管理業務主任者 基本テキスト 2019年度




はじめに

管理業務主任者は,マンション管理会社が管理組合と管理委託契約の締結前に行う重要事項の説明や,契約締結後に交付する管理委託契約書への記名押印等の法定業務を担うものであり,マンション管理会社の事務所ごとに法定の人数の設置が義務付けられている国家資格です。

試験の合格率は,20%程度ですが,ここ数年,試験問題の難易度が上昇傾向にあり,丸暗記型の勉強では合格は難しくなってきています。

本書は,このような出題傾向に対応して,これから管理業務主任者試験に向けて学習を始める方はもちろん,すでに受験経験のある方にも,本試験の合格に必要な知識を効率よく学習できるような構成となっています。

本年度の改訂にあたり,試験内容を正確に理解し,応用の利く知識を習得することに重点をおき,特に得点源とすべき分野については,わかりやすく,かつ,詳しい解説を加えてあります。また,近年の法改正等を網羅し,安心して学習していただけるように配慮しました。

本書を“学習の基幹となるテキスト”として活用して,ぜひ合格を勝ち取られ,多くの方々が管理業務主任者としてご活躍されることを願っています。

2019年1月
TAC管理業務主任者講座

本書は,2018年12月現在施行されている法令等に基づいて執筆されています。法改正等については,「法律改正点レジュメ」をWeb登録で無料でご提供いたします。

【登録方法】
お手元に本書をご用意の上,インターネットの「情報会員登録ページ」からご登録ください

【登録用パスワード】本書の裏表紙の一番下・右側に記載の13桁の数字
(例:000-0000-0000-00)

TAC管理業務主任者講座 (編集), 中西 伸太郎 (その他)
出版社: TAC出版; 2019年度版 (2019/1/31)、出典:出版社HP

管理業務主任者本試験 受験ガイダンス

管理業務主任者は,管理の前提となる管理受託契約の重要事項の説明から,今年,た管理業務の処理状況のチェック等・その報告まで,マンション管理のマネジメント業務を担うものであり,事務所ごとに30組合につき1名以上の設置が義務付けられています。管理業務主任者となるには,管理業務主任者試験に合格し,管理業務主任者として登録し,管理業務主任者証の交付を受けることが必要です。

1 管理業務主任者試験について
(1) 受験資格:年齢・性別・学歴・国籍等一切を問わず,誰でも受験できる。
(2) 出題方法:マークシート形式による50間・4択一形式
(3) 試験実施時期:12月2日(日)(平成30年度)A
(4) 受験料:8,900円(平成30年度)
(5) 管理業務主任者試験についてのお問合せ
一般社団法人マンション管理業協会試験研修部03-3500-2720
ホームページ http://www.kanrikyo.or.jp/

2 管理業務主任者試験の過去10年間の受験状況
実施年度 申込者数 合格者数 合格率
平成21年度 24,890人 4,329人 20.5%
平成22年度 24,129人 4,135人 20.1%
平成23年度 24,376人 4,278人 20.7%
平成24年度 22,887人 4,254人 21.9%
平成25年度 22,052人 4,241人 22.5%
平成26年度 20,899人 3,671人 21.0%
平成27年度 20,317人 4,053人 23.8%
平成28年度 20,255人 3,816人 22.5%
平成29年度 20,098人 3,679人 21.7%
平成30年度 19,177人

3 管理業務主任者本試験の出題範囲

試験項目 内容 本書での呼称
1管理事務の委託契約に関すること 民法(「契約」および契約の特別な類型としての「委託契約」を締結する観点から必要なもの) 民法・区分所有法など
標準管理委託契約書など 管理委託契約書・規約・
会計・そのほか関連知識
2管理組合の会計の収入および支出の調定ならびに出納に関すること 簿記,財務諸表論など 管理委託契約書・規約・
会計・そのほか関連知識
3建物および付属施設の維持および修繕に関する企画または実施の調整に関すること 建築物の構造および概要,建築物に使用されている主な材料の概要,建築物の部位の名称など,建築設備の概要,建築物の維持保全に関する知識およびその関係法令(建築基準法,水道法など),建築物などの劣化,修繕工事の内容およびその実施の手続きに関する事項など マンションの維持・保全など,マンション管理適正化法
4マンション管理の適正化の推進に関する法律に関すること マンションの管理の適正化の推進に関する法律,マンション管理適正化指針など 管理委託契約書・規約・
会計・そのほか関連知識
1から4に掲げるもののほか,管理事務の実施に関すること 建物の区分所有などに関する法律,集会に関すること等管理事務の実施を行うにつき必要なものなど 民法・区分所有法等
標準管理規約 管理委託契約書・規約・
会計・そのほか関連知識

 

4 学習ガイダンス
本試験の出題傾向としては,過去に問われたことがないテーマからの出題や,事前の準備では正解にたどり着くのが困難であるような“難問”もあるものの,資格創設から10数年を経て,全体としては毎年ほぼ同レベルの難易度の出題が続いています。

合格レベルに到達するためには,上記「3 管理業務主任者本試験の出題範囲」のうち,まず出題数が多く,出題内容もある程度確定している「(1)(2)(4)(5)の分野(法令・実務関連)」を得意分野としてしっかり得点できる力を付けることが,必要不可欠です。

しかし,これらの分野に対して,「(3)の分野(建築・設備関連)」では,難問も多くみられ,学習に時間を割いたにもかかわらず,それが得点に結びつくとは必ずしも言えないため,むしろ,過去問の範囲内の知識を確実に押さえる学習に徹するほうが効率的です。

以上のことを意識しながら,本書をきっちりと読み進めて理解し,それに平行して該当する試験範囲の過去問を解いて,ご自分の理解のレベルを常に確認するようにしましょう。そして,この流れを何度も繰り返すことが,最もおすすめできる学習方法といえます。

本書の構成

本テキストでは,重要語句はゴシック体(太字)で,特に重要な語句は色ゴシック体で表記していますので,メリハリのきいた学習をすることができます。

出題 H21~30
過去10年間(平成21年度~30年度)における出題箇所を,ひとめでわかるよう表示しました。

参考
本文に関連して知っておきたい重要な補足知識などです。

プラス
理解の助けとなる知識や本文に関連する追加論点を,執筆講師がアドバイスします。

用語解説
難解な専門用語の意味を,わかりやすく解説しました。

Point整理
各項目の重要ポイントをまとめてあります。知識の再確認や直前期の「総復習」にご利用ください。

注意
本試験における出題内容等のうち,ピンポイントで特に留意したい事柄をまとめました。

TAC管理業務主任者講座 (編集), 中西 伸太郎 (その他)
出版社: TAC出版; 2019年度版 (2019/1/31)、出典:出版社HP

Contents

はじめに
管理業務主任者試験 受験ガイダンス
本書の構成

第1章 民法
第1節 契約の成立と有効性
第2節 契約の主体
第3節 意思表示
第4節 代理
第5節 時効
第6節 物権
第7節 占有権・用益物権
第8節 所有権と共有
第9節 担保物権
第10節 抵当権
第11節 抵当権以外の担保物権
第12節 債務不履行等
第13節 多数当事者の債権債務関係
第14節 債権譲渡・債権の消滅
第15節 契約総論
第16節 契約各論
第17節 不法行為等
第18節 相続

第2章 借地借家法
第1節 借地権
第2節 借家権

第3章 建物の区分所有等に関する法律 (区分所有法)
第1節 総則・専有部分・共用部分等
第2節 敷地・敷地利用権
第3節 管理者・管理組合法人
第4節 規約・集会
第5節 義務違反者に対する措置
第6節 復旧・建替え
第7節 団地
第8節 罰則

第4章 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災区分所有法)

第5章 マンションの建替え等の円滑化に関する法律(建替え等円滑化法)

第6章 マンション標準管理規約 (標準管理規約)
第1節 マンション標準管理規約とは
第2節 総則
第3節 専有部分等の範囲
第4節 敷地および共用部分等の共有
第5節 用法
第6節 管理
第7節 管理組合
第8節 会計
第9節 雑則
第10節 団地型・複合用途型の標準管理規約

第7章 不動産登記法
第1節 登記の仕組みと手続
第2節 表示に関する登記・権利に関する登記
第3節 区分所有建物の登記

第8章 宅地建物取引業法 (宅建業法)
第1節 3大書面
第2節 業務上の規制

第9章 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)

第10章 アフターサービス

第11章 消費者契約法

第12章 個人情報の保護に関する法律 (個人情報保護法)

第13章 マンションの管理の適正化の推進に関する法律 (適正化法)
第1節 総則
第2節 管理業務主任者
第3節 マンション管理士
第4節 マンション管理業
1 マンション管理業者
2 マンション管理業者の業務
第5節 監督処分・罰則
第6節 マンション管理業者の団体
第7節 マンション管理適正化推進センター
第8節 雑則
第9節 マンションの管理の適正化に関する指針 (マンション管理適正化指針)

第14章 マンション標準管理委託契約書

第15章 管理組合の会計等
第1節 管理組合会計の特徴等
第2節 管理組合の予算・決算
第3節 滞納管理費等の処理
第4節 管理組合の税務
第5節 管理組合の保険

第16章 建築基準法等
第1節 建築基準法
第2節 建築物の耐震改修の促進に関する法律 (耐震改修法)
第3節 高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 (バリアフリー法)
第4節 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等(建築物省エネ法等)
第5節 警備業法
第6節 自動車の保管場所の確保等に関する法律 (自動車保管場所確保法)
第7節 動物の愛護および管理に関する法律等 (動物愛護管理法等)
第8節 長期優良住宅の普及の促進に関する法律

第17章 設備・構造
第1節 エレベーター設備
第2節 消防法・消防用設備等
第3節 水道法・給水設備
第4節 排水設備
第5節 浄化槽設備
第6節 電気設備
第7節 その他の設備
第8節 建築構造

第18章 維持・保全
第1節 マンションと大規模修繕
第2節 防水・断熱・防音等

索引

TAC管理業務主任者講座 (編集), 中西 伸太郎 (その他)
出版社: TAC出版; 2019年度版 (2019/1/31)、出典:出版社HP