測量士補 計算問題の解法・解説 (国家・資格シリーズ B7)




はじめに

◎測量士補試験と作業規程の準則について

測量士補の試験は、公共測量の作業規程の準則(以下準則という)に基づいて出題されます。準則は,公共測量における標準的な作業方法等を定め、その規格を統一するとともに、必要な精度を確保することを目的としています。

最近の準則の主な改正の内容は,次のとおり。
①新技術等,多様な作業方法の規定化(GPS測量からGNSS測量へ)
②車載写真レーザ測量の追加
③測量成果の電子化の推進(アナログからデジタル化への徹底)
④地理情報標準への対応(国際標準化機構ISOに対応した測量成果)
⑤基盤地図情報整備の促進
⑥用語と名称の変更

これに伴い,平板測量が標準的な作業方法から除外,空中写真測量のアナログのみの図化・修正測量も除外されました。また,用地測量の面積計算は,三斜法が削除され、原則として座標法によって行うことになっています。

計算問題について

測量士補の試験のうち,計算問題は出題問題28問中,10~12問と約40%含まれ,合格するためにはどうしてもマスターしなければならない分野です。

本書は,計算問題が苦手という読者の要望に応えて「測量士補計算問題の解法・解説~測量のための1からの数学~」と題してまとめた受験テキストです。図解法により,数学の力をかりて解くプロセスを説明しています。

過去問の計算問題を整理・分類すると,約30項目の内容にまとめられ、この中から毎年数値を変えて出題されています。したがって、この30項目について与えられた条件を整理し、概略図を描き、求める値へその道筋を考えて解くことによって、計算問題を制覇することができます。本書では,初心者のために計算に必要な基礎的な数学について、1から説明しています。

本書を有効に活用され、測量士補の計算問題に挑戦して下さい。皆様方の合格を願っております。

國澤 正和 (著)
出版社: 弘文社 (2016/1/19)、出典:出版社HP

本書の特徴

1.本書は,「測量士補計算問題の解法・解説~測量のための1からの数学~」と題した計算問題の考え方・解き方を解説した受験テキストです。

2.測量士補の試験は,表1に示す8科目から28題(試験時間3時間)出題され、約60%が文章問題,約40%が計算問題で5肢択一形式となっています。合格基準が100点満点換算で65点以上(28問中18問以上)の正解です。このことから,仮に文章問題がすべて正解でも、約17問にしか達しないことが分かります。合格のためには、計算問題にも挑戦しなければならないのです。

3.多くの読者から計算問題がよく分からない、数学が分からないので解けない等の質問がきます。これらの質問に応えるため、本書では計算問題の考え方・解き方について、代表的な問題を例題として説明します。また、計算問題を通して、測量士補試験の全体を把握することを目標としています。

4.計算問題の過去問を整理・分類すると,約30項目のパターンにまとめられ、毎年同じ形式で数値のみが変えて出題される傾向にあります。そこで,本書ではこのパターンを徹底分析し,例題⇒考え方・解き方⇒問題解説⇒数学公式の流れで理解を深め、最後に確認のための演習問題で構成しています。

なお,数学についての解説のうち、分かりきった内容については、飛ばして下さい。とりあえず、1からの数学の説明となっています。

5.各項目には、その項目の試験での出題頻度を3種のマークで示しています。

大変よく出ます!!!
(毎年のようにこのパターンの問題が出ています)
よく出ます!!
(2年に1回くらいのペースでこのパターンの問題が出ています)
まあまあ出ます!
(3年に1回くらいのペースでこのパターンの問題が出ています)

試験までに自分がとれる勉強時間と照らし合せて、効率よく学習するための目安として下さい。

6.測量士補の試験では,電卓の使用は不可です。試験時に配布される関数表(P197)の利用法をマスターしなければなりません。また、日頃より手計算の習慣を付けておかなければならないでしょう。

計算問題を解くポイントは、与えられた条件から概略の図を描き,図解によって解くことです。

7.巻末には,測量用語集,測量のための数学公式及び索引等を設けて学習の助けとしています。不明な点があれば辞書代わりに活用して下さい。

科目区分 出題数 備考 本書の構成
1. 測量に関する法規 3題 (No. 1~la 3) 新規 (測量法,地理空間情報活用 推進基本法等) 測量に関する法規
2. 多角測量
3.汎地球測位システム測量
5題 (No.4~No. 8) GNSS測量(汎地球測位シ ステム測量)を含む多角測量 旧区分の三角・多角測量 第2章 多角測量(GNSS測
量を含む)
4.水準測量 4題 (No.9~No. 12) 第3章 水準測量
5.地形測量 4題 (No 13~No.16) GIS(地理情報システム)を含む山地形測量 第4章 地形測量(GISを含む)
6.写真測量 4題 (No. 17~No 20) 航空レーザ測量を含む空中写真測量 第5章 空中写真測量
7.地図編集 4題 (No.21~No.24) GIS(地理情報システム)を 含む地図編集 第6章 地図編集(GISを含む)
8.応用測量 4題(No 25~No.28) 路線測量,河川測量、用地測量 第7章 応用測量

 

①GNSS(GlobalNavigationSatelliteSystems:汎地球測位システム測量)とは、人工衛星からの信号を用いて位置を決定する衛星測位システムの総称で,GPS(米国),GLONASS(ロシア),Galileo(ヨーロッパ)及び準天頂衛星(日本)等の衛星測位システムがある。このうち,「GNSS測量においては、GPS,GLONASS及び準天頂衛星システムを適用する。」となっています(準則第21条)。

②応用測量とは、基準点測量,水準測量,地形測量及び写真測量などの基本となる測量方法を活用し,目的に応じて組み合せて行う測量をいいます。

國澤 正和 (著)
出版社: 弘文社 (2016/1/19)、出典:出版社HP

測量士補試験 受験案内

試験日:測量士試験とともに5月中旬(日曜日)
受験地:北海道,宮城県,秋田県,東京都,新潟県,富山県,愛知県,大阪府,島根県,広島県,香川県,福岡県,鹿児島県,沖縄県
試験手数料:書面による場合(収入印紙による)2850円
受験資格:学歴・実務経験・年齢に関係なく受験可能

1.受験申込みの手続:

(1)受験願書受付期間
1月上旬~下旬。受験願書用紙等は1月上旬から下記の場所で交付されます。
1交付場所
・国土地理院及び各地方測量部,沖縄支所
・各都道府県の土木関係部局(東京都は都市整備局)の主務課
・(公社)日本測量協会及び各地方支部
2入手方法
・受験願書交付場所で直接受け取ってください。
・郵送による請求の場合,郵便で交付場所に申請してください。

(2)提出書類
受験願書1部及び写真票等1部(国土地理院配布のものに限る)

(3)提出方法
「受験願書受付場所」に持参し直接提出する方法と、郵送で提出する方法とがあります。

(4)受験願書受付場所
国土地理院総務部総務課試験登録係
〒305-0811茨城県つくば市北郷1番
TEL029-864-8214,8248

2.受験票の交付:
受験番号及び試験場を明記した受験票は、4月下旬に受験者あてに送付されます。

3.試験当日:
1試験時間は、午後1時30分から午後4時30分までの3時間です。
2試験当日は、直接試験室にお入りください。また、試験室において試験に関する注意の説明がありますので、試験開始時刻の30分前までに試験室にお入りください。
3持参するもの
受験票,時計又はストップウォッチ(時計機能のみのものに限り、アラーム等音の出る機能の使用は不可),鉛筆又はシャープペンシル0.5mm(HB又はB),鉛筆削り(電動式・大型のもの・ナイフ類を除く。)消ゴム,直定規(三角定規及び三角スケールは使用できません。また,目盛以外の記載がある直定規は不可となります。】
電卓の使用について(不可)

4.受験に関する問い合わせ:
国土地理院総務部総務課試験登録係(受験願書受付場所)
〒305-0811茨城県つくば市北郷1番
TEL029-864-8214,8248

5.合格発表:
測量士・測量士補試験合格者の発表は,7月上旬頃です。国土地理院,国土地理院各地方測量部及び国土地理院沖縄支所において合格者の氏名を公告するほか、全受験者あてに試験の結果(合否)が通知されます。また、国土地理院のホームページ上(http://www.gsi.go.jp/)に合格者の受験番号,標準的な解答及び合格基準が7月上旬から掲載されます。

6.合格基準:
1問当たり25点で700点(25点×28問)満点中、450点(18問正解)以上の者が合格となります。

國澤 正和 (著)
出版社: 弘文社 (2016/1/19)、出典:出版社HP

目次

第1章 測量に関する法規
1 測量法の概要
2 測量の基準(地球の形状と地球上の位置・高さ)

第2章 多角測量(GNSS測量を含む)
1 多角(基準点)測量の概要
2 光波測距儀等の誤差の計算(数値の取扱い及び二項定理)
3 水平角・鉛直角観測の計算(倍角差・観測差,高度定数の較差)
4 TS偏心計算,補正角の計算(正弦定理・余弦定理,ラジアン単位)
5 最確値と標準偏差の計算(誤差曲線と標準偏差,軽重率の定義)
6 高低計算,間接水準測量・(球差・気差及び両差)
7 結合トラバースの閉合差・方向角の計算(数学と測量の座標軸,座標系と方位角・方向角)
8 緯距・経距の計算(三角比・三角関数の還元公式)
9 基線ベクトルの計算(平面ベクトル・空間ベクトル)
資料 GNSS測量について

第3章 水準測量
1 水準測量の概要
2 水準測量観測上の規定数値(視準距離,レベルの設置回数,野帳の計算)
3 杭打ち調整法の計算(視準線の平行性の点検,レベルの検査・調整)
4 標尺補正の計算(補正後の高低差,指数計算)
5 標高の最確値の計算(水準測量の軽重率と誤差)
6 渡海(河)水準測量の計算(気差・球差)
7 往復観測の点検計算(較差の許容範囲)
8 環閉合差の点検計算(水準環・環閉合差)
資料 レベルの種類と特徴

第4章 地形測量(GISを含む)
1 地形測量の概要
2 等高線の測定,間接測定法(等高線について)
3 地理情報システムの計算(トポロジー情報,基盤地図情報)

第5章 空中写真測量
1 空中写真測量の概要
2 鉛直写真の縮尺を求める計算(対地高度,画素と素子寸法)
3 空中写真の撮影計画の計算(重複度,撮影基線長)
4 比高によるひずみの計算(ひずみと標高)
5 視差と視差差の計算(視差・視差差と比高,実体視)
6 数値地形図データ(デジタル写真測量,数値地形モデル)
資料 数値地形測量のデータファイルの作成

第6章 地図編集(GISを含む)
1 地図編集の概要
2 地図の座標系(縮尺係数,平面直角座標とUTM図法)
3 データ形式(ベクタデータ,ラスタデータ)(地理情報システム)
4 図上計測,距離及び面積計算(図式記号,電子国土)
5 地形の計測(等高線の規定)
6 経緯度の計算(地理学的経緯度)
資料 地図記号一覧(1/2.5万図式)

第7章 応用測量
1 応用測量の概要
2 路線測量,円曲線の計算(偏角設置法,路線変更計画)
3 縦断測量・横断測量の計算(直接水準測量,間接水準測量)
4 用地測量(面積計算)(座標法,行列式)
5 境界線の整正の計算(土地の分割・整正)
6 河川測量,河床高の計算(水準基標,河床高)

付録
1 ギリシャ文字・接頭語
2 関数表の使用方法
3 測量用語
4 測量のための数学公式

索引

國澤 正和 (著)
出版社: 弘文社 (2016/1/19)、出典:出版社HP