方でも学べるよう「ポイントを絞った丁寧な解説」をコンセプトにまとめました。各テーマは「テキスト」+「演習問題」の2部構成となっており、「テキスト」はできるだけ図や吹出しを設け、ポイントが視覚的にわかりやすいような紙面構成としています。
また,「演習問題」では、正解までの手順を丁寧に解説し、随所で重要ポイントやつまずきやすいポイントも合わせて掲載しています。特に計算問題では,なるべく式展開を省略せず,順を追って確認できるようにしています。
資格試験合格の近道はその試験の傾向を知って臨むことです。もちろんすべての知識を蓄えることは大切ですが,限られた時間内で試験合格を目指すには、過去問題を数多く解いて,傾向と対策を分析することが重要になります。本書は過去問題を分析し,その傾向をポイントとしてまとめています。
測量士補試験は、文章問題と計算問題に分けられ、その比率はおよそ6対4程度です。
文章問題は,主として「国土交通省公共測量作業規程の準則(以下「準則」という)」からの出題になります。準則は公共測量を行ううえでの手引き書となるもので、ここで示された規程事項などが出題されています。
また、ここで出題される内容は、その多くが類似したパターンの問題であり、ポイントを押さえておけば解けるようになります。そのため、テキストの解説はしっかり読んで覚えるようにしてください。ただ,準則は平成23年以降2~3年程度で改正が加えられているため、その内容が出題される可能性があります。本書は,平成28年3月改正の内容にも対応していますので、知識として入れておきましょう。
計算問題は、苦手な方にとって、最初は難しいと感じるかもしれませんが、計算問題は文章問題以上に過去問題と類似した問題が多いので、過去問題を解くことで、その解法パターンを覚えていきましょう。また、公式はただ暗記するのではなく、なぜそうなるのかも含めて覚えてください。本書ではそれらの解説もできる限り省略しないようにしました。
そして、測量士補試験の計算問題を解く」えで,もう一つ考えなければいけないことは,電卓を使用できない,つまりすべて手計算で解く必要があるということです。そこで重要になるのが解き方の一夫です。本書は、少しアレンジするだけで,計算を簡単にできる方法も紹介していますので、ぜひ覚えてください。
当日の試験時間は十分確保されていますのであわてず丁寧に計算することを心がけましょう。また,本書の巻末には、測量士補試験の計算でよく使用される三角関数や弧度法,関数表の見方についてはとして掲載していますので、基本的な事項を確認する際にご活用ください。
各テーマにおける演習問題数は2~4問と厳選していますが,解答・解説の後に出題パターンやその傾向なども入れています。また、過去に出題された難易度の高い問題や異色パタ-ンの問題などはチャレンジ問題として掲載しています。さまざまなパターンの問題に慣れておくためにも、ぜひチャレンジしてください。
本書では出題頻度に合わせ,各テーマの重要度を女印で表しています。★★★が最重要項目として、毎年のように出題されている分野であり,この項目は必ず覚えるよう努力してください。★★は重要項目として、数年置きに出題されている項目になりますので、合格ラインを目指す人はここまでしっかり仕上げるようにしてください。
★は最近の出題頻度が少ないものです。ただ,新しい分野として過去の出題例は少ないが,今後の出題が予想されるものも含まれていますので,ポイントをチェックしておきましょう。
本書を有効に活用され,多くの皆様が「測量士補試験」に合格されることを祈っております。最後まであきらめずにがんばってください。
2016年9月
浅野繁喜・近藤大地
目次
1章◆測量に関する法規
1.1測量法
1.2ジオイドと準拠楕円体
1.3世界測地系
1.4公共測量における現地作業
1.5地理情報標準
2章◆GNSS(GPS)を含む多角測量
2.1基準点測量の概要
2.2セオドライトの誤差と消去法
2.3観測値の良否
2.4偏心補正計算
2.5GNSS測量機を用いた測量
2.6光波測距儀
2.7トータルステーション
2.8多角測量(基準点成果表)
2.9多角測量(方向角の計算)
2.10多角測量(緯距・経距・座標計算)
2.11最確値・標準偏差
2.12斜距離と高低角による標高計算(間接水準測量)
3章◆水準測量
3.1水準測量における留意事項
3.2水準測量の誤差と消去法
3.3.観測標高の最確値
3.4往復観測の許容誤差
3.5レベル視準線の点検調整
3.6標尺補正の計算
4章◆地形測量
4.1地形測量(現地測量)の概要
4.2TS等を用いた細部測量
4.3測量機を用いた細部測量
4.4等高線の計算
4.5街区を構成する要素の識別コード
4.6数値標高モデル
5章◆写真測量
5.1写真測量の作業工程
5.2パスポイントとタイポイント
5.3デジタルステレオ図化機
5.4写真地図(オルソ画像)
5.5撮影高度と写真縮尺(平面の対象物)
5.6地上画素寸法
5.7撮影高度とひずみ(高さのある象物)
5.8撮影基線長
5.9.写真の実体視
5.10空中写真判読
5.11-航空レーザ測量
5.12車載写真レーザ測量
6章◆GISを含む地図編集
6.1地図投影
6.2平面直角座標系とUTM図法
6.3編集原図データ作成の原則と編集順序
6.4地理情報システム
6.5ベクタデータとラスタデータ
6.6地形図の読図(地図記号)
6.7.地形図の読図(面積計算)
6.8.地形図の読図(経緯度計算)
7章◆応用測量
7.1路線測量の作業工程
7.2路線測量の計算(曲線設置
7.3.用地測量の作業工程
7.4,座標による面積計算
7.5座標による面積計算(座標点の変更)
7.6河川測量の概要
7.7平均河床高の計算
7.8.応用測量における水準測量
付録計算問題の基本知識
関数表
索引