2級建築施工管理技士 要点テキスト 2019年度版
まえがき
建築施工管理技士の制度は,建設業法によって制定されたもので,建築技術者の技術水準を高めることと,合わせて社会的地位の向上を目的としております。その歴史は,意外と浅く,2級建築施工管理技術検定試験が昭和58年度に,1級建築施工管理技術検定試験が昭和59年度に実施されました。
建築業に携わっている建築技術者にとって,是非取得したい資格の一つであることは,毎年の受験者の数をみても,よくわかります。しかしながら,合格率をみると,逆に取得することが容易でないことがわかります。
日々の建築技術の進歩はめざましいものがあり,建築技術者が習得しなくてはならない事項も増える一方です。また,建築施工管理技士の試験の出題範囲は,建築施工の分野に留まることなく,多岐にわたっているため,ますます学習の範囲が拡散しがちになります。
一方,受験者の多くは,中堅の技術者であり,言い換えれば,現場で一番忙しく,自分の時間を取ることがとても難しい方々となっています。このような方々が独学で,上記のような拡散しがちな出題範囲の試験勉強をすることは,困難であることは想像に難くないと執筆者らは考えていました。
そこで,過去の試験問題を徹底的に分析し,試験合格のために,必要最少限な項目とは何かを絞り出し,「要点テキスト」というものができないかと考え,執筆したのが本書です。
各項目をできる限り,見開き2ページでまとめて,試験で解答を導くための記述のみに凝縮しようとしたものです。特に,重要かつ頻出する事項は,赤字で示して,学習の効率を究極まで高めようとして執筆しました。したがいまして,各項目の掘り下げ度合いは,それほど深いものとはいえませんが,試験の合格を目指す受験生にとっては,必要かつ十分な内容となっているものと考えています。合格をお祈りします。
本書「2019年度版」には,章のはじめに,前年の30年度に出題された問題の中から特に重要な項目を抜き出してあります。その重要な項目から勉強を始めて下さい。
平成31年3月
著者
本書の使い方
本書には,次のような工夫がしてある。
(1) 特に,重要な用語は,赤字で示している。
(2) 頻出している文章には,赤の網掛けをしてある。
(3) 図解によってポイントが一目瞭然,わかるようになっている。
(4) 箇条書きを多用し,簡潔でわかりやすい表現を心掛けている。
(5) 重要な用語等を,欄外に記述し,見やすくしている。
本書の構成は,試験の流れに沿って,以下のようになっている。
第1章 建築学
第2章 共通
第3章 建築施工
第4章 施工管理法
第5章 法規
第6章 実地試験
本書の内容は,「まえがき」にあるように,本試験を徹底的に分析した結果,そのエッセンスともいうべきものに,凝縮されている。したがって,本書に書かれていることが,理解できていれば,必ずや合格の栄冠を勝ち取れるものと自負している。
そのためには,まず,本書を熟読し,内容を理解するようにしていただきたい。その後,「問題集」などにより,本試験問題を反復練習していただきたい。問題集の解説などで,理解できない項目があれば,本書に戻って,理解を深めてください。
忙しく働く建築技術者の方々にとっては,最少のエネルギーで,能率良く学習したいとの願望は当然のことであるし,その一助となることを,最大の目的として執筆した本書であるが,資格試験に王道がないこともまた事実である。輝かしい2級建築施工管理技士の資格取得を目指して,大いに努力をしていただきたい。
2級建築施工管理技術検定の概要
1 実施日程
前期学科試験 | 後期学科・実地試験 | ||
受験申込期間 | 2019年2月1日(金)~2月15日(金) | 2019年7月5日(金)~7月19日(金) 2019年2月1日(金)~2月15日(金) (※前期学科合格者) |
|
試験日 | 2019年6月9日(日) | 2019年11月10日(日) | |
合格発表 | 2019年7月5日(金) | 学科試験のみ | 2020年1月24日(金) |
学科・実地試験 | 2020年1月31日(金) |
2 受験資格
最終学歴 | 受検に必要な実務経験年数※1 | ||
学科試験 | 実地試験 | ||
指定学科 | 指定学科以外 | ||
・大学 ・專門学校の高度專門士 |
試験実施年度に満17歳以上となる者※2 | 卒業後1年以上 | 卒業後1年6ヶ月以上 |
・短期大学 ・5年制高等専門学校 ・高等学校の專門士 |
卒業後2年以上 | 卒業後3年以上 | |
・高等学校 ・專門学校の專門課程 |
卒業後3年以上 | 卒業後4年6ヶ月以上 | |
上記以外 | 8年以上 |
※1 職業能力開発促進法に規定されている職業訓練等のうち,国土交通省の認定を受けた訓練を修了した者は,受検資格を満たすための実務経験年数に職業訓練期間を算入できる。詳細については,一般財団法人建設業振興基金のホームページで確認してください。
HP http://www.kensetsu-kikin.or.jp/
※2 生年月日本平成15年4月1日以前の者が対象
3. 受験地
(前期)札幌,仙台,東京,新潟,名古屋,大阪,広島,高松,福岡,沖縄
(後期)札幌,青森,仙台,東京,新潟,金沢,名古屋,大阪,広島,高松,福岡,鹿児島,沖縄
※学校申込の受験者,帯広,盛岡,秋田,長野,出雲,倉敷,高知,長崎が追加されます。
4 試験の内容
1 学科試験は択一式で,解答はマークシート方式です。
2 実地試験は施工管理法について,記述式による筆記試験を行います。
3 建設業法施行令に基づく試験の科目及び基準は,次のとおりです。なお,法令等は平成31 在1日1日に有効なものとします。
試験区分 | 受験種別 | 試験科目 | 試験基準 |
学科試験 | - | 建築学等 | 1. 建築一式工事の施工に必要な建築学,土木工学,電気工学,電気通信建築学等工学及び機械工学に関する概略の知識を有すること。 2. 設計図書を正確に読みとるための知識を有すること。 |
施工管理法 | 施工建築一式工事の施工計画の作成方法及び工程管理,品質管理,安全管理等管理法工事の施工の管理方法に関する概略の知識を有すること。 | ||
法規 | 法規建設工事の施工に必要な法令に関する概略の知識を有すること。 | ||
実地試験 | 建築 | 施工管理法 | 1. 建築材料の強度等を正確に把握し、及び工事の目的物に所要の強度,外観等を得るために必要な措置を適切に行うことができる一応の応用能力を有すること。 2. 設計図書に基づいて、工事現場における施工計画を適切に作成し,及び施工図を適正に作成することができる一応の応用能力を有すること。 |
躯体 | 躯体施工管理法 | 1. 基礎及び躯体に係る建築材料の強度等を正確に把握し,及び工事の目的物に所要の強度等を得るために必要な措置を適切に行うことができる高度の応用能力を有すること。 2. 建築一式工事のうち基礎及び躯体に係る工事の工程管理、品質管理,安全管理等工事の施工の管理方法を正確に理解し、設計図書に基づいて,当該工事の工事現場における施工計画を適切に作成し,及び施工図を適正に作成することができる高度の応用能力を有すること。 |
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仕上げ | 仕上施工管理法 | 1. 仕上げに係る建築材料の強度等を正確に把握し,及び工事の目的物に所要の強度,外観等を得るために必要な措置を適切に行うことができる高度の応用能力を有すること。 2. 建築一式工事のうち仕上げに係る工事の工程管理、品質管理,安全管理等工事の施工の管理方法を正確に理解し、設計図書に基づいて,当該工事の工事現場における施工計画を適切に作成し、及び施工図を適正に作成することができる高度の応用能力を有すること。 |
(注)平成30年度から学科試験の受検種別が廃止され,共通試験として実施されることとなりました。これに伴う学科試験および実地試験の出題内容の変更については,一般財団法人建設業振興基金のホームページをご確認ください。
工事種別の詳しい内容や,その他の問い合わせについては,電話またはメールにて問い合わせしてください。
5 試験実施機関
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-2-12 虎ノ門4丁目MTビル2号館 TEL:03-5473-1581 一般財団法人建設業振興基金試験研修本部
目次
学科試験分野別出題数と解答数
学科試験年度別出題内容一覧表
実地試験年度別出題内容一覧表
第1章 建築学
1・1 環境工学
・1 日射・日照
・2 採光·照明
・3 伝熱・結露
・4 換気
・5 音
・6 色彩
1・2 一般構造
・1 地盤・基礎
・2 木構造
・3 鉄筋コンクリート構造
・4 鉄骨構造
・5 荷重
1・3 構造力学
・1 力のつり合い
・2 反力の算定
・3 応力の算定
・4 トラス
・5 断面の性質と応力度
1・4 建築材料
・1 木材
・2 セメント・コンクリート
・3 鋼材
・4 アスファルト・石材・タイル
・5 ガラス・その他の材料
第2章 共通
2・1外構工事
・1 植栽工事
・2 舗装工事
・3屋外排水設備
2・2 建築設備
・1 機械設備
・2 消火設
・3 電気設備
・4 防災設備
2・3 測量など
・1 測量
・2 公共建築数量積算基準
・3 公共工事標準請負契約約款
第3章 建築施工
3・1 地盤調査
3・2 仮設工事
3・3 地業工事
・1 既製コンクリート杭
・2 場所打ちコンクリート杭
3・4土工事
・1 根切り工事
・2 山留め工事
3・5 鉄筋コンクリート工事
・1 鉄筋工事
・2 コンクリート工事
・3 型枠工事
3・6 特殊コンクリート工事
・1 補強コンクリートブロック工事
・2 ALC パネル工事
・3 押出成形セメント板張り
3・7 鉄骨工事
・1 溶接接合
・2 高力ボルト接合
・3 工作・建方
3・8 木工
3・9 防水工事
・1 アスファルト防水
・2 シート防水
・3 シーリング工事
3・10 石工事
3・11 タイル工事
3・12 屋根工事
・1 長尺金属板葺
・2 折板葺
3・13 金属工事
3・14 左官工事
3・15 建具工事
・1 金属製建具工事
・2 重量シャッター工事
・3 ガラス工事
3・16 塗装工事
3・17 内外装工事
・1 床仕上げ工事
・2 壁・天井・外装仕上げ工事
3・18建設機械
第4章 施工管理法
4・1 施工計画
・1 施工計画の立案
・2 仮設計画
・3 建築工事の届出
4・2 工程管理
・1 工程計画の立案
・2 工程表の種類と特徴
・3 工期とコストの関係
・4 工程合理化,工期短縮
4・3 品質管理
・1 品質管理計画
・2 ISOと品質管理用語
・3 ヒストグラム
・4 管理図
・5 各種品質管理法(QC工程図表)
・6. 検査・試験
4・4 安全管理
・1 安全管理体制
・2 特定元方事業者
・3 作業主任者
・4 災害防止
・5 足場・構台
・6 建設機械
第5章 法規
5・1 建築基準法
・1 用語の定義
・2 面積・高さ等の算定方法
・3 制度の規定
・4 単体規定
・5 集団規定
・6 雑則,その他
5・2 建設業法
・1 建設業の許可
・2 建設工事の請負契約
・3 主任技術者および監理技術者の設置等
5・3 労働基準法
・1 労働契約
・2 労働者の保護
・3 就業制限
5・4 労働安全衛生法
・1 安全管理体制
・2 就業者の安全衛生
5・5 環境保全関係法
・1 騒音規制法・振動規制法
・2 廃棄物処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)
・3 資源の有効な利用の促進に関する法律(リサイクル法)
・4 建設工事に係る資材の再資源等に関する法律(建設リサイクル法)
5・6 その他の建築施工関連法規
・1 都市計画法
・2 消防法等
・3 道路法等
第6章 実地試験
6・1 経験記述
・1 工事概要の書き方
・2 留意事項の書き方
・3 処置・対策の書き方
6・2 用語の説明と施工上の留意すべき内容
6・3 工程表
6・4 法規に関する語句
6・5 躯体・仕上げに関する語句
平成30年度学科・実地試験問題
解答
学科試験
年度別出題内容一覧表
実地試験
まえがき
建築施工管理技士の制度は,建設業法によって制定されたもので,建築技術者の技術水準を高めることと,合わせて社会的地位の向上を目的としております。2級建築施工管理技術検定試験が昭和58年度に,1級建築施工管理技術検定試験が昭和59年度に実施されました。
建築業に携わっている建築技術者にとって,是非取得したい資格の一つでありますが,合格率をみると,取得することが容易でないことがわかります。
建築施工管理技士の試験の出題範囲は,建築施工の分野に留まることなく,多岐にわたっているため,ますます学習の範囲が拡散しがちになります。一方,受験者の多くは,中堅の技術者であり,言い換えれば,現場で一番忙しく,自分の時間を取ることがとても難しい方々となっています。このような方々が独学で,上記のような拡散しがちな出題範囲の試験勉強をすることは,困難であることは想像に難くないと執筆者らは考えていました。
そこで,過去の試験問題を徹底的に分析し,学科試験合格のために,必要最低限な項目とは何かを絞り出し,「要点テキスト」というものができないかと考え,執筆したのが本書です。
各項目をできる限り,見開き2ページでまとめて,試験で解答を導くための記述のみに凝縮しようとしたものです。特に,重要かつ頻出する事項は,赤字で示して,学習の効率を究極まで高めようとして執筆しました。学科試験の合格を目指す受験生にとっては,必要かつ十分な内容となっているものと考えています。
本書「令和2年度版」には,章の始めに,令和元年度に出題された問題の中から特に重要な項目を抜き出してあります。その重要な項目から勉強を始めて下さい。
令和元年10月