ダイエット検定2級テキスト




はじめに

ダイエットは食事、身体活動、その他の様々な生活習慣が関わるものです。そしてその手法は、まさに無数ともいえるほど世の中に紹介されています。

しかし、元来、その基本原理はシンプルであり、また、太る・やせるシステムはだれにとっても同じなのです。意外なことに、世間にはこの万人が必要としているダイエットについてのスタンダードが効果的に明示されるシステムがまだ存在しないといえる状況です。

当協会は、「“健康を維持する”ことを基本にした、食事・身体活動・その他あらゆる分野を網羅した、ダイエット知識のスタンダード」を伝えていく日本で初めての組織です。

そして、その最もシンプルで効果的な手段の1つが、皆様が気軽に参加できる検定スタイルだと考えています。

・そもそも人はなぜダイエットをするのか?
・カロリーとは何?
・体脂肪ってどうやって使われるの?
・基礎代謝とは?

本書『ダイエット検定2級テキスト』においては、こんなシンプルかつ基本中の基本知識を、楽しく、そしてハッとさせるような切り口になるようにまとめました。検定を受けない方でも、通勤電車の中や、行きつけの飲み屋のお伴として読めるような本を目指しました。 本書で学んだ知識は、生活のあらゆる場面で、皆様に効果的に活用していただきたいと考えています。

たとえば、プライベートな場面では、
・ご自分のダイエットプランに
・ご家族やご友人に贈るアドバイスを

お仕事の場面では、
・料理店で、ダイエット・メニューを売りにして
・セラピストの皆様による、ダイエット知識がベースになった施術を
・スポーツインストラクターの担当講座をより深いものに
・美容師やネイリストが、お客様へのサービス中の話題に
など………

皆様が本書で楽しみながら、正しい“健康と美”の知識を学んで、生活に役立てていただければ幸いです。

挫折を繰り返さないために
様々なダイエット法があり、どれにチャレンジしようかと迷っていると、後から後から新しい手法が現れてきます。

ダイエットを志す方々の多くは、芸能人や有名人が推薦したり、メディアが採り上げたり、大々的に宣伝したりするダイエットに惹かれ、放送されたり雑誌に掲載されている方法をそのまま実行します。

これらは、ダイエットをする必要がある方々が実行していく入口としては有効ですが、その方法だけで成功するケースが少ないということ、そして断片的にとらえて行えば弊害が生まれることがあることも、すべて考慮に入れて始めるべきでしょう。

多くのダイエット法は、いわば目的地に行き着くための道です。ですから、興味ある道、自分に合った道を選べばよいのであって、決して氾濫するダイエット法が悪いと断言することはできません。

ただ、その方法だけで目標とするダイエットが達成できると思い込んでしまうと、うまく行かなかったり、すぐに挫折したり、リバウンドしたり、健康を害してしまったりと、思いもよらない事態にもなりかねません。そして、それはだめなダイエット法だとか、信用できないダイエット法だとか、嘘のダイエット法などと決めつけ、また別のダイエット法を試みては同様の結果になってしまうというように、悪循環を繰り返すことになってしまいます。

単独で万能の食品はない
たとえば、「バナナダイエット」や「リンゴダイエット」などの単品だけを食べ続ける方法で、ダイエットが成功したという例が報告されています。しかし、どの食品もそれだけ食べていればよいという万能食品ではありません。食品にはそれぞれ特有の栄養素が少しずつ含まれており、体に必要な栄養素をまんべんなく摂取するためには、栄養学的には1日30品目の食品摂取が勧められています。

また、このような単品ダイエットが流行することにより、医学的・栄養学的に否定されがちな部分に引っ張られ、そのためにバナナやリンゴが体に悪いと誤解されてしまうのも問題でしょう。

「ダイエットサプリメント」も数多く発売されています。こちらも同様に、日常の食事の摂取を控え、サプリメントの比率を多くするダイエット指導が一部で問題になっています。サプリメント=supplementは本来“副次的な”という意味ですから、あくまでも栄養補助食品であり、毎日の食生活を基本としながら、ダイエット中の偏りがちな栄養素を補ったり、代謝機能を促進させて余分な体脂肪を蓄積させにくくするために利用するべきです。

摂取栄養素をそのまま排出させるようなサプリメントは決して存在しないはずです。各栄養素は少なすぎても多すぎても体にとって有効ではなく、そのバランスが最も大切な要素ですので、ダイエットを促進するビタミンやミネラルだからといって、偏ってとり続けないように注意する必要もあります。

本書を利用して、正しいダイエットの基本的な仕組みを理解していただいたうえで、世にある多くのダイエット法を、よいきっかけづくりとして選択できるようにしていただきたいというのが、当協会の考えです。

やがてそれをきっかけに、モチベーションを保ち、食事や生活を見直しながらその必要性を考え、目標を定めて意識的に実行していけるようになることが、最も重要なことなのです。

当協会では、世にあふれるダイエット情報をできる限り集め、その有効性や危険性、または利用方法を科学的に分析して、その正しい活用法についても情報発信して行きたいと考えています。学術的に間違った食事法、誤解が多い運動法や生活習慣などの実態を把握するためには、多くの皆様からの情報も非常に大切ですので、ご意見、体験などをお寄せくださいますようお願い申し上げます。

日本ダイエット健康協会代表理事
古谷暢基

日本ダイエット健康協会 (著, 編集), 古谷暢基 (監修)
出版社: 日本ダイエット健康協会; 1版 (2009/9/7)、出典:出版社HP

Contents -もくじ-

はじめに
この本の使い方
Let’s try! まずは、力試し!

第1章 日本ダイエット健康協会設立の趣旨と概要
日本ダイエット健康協会について
日本ダイエット健康協会からのお知らせ
関連団体のご案内
ダイエット検定の概要
ダイエット検定受検までの流れ
事務局一覧
ダイエット検定資格活用の実例
Column「特別なことはしなくても大丈夫!」

第2章 ダイエットとは?
JDHAにおけるダイエットの定義
ダイエットという言葉の本来の意味
ダイエットの目的
ダイエットという概念の歴史
ダイエットが健康状態にもたらす影響
Column「ダイエットは飽食が生んだ概念」

第3章 現代ダイエットの基礎知識
メタボを防ぐダイエット基本概念
BMIの基礎
肥満の定義
目標体重の考え方
水分と肥満の関係
Column「BMI、LBM、目標体重を計算してみよう」

第4章 体脂肪の基礎知識
“あぶら”の基本知識
脂肪細胞の基礎知識
体脂肪の役割と種類
三大栄養素の過剰摂取と体脂肪
体脂肪が消費される仕組みの基本
Column「マッサージは“部分やせ”を促進する?」

第5章 カロリーと栄養素とダイエット
三大栄養素・五大栄養素・六大栄養素
6つの基礎食品群
食事バランスガイド
カロリーの基礎知識
カロリーコントロールの基本
カロリーコントロールの不確定要素
栄養素によるカロリーの違い
「食材のカロリー」への意識
調理法とダイエット
外食メニューの組み合わせ方
Column「きれいになるダイエットの秘訣は肌!」

第6章 代謝とリバウンドの基礎知識
代謝の本来の意味
異化作用における代謝の種類
基礎代謝の季節変動
リバウンドの基礎①(セットポイント)
リバウンドの基礎②(摂食中枢と満腹中枢)
リバウンドの基礎③(糖新生とまとめ)
Column「呼吸法でもダイエットできる?」

第7章 インスリンとGI値
インスリンと血糖値
GI値(Glycemic Index:グリセミック指数)の定義
インスリンを過剰に出さない“食べ順”
Column「欧米のGI値事情」

第8章 運動とダイエット方法論
ダイエットのための運動法と最大心拍数
個人に合ったダイエットのための運動法
無酸素運動と有酸素運動についての誤解
運動の本当のダイエット効果
遅い夕食と体脂肪
無理なダイエットが起こす弊害
Column「『楽してやせる』は、逆にこんな怖いことも!」

第9章模 擬試験
模擬試験
模擬試験解答

日本ダイエット健康協会 (著, 編集), 古谷暢基 (監修)
出版社: 日本ダイエット健康協会; 1版 (2009/9/7)、出典:出版社HP

この本の使い方

本書は、全部で40のテーマを、大きな基本カテゴリーによって7つの章に分けてあります。第9章を除き、各章末にはコラムを掲載しています。(第1章は協会と検定のガイドライン、最終章は模擬試験および解答となっています)

ダイエット検定2級試験の出題数は40問です。基本的にこの40テーマから出題されますが、コラムからも出題される場合があります。40テーマの解説文では、検定試験に出される可能性が高い記述が青い太字で示されています。ただし、100%ここから出題されるとは限りません。また、最新情報によって学術的に裏づけされたアイテムが、まれにテキスト外から出題されることもあります(出題される場合、各検定試験中1問程度です)。

巻末に、本番の検定と同じスタイルをとった模擬試験が付いています。学習が終わったあとで、一度チャレンジしてみてください。ご自分の学習到達度の確認、試験対策に役立つでしょう。

40のテーマでは、ずらずらと理論を述べるだけではなく、まずはテーマの要点を『○×クエスチョン形式』のメッセージで皆様に問いかけます。その問いかけは、ダイエットについて誤解されがちなことであったり、意外と知られていない必要な基礎知識だったりするはずです。このクエスチョンに対して、まずはご自分の脳を動かしていただくことで、テーマへの深いご理解が生まれるかと思います。

次ページに、このクエスチョンの一覧を掲載してありますので、まずはチャレンジしてみてください。皆様のダイエット常識を確認したうえで、本書のスタディを始めると、より効果が増すでしょう。

なお、前書きでも述べたように、本書は検定試験のためのテキストとしての使用のみならず、気軽にダイエット知識を学べるノウハウ本としても楽しくお読みいただけます。

Let’s try! まずは、力試し!

○か×か、すぐに答えられますか?(答えは第2章以降にあります)
Q1:“健康を壊すダイエット”では意味がない。
Q2:Diet=ダイエットとはやせるという意味である。
Q3:ファッションがダイエットの新分野をつくった。
Q4:平安時代も、現代のモデルのような体型が一番の美人だった。
Q5:お釈迦様は、絶食修行によって悟りを開いた。
Q6:メタボ予防のための最優先はクスリを飲むことである
Q7:メタボリックシンドロームはBMIで判定できる。
Q8:BMIが高いから、即ダイエットが必要だ。
Q9:目標体重の設定には、除脂肪体重も重要な要素となる。
Q10:“水太り”に気をつけるために、水分は控えめにするべきだ。
Q11:脂と油は同じ意味だ。
Q12:脂肪細胞は一生のうち、胎児期・乳児期・思春期にのみ増加する。
Q13:肥満の原因となる体脂肪は、少なければ少ないほどよい。
Q14:筋肉を成長させるために、タンパク質はいくら多く摂取しても問題ない。
Q15:分解された体脂肪は使わなければ元の部位に戻る。
Q16:単品ダイエットを長く続ければ体調が崩れる。
Q17:ダイエット中は野菜だけ食べていれば問題ない。
Q18:摂取する食品のそれぞれの量には理想的とされるバランスがある。
Q19:カロリーは1リットルの水を1°C上げるために必要な熱量である。
Q20:足りないエネルギーは自分の体脂肪を食べてまかなう。
Q21:カロリーコントロールの計算は確実性が高い。
Q22:イカの100kcalとバターの100kcalが体に与える影響は同じである。
Q23:同じイモ類ならば、含有カロリーはほとんど同じだ。
Q24:アジ(鯵)を調理する場合、天ぷら・刺身・唐揚げ・網焼き・素揚げ・フライのうち、一番カロリーが低いのは当然、刺身だ。
Q25:パスタ1人前にケーキセットをつけると、一気に2人前のランチのエネルギー量と同じくらいになる。
Q26:太りやすい人は“代謝がよい”。
Q27:基礎代謝とは生命維持に必要な最低限のエネルギー量である。
Q28:基礎代謝が最も活発な季節は、暑くて汗が出る夏である。
Q29:友達の結婚式まであと1週間。いい機会だから、何が何でも5kgやせよう!これって本当に「いい」機会?
Q30:運動が嫌い。食事制限だけでもかなりやせるので運動しない。
Q31:リバウンドして元の体重に戻ったとき、同じ体重なのに体が以前より“ブヨブヨ”になっていることがある。
Q32:インスリンがたくさん出れば、脂肪はどんどん貯金される。
Q33:GI値はカロリーと同じくらい気にするべきだ。
Q34:ある日のお弁当は、ご飯・野菜の煮物・厚揚げ・焼き魚。「太りにくい食べ方」は、ご飯を一番最後に食べること。
Q35:心拍数が多いスポーツほど、ダイエットに向いているといえる。
Q36:毎日、激しくきつい運動をすることが、やっぱりダイエットの王道だ。
Q37:無酸素運動は体脂肪燃焼に有効ではなく、有酸素運動を20分以上しなければ体脂肪は燃えない。
Q38:運動は時間当たりの消費カロリーが最も重要だ。
Q39:夜間は体が完全に“体脂肪貯金モード”になる。
Q40:若いときに無理なダイエットをすると、年をとってから骨粗鬆症になりやすい。

日本ダイエット健康協会 (著, 編集), 古谷暢基 (監修)
出版社: 日本ダイエット健康協会; 1版 (2009/9/7)、出典:出版社HP