改訂版 ビオトープ管理士資格試験公式テキスト




はじめに

ビオトープ管理士は、自然と伝統が共存する美しく持続可能な地域の創造を目指す、最先端の技術者です。健全な自然の生態系があって健全な社会が成立することは、世界の共通認識となり、都市・地域計画、土木、造園、農業、環境調査、製造、不動産、サービスなどあらゆる業種で「生物多様性」や「持続可能」というキーワードが不可欠となりました。そのようななか、パフォーマンスだけのエコな取り組みではなく、環境問題の本質を理解した証となるのが、ビオトープ管理士の資格です。

かずある自然系、環境系の資格や検定の中でも特にビオトープ管理士が傑出しているのは、持てる力がすぐに役立ち、高く評価されていることです。それは、生きものに関する知識だけではなく、法律、技術、倫理、評価力、応用力といった幅広い観点で認証し、現場の感覚を取り入れた実践的な内容となっているからです。そして、環境省の人材認定事業に登録され、環境教育の指導者としても公認されました。

専門性と質の高さに信頼をいただき、“新しい地方の創生”の担い手であるビオトープ管理士の資格は国土交通省、農林水産省など公的な場面で広く活用されるようみなりました。近年は、ビオトープ管理士でなければ請け負うことのできない専門的なビオトープ事業が増え、他社との差別化やキャリアアップに資格を活用されるほか、地域の活動においても、これを
ステータスに活躍される方が多くいます。

これまでにのべ1万人以上が有資格者として認証され、ピオープ管理士の資格への期待はますます高くなっています。あなたもビオトープ管理士の一人となり、新しい地方の創生と世界が求めている持続可能な日本の創造を目指しませんか。100年後の日本の姿を想い描いてみてください。一人ひとりが正しい知識を身につけ、現場で実践すれば、それは必ず実現します。

2016年1月
公益財団法人 日本生態系協会
会長 池谷奉文

公益財団法人日本生態系協会 (監修)
出版社、出典:出版社HP

目次

はじめに

序章 めざせ!ビオトープ管理士
1 社会におけるビオトープ管理士の位置づけ
2 『ビオトープ管理士資格試験」について
3 『ビオトープ管理士』の勉強の仕方と心構え
4 『ビオトープ管理士』となった自分をイメージする

第1章 生態学
1-1 生態系とは
1-2 生態系のしくみ
1-3 環境条件
1-4 生物地理と生態
1-5 個体群生物学と遷移
1-6 保全生態学の基礎用語

第2章 ビオトープ論
2-1 ビオトープの定義
2-2 ビオトープタイプ
2-3 ビオトープの現状
2-4 ビオトープの保全が必要な理由
2-5 ビオトープの保全の考え方

第3章 環境関連法
3-1 環境関連法全体に関わる法律
環境基本法/生物多様性基本法/環境影響評価法
3-2 種の保護・保全・防除に関する法律
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律/文化財保護法/絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律/特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
3-3 公園関連法および補完的な役割の法律
自然公園法/自然環境保全法/都市公園法/都市緑地法
3-4 議員立法による推進法
自然再生推進法/環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律
3-5 水系管理に関する法律
河川法/水質汚濁防止法/湖沼水質保全特別措置法/海洋基本法/海岸法/公有水面埋立法/港湾法
3-6 森林管理に関する法律
森林・林業基本法/森林法/国有林野の管理経営に関する法律
3-7 食料生産に関する環境配慮法
食料・農業・農村基本法/土地改良法/水産基本法/水産資源保護法
3-8 気候変動・資源枯渇の対策に関する法律
地球温暖化対策の推進に関する法律/循環型社会形成推進基本法/廃棄物の処理及び清掃に関する法律
3-9 環境関連条約
生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)/特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)/世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)/絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)/気候変動に関する国際連合枠組条約(気候変動枠組条約)

第4章 計画部門
4-1 ビオトープ計画のために−野生生物調査に基づいた計画立案−
4-2 地域計画などにおける生態系保全

第5 章 施工部門
5-1 現場技術者の視点
5-2 現場からのビオトープ論
5-3 しつらえと工夫の例
5-4 施工事例
5-5 屋上、壁面緑化とビオトープ
5-6 維持管理
5-7 外来種
5-8 学校ビオトープと住民合意形成

過去問題
過去問題の解答と解説

参考文献

索引

※法令等の改正があった場合には、現実の法令等を優先します。

公益財団法人日本生態系協会 (監修)
出版社、出典:出版社HP