美術検定3級問題集ー基本編:アートの歴史を知る
はじめに
「美術検定」とは
美術は、作品を創った人の意思を感じとり、その背景にある歴史をひもとく「みる力」を持った人たちによって、支えられ育まれてきました。
そんな美術の情報という引き出しを多く持ち、作品への観察力を深め、そして美術から得た感動を多くの人に伝えていく―美術と人々、社会をつなぎ、美術でより豊かな人生を送る「成熟した美術鑑賞者」を目指す人たちを応援する検定です。
2019年5月監修者一同
本書について
本書は美術史初学者や「美術検定」3級受験者に向け、問題を解きながら知識を確認できるように作られています。
ただし、「美術検定」は美術史の情報だけを求めることが目的ではありません。基本的な情報の蓄積や作品観察を通して自ら思考し、より深い美術への関心や楽しい美術鑑賞につなげていくことも意識して、本書の編集にあたっています。
受験勉強の際は、本書とともにほかの文献にも目を通し、さらなる美術への興味と理解を深めてくださることを願っています。
本書の構成
本書は「美術検定」(2003年に発足した旧「アートナビゲーター検定試験」を2007年より改称)の過去12年間に出題された四択マークシート問題の中から選んだ問題、ジャンルや時代のバランスを考慮して付加した新設問題、2012年から出題され始めた「知識・情報の活用問題」の想定問題を含む、合計317問をジャンル別に分け、解説を加えて掲載しています。
*本書中の美術用語の一部は統一表記としています。
例:着色・著色→著色、屏風・屏風→屏風
*海外の美術館等で所蔵されている海外作品のタイトルは、日本国内での一般的な表記で掲載。
*掲載作品のデータはすべて2019年2月現在。
問題のセレクション、ならびに問題の解説執筆、新設問題の作成と解説執筆は以下の担当者が行いました(担当ページ掲載順)。
1970年代までの西洋美術史:
荒木和(神奈川県立近代美術館学芸員)
齊藤佳代(国際基督教大学・武蔵野美術大学通信課程・東京家政大学非常勤講師)
野田由美意(美術史家、北見工業大学准教授)
1970年代までの日本美術史/先史~江戸:
松島仁(日本美術史家、静岡県富士山世界遺産センター教授)
1970年代までの日本美術史/明治~戦前:
荒木和
1970年代までの日本美術史/戦後~1970年代:
暮沢剛巳(美術評論家、東京工科大学デザイン学部教授)
小金沢智(太田市美術館・図書館学芸員)
美術のキホン・つくる+見る:
荒木和、松島仁
知識・情報の活用:
奥村高明(日本体育大学児童スポーツ教育学部教授)
本書は「基本を押さえる美術の歴史[一問一答]美術検定3級練習問題』(2016)をもとに新規問題と解説を加えて構成したものです。
目次
はじめに
本書の構成
「美術検定」概要
3級試験問題の出題範囲と出題レベル
interviewwithevangelistsforart「アート」をみること、伝えること。
Part1 1970年代までの西洋美術史
01原始・古代の美術
02中世美術
03ルネサンス美術1(初期・盛期ルネサンス)
04ルネサンス美術2(北方ルネサンス)
05ルネサンス美術3(マニエリスム)
06バロック・ロココ美術
07近代美術1(新古典主義・ロマン主義)
08近代美術2(写実主義・印象主義・ポスト印象主義)
09近代美術3(象徴主義・世紀末)
1020世紀の現代の美術1(1900~1945)
1120世紀の現代の美術2(1945~1970年代)
Part2 1970年代までの日本美術史
01先史・古墳時代の美術
02古代美術1(飛鳥・奈良時代)
03古代美術2(平安時代)
04中世美術1(鎌倉時代)
05中世美術2(南北朝・室町時代)
06近世美術1(桃山時代)
07近世美術2(江戸時代)
08近代と現代の美術1(明治時代)
09近代と現代の美術2(大正・昭和時代~1945)
10近代と現代の美術3(昭和時代1945~1970年代)
Part3 美術のキホン・つくる+みる
01色彩+西洋絵画の画材・技法
02日本画の画材・技法
Part4 知識・情報の活用問題
「美術検定」概要
「美術検定」は、美術の知識と教養を高めて鑑賞力を養い、積極的にアートにかかわる人材を育成するプログラムとして、2003年から実施してきた「アートナビゲーター検定」が、2007年より改称したものです。美術界と社会をつなぐ新たな役割の創出を目指しています。
とくに1級2級の検定合格者は、美術館やアートイベントなどで美術と鑑賞者をつなぐ担い手として、あるいは美術の知識を仕事や社会で活用するなど、さまざまな分野で活躍しています。
例えば…
美術館、アートイベントのボランティアガイド、サポーター
・展覧会をより楽しく鑑賞するための企画提案、アドバイザーなど
各級の出題レベルと出題形式2018年実施例
4級西洋美術・日本美術の名作を知る
[マークシート問題50問/45分]
3級西洋美術・日本美術の歴史的な流れを理解する
[マークシート問題90問/60分]
2級幅広い美術の知識および美術鑑賞の場の社会的役割や歴史などを理解する
[マークシート問題(美術史問題90問+実践問題)/90分]
1級美術の知識を基に自分で解釈・思考し、明確に伝達できる
[記述式問題/90分]
※4・3・2級は正答率約60%を合格の目安とします。
※2級はマークシート問題の美術史問題、実践問題それぞれが正答率に達すれば合格となります。
※2013年より1級は記述式問題のみとなり、記述式問題が一定の基準に達すれば合格です。
年度によって出題レベル、形式などは変更する可能性があります。
検定日程、受験要項、申し込み方法、その他詳細はホームページでご確認ください。
主催:「美術検定」実行委員会お問い合わせ:「美術検定」実行委員会事務局http://www.bijutsukentei.jpE-mail:info@bijutsukentei.jp
出題範囲 | 目安となる書籍 | |
西洋美術史 | 原始美術~1970年代の美術、この時代に含まれる建築、美術に関連する工芸、デザイン。 | 『美術検定 公式テキスト 西洋・日本 美術史の基本』 『この絵、誰の絵?』 『美術検定 3級問題集』 |
日本美術史 | 先史・古墳時代~1970年代の美術、この時代に含まれる建築、工芸、デザイン。 | 『美術検定 公式テキスト 西洋・日本 美術史の基本』 『この絵、誰の絵?』 『美術検定 3級問題集』 |
美術のキホン つくる+みる |
色彩の基本、西洋絵画・日本画の基本的な画材、西洋・日本の基本的な技法、日本画の表装。 | 『美術検定 公式テキスト 西洋・日本 美術美術史の基本』 『美術検定 3級問題集』 |
知識・情報の 活用問題 | 上記、西洋美術史、日本美術史、美術のキホンの出題範囲より、作品鑑賞力と培った知識や情報を取り出す・関連付けることで正答を導く、活用問題として出題される。 | 『美術検定 公式テキスト 西洋・日本 美術史の基本』 『この絵、誰の絵?』 |
※出題には、目安となる書籍以外に、カラー版シリーズ(美術出版社刊)を基本書籍として参照しています。
出題レベル
2018年現在の検定問題については、美術史問題の出題85問中、84%は『美術検定公式テキスト西洋・日本美術史の基本』(以下『公式テキスト』と略)からの出題である。ほかは美術史入門書に掲載されるレベルであり、「美術検定3級問題集」(2016年)の掲載内容からの出題となっている。
今後も、出題レベルは2018年並みと予想される。また、2018年と同様に「知識・情報の活用問題」も出題される。
知識・情報の活用問題については、本書p.147~160を参照。