【レビュー】公務員試験 新スーパー過去問ゼミ5 民法2一債権総論・各論・家族法
民法改正について
2020(令和2)年4月1日に、債権法について民法制定以来120年ぶりとなる大規模な改正法が施行されます。また、2019年7月には相続法についても、相続分野から遺言・遺留分までの広範囲にわたる改正法が施行されました。
●改正の範囲
どのような改正が行われたのかを知っておくことは、民法の各制度の機能を理解するうえで参考になるので、改正内容をひととおり把握しておくようにしよう。
債権法の改正は、民法制定以来の大改正ということで、かなり大幅に条文が変更されている。ただ、今回の改正は「債権法」の改正であることから、変更されるのは主に債権総論から契約法までの部分と総則の一部であり、物権法では、債権に関連する部分でいくつかの変更があるにとどまる。
相続法の改正については、遺産分割などの実務的な部分での改正が多く、試験の素材となるような改正部分は限定されている。したがって、そのような箇所に学習の対象を絞って知識を整理しておけばよい。
●総則の主な改正箇所と改正内容
総則分野では、改正は特定の項に限られている。主に改正があったのは意思表示と時効の2つで、制限行為能力者などでは調整のために部分的な規定の追加や修正が行われたにとどまる。
①意思能力 |
・意思無能力者の法律行為が無効であることを明文化した
→従来は当然のこととして明文規定がなかった |
②意思表示 |
・第三者保護規定を整理した
→基準の統一化が図られた ・錯誤の効果が無効から取消しに変更された →錯誤の無効は表意者本人のみが主張できるものとされ、実質的には取消しと同じようなものだった。したがって,その実質に効果を合わせた。 |
③代理 | ・代理権濫用に関する判例法理を明文化した |
④時効 |
・消滅時効の起算点を2種類にした
→旧法では「権利を行使することができるときから10年」という1種類のみ。新法では,これに「債権者が権利を行使できることを知ったときから5年」という起算点を追加した。そして,前者に客観的起算点,後者に主観的起算点という名称を付した。 ・時効の中断・停止を完成猶予と更新に置き換えた →旧法の中断がわかりにくいとされていたことから,中断を完成猶予と時効の更新に置き換え,さらに停止は完成猶予のみに変更された。 ・協議による完成猶予という新しい完成猶予事由を新設 ・複雑に分かれていた短期消滅時効をすべて廃止した →従来から合理性に乏しいとの指摘を受けていた |
●債権総論の主な改正箇所と改正内容
ほぼ全域にわたって大幅な改正が行われる。この部分が改正のメインである。
①債務不履行 |
・契約が原始的不能である場合も契約の成立を認めた
→旧法下では契約は不成立無効とされていたが,これを変更した (いわゆる契約締結上の過失) ・債務不履行による損害賠償の要件に帰責事由を明文化 ・受領遅滞の効果を明文化 |
②債権者代位権 |
・代位権が行使されていても債務者は権利行使できる
→従来の判例法理を変更した ・転用型についての規定を新設して明文化した |
③詐害行為取消権 |
・詐害行為の態様を類型化して要件を厳格化した
→相当価格処分行為,同時交換的行為,偏頗行為,義務行為・非義務行為などを類型化して,その要件を厳格化 ・出訴期間を変更した →旧法の「原因を知ってから2年,行為時から20年」を「知ってから2年,行為時から10年」に長期を短縮 |
④連帯債務 |
・絶対的効力事由を限定した
→請求,免除,時効の完成については、旧法下の絶対効事由から相対効事由に変更した |
⑤保証債務 |
・契約後の保証人への情報提供義務を明文化した
→保証人の保護の強化を図った ・事業のための第三者個人保証について規制を強化した |
⑥債権譲渡 |
・譲渡禁止特約があっても譲渡を原則有効とした
→譲渡禁止特約の効果について,従来の絶対効から相対効への変更 ・異議をとどめない承諾の制度を廃止した |
⑦債権の消滅事由 |
・代物弁済契約を要物契約から諾成契約に変更した
・差押えと相殺などに関する判例法理を明文化した ・不法行為の損害賠償債権による相殺禁止範囲を一部限定 |
●債権各論の主な改正箇所と改正内容
売買の項で売主の担保責任に関する規定が大幅に変更されている。
①危険負担 |
・危険負担の一般原則を債務者主義に変更した
→旧法の債権者主義の不合理性を是正した ・反対債務は消滅せずに存続する →債権者には解除権や履行拒絶権が認められる |
②解除 | ・債務不履行による契約の解除に帰責事由を不要とした |
③売買 |
・売主の担保責任についての規定を整理した
→判例の法定責任説を変更し,売主の担保責任の法的性質を債務不履行責任であるとした →追完請求,代金減額請求などの規定を整備した |
④賃借権 | ・敷金に関する規定を明文化した |
●相続法の主な改正箇所と改正内容
改正箇所は多岐にわたるが、重要ポイントに対象範囲を絞って知識を整理しておけばよい。
①相続 |
・配偶者居住権・配偶者短期居住権の制度を新設
→残存配偶者の生活の場を確保してその生存を保障することを目的とする |
②遺言・遺留分 |
・自筆証書遺言の方式について要件を緩和した
→財産目録等について自署以外の方法(ワープロ作成等)を認めて自筆証書遺言を作成しやすくした ・自筆証書遺言保管制度(法務局で保管)を新設した →これによって検認手続きの手間が省略される ・遺留分請求を目的物の返還から金銭の支払いに変更 →名称も,遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求に変更された |
●旧法を一度学習している場合の対策
民法I(総則・物権)においては、改正点をピックアップするということでも対処は可能である。ただ、要件や効果が部分的に変更された箇所であれば(例:錯誤の効果が無効から取消しに変わった)、その部分の知識を新法に合わせて整理しておけばよいが、時効のように制度自体に大きな変更がある箇所では、用語の変更も含めて制度の内容を改めて把握しておくことが求められる。
民法II(債権と家族法)では、制度そのものが大幅に変更されている箇が多数存在し、また、そのほかの部分でも内容に重要な変更が加えられている箇所があちこちに散在する。したがって、旧法の知識をいったん白紙に戻して、新たに一から知識を仕入れるような気持ちで学習に取り組むほうが望ましい。
●法改正対応版について
この法改正対応版では、『新スーパー過去問ゼミ5 民法I・II』をベースとして、必要に応じて問題文を修正し、解説文を修正するなどして改正法に対応させています。
改正法に関する過去問は存在しないのですが、「予想問題」は掲載していません。これは、スー過去がそもそも「過去問でよく出るテーマを効率的に学習して得点力を高める」ための問題集だからです。よって本書は、令和2(2020)年度の公務員試験に向けて、「法改正で頻出テーマがどんな影響を受けるか」を押さえられるように改訂したものです。
新スーパー過去問ゼミ5
刊行に当たって
公務員試験の過去問を使った定番問題集として、公務員受験生から圧倒的な信頼を寄せられている「スー過去」シリーズ。その「スー過去」が、5回目の大改訂を施して「新スーパー過去問ゼミ5」に生まれ変わりました。
「5」では、最新の出題傾向に沿うよう内容を見直すとともに、より使いやすくより効率的に学習を進められるよう、細部までブラッシュアップしています。
「新スーパー過去問ゼミ5」改訂のポイント
①平成27~29年度の問題を増補
②過去15年分の出題傾向を詳細に分析
③1行解説・STEP解説、学習方法・掲載問題リストなど、学習効率向上のための手法を改良
④本を開いたまま置いておける、柔軟で丈夫な製本方式を導入
もちろん、「スー過去」シリーズの特長は、そのまま受け継いでいます。
・テーマ別編集で、主要試験ごとの出題頻度を明示
・「必修問題」「実戦問題」のすべてにわかりやすい解説
・「POINT」で頻出事項の知識・論点を整理
本シリーズは、「地方上級」「国家一般職[大卒]」試験の攻略にスポットを当てた過去問ベスト・セレクションですが、「国家総合職」「国家専門職[大卒]」「市役所上級」試験など、大学卒業程度の公務員採用試験に幅広く対応できる内容になっています。
公務員試験は難関といわれていますが、良問の演習を繰り返すことで、合格への道筋はおのずと開けてくるはずです。本書を開いた今この時から、目標突破へ向けての着実な準備を始めてください。
あなたがこれからの公務を担う一員となれるよう、私たちも応援し続けます。
資格試験研究会
本書の構成と過去問について
●本書の構成
①学習方法・問題リスト:巻頭には、本書を使った効率的な科目の攻略のしかたをアドバイスする「民法の学習方法」と、本書に収録した全過去問を一覧できる「掲載問題リスト」を掲載している。過去問を選別して自分なりの学習計画を練ったり、学習の進捗状況を確認する際などに活用してほしい。
②試験別出題傾向と対策:各章冒頭にある出題箇所表では、平成15年度以降の国家総合職(国家I種)、国家一般職(国家II種)、国家専門職(国税専門官)、地方上級(全国型・特別区)、市役所(C日程)の出題状況が一目でわかるようになっている。具体的な出題傾向は、試験別に解説を付してある。
※市役所C日程については平成29年度の情報は反映されていない。
③必修問題:各テーマのトップを飾るにふさわしい、合格のためには必ずマスターしたい良問をピックアップ。解説は、各選択肢の正誤ポイントをズバリと示す「1行解説」、 解答のプロセスを示す「STEP解説」など、効率的に学習が進むように配慮した。また、 正答を導くための指針となるよう、問題文中に以下のポイントを示している。
(アンダーライン部分):正誤判断の決め手となる記述
(色が敷いてある部分):覚えておきたいキーワード
「FOCUS」には、そのテーマで問われるポイントや注意点、補足説明などを掲載している。
必修問題のページ上部に掲載した「頻出度」は、各テーマをA、B、Cの3段階で評価し、さらに試験別の出題頻度を「★」の数で示している(★★★:最頻出、★★:頻出、★:過去15年間に出題実績あり、−:過去15年間に出題なし)。
④POINT:これだけは覚えておきたい最重要知識を、図表などを駆使してコンパクトにまとめた。問題を解く前の知識整理に、試験直前の確認に活用してほしい。
⑤実戦問題:各テーマの内容をスムーズに理解できるよう、バランスよく問題を選び、 詳しく解説している。問題ナンバー上部の「*」は、その問題の「難易度」を表しており(***が最難)、また、学習効果の高い重要な問題にはGマークを付している。
No.2 必修問題とマークのついた問題を解いていけば、 スピーディーに本書をひととおりこなせるようになっている。
なお、収録問題数が多いテーマについては、「実戦問題1」「実戦問題2」のように問題をレベル別またはジャンル別に分割し、解説を参照しやすくしている。
⑥索引:巻末には、 POINT等に掲載している重要語句を集めた用語索引がついている。用語の意味や定義の確認、理解度のチェックなどに使ってほしい。
●本書で取り扱う試験の名称表記について
本書に掲載した問題の末尾には、試験名の略称および出題年度を記載しています。
①国家総合職、国家I種:国家公務員採用総合職試験
国家公務員採用I種試験(平成23年度まで)
②国家一般職、国家II種:国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験]、
国家公務員採用III種試験(平成23年度まで)
③国家専門職、国税専門官:国家公務員採用専門職試験(大卒程度試験]、
国税専門官採用試験
④地方上級:地方公務員採用上級試験(都道府県・政令指定都市)
(全国型):広く全国的に分布し、地方上級試験のベースとなっている出題型
(東京都):東京都職員I類B採用試験(平成20年度まで)
(特別区):特別区(東京23区)職員I類採用試験
※地方上級試験については、実務教育出版が独自に分析し、「全国型(全国型変形タイプ)」「関東型(関東型変形タイプ)」「中部・北陸型」「法律・経済専門タイプ」「その他の出題タイプ」「独自の出題タイプ(東京都、特別区など)」の6つに大別しています。
⑤市役所:市役所職員採用上級試験(政令指定都市以外の市役所)
※市役所上級試験については、試験日程によって「A日程」「B日程」「C日程」の3つに大別しています。
●本書に収録されている「過去問」について
①平成9年度以降の国家公務員試験の問題は、人事院により公表された問題を掲載してい る。地方上級の一部(東京都、特別区)も自治体により公表された問題を掲載している。それ以外の問題は、受験生から得た情報をもとに実務教育出版が独自に編集し、復元したものである。
②問題の論点を保ちつつ問い方を変えた、年度の経過により変化した実状に適合させた.などの理由で、問題を一部改題している場合がある。また、人事院などにより公表された問題も、用字用語の統一を行っている。
③東京都I類の専門択一式試験は、平成21年度から廃止されている。しかし、東京都の問題には良問が多く、他の試験の受験生にも有用であるため、本書では平成20年度までの東京都の問題を一部掲載している。
CONTENT
公務員試験 新スーパー過去問ゼミ5
民法II [法改正対応版]
民法改正について
「新スーパー過去問ゼミ5」刊行に当たって
本書の構成と過去問について
民法の学習方法
合格者に学ぶ「スー過去」活用術
学習する過去問の選び方
掲載問題リスト
第1章 債権総論
テーマ1 債務不履行
テーマ2 債権者代位権
テーマ3 詐害行為取消権
テーマ4 連帯債務
テーマ5 保証債務
テーマ6 債権譲渡
テーマ7 債権の消滅原因
第2章 債権各論
テーマ8 契約総論
テーマ9 贈与・売買
テーマ10 消費貸借・賃貸借
テーマ11 その他の典型契約
テーマ12 債権の総合問題
テーマ13 部事務管理・不当利得
テーマ14 不法行為
第3章 家族法
テーマ15 婚姻
テーマ16 親子
テーマ17 相続
テーマ18 遺言・遺留分
索引
カバー・本文デザイン/小谷野まきを 書名ロゴ/早瀬芳文
民法の学習方法
●公務員試験の「民法」について
民法は法律科目の中で最もボリュームのある科目です。したがって、民法の学習ではそ の量をいかに克服するかが最大のポイントになってきます。
ただ量の多さにもかかわらず、民法では、全領域・全論点がすべて出題の対象となっているのではありません。なぜなら、そんな出題のしかたをすると、公務員としての必要な素養を身についているかどうかを判別するという公務員試験の目的が達成できなくなるからです。
公務員試験では多数の科目が出題されますから、受験者が民法の学習に割くことのできる時間は必然的に限られます。そのような中で出題範囲をむやみに拡大すると、受験者の貞担が過重になり、正答率の極端な低下を招くことになってしまいます。
本書中の過去問を解くのに必要な知識の範囲は、民法全体のほんの一部にすぎません。出題者が民法の出題範囲を拡大していこうと思えば、軽くこの5~6倍は広げることができるでしょう。しかし、そんなことをすると、多くの受験者が民法に対処できなくなって必要な素養を身につけた受験者とそうでない受験者との区別が困難になります。
●学習する際の注意点
出題科目の数が多い公務員試験では、時間との勝負という要素が特に強く現れます。ですから、合格のためには、民法の出題範囲を限定し、それに対処するために必要な知識の 範囲を絞り込むという作業が必要になってきます。
これがうまくいけば、民法は最小の時 間で最大の効果を発揮することができます。「量が多い」という民法に対する一般的なイメージとは異なり、憲法や行政法など、他の法律科目とほぼ同じ時間と労力で十分に対処できるようになるはずです。
●直前期の注意点
直前期には、それまでに学習してきた知識を正確にすることを中心に対策を考えます。直前期は、最もプレッシャーのかかるつらい時期ですが、とにかくペースを乱さないことが重要です。
模試の成績が伸びない場合、不安に駆られて学習範囲を広げたくなるものですが、むやみに知識の範囲を広げると、せっかく積み上げてきた知識まで不正確なものにしてしまうおそれがあります。不正確な知識で「あれっ。どうだったかな」などと考えても、もともと知識が正確でないので解けるはずがありません。その場合、人の心理からすると、かえってわからないほうの選択肢に引きずられて正答を誤ることのほうが多いのです。そうなると、その問題に費やした時間も労力も無駄になってしまいます。
なお、本試験では「その1問」に集中することを心がけてください。前の問題を自信がないまま解いたような場合、次の問題を解く際に前の問題が気になるということがあります。でも、それでは、次の問題への集中がおろそかになり、単純ミスを誘発する危険があります。次の問題へ移ったら、その1問に集中することが何よりも大事です。
合格者に学ぶ「スー過去」活用術
公務員受験生の定番問題集となっている「スー過去」シリーズであるが、先輩たちは本シリーズをどのように使って、合格を勝ち得てきたのだろうか。弊社刊行の『公務員試験 受験ジャーナル』に寄せられた「合格体験記」などから、傾向を探ってみた。
自分なりの「戦略」を持って学習に取り組む!
テーマ1から順番に、一つ一つじっくりと問題を解いて、わからないところを入念に調べ、納得してから次に進む……という一見まっとうな学習方法は、時間をかけて学習を進めている割には知識の定着がなかなか進まない。
やみくもに学習に取り組んで挫折している受験者をよそに、合格者はおおまかな学習計画を立てて戦略を練っている。各章冒頭にある「試験別出題傾向と対策」を見て、自分が受験する試験で各テーマがどの程度出題されているのかを把握し、「掲載問題リスト」を利用するなどして、いつまでにどの程度まで学習を進めればよいか、学習の全体の流れをイメージしておきたい。
完璧をめざさない!ザックリ進めながら復習を繰り返えす!
本番の試験では、6~7割の問題に正答できれば、ボーダーラインを突破できる。裏を返せば3~4割の問題は解けなくてもよいわけで、完璧をめざす必要はまったくない。学習する範囲を試験の頻出箇所に絞り、とにかくわからなくても先に進み、復習を繰り返すことで力をつけていく……というふうに意識改革を図ろう。
受験生の間では、「問題集を何周したか」がしばしば話題に上る。問題集は、1回で理解しようとじっくりと取り組むよりも、初めはざっくりと理解できた程度で先に進んでいき、何回も繰り返し同じ問題集に取り組むことで徐々に理解を深めていくやり方のほうが、学習効率は高い。合格者は「スー過去」を繰り返しやって、得点力を伸ばしている。
「スー過去」を自分に合わせてカスタマイズして使い倒す!
広い出題範囲の中から頻出のテーマ・過去問を選んでいる「スー過去」ではあるが、それでも370 ページほどの分量がある。この分量をこなすのは無理だと敬遠している受験生もいるようだが、実は合格者は「スー過去」を自分なりにアレンジして使っているのである。必要な部分を自らピックアップして、学習ツールとして使い倒すことが、合格のカギといえる(次ページにカスタマイズの具体例を示したので参考にしてほしい)。
すぐに解説を読んでもOK!考えるのは時間のムダ!
合格者の声を聞くと「スー過去を参考書代わりに読み込んだ」というものが多く見受けられる。科目の攻略スピードを上げようと思ったら「ウンウン考えている時間」は一番のムダだ。過去問演習は、解けた解けなかったと一喜一憂するのではなく、問題文と解説を読みながら正誤のポイントとなる知識を把握して記憶する反復演習なのである。
気になる知識は問題文に直接書き込んでいこう。どんどん知識を書き込んでいくと「スー 過去」自体が参考書化していくので、インプットの効率は格段に上がる。それを「何周も 回していくうちに、反射的に解答できるようになるはずだ。
学習する過去問の選び方
●具体的な「カスタマイズ」のやり方例
本書は全152問の過去問を収録している。分量が 格者の多くは、過去問を上手に取捨選択して自分に合った分量と範囲を決めて学習を進めている。
以下、お勧めの例をご紹介しよう。
①必修問題とマークのついた問題に優先的に取り組む!
当面取り組む過去問を、各テーマの「必修問題」とマークのついている「実戦問題」に絞ると、およそ全体の5割の分量となる。それにプラスして各テーマの「POINT」をチェックしていけばこの科目の典型問題と正誤判断の決め手となる知識の主だったところは押さえられる。
本試験まで時間がある人もそうでない人も、ここから取り組むのが定石である。まずは1問(問題集をひととおり最後までやり切ること)してみてほしい。
①を何周かしたら次のステップへ移ろう。
②取り組む過去問の量を増やしていく
①で基本は押さえられても1だけでは演習量が心もとないので、取り組む過去問の数を増やしていく必要がある。増やし方としてはいくつかあるが、このあたりが一般的であろう。
◎基本レベルの過去問を追加(難易度「*」の問題を追加)
◎受験する試験種の過去問を追加
◎頻出度Aのテーマの過去問を追加
これをひととおり終えたら、前回やったところを復習しつつ、まだ手をつけていない過去問をさらに追加していくことでレベルアップを図っていく。
もちろん、あまり手を広げずに、ある程度のところで折り合いをつけて、その分復習に時間を割く戦略もある。
●掲載問題リストを活用しよう!
「掲載問題リスト」では、本書に掲載された過去問を一覧表示している。
受験する試験や難易度・出題年度等を基準に、学習する過去問を選別する際の目安としたり、チェックボックスを使って学習の進捗状況を確認したりできるようになっている。
効率よくスピーディーに学習を進めるためにも、積極的に利用してほしい。
掲載問題リスト
第1章 債権総論
テーマ1 債務不履行
必修 地上全国型 H28 *
実戦 No.1 市役所 H22 *
実戦 No.2 地上特別区 H27 **
実戦 No.3 国家一般職 H28 **
実戦 No.4 国家総合職 H25 ***
実戦 No.5 市役所 H27 *
実戦 No.6 国家I種 H17 *
実戦 No.7 地上全国型 H27 *
テーマ2 債權者代位権
必修 地上特別区 H25 **
実戦 No.1 国税専門官 H22 *
実戦 No.2 地方上級 H14
実戦 No.3 地上全国型 H22 *
実戦 No.4 地上特別区 H22 **
実戦 No.5 国税専門官 H14 **
実戦 No.6 国家I種 H21 **
実戦 No.7 国家I種 H7 ***
実戦 No.8 国家一般職 H25 **
実戦 No.9 国家総合職 H27 **
実戦 No.10 国税専門官 H17 ***
テーマ3 許害行為取消権
必修 地上全国型 H24 *
実戦 No.1 市役所 H20 *
実戦 No.2 地上全国型 H9 *
実戦 No.3 国家II種 H6 **
実戦 No.4 国税専門官 H19 **
実戦 No.5 地上特別区 H29 **
実戦 No.6 国税/財務/労基 H28 **
実戦 No.7 国税/財務/労基 H25 **
テーマ4 連帯債務
必修 地上特別区 H25 *
実戦 No.1 地方上級 H8 *
実戦 No.2 国家II種 H20 *
実戦 No.3 地上特別区 H28 *
テーマ5 保証債務 問題
必修 地上特別区 H29 **
実戦 No.1 地上特別区 H26 *
実戦 No.2 地方上級 H16 *
実戦 No.3 地方上級 H10 *
実戦 No.4 国家一般職 H27 **
実戦 No.5 国家総合職 H26 **
テーマ6 債権讓渡
必修 市役所 H28 *
実戦 No.1 地上特別区 H24 **
実戦 No.2 国家総合職 H27 **
実戦 No.3 国家一般職 H26 **
実戦No.4 国家総合職 H28***
実戦No.5 国税専門官 H26 ***
テーマ7 債権の消滅原因
必修 地上全国型 H26 *
実戦 No.1 地上特別区 H26 *
実戦 No.2 地上特別区 H17 *
実戦 No.3 国税/財務/労基 H27 *
実戦 No.4 地上特別区 H28 **
実戦 No.5 地上特別区 H24 **
実戦 No.6 地上全国型 H21 *
実戦 No.7 国家総合職 H24 **
実戦 No.8 国家総合職 H28 ***
第2章 債権各論
テーマ8 契約総論
必修 国家一般職 H26 *
実戦 No.1 市役所 H28 *
実戦 No.2 地上特別区 H28 *
実戦 No.3 地上特別区 H25 **
実戦 No.4 国税専門官 H27 **
実戦 No.5 国家一般職 H27 **
実戦 No.6 国家II種 H19 ***
テーマ9 贈与·売買
必修 国家一般職 H26 **
実戦 No.1 地方上級 H6 *
実戦 No.2 地上特別区 H22 **
実戦 No.3 地上特別区 H25 **
実戦 No.4 国税専門官 H7**
実戦 No.5 国家II種 H13 **
テーマ10 消費貸借・賃貸借
必修 国家一般職 H25 *
実戦 No.1 地上特別区 H15 *
実戦 No.2 地上全国型 H15 *
実戦 No.3 地上全国型 H27 *
実戦 No.4 国家一般職 H27 *
実戦 No.5 国税、財務、労基 H26 **
実戦 No.6 国家II種 H23 **
実戦 No.7 国家II種 H9 **
実戦 No.8 国家II種 H19 **
実戦 No.9 国家総合職 H28**
テーマ11 その他の典型契約
必修 国家一般職 H28 **
実戦 No.1 国家I種 H22 **
実戦 No.2 市役所 H26 *
実戦 No.3 地方上級 H18 *
実戦 No.4 地上特別区 H27 **
実戦 No.5 国家II種 H13 **
テーマ12 債権の総合問題
必修 国家II種 H20 *
実戦No.1 国税専門官 H6 *
テーマ13 事務管理·不当利得
必修 地上特別区 H24 **
実戦 No.1 地方上級 H10 *
実戦 No.2 地上特別区 H26 *
実戦 No.3 国家II種 H18 **
実戦 No.4 地方上級 H20 **
実戦 No.5 国家一般職 H24 **
実戦 No.6 地方上級 H15 **
実戦 No.7 国家I種 H15 ***
実戦 No.8 国家I種 H22 ***
テーマ14 不法行為
必修 国家総合職 H25 **
実戦 No.1 地方上級 H15 *
実戦 No.2 地上特別区 H26 *
実戦 No.3 国税専門官 H21 *
実戦 No.4 国家一般職 H26 **
実戦 No.5 地上全国型 H11 **
実戦 No.6 地上特別区 H23 **
実戦 No.7 地上特別区 H21 **
実戦 No.8 国税専門官 H15 **
実戦 No.9 国家一般職 H28 **
実戦 No.10 国家II種 H17 ***
実戦 No.11 国家I種 H23 **
実戦 No.12 国家総合職 H26 **
実戦 No.13 国家I種 H17 ***
第3章家族法
テーマ15 婚姻
必修 国税/財務/労基 H25 **
実戦 No.1 地上特別区 H17 *
実戦 No.2 地方上級 H15 *
実戦 No.3 市役所 H10 *
実戦 No.4 地上全国型 H2 *
実戦 No.5 地上特別区 H28 *
実戦 No.6 国税/財務/労基 H28 *
実戦 No.7 地方上級 H11 **
実戦 No.8 国家II種 H9 **
実戦 No.9 国家II種 H6 **
実戦 No.10 国家I種 H18 ***
テーマ16 親子
必修 国家一般職 H25 **
実戦 No.1 地上全国型 H6 *
実戦 No.2 国家一般職 H27 *
実戦 No.3 市役所 H7 *
実戦 No.4 国家II種 H13 **
実戦 No.5 地上特別区 H24 **
実戦 No.6 地方上級 H28 *
実戦 No.7 地上特別区 H27 **
実戦 No.8 地上全国型 H25 **
実戦 No.9 国家総合職 H28 **
実戦 No.10 国税/労基 H23 **
実戦 No.11 地上特別区 H21 *
実戦 No.12 国家II種 H11 ***
テーマ17 相続
必修 国税専門官 H22 *
実戦 No.1 国税専門官 H21 *
実戦 No.2 市役所 H11 *
実戦 No.3 地上特別区 H20 **
実戦 No.4 国税/財務/労基 H26 *
実戦 No.5 地上全国型 H20 *
実戦 No.6 地方上級 H20 **
実戦 No.7 国税/労基 H24 **
実戦 No.8 国家一般職 H24 **
実戦 No.9 国家I種 H20 **
実戦 No.10 国家一般職 H28 ***
実戦 No.11 地方上級 H10 **
実戦 No.12 国家II種 H19 ***
実戦 No.13 国家総合職 H24**
実戦 No.14 国家I種 H16 ***
テーマ18 遺言·遺留分
必修 地方上級 H24 *
実戦 No.1 市役所 H2 *
実戦 No.2 地上全国型 H8 *
実戦 No.3 地上特別区 H26 **
実戦 No.4 国家一般職 H26 **
実戦 No.5 地方上級 H9 **
実戦 No.6 国税/労基 H23 **
実戦 No.7 国家II種 H22 ***
実戦 No.8 地上特別区 H25 ***
注記
【判例の表記について】
(最判平11・11・24) とあるものは「最高裁 平成11年11月24日 判決」の意。
(大決大13・1・30) とあるものは「大審院 大正13年1月30日 決定」の意。
なお、判旨の表記は、読みやすさを考慮して、口語化・簡略化を行っている部分があるので、原文とは異なる場合がある。
【法律名称の表記について】
以下のような表記の簡略化を行っている場合がある。
民訴法……民事訴訟法
民執法……民事執行法
不登法……不動産登記法
一般法人法……一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
【平成17年4月1日施行の「民法の現代語化のための改正法」について】
平成17年4月1日施行の「民法の現代語化のための改正法」においては、旧来のカナ文字・文語体を用いた難解な表現がわかりやすい現代語に置き換えられるとともに、条文の番号の整序、定着した判例の解釈を条文に取り込む等の変更が行われた。本書では、改正法に則して解説を施すとともに、改正以前に出題され、旧来の条文・用語が使用されていた部分について、学習上の混乱を避ける観点から、これをすべて新法の条文・用語に置き換えている。