(スマホ問題集付き)マンガで合格!アロマテラピー検定1級・2級テキスト+模擬問題




はじめに

「え、ふたばがアロマテラピー?」アロマテラピーの資格を取ったと友人に話すと、必ずといっていいほど仰天されます。パンケーキよりもラーメン、家ではいつもよれよれのTシャツを着ているいわゆる女子力ゼロの私が、アロマテラピーとは予想外だったようです。

しかし、改めて考えてみると、本来のアロマテラピーは、女子力の高さなどとは関係なく、老若男女どんな人でも楽しめ、効果を得ることができるものです。そして、人類永遠のテーマでもある「心と身体の健康」において、アロマテラピーは大いに役立つことができます。

ボロボロに身体を壊してから健康を目指すことは容易ではありません。健康を保つためには、日常的なケアやちょっとした不調へのアプローチがとても大切です。アロマテラピーの正しい知識を身につければ、そんな日々の健康ケアを、自宅でのんびり、手軽に行うことができます。そして、家族や友達、恋人など、自分にとって大切な人たちの健康を支えることもできるのです。

私がアロマテラピーを始めたきっかけも、この健康面への効果と手軽さに魅せられたからでした。しかし、いざ周囲の人とアロマテラピーについて話してみると、「男には関係ない」「難しそう」「敷居が高い」など、まだまだアロマテラピーに対する偏ったイメージがあることに気がつきました。本当はどんな人にも有益なのに、イメージだけで近寄りがたく感じられてしまうのはとてももったいないことです。

「ならばもっと身近に感じてもらえるものを自分で作ればいいんだ!」と考え、昔からの口癖「絵に描いて説明するね!」を実践すべく、アロマテラピーの4コママンガの作成を始めました。

本書では、4コママンガに加え、コラムや会話形式のコメントなどを織り交ぜながら、検定試験に対応した本格的な知識を、より楽しくラフな感覚で学べるよう努めました。また、私が通っていたスクールの講師も務める、セラピストのaiko氏に監修いただくことで、重要なポイントを精査し、より専門的な知識も盛り込むことができました。まったくの初心者の方でも、一冊で無理なくしっかり基礎知識が身につきます。

後ほどご紹介する、ズボラなタネちゃんやちょっと抜けている講師のハナさん、色恋沙汰の絶えない精油キャラクターたちなど、個性豊かな登場人物と共に、アロマテラピーを楽しく学んでみませんか。そして、ここでの知識が、少しでも皆様の人生のお役に立つことができれば、このうえなく幸せに感じます。

ふたば

ふたば (著), aiko(ライブラ香りの学校) (監修)
インプレス (2017/3/17)、出典:出版社HP

目次

はじめに
本書の使い方
登場人物紹介
こんな人でもアロマテラピーは楽しめる!
アロマテラピー検定を受ける前に
アロマテラピー検定とは
アロマテラピーの資格について

精油のプロフィール30種《覚えやすい!精油一覧表》

第1章 アロマテラピーを知ろう!

1.「アロマテラピー」とは?
●アロマテラピーの定義
●幅広く活用されるアロマテラピー

2.「精油」とは?
●精油(エッセンシャルオイル)の定義
●精油の選び方、試し方《イメージングで香りを体験してみよう!》

3.精油の基礎
●精油のいろいろな特性
●精油の主な製造法
●植物と精油の関係
●私たちへの精油の作用

4.安全のためのさまざまな注意点
●精油の取り扱いについて
●精油の保管について
●使用する対象者について
●特殊な精油について
カだめし!復習テスト1(精油プロフィール~第1章)

第2章 アロマテラピーを楽しもう!

1.アロマテラピーを楽しむ際の注意
●アロマテラピーの利用における注意事項

2.いろいろな利用法
●芳香浴法
●沐浴法
●吸入法
●フェイシャルスチーム
●湿布法(温湿布、冷湿布)
●トリートメント法(ボディ、フェイス)

3.基材や用具について
●基材とは?
●基材の種類
●用具の種類

4.手作りできるアロマテラピーグッズ
●手作りレシピ

5.アロマテラピーに関する法律
●覚えておきたい法律
●そのほかに知っておくべき法律6つ
カだめし!復習テスト②

第3章 私たちの身体とアロマテラピー

1.伝わる香りのメカニズム
●精油が心身に作用する経路

2.健康についての知識
●規則正しい健康的な生活
●食事と栄養について
●運動の効果と種類
●休養と睡眠
●健康を妨げる要因について
●ライフステージと身体の変化
カだめし!復習テスト③

第4章アロマテラピーの歴史を学ぼう

1.古代~現代のアロマテラピー
●古代の歴史
●中世の歴史
●近世~近代の歴史現代のアロマテラピー
《人物×重要キーワード一覧》
《アロマテラピーの歴史キーワード年表》
カだめし!復習テスト④

第5章 地球環境について知ろう

1.地球環境と私たち
●植物が育つ地球環境
●日本と自然の関わり

2.地球が抱える環境問題
●都市化・近代化に伴う自然の破壊と汚染
●破壊と汚染によって引き起こされる問題
●多様な生態系の危機

3.環境のためにできること
●アロマ環境とAEAJの取り組み
●社会で、個人で、環境を守っていく
カだめし!復習テスト⑤

[5分でサッとおさらい!]超厳選用語集

アロマテラピー検定模擬試験

特典の使い方
おわりに
索引

ちょっと一息 コラム一覧
香りテスト用に精油を揃えたい!
お布団の香りに癒される〜!これもアロマテラピー?
香りを嗅ぐだけなのに、なぜ専用の紙(試香紙)を使うの?
抽出法にはほかにどんなものがある?
同じ”ラベンダー精油”なら、どれを買っても同じ香り?
パッチテストってどうやるの?
1%とか0.5%とか、何を基準に決められてるの?
精製と未精製はどう違うの?
専用の用具を揃える余裕がない!どんなものなら代用できる?
精油は薬扱いに出来ないの・・・?
元彼がつけていた香水を嗅ぐと、彼を思い出す……。これは未練?
ストレスのない生活がしたい!どうすればいいの?
若返りの水!「ハンガリアンウォーター」
11月3日はアロマの日!

とじ込み小冊子
~四季を通して生活に役立つ~アロマテラピー実践BOOK[保存版]

本文デザイン&DTP●本石好児(STUDIOd’)
カバーデザイン●Primaryinc.
カバー制作●鈴木薫
編集●石塚康世・新井あすか
編集長●玉巻秀雄

ふたば (著), aiko(ライブラ香りの学校) (監修)
インプレス (2017/3/17)、出典:出版社HP

1「アロマテラピー」とは?

近年、いろいろなところで「アロマテラピー」という言葉を耳にするようになりました。なんとなく知っているつもりでも、いざ人に「アロマテラピーってどんなもの?」と聞かれると、答えに困る方も多いかもしれません。すでにアロマテラピーを実践している方も、興味を持ち始めたばかりという方も、まずはここから学んでいきましょう。

アロマテラピーの定義
アロマテラピーとは、植物の香りを用いて心身の癒しや美容、健康管理に役立てる自然療法の1つです。

私たちの住む地球には、木々や花など、たくさんの植物の香りがあふれています。季節と共に移りゆく植物の豊かな香りは、私たちの心も豊かに、そして穏やかにしてくれます。アロマテラピーでは、この「植物の香り」として、精油(エッセンシャルオイル)というものが使用されます。

精油には、私たちが元々持っている自然治癒力を引き出す力があります。またこのような香りの作用は、部分的にだけではなくホリスティック(全体的、つながり、バランスを意味する言葉)に働きます。以下は、アロマテラピー検定を実施するAEAJ(P12)による、アロマテラピーの定義です。

重要
アロマテラピーは精油を用いてホリスティックな観点から行う自然療法であり、以下の4つを目的とする。

①リラクセーションやリフレッシュに役立てる。
②美と健康を増進する。
③身体や精神の恒常性の維持と促進を図る。
④身体や精神の不調を改善し、正常な健康を取り戻す。

※恒常性:外部環境や体内の変化にかかわらず、一定の範囲で体内環境を維持するしくみ。

幅広く活用されるアロマテラピー
香りの活用はなんと古代から!アロマテラピーという言葉ができたのは比較的最近(1930年頃)ですが、実は5,000年以上も昔から、香りは暮らしに取り入れられていたのです。あるときはミイラ作りに、またあるときは火傷の治療としてなど、時代に応じてその活用法はさまざまに変化していきました。

現代では、アロマテラピーは、自然療法としてはもちろん、楽しみ癒されることで日常に彩りを与えQOL(Quality of lifeの略。生活の質という意味)を向上させてくれるものとしても注目を集めています。美容、香育(子どもたちを対象とした香りの体験型教育)、スポーツ、介護施設、予防医学など、実にいろいろな場面で幅広く活用されています。

アロマテラピーって健康維持にも役立つ上に、生活の質まで上げてくれるのか!

生活の質を意味する「QOL」という言葉は医療や介護の現場でもよく使われているのよ。

コラム お布団の香りに癒される〜!これもアロマテラピー?
「アロマテラピー=香りで癒されること」というイメージが強いですが、すべての香りをアロマテラピーとして利用できる訳ではありません。アロマテラピーの定義にもあるように、「植物の香り」を用いるもののみをアロマテラピーと呼びます。つまり、植物以外の香りに癒されたり、心動かされたりすることは厳密にはアロマテラピーとは言えません。

ですが、それも立派な香りの力であることも間違いありません。日常のいろいろな香りに気づき、感じることはとても素敵なことです。試しに香りに注目して1日を過ごしてみると、いままで気づかなかったような香りにも気づけて楽しいですよ。

ふたば (著), aiko(ライブラ香りの学校) (監修)
インプレス (2017/3/17)、出典:出版社HP

2「精油」とは?

アロマテラピーという言葉の知名度に対して、「精油」を知っている方はそれほど多くありません。精油の選び方なども含めて、まずは定義から精油について知っていきましょう。

精油(エッセンシャルオイル)の定義
アロマテラピーの定義の中にも出てきた「精油」ですが、精油とは植物から抽出された芳香物質のことです。エッセンシャルオイルとも呼びます。アロマテラピーには、この「精油」が必要不可欠です。精油はたくさんの植物からほんの数滴しか抽出することができない、とても貴重なものです。使用する際は大切に扱いましょう。また、精油の原料植物は、「学名」で分類されています。

※学名:学術名ともいう。生物学者であり博物学者でもあるリンネ(P128)が体系化した二名法に基づき、属名+種小名で構成されている名称のこと。
たとえばレモンの学名「Citrus limon(キトルスリモン)」の場合、「Citrus」が属名で「limon」が種小名となる。

以下はAEAJによる精油の定義です。

重要
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものである。

精油の選び方、試し方
精油は、アロマテラピーの専門店以外にも雑貨店やネットショップなど、いろいろなお店で購入することができます。アロマテラピーを楽しむ第一歩として、精油を購入するときの注意点や、香りを自分で試すときの方法を学びましょう。

○精油の正しい選び方
・初めてのときは専門店で買おう!
精油を初めて購入する際は、アロマテラピーの専門店へ行き、実際に香りを嗅いでみてから購入することをお勧めします。専門店の販売員には知識が豊富な方も多く、相談や質問をしながら選ぶこともできて安心です。
また、商品名に「アロマオイル」などと書かれているものは、主に合成香料を使用しており、100%天然成分の「精油」とは別の商品もあるので注意しましょう。

・好きな香りを選ぼう!
香りは、リフレッシュやリラックスなど、心身の健康に大いに役立ちますが、香りを選ぶときはぜひ自分が「心地よい」と感じるものを選びましょう。

どんなに人気のある香りでも、自分が心地よく感じないなら、かえって逆効果になってしまう場合もあります。

・遮光ビンに入ったものを選ぼう!
精油は紫外線や熱などによって劣化してしまうため、遮光ビンに入ったものを選びましょう。市販されている精油も、遮光性のガラスビンに入っているものが一般的です。また、ビンの口に、精油を1滴ずつ落とせる「ドロッパー(中栓)」が付いているものが使いやすく、選ぶ際のポイントになります。

・精油の表示事項を確認しよう!
精油のラベルや箱などに記載されている、精油の表示事項を確認することも大切です。AEAJでは、独自の審査基準を設け、製品情報や使用上の注意をわかりやすく表示しているものを「AEAJ表示基準適合認定精油」として認めています。

精油の製品情報には次のようなものがあります(「AEAJ表示基準適合精油認定制度」より)。

①ブランド名(例:AEAJ)
②品名(精油の名前や通称。例:オレンジ・スイート)
③学名(例:Citrus sinensis)
④抽出部分(部位。例:果皮)
⑤抽出方法(例:圧搾法)
⑥生産国(生産地)または原産国(原産地)(例:イタリア)
⑦内容量(例:5ml)
⑧発売元または輸入元(例:株式会社アロマ商事)

○香りの試し方
精油を利用するにはたくさんの方法がありますが、ここでは香りを確認するという意味で、最もシンプルな方法をご紹介しましょう。

①ティッシュペーパーなどに精油を染み込ませる
多くの精油ビンには空気穴のあるドロッパー(中栓)が付いており、精油を1滴ずつ垂らすことができます。まずは、ビンを斜めに傾け、ティッシュペーパーや、「試香紙(ムエット)*」という専用の紙などに1滴垂らしてみましょう。

精油の粘度によって、垂れる速度は異なります。滴下する時間も、精油それぞれの特徴として、楽しみながら待ちましょう。早く垂らそうと焦ってビンを振ったりすると、一度に何滴も垂れてしまったり、周囲に飛び散ったりする場合があるので注意しましょう。

※試香紙(ムエット):専門店で販売されている、香りを試す専用の白くて細い紙。

②鼻に近づけてから軽く振って香りを確かめる
精油を垂らしたティッシュペーパーや試香紙などを鼻へ近づけ、軽く振って香りを空気中へ拡散させてゆっくりと嗅ぎます。直接精油が付かないよう、鼻をティッシュペーパーなどに近づけすぎないように気をつけましょう。また、刺激の強い香りは粘膜を刺激する恐れがあります。試す時間も、体調に合わせて、あまり長くならないように注意しましょう。

コラム
香りを嗅ぐだけなのに、なぜ専用の紙(試香紙)を使うの?

試香紙は、ただ細くて使いやすいから専用として扱われているわけではなく、実はいくつかの特徴を持っています。中でも最大の特徴が「無臭」であること。身近な紙のほとんどは、ティッシュなども含めかすかに独特の香りがします。精油本来の香りをきちんと確認するためには、無臭である試香紙がベストなのです。

さらに、試香紙は香りを長時間保持する性質も持っているので、使用後にポーチや引き出しの中に入れたりして、香りを楽しむこともできますよ。

ふたば (著), aiko(ライブラ香りの学校) (監修)
インプレス (2017/3/17)、出典:出版社HP

イメージングで香りを体験してみよう!

香りのイメージを広げる「イメージング」は、香りを知り、楽しむためのとても良い方法です。また、浮かぶイメージをさらに深く探っていくことで、不思議と自分自身の心や体の状態などをうかがい知ることもできます。まずは気軽にトライしてみましょう!

用意するもの
精油
ティッシュペーパーや試香紙(ムエット)など

準備ができたら次のような手順でイメージングしていきます。

①「香りの試し方」(P39)の方法で、香りを試します。
②目を閉じて、香りから感じとれるイメージを自由に膨らませます。
③浮かんだイメージをノートに書き記しましょう。

イメージノート
精油名:
感じたイメージを自由に(言葉でも絵でもOK):

誰かに伝えようとしなくても大丈夫!
感じたことを思いつくままに書いちゃいましょう。

イメージの材料例
思い出、人、場所、季節、味、色、時間帯、天気、景色、状況、好き・嫌い、明・暗などなど
イメージの例
○ベチバー(「精油のプロフィール30種」のP24を参照)…草むらで日が落ちて夜になる少し前の時間帯、しとしと降る雨の中、長靴を履いて草むらを歩いているイメージ

イメージングQ&A
Qイメージがわかない私って変なの?
A全然変じゃありません!むしろ、次々に自然とイメージがわく方のほうが少ないのではないでしょうか。うまくイメージングができなかったとしても、落ち込む必要はまったくありません。少しずつイメージすることに慣れていきましょう。

また、緊張していたり、疲れていたりすると、香りをきちんと感じ取れないこともあります。思い当たる方は、これも香りからの大切なメッセージとして、心身を休める時間を取ってみるといいですね。

Qイメージングは、検定対策にも必要?
A必ずしも必要ではありませんが、検定試験には香りテストが含まれていますので、香りテストの対象精油は少なくとも1度は嗅いでおく必要があります。その際、単に香りを確認するよりも、イメージングを行ったほうが、1つひとつの香りをより強く記憶することができます。覚えにくい香りなどは、ゆっくりイメージングを行い、自分の中で香りのイメージをしっかり作っておくと安心です。

ふたば (著), aiko(ライブラ香りの学校) (監修)
インプレス (2017/3/17)、出典:出版社HP