シックハウス診断士試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




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目次 – シックハウス診断士受験テキスト〈下〉

「シックハウス診断士受験テキスト」編纂機関

監修者 池田耕一(国立保健医療科学院建築衛生部)
編者 NPO法人シックハウス診断士協会

執筆者 相澤好治(北里大学医学部)[下巻2章] (50音順) 池田耕一(国立保健医療科学院建築衛生部)[上巻1章] 石津嘉昭(広島国際大学社会環境科学部)[上巻2-8-4,4章(4-6,4-7を除く)、下巻4-9] 鍵直樹(国立保健医療科学院建築衛生部)[上巻2章(2-8-4を除く),4-7] 野﨑淳夫(東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科)
[上巻4-6,下巻4章(4-9を除く)] 柳宇(国立保健医療科学院建築衛生部)[上巻3章] 山下洵子(呉大学看護学部)[下巻1章] 湯川和子(広島女学院大学生活科学部)[下巻3章] シックハウス診断士協会[下巻付録]

*[]内は執筆箇所

池田 耕一 (監修), シックハウス診断士協会 (編集)
オーム社 (2005/7/1)、出典:出版社HP

監修のことば

「健康住宅」,またはその反対の「シックハウス問題」,「化学物質過敏症」など,住宅における化学物質による室内空気汚染問題をめぐる最近の社会的関心の高まりは、この問題を長年にわたり研究してきた筆者としては,驚くほどの状況となっている。

住宅室内の空気汚染問題は,元々は大変地味な研究課題であり,日本建築学会や,空気調和・衛生工学会等の関連学会の大会において数10編程度の論文は集まるものの,新聞やテレビ等のマスコミ取材がかかるなどと言うことは,年に1度でもあれば多いほうであったことを思うと,この数年の状況はどう見ても異常であるともいえる。

厚生省(当時)も1997年6月にホルムアルデヒドに関する,かつて例を見ない住宅における国のガイドライン値を発表することとなり,そのことが住宅部品PL問題との関連で,関連業界や,一般消費者の大きな波及効果を起こし,「シックハウスフィーバー」は、いまや頂点に達したの感がある。

このような背景がある中で,さらに視野を広くシックハウス問題について捉えてみると,室内空気汚染の原因の一つである建材から揮発する化学物質だけでなく、私たちの生活のあり方にまで目を向けていく必要性がある.

そこでもう一度シックハウス問題を整理し,この問題を解決する一助になるよう関連のある各専門分野について理解しやすいようにまとめてみた。
本書がシックハウス問題の解決の為の指針であると同時に日常生活の場において広く知識として生かされることを期待している。
2005年6月
池田耕一

はじめに

科学文明の発達と共に、人の暮らしは大きく変化してきた.電気,水道,ガスなどのインフラが整備され、24時間活動し続ける都市、車や電車などの輸送技術の発達や,さまざまな機械,コンピューター,工業分野だけでなく,日頃口にする食品も技術の進歩により,大量生産が可能になった.我々は科学文明の発達の恩恵を,その生活の中でさまざまな形で享受している。

しかし暮らしが便利に,より豊かになったと同時に,さまざまな問題も発生している.環境破壊や地球温暖化の問題,大きく見れば各地で起こっている戦争や紛争も,科学技術の発達と関係していると言えるだろう.また環境破壊や暮らしの変化は,地球環境への悪影響だけでなく,人体へも影響を及ぼしている.水俣病やイタイイタイ病などの公害問題,生活習慣病と言われる糖尿病の増加や,花粉症などのアレルギーの増加、さらには化学物質過敏症,シックハウス症候群など,それまでは考えられなかったような病気が増加した。

環境破壊や地球温暖化とアレルギーやシックハウス症候群,一見関連性がないようにも見えるが,その原因の根底には,常に化学物質が深く関わっている。
科学が発達するうえで,化学物質の果たした役割は非常に大きい。身のまわりを眺めても,人工化学物質を一切含まない「完全な天然物」を捜すことの方が大変なくらいで,日常生活のすみずみまで化学物質は浸透している.これらの化学物質は暮らしを豊かにするために大きく寄与している.しかしその反面で,環境を破壊したり人体に取り入れられて健康に悪影響を与えたりもしている。

このような化学物質による健康への悪影響の一つとして,シックハウス症候群や化学物質過敏症が引き起こされ,化学物質に依存した現代生活の危険性をより身近で感じさせることになった。

シックハウス症候群は家だけの問題と捉えられがちであるが,住宅に使用される建材だけに焦点を当てただけでは,問題を解決することはできない、公害からダイオキシン問題,化学物質過敏症など化学物質を巡り次々と問題が持ち上がってくる中で、化学物質に囲まれて生活をしているその一部のみを改善しても、根本的な問題の解決にはならない,人は日常生活において知らず知らずのうちに多くの化学物質に曝露しており、ただ建材からの化学物質という一つの原因を除去するだけではなく、日常生活全体に視野を広げて考えていかなければならない、シックハウス症候群の問題は,「シックハウス」,つまり病んだ家という捉え方だけでなく,生活が病んでいる,「シックライフ」という捉え方をしなければならない、化学物質の氾濫によってこのような状況が生まれてしまった。

本書ではシックハウス症候群の問題を「シックライフ」として捉えるために、住宅に直接関わることだけでなく,日常生活,食生活や生化学などについても触れられている.「シックハウス症候群」が提起する問題は,シックハウス症候群に苦しむ人だけの問題ではない、衣・食・住のすべて,生活全般に対する私たちの姿勢や価値観,取り組み方そのもののあり方に,問題を提起しているのである.

人は体に悪影響を及ぼしたり環境に悪影響を与えたりすることがわかっていながら、新たな化学物質を発明し、さまざまな製品や薬剤をつくり出してきたのだろうか、決してそうではなく、その時々,その時代に応じて,さらなる豊かさや技術を求めて、最善の努力をしてきたのではないだろうか、その豊かさを享受している以上は、過去の先人の努力を非難することはできないであろう。
しかし、過去にはなかった健康障害が起こるなど,その問題点に気付いた我々は、一旦立ち止まって改善すべきところを見直し、真摯に問題の解決に当たる必要があるのではないだろうか。
本書がその一助となれば幸いである.

2005年6月
シックハウス診断士協会

池田 耕一 (監修), シックハウス診断士協会 (編集)
オーム社 (2005/7/1)、出典:出版社HP

目次

1章免疫学分野
1-1シックハウス症候群に関わる要因
1-2特定の異物から免れる仕組み
免疫/重い病気が流行しても感染しない人がいる!/ジェンナーの人体実験/天然痘/ワクチン/免疫の仕組みに関わる実体/ジフテリアの予防接種/非自己を排除する仕組み/自己と非自己の区别
1-3自然免疫の仕組み
血の繋がり/血液型不適合輸血/ABO式血液型/母体と血液型の違う胎児/自然免疫/血液をつくる細胞/血球と血漿/角膜移植
1-4赤血球の運命
抗原抗体反応/溶血した赤血球の行方/大食細胞によるヘモグロビンの貪食/ヘモグロビンの分解
1-5獲得免疫の仕組み――ジフテリア菌を例として
ジフテリア菌と毒素/貪食細胞の役目/リンパ球/大食細胞による抗原提示/T細胞/B細胞/抗体/大食細胞で処理しきれないとき
1-6自己と非自己の区別
リンパ球の多様性/自己に反応する細胞の排除/胸腺での非自己の判定を逃れる細胞/リンパ球の増殖/臓器移植/自分のなかにある非自己を攻撃しない仕組み
1-7瀬戸際の防御―からだの内と外の狭間
皮膚と髪/口腔,眼,膣の粘液/酸素で無毒にする仕組み/解毒と排泄/細菌との共生/異物としての食べ物の処理/小腸の防壁
1-8ストレス因子としての異物
ストレス/快・不快の感情

2章医療分野
2-1アレルギー
アレルギーとは/アレルギーの種類/診断法/花粉症/気管支喘息/過敏性肺炎/皮膚アレルギー/アナフィラキシー/予防対態
2-2化学物質過敏症
背景/概念/症状/発生機序/診断/治療と対策
2-3シックハウス症候群と化学物質過敏症の違い
シックハウス症候群の概念/シックハウス症候群の発生要因/シックハウス症候群と化学物質過敏症の相違点
2-4中毒
薬物中毒/工業・生活使用化学物質中毒/農薬中毒/食中毒
2-5発がん
概念/発がんの機序/発がん促進・抑制因子/石綿と悪性腫瘍
2-6専門医療機関
2-7対策
アレルギー/シックハウス症候群・化学物質過敏症/中毒/発がん

3章家政分野
3-1生活習慣・食生活の変化
朝食の欠食者の増加/外食の増加/旬がなくなった食品/ダイエット、ヘルシーは正しく/地域の変化と進む核家族化/インスタント食品の問題点/食の簡便化(加工食品の増加)
3-2食の安全性
輸入食品の安全性/遺伝子組み換え作物が多いのでは?/食品添加物/ダイオキシン/BSE(牛海面状脳症)/有機農産物
3-3食生活と健康
栄養と栄養素のはたらき/どのように食べればよいのか/水も栄養素の一つ/食品の選び方/食品の保存/食器と台所洗剤
3-4健康寿命をのばすために
多発するがんを予防する食品と予防のための12カ条/大切なカルシウム/ストレスに強く/アルコールを「百薬の長」にするために/砂糖のとりすぎ?/塩分は控えめに/食物繊維を知ろう/肥満は万病の元/コンビニエンスストア活用術
3-5食物アレルギー
アレルギー疾患の食事管理/旬の食品をとる/日頃から回転食を/アレルギーの除去食品/除去食品とそれに代わる食品の栄養量
3-6環境保全をめざして
エコクッキングのすすめ/食品のファッションル

4章日常分野
4-1日常生活用品の概要
4-2殺虫剤・防虫剤
殺虫剤/防虫剤/防蟻・防虫剤からの化学物質発生に関する研究報告例
4-3日用塗料
塗料の分類と成分/塗料から放散されるVOCs
4-4家具
一般家具/学校家具/化学物質発生源の特定/住宅設備家具のからの発生/内部空間における滞留/放置期間と発生量/発生量低減手法の開発/選定時の目安
4-5家電製品
電気式暖房器具の発熱原理/電気式暖房器具からの化学物質の発生
4-6開放型燃焼器具
揮発性有機化合物(VOCs)/ホルムアルデヒド(HCHO)/窒素酸化物(NOx)/一酸化炭素(CO)/室内酸素濃度低下の汚染物質発生に及ぼす影響/換気の意義
4-7衣料品
衣料品の種類と規制化学物質/衣料品からの化学物質発生/クリーニング処理と化学物質の発生/選定時の注意点
4-8事務機器
オゾンの発生/VOCsの発生/粒子状物質の発生
4-9喫煙
たばこ煙粒子の大きさと個数濃度/喫煙と健康問題/分煙・受動喫煙/健康増進法
付録シックハウス診断士の役割
文献

上巻目次

1章総論
シックライフ/シックハウス/シックスクールとは何か/室内空気と健康問題
2章建築分野
建築環境設備/大気環境の概要/揮発性有機化合物/建材と化学物質の発生/各建築材料からの化学物質の放散/化学物質低放散材料/化学物質濃度低減化材料/室内汚染物質濃度低減対策
3章生物・結露分野
結露/カビ/ダニ/シロアリ/ペット由来の室内空気汚染
4章測定分野
空気について/室内空気の大切さ/一般の室内空気測定法/シックハウスに関わる物質の測定/アクティブ法とパッシブ法/建材の測定/木材の含水率の測定/水の大切さと水質汚濁

池田 耕一 (監修), シックハウス診断士協会 (編集)
オーム社 (2005/7/1)、出典:出版社HP