六訂 手話通訳技能認定試験傾向と対策 ー手話通訳士試験合格への道
学ぶにあたって
1989(平成元)年から開始された手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)は、2018(平成30)年には第30回を迎え、手話通訳士試験合格者は3745人に達しました。毎年多くの学習者に手話通訳士試験に挑んでいただいています。
2006(平成18)年に国連総会において採択された「障害者権利条約」への批准を皮切りに、ここ数年、聴覚障害者や手話通訳士を取り巻く状況はさまざまに変化してきました。
鳥取県から始まった「手話言語条例」の制定の動きは、2019年現在、228か所の自治体が「手話言語条例」制定に至り、手話は言語であるとの認識は社会に広がっています。
聴覚障害者にとって「共に生きる社会」とは、聴覚障害者が豊かな情報を獲得し、手話が言語であることが認識され、手話通訳が保障されながら生活できる社会のことです。そして、聴覚障害者の主体的な社会参加を進めるうえで手話通訳士は重要な役割を担っています。今後も、学習者の皆様に手話通訳士試験に挑戦していただき、多くの手話通訳士が誕生することを期待しています。
さて、本書は2000(平成12)年、2003(平成15)年、2006(平成18)年、2009(平成21)年、2012(平成24)年、2015(平成27)年に出版された『手話通訳技能認定試験傾向と対策―手話通訳士試験合格への道―』を基盤に作成しています。この間の手話通訳士試験の出題について内容を検討し分析を重ねました。解説もわかり易く詳細なものとなっています。
また、設問も最近の傾向に近いものが掲載されています。単なる試験対策本の枠を越え現任の手話通訳士の学習や障害者福祉に関心のある方々にも十分に活用していただけるものです。
本書をご活用いただき、多くの手話通訳士の誕生と手話通訳者としての専門性の向上につなげていただくことを期待しています。
手話通訳士試験傾向と対策委員会
(一般社団法人日本手話通訳士協会)
会長 小椋英子
本書の使い方
【第1章~第4章】
手話通訳技能認定試験は、平成元年度の第1回から平成30年度の第30回まで実施機
関である社会福祉法人聴力障害者情報文化センターによって、計30回の試驗がいる。
平成11年度第11回試験において試験科目が変更になり、さらに平成18年度第18かいからは以下のとおり変更となった。
一次試験の「手話の基礎知識」がなくなり二次試験に統合された。これにより、二次試験の読み取り通訳試験にも変更があり、従来の口頭試験1問、筆記試験1問から平成18年度試験からは口頭試験2問となった。
また、第1回から第18回までは、一次試験と二次試験は別日程で行われ、一次試験合格
者が二次試験を受験することになっていたが、平成19年度の第19回試験からは連続する2日間で行われ、受験者全員が二次試験に臨むこととなった。
そして、平成25年度第25回試験において、一次試験各科目の出題基準が再分類され
合格基準も全科目に得点の基準があり、「国語単独の60%以上の得点」はなくなり、「4科目の総得点の60%程度の得点」を基準とすると変更になった。実技試験においても、採点評価項目が具体的に示されるようになった。
本書内の各設問については、
① 過去の問題の出題年、科目根拠を明示
② 今回新たに出題した問いには「オリジナル問題」と明記している。
細かな科目内容の変更と出題傾向については、各章に説明を設けたので、そちらを参照されたい。
なお、各設問については解説だけでなく、特に押さえておくべき内容についても解説を設けた。さらに、必要に応じて、 +αの解説を「さらに!ポイントUP」としてコラム的に設けた。
手話通技能認定試驗(手話通訊士試驗)問題利用承諾
承諾書番号 JC19-001
「第1回~第30回手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)」
・学科試験問題 4教科 全文
もくじ
学ぶにあたって
本書の使い方
第1章 障害者福祉の基礎知識
はじめに
第1節 障害者福祉の理念と発展
【問題1~問題 10】
第2節 障害の概念と実態
【問題 11~問題 16】
第3節 障害者福祉の制度
1 障害者福祉に関する法律の概要
【問題 17~問題 24】
2 障害者福祉の実施体制
【問題 25~問題 28】
3 障害者福祉サービス
【問題 29~問題 34】
4 障害者の生活を支える関連制度
【問題 35~問題 40】
一問一答—障害者福祉の基礎知識
第2章 聴覚障害者に関する基礎知識
はじめに
第1節 聴覚障害の基礎知識
1 聴覚障害とその特性
【問題 41~問題 50】
2 聴覚障害と社会環境
【問題 51】
3 聴覚障害と重複障害
【問題 52~問題 54】
第2節 聴覚障害者の福祉と運動
1聴覚障害者福祉の現状
【問題 55~問題 60】
2 聴覚障害者運動の現状
【問題 61~問題 65】
第3節 聴覚障害者の自立と社会参加
1 聴覚障害者と教育
【問題 66~問題 74】
2 聴覚障害者とコミュニケーション方法
【問題 75~問題 76】
3 聴覚障害者と社会生活
【問題 77~問題 82】
4 聴覚障害者と援助サービス
【問題 83~問題 85】
一問一答—聴覚障害者に関する基礎知識
第3章 手話通訳のあり方
はじめに
第1節 手話通訳者の役割
1 聴覚障害者のニーズと手話通訳者の役割など
【問題 86~問題 89】
2 手話通訳者の倫理と責務など
【問題 90~問題 95】
第2節 言葉・文化・コミュニケーション
1 ことばと社会
【問題 96~問題 99】
2 手話の特徴
【問題 100~問題 101】
3 異文化理解
【問題 102】
4 コミュニケーション
【問題 103~問題 104】
第3節 通訳理論
1 通訳過程とモデル
【問題 105】
2 通訳形態と方法、 通訳の技術
【問題 106~問題 109】
第4節 手話通訳の実際
1 手話通訳実施上の留意点など
【問題110~問題 117】
2 手話通訳の技法など
【問題 118~問題 120】
第5節 手話通訳者としての一般教養
1 手話通訳を取り巻く動向
【問題 121~問題 122】
2 手話通訳者に求められている対人援助技術
【問題 123~問題 126】
3 時事問題など
一問一答—手話通訳のあり方
第4章 国語
はじめに
第1節 言語音
【問題 127~問題 133】
第2節 単語
【問題 134~問題 142】
第3節 文法
【問題143~問題 153】
第4節 文字
【問題 154~問題 164】
第5節 表現法
【問題 165~問題 168】
第6節 文章読解
【問題 169~問題 172】
一問一答—国語
参考図書
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