RPA技術者検定のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)
RPA技術者認定の概要
RPA技術者認定は、今日必要とされる最先端のスキルを習得したい人や、将来のデジタル時代に向けてスキルを向上させたい人に推奨される資格です。
この資格は、主に3つのレベルに分けられます:「アソシエイト」、「エキスパート」、「プロフェッショナル」。となります。次のセクションでは、それぞれのおすすめの参考書となります。
【アソシエイト】の参考書
目次 – RPAのはじめかた ~ツールを見ながら巡る! RPAの楽しい世界
はじめに
RPAの世界へようこそ
いらっしゃいませ! 「RPAのはじめかた」へようこそ!
最近、テレビのニュースやインターネットの広告などでも、『RPA』という言葉を目にすることが多くなってきました。きっとこの本を手に取ったみなさまも、「RPA」という言葉を見かけるたびに、「コレはナニモノなのかしら?」と、なんとなく気になっていたのではないでしょうか。
『RPA』、正式には「Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)」と言います。日本語に訳すと、「ロボットによるプロセス(仕事)の自動化」という意味になるようです。
「ロボットが人間にかわって仕事をしてくれる」、しかも、「面倒なパソコンの仕事をしてくれニュースの記事や広告の内容を読んでみると、どうやら「RPA」というものは、そんな『夢のような仕組みのこと』らしいのです。
ほほう……現代のIT技術というヤツは、いつの間にかそんなレベルにまで到達していたのですか……。「ロボットが人間のかわりに働く」なんて、マンガの中だけで起こることかと思っていましたが意外や意外。すでに実用段階にまで来ていたのですね。
……と、いうことは、ですよ?もしかしてコイツを使えば……
「うわー!どうしよう?飲み会の時間に間に合わないかも!」と、ヤキモキしながら夜遅くまで残業をすることも、「まあ別にオレー人のほうが好きだし、寂しくなんかないし」と、強がりを言いながら休日に出勤することも、今後はなくなるのかもしれません。おおー!!スゴいぞ!RPA!
今からほんの少し前のこと。ワタシもみなさまと同じように、インターネットで「RPA」という言葉を見つけ、その「未来っぽい世界」への期待に胸を膨らませながら、『RPAの基本的な考え方』や『各種RPAツール』について、情報収集をはじめました。ポチポチ、フムフム……フムムムム?
ところが。それはもう「想像以上」に大変な世界で。
何せ最先端の考え方と、最先端のツールです。見慣れない「専門用語」に加えて、随所に出ている「English」。そして頻繁に繰り返される「情報のアップデート(最新化)」と、「新機能・新製品のリリース」。たちまちワタシの頭の中は、たくさんのロボットで大渋滞をはじめました。ロボットに仕事をしてもらうはずが、逆にロボットに追いかけ回される毎日。夢のような仕組みのはずが、悪夢のような仕掛けの数々。くうー!これがロボットの反乱ってヤツかー!
……コホン。そんな大変な時間がしばらく続いて、ようやく少しだけロボット達と打ち解けてきた頃、ワタシは「RPA」に対して、ひとつの「思い」を持つようになっていました。
『ロボットと一緒に働くのは、想像以上に難しいけど、ロボットと一緒に働くのは、超楽しい!』
RPAを好きになろう
現在ワタシは、RPA総合プラットフォームメディアの『RPA BANK』で、「RPAのはじめかた」という連載記事を書いています。様々なRPAツールを「実際に」使ってみて、その「面白さ」と「難しさ」を、体験談(≒失敗談)的な形でお話しさせていただく、というのがその内容です。
RPAのことを知って、その夢のような世界にワクワクして、今まさに「RPAツールに触れてみよう!」というみなさまが、ココにいるダレかさんみたいに、『スタートと同時に転倒!』ということにならないよう、何か「ガイド的なもの」を作ることができたら……と思ったのです。
この本は、そんな連載の「思い」はそのままに、「①新しい情報の追加」と、「②混線していた情報の整理」をして、もちろん、ムズカシイ言葉はなるべくカンタンに、頭が痛くなりそうな部分には例え話を織り交ぜつつ、よりスッキリした『RPAはじめましてさんのためのガイドブック』を目指して作りました。本当に多くの方にご協力いただいて、どうにかこうにか形になった……のですが。
最初に、みなさまにひとつだけ『注意事項』がございます。
この本のゴールは、「RPAの深い概念を知り、RPAツールのエキスパートになり、業務をグイグイと改善していくこと」では、ありません。
「RPAの世界のワクワク感」と、「RPAツールの美味しい部分(カンタンで、すぐ役に立つ部分)」を、なるべく美味しく「味見(体感)」して、『RPAを好きになること!』が、ゴールです。
もしかしたら、「少し物足りないなー」と思う方もいるかもしれませんね。
でも、みなさまもワタシも、せっかくRPAの世界に興味を持った仲間です。そして、RPAは、これからワタシ達の職場にドンドン広がっていきます。まだ「はじまったばかり」なのです。だったら、いきなり「高いハードル」を設けるのではなく、まずは純粋に、「自分で作ったロボットが動く」という『楽しさ』を体感するのが大事なんじゃないかと、そう思いました。
・自分が作ったロボットが頑張って動いている姿を見たら、きっとロボットに愛着が湧いてきます。
・ロボットに愛着が湧いてきたら、もっと彼らと一緒に仕事がしたくなります。
・そして、当たり前のようにロボット達と仕事をするようになったら……。
それってもう、「RPAでバッチリ業務改善ができている」ということですよね!
さあ、それではみなさま、心の準備はできましたか?ワクワクドキドキの「はじめてのRPAツアー」のはじまりです。「RPAってナニモノ?」という方も、「IT自体がニガテッス」という方も、みんなで一緒に楽しみながら、RPAの世界を旅していきましょう!
カワサキタカシ
本書の読み方
RPAツアー5つの見どころ
さて、ここからは、「本書の読み方」、もとい「はじめてのRPAツアー」の「見どころ」について、ご案内します。「絶景湯けむり温泉グルメツアー」とか「ハイテク自動車工場見学ツアー」とか、ツアーには「見どころ」が必要ですもんね。
先ほどワタシは、「はじめに」のページで、「この本はロボットを動かす楽しさを体感して、RPAを好きになることを目的にしている」と書きました。ですので当初、ツアーの見どころは、単純に「RPAの世界をたっぷり満喫すること」にしようと思っていたわけです。
ところが、「RPAの世界」は毎日とてつもない勢いで「成長」を続けていて、各社から提供されているひとつひとつの「RPAツール」からも、次々と「新しい機能」が生まれている、という状況が少しずつハッキリしてきまして。端から順番にお話をしていこうと思ったら……「全然ページ数が足りない」 ことに気付いてしまったのです。
では、限られたページ数の中で、広大なRPAの世界を目一杯楽しむためにはどうしたら良いのか。 それも、「RPA はじめまして」のみなさまにご満足いただくためにはどうしたら良いのか。その難題を 解決するために、アレを削ってコレを加えて、見どころをギュギュッー!と厳選することにしました。
それではご紹介します。こちらが、「はじめてのRPAツアー、厳選5つの見どころ」です!
見どころ① ムズカシイお話は少な目に、実際のRPA ツールの画面をたくさんご紹介します
RPA は「業務改善(働き方改善)」とも深く関わっていますので、一歩奥地に足を踏み入れると、「社会的なお話」だったり、「ビジネス的なお話」だったり、ムズカシイ話題になりがちです。
「RPAが変えるこれからの働き方」
「RPA が各産業に与えるビジネスインパクト」
「ロボットVS人間 お仕事十番勝負!」
……ね?なんだか急にこの本が、『ズシッ』と重たくなったような気がするでしょう?
ズシッとムズカシイそのあたりのことは、専門の学者の先生や、百戦鏡磨のビジネスコンサルタントの方々が書かれている「シッカリ本」にお任せすることにしまして。かわりにこの本では、「実際のRPAツールの画面」を「ドッサリ」「クッキリ」ご紹介することにしました。そう、こんな感じに。
・まず、本の大きさを「B5 サイズ」にして表面積を増やす
・その上で、各ページの半分を「画面紹介エリア」にする
・さらに、「全ページフルカラー」にして画像をより鮮明にする
結果、本自体が「少々大きく」「少々ド派手に」なってしまったような……気もしますが、その分、 本当にたくさんの画面を入れることができました。どうぞ隅から隅まで「たっぷりと」RPAツールの雰囲気を味わってくださいね。
見どころ②ひとつだけではなく、複数のRPAツールをご紹介します
いくらRPAの世界が広すぎるとはいえ、さすがにこの本で取り扱うRPAツールが「ひとつだけ」や、「ふたつだけ」というのは、寂し過ぎますよね。
ということで、この本では、「入る限りたくさんのRPAツールをご紹介する」……ことにしたのですが、最近のRPAツールは、「数」だけではなく、「様々なバリエーション」も生まれてきていますので、 どれを選んだら良いのか、決めるのがとってもムズカシイのです。うーむ。
散々悩んだ結果、今回は「RPAはじめまして」のみなさま用に、数ある RPAツールの中から、『これを知っていると、後々の基準になるハズ』という、以下の「4つ」のRPAツールを選ぶことにしました。
・純国産のRPAツール「WinActor」
・日本のRPAツールの先駆け「BizRobo!」
・豊富なサポートを持つ万能RPAツール「UiPath」
・完全無料の未来型RPAツール「RPA Express」
ねっ!どうでしょう!?(と、今言われても困ると思いますが)、いずれ劣らぬ「超豪華」なRPAツールが揃いましたよ。しかも「4つ」も!RPAツール編では、業界でも超有名なこれらのツールを使いながら、お話を進めていきます。
「でも、4つもツールがあっても、やることが全部同じじゃつまらなくない?」と、思っているそこの アナタ、ご安心ください。それぞれのツールが「得意とすること」をメインに、「色々なロボット」を作っていきます。4つのツールを横断して、1つの大きな「RPA ツールの魅力」を体感してくださいね。
見どころ③有料のツールだけではなく、無料で使えるツールもご紹介します
IT関連のツールは、「実際に使ってみる」のが、正しい理解への近道です。まさに「習うより慣れよ」で。山ほどの言葉で説明されてもイマイチピンとこなかったことが、実際に使ってみたらすぐにわかった、なんてことがよくあります。
今回もそんな感じに、「実際に使って勉強する」ということをしたかったのですが……RPAツールには少々悩ましい問題がありまして。もしみなさまが、「実際に導入して使ってみよう」と思った場合、なんと「数十万円~数百万円」もの費用が必要になるのです。そう、安くないのです、RPAツールって。
「じゃあ、お試しで使ってみよう」と思った場合、今度は各ツールの販売代理店さんにお願いして! 週間~数ヶ月分のトライアルライセンス」を発行してもらうなど、少々煩雑な手続きが必要になります RPA ツールには、「気軽にポンッと使えるもの」が少ないのです。
「えー、せっかく本を読んでRPAに興味が湧いたのに、今すぐ使うことはできないのー!?とみなさまをガッカリさせないよう、4つの RPAツールの中に、「無料で使えるRPAツール」を入れておきましたよ。それが、「UiPath」と、「RPA Express」の2つです!(注:一部使用条件があります)
こちらの2つのツールについては、「インストールのやり方」もご紹介しますので、みなさまもぜひ、 ご自身のパソコンに「本物のRPAツール」をインストールして、実際に使ってみてくださいね。
見どころ④この本を読んだ後、次に何をすればいいのかをご案内します
さてさてみなさま、少々「気が早いお話」なのですが……、もしこの本を最後まで読み終わったら、『次』 は何をしましょうか?
RPAの世界は広大で、しかもスゴい勢いで成長を続けています。この本でRPAを好きになったみなさまが、パタッと本を閉じた後、インターネットで「RPA」を検索して、その「膨大過ぎる情報」を 前に、「やっぱりワタシには敷居が高いかも……」と立ち尽くす。
そんな悲しいことがあってはいけません!
そこで、「この本の次にすることのヒント」として、最後に『RPA情報局」を用意しておきました。
この本に登場したRPAツール、そして、この本に入りきらなかった魅力的なRPAツールまで含めた、 「厳選RPAツール」のご紹介。この本に多大なるご協力をしていただいている、RPA総合プラットフォー ムメディア「RPA BANK」のご紹介。などなど。
「次の一歩」を踏み出すみなさまにとって、役に立ちそうな情報を「まるっと」まとめておきました。ので、この本を読み終わったら、「面白そう!」と思った場所にドンドン出かけてみてくださいね!
見どころ⑤ 肩の力を抜いて読めるよう、カワイイ(?)キャラクターがご案内します
そうそう、ツアーといえば、「ガイド(案内役)」が必要です。
今回、この「はじめてのRPAツアー」をサポートする楽しいガイドとして、『ハカセ』と『コロボ君』というコンビをご用意しました。
「RPAの世界や RPAツールにとっても詳しいという設定で、ツアーの先生役を務めるハカセ」と、「ハカセが自作パソコンの余りパーツで作ったという設定で、RPAのロボット役、兼ツッコミ役を務めるコロボ君」のコンビです。
……おやおや?どうしました?ジェントルマンのみなさま。
……ふむふむ、なんだか「トキメキ要素」が少ない、ですと?
まったくもう、何をおっしゃいますか。もしもガイドが、「ショートヘアとメガネが似合う、知的で キュートなお姉さん」では、ドキドキしちゃって内容がサッパリ頭に入ってこないでしょう?
ということで、このコンビのゆるーい案内でお話を進めていきます。みなさまもどうぞ肩の力を抜いて、のんびりとツアーをお楽しみくださいませ。
それでは、はじめましょう!
さてさて、スッカリ前置きが長くなりましたが、ツアー出発前の説明は以上です!
……おっと、最後にもうひとつだけ。
この本の中には、みなさまが普段あまり聞き慣れない『RPA専門用語』がポコポコ出てきます。
ハカセやコロボ君が、なるべくわかりやすい言葉に置き換えてお話をしてくれると思いますが、もしも、万が一眠くなってしまった時のために、頭をスッキリさせる『苦ーいコーヒー』と、気持ちを元気にする『甘ーいチョコレート』のご準備はお忘れなく。
さあ、これで準備はバッチリです!それではみなさま、RPAの世界へ行ってらっしゃい!
CONTENTS
はじめに
本書の読み方
第1章 RPAってなんだろう?
01 RPAってなんだろう?
RPAとは?/RPAツールとは?
02 RPAロボットができること
RPAロボットはものまねロボット/RPAロボットは何に使うの?
03 RPAロボットと○○の違い
Excelマクロと何が違うの?/AIロボットと何が違うの?
04 RPAツールを見ていくポイント
RPAとRDA/RPAとお金の考え方/休憩タイム
第2章 純国産のRPAツールを見てみよう~WinActor
05 WinActorってどんなツール?..
純国産のRPAツール/RPAツールとしての第一印象/WinActorの動作環境
06 WinActorの画面を見てみよう
WinActorの画面
07 メモ帳に文字を書くロボットを作ろう
はじめてのロボット作り/WinActorでロボット作り①
08 Excelを使って計算するロボットを作ろう
WinActorでロボット作り②/休憩タイム
第3章 先駆的なRPAツールを見てみよう ~BizRobo!
09 BizRobo!ってどんなツール?
日本のRPAツールの先駆け/RPAツールとしての第一印象/BasicRobo!の動作環境
10 BizRobo!の画面を見てみよう
Design Studioの画面/Management Consoleの画面
11 Webから情報を取得するロボットを作ろう
BasicRobo!でロボット作り①
12 管理機能でロボットにスケジュールを設定しよう
BasicRobo!でロボット作り②/スケジュールを設定しよう/休憩タイム
第4章 万能型のRPAツールを体験しよう ~UiPath
13 UiPathってどんなツール?
豊富なサポートを持つRPAツール/RPAツールとしての第一印象/UiPathの動作環境
14 UiPathをインストールしよう
UiPathのインストール
15 UiPathの画面を見てみよう
UiPath Studioの画面
16 電卓とメモ帳を連携させるロボットを作ろう
UiPath Studioでロボット作り①
17 条件分岐でロボットの動きに変化をつけよう
WiPath Studioでロボット作り②/休憩タイム
第5章 未来型のRPAツールを体験しよう〜RPA Express
18 RPA Expressってどんなツール?
完全無料のRPAツール/RPAツールとしての第一印象/RPA Expressの動作環境
19 RPA Expressをインストールしよう
RPA Expressのインストール
20 RPA Expressの画面を見てみよう
WorkFusion Studioの画面
21 ペイントで絵を描くロボットを作ろう
WorkFusion Studioでロボット作り①
22 色々なサンプルロボットを動かしてみよう
WorkFusion Studioでロボット作り②/休憩タイム
第6章 もっとRPAを知るための「RPA情報局」
23 厳選!注目のRPAツール15選
24 「RPA BANK」で最新情報を入手しよう
RPA BANKとは?/さあ!出かけよう!
25 RPAの楽しみかた ~RPA BANK 武藤氏インタビュー
RPAとの出会い/RPA BANKが果たす役割
おわりに
索引
ご購入・ご利用の前に必ずお読みください
●本書に記載された内容は、情報提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた運用は、必ずお客様自 身の責任と判断によって行ってください。これらの情報の運用の結果について、技術評論社および著者はいかなる責任も負いません。
●本書で紹介しているRPA ツールは、以下のバージョンのものを使用しています。その他の記述は、特に断りのないかぎり、2018年10月での最新情報をもとにしています。これらの情報は更新される場合があり、本書の説明とは異なってしまうことがあり得ます。あらかじめご了承ください。
WinActor「5.1.3」
BasicRobo!「10.3.0.7」
UiPath「2018.3.1」
RPA Express「2.1.2.816」
●インターネットの情報については、URLや画面などが変更されている可能性があります。ご注意ください。
以上の注意事項をご承諾いただいた上で、本書をご利用願います。これらの注意事項をお読みいただかずに、お問い合わせいただいても、技術評論社および著者は対処しかねます。あらかじめご承知おきください。
本書に掲載した会社名、プログラム名、システム名などは、米国およびその他の国における登録商標または間は、 本文中では、マークは明記していません。
【エキスパート】の参考書
目次 – 徹底解説RPAツール WinActor導入・応用完全ガイド
はじめに
働き方改革や労働人口の減少、さまざまな問題を抱える日本で、不足する労働力の補完役として期待されているのがRPAです。
このRPAの利用により、多くの事務要員を抱えて行っていた作業、もしくは外部へ依頼していた事務業務の置き換え、さらに将来的にはAIの発展に伴って非定型業務への適用も可能とされています。
そのRPA導入において、私たちが重要視するのは2点です。
「RPA導入による目指したい姿(ゴール)」
「定量的な業務削減工数目標」
この2つにRPA開発のテクニックが加わることになります。
しかしながら、私たちがお客さまからRPAの相談をお受けする際、ここを明確にせずにRPA開発に着手する会社さまが多いのが事実です。
漠然としたコスト削減や業務効率を掲げ、RPAにおける業務設計を十分に行わず導入した結果、思うような効果がでなかった、ということもしばしばあります。
このRPA導入が成功した会社とそうでなかった会社の違いは、明確に、上記2点の検討時間の違いが挙げられると私たちは考えています。
私たちはソフトバンクグループの一員として、WinActorを使ったRPAのロボット稼働は、すでに約350人月分にも及びます。
そのRPA化、すなわちロボットによるPC自動操作の開発ポイントとして、RPAを導入する組織の徹底した業務の棚卸し、そして現場の方たちが主体的にRPAの理解を深めていただくということに多くの時間を使います。
さらに、運用開始後に想定される各フローの流れまでを、担当者と協議し、抜け漏れがないかのチェックを行います。
その上で、この業務を自動化する意味、ゴールを双方合意のもとで、定量的に設定し、実現したときにどのような効果が生まれるかを打ち出します。
この流れを作ること、すなわち業務プロセス把握の徹底が、RPA化の成否を分けると言っても過言ではありません。
そうは言っても、私たち自身も何度もトライアンドエラーを繰り返しアよっては業務設計不足による、シナリオのマイグレーションもありました。
そこで、本書はWinActorのテクニック教則本に留まることなく、私たちが公で培ったRPA化へ向けたアプローチ方法やノウハウ、私たちの過去の失敗を元にしたRPA開発プロセスを余すことなくお伝えしようと思います。
RPAは大変便利なツールです。
労働人口が減少する日本での救世主になりえるツールだと私たちは考えています。
だからこそ、私たちがいままで苦労して行った業務ヒアリング、そして失敗してきたシナリオ開発と同じ道をたどることなく、読者の皆様、また導入企業の皆様のお役に立てれば、この上ない幸せです。
2019年3月
SBモバイルサービス株式会社
清水亮
目次
はじめに
第1章 RPAの基礎
1-1 RPAとは
1-1-1 起源
1-1-2 日本の課題とRPAの登場
1-1-3 RPAの段階
1-2 基本情報
1-2-1 RPAに適した業務
1-2-2 相性の良い業務
1-2-3 RPAのメリット
1-2-4 RPAツール
1-3 成功の秘訣
1-3-1 推進体制の構築
1-3-2 RPA以外の業務効率化手法
1-3-3 BPR
1-4 ワンポイントアドバイス
1-4-1 100%を狙わない
1-4-2 主役は業務担当者
第2章 開発検討から運用までのプロセス
2-1 RPA導入を始める前に知っておくべき重要なポイント
2-1-1 具体的な目標、規模、体制の整理
2-1-2 RPAの導入体制は業務部門主導型
2-1-3 効果と範囲
2-1-4 リスクの評価
2-2 役割ごとのモチベーションの高め方
2-3 事前評価(RPAツールの選定) ~本格導入へのプロセス
2-3-1 事前評価プロセス
2-4 本格導入プロセス:RPAツールの選定~ヒアリング~アセスメント(PoC)~検証~開発・評価~運用
2-4-1 対象業務のリスト化
2-5 効果を見極めて開発業務と開発範囲を選定
2-5-1 業務の見直し
2-5-2 業務の可視化(現業務の棚卸)
2-6 誰が見ても分かるフロー図の作成
2-6-1 条件分岐を明確にする
2-7 例外、エラー時の処理は明確なルールを設定する
2-8 RPAにおけるDevOpsとアジャイル開発
2-9 シナリオの開発~マニュアルの作成
2-10 イレギュラーパターンも含めたテストの実施
2-11 導入初期の評価ではあまり時間をかけない
2-11-1 運用
第3章 WinActorとは
3-1 WinActorの特徴
3-2 ソフトバンクがWinActorを選んだ理由
3-3 WinActorの導入において気を付けるべきこと
3-3-1 ソフトウェアの入手方法とライセンスの種類
3-3-2 クライアントPCの占有
3-3-3 学習コンテンツの不足
3-4 WinActorのインストール
3-4-1 動作環境
3-4-2 インストール方法
3-5 WinActorの基本操作
3-5-1 画面構成
3-5-2 シナリオの作り方
3-5-3 プロパティ設定
3-5-4 画像マッチング
3-6 対応可能なインターフェース
3-7 変数
3-7-1 変数とは?
3-7-2 WinActorの変数設定
第4章 シナリオ開発標準
4-1 処理単位でのグループ化
4-2 共通処理はサブルーチン化
4-3 ノード・ライブラリの命名ルール
4-3-1 グループの命名ルール
4-3-2 ノード・ライブラリの命名ルール
4-4 繰り返し、分岐の命名ルール
4-4-1 繰り返しの命名ルール
4-4-2 分岐の命名ルール
4-5 変数の取扱いルール
4-5-1 変数の命名ルール
4-5-2 変数の結合ルール
4-6 定数の取扱いルール
4-7 シナリオの命名ルール
4-8 ウィンドウ識別名の整理
4-9 不要な変数の削除
4-10 優先インターフェース
第5章 Webデータの取得
5-1 学習する主な操作
5-2 作成シナリオの概要
5-3 Webブラウザ(IE)操作
5-3-1 不要なIEを事前に閉じる
5-3-2 IE起動
5-3-3 ウィンドウ状態待機
5-3-4 ウィンドウ最大化
5-3-5 IEの倍率を100%に設定
5-3-6 自動記録アクション(IEモード)
5-3-7 ウィンドウ状態待機を設定
5-4 画像マッチング
5-4-1 料金の安い順をクリック
5-4-2 検索結果画面待機
5-4-3 検索結果の取得
5-4-4 IEを閉じる
第6章 取得データの操作
6-1 学習する主な操作
6-2 作成シナリオの概要
6-3 インプットボックス
6-4 条件分岐
6-5 変数値設定
6-6 ウィンドウ識別ルールの設定
第7章 Excel操作
7-1 学習する主な操作
7-2 作成シナリオの概要
7-3 Excel処理に必要な変数の作成
7-4 Excelの値を読み込む
7-5 Excelへ値を書き込む
7-6 繰り返し処理
7-7 Excelを上書き保存して閉じる
第8章 高度なWebブラウザ操作テクニック
8-1 HTML概要
8-1-1 frame
8-1-2 tag
8-1-3 class
8-1-4 id
8-1-5 type
8-1-6 name
8-1-7 text
8-2 高度なWebブラウザ(IE)操作
8-2-1 ターゲット情報の確認方法
8-3 Webブラウザ(Chrome)操作
8-3-1 XPath
第9章 エラー・例外発生を想定したシナリオ開発
9-1 例外処理
9-1-1 例外処理活用方法
9-2 デバッグ
9-2-1 エラーの原因と解消方法
9-3 ログの活用
9-3-1 ログの出力項目
9-3-2 ログの確認方法
9-4 特殊変数
第10章 押さえておきたい便利な機能
10-1 メール送信
10-1-1 ライブラリ「メール送信」
10-1-2 スクリプトの修正方法
10-1-3 設定項目と設定方法
10-1-4 SMTPサーバとポート番号
10-2 ログイン処理
10-2-1 変数一覧の初期値による設定
10-2-2 インプットボックスを使った入力
10-2-3 ユーザーファイルを使用した処理
10-3 アプリケーションの起動方法
10-3-1 デスクトップのアイコンをクリック
10-3-2 コマンド実行
10-3-3 ファイルを指定して起動ウィンドウより起動
10-4 画像が見つかるまで下スクロール(画像マッチング)
10-5 営業日確認
10-6 データ一覧
10-6-1 処理可能なファイル形式、データ形式
10-6-2 データ一覧の機能
10-6-3 データ一覧のインポート
10-7 日付による分岐
10-8 テキストから項目の値の取り出し
10-8-1 テキストから項目の値の取り出し方法①
10-8-2 テキストから項目の値の取り出し方法②
10-9 IE画面のHTML情報を一括取得
第11章 総合演者
11-1 全体概要
11-1-1 課題とゴール
11-1-2 使用するExcelファイル
11-1-3 使用フォルダ構成
11-1-4 株価検索の画面遷移
11-1-5 総合演習 完成イメージ
11-1-6 シナリオ内の変数一覧
11-2 課題①ファイルパス作成
11-2-1 文字列操作の完成イメージ
11-2-2 使用するノード
11-2-3 フォルダ操作
11-3 課題②前月末営業日取得
11-3-1 使用するファイル
11-3-2 Excel検索の完成イメージ
11-3-3 使用するノード
11-3-4 前月末日の取得
11-3-5 前月末営業日を取得
11-3-6 前月末営業日の書式変更
11-3-7 Excel検索の完成シナリオ
11-3-8 ここまでの完成シナリオ
11-4 課題③Excelより検索企業名取得
11-4-1 使用するファイル
11-4-2 Excelフィルタの完成イメージ
11-4-3 使用するノード
11-4-4 エクセルのフィルタ
11-4-5 Excelフィルタの完成シナリオ
11-4-6 ここまでの完成シナリオ
11-5 課題④前月末株価取得
11-5-1 株価検索の画面遷移
11-5-2 Chrome操作の完成イメージ
11-5-3 使用するノード
11-5-4 ブラウザを起動
11-5-5 企業名を検索
11-5-6 企業コードを取得
11-5-7 企業コードが数値4桁かの確認
11-5-8 時系列タブをクリック
11-5-9 繰り返し処理の作成
11-5-10 表「時系列」の「日付」取得
11-5-11 日付と前月末営業日の比較で分岐
11-5-12 「行番号」のカウントアップ
11-5-13 ブラウザのクローズ
11-5-14 Chrome操作の完成シナリオ
11-5-15 ここまでの完成シナリオ
11-6 課題⑤Excelへの書込み
11-6-1 使用するファイル
11-6-2 Excel書込みの完成シナリオ
11-6-3 使用するノード
11-6-4 前月終値を書き込み
11-6-5 ここまでの完成シナリオ
11-7 課題⑥繰り返し処理
11-7-1 株価取得繰返し処理の完成イメージ
11-7-2 使用するノード
11-7-3 繰返し処理
11-7-4 株価取得繰返し処理の完成シナリオ
11-7-5 ここまでの完成シナリオ
11-8 課題⑦ファイルの新規作成
11-8-1 Excelファイル操作の完成イメージ
11-8-2 使用するノード
11-8-3 保存ファイルパスの作成
11-8-4 保存ファイルの作成
11-8-5 処理ファイルの再フィルタ
11-8-6 保存ファイルへコピーして閉じる
11-8-7 処理ファイルの値をクリアして閉じる
11-8-8 Excelファイル操作の完成シナリオ
11-8-9 ここまで全体の完成シナリオ
11-9 課題⑧Gmail送信
11-9-1 Gmail送信の完成イメージ
11-9-2 使用するノード
11-9-3 Gmail送信
11-9-4 総合演習完成シナリオ
付録
FAQ
各種サンプル
比較演算子一覧
正規表現
特殊変数一覧
役立つショートカットキー
索引
目次 – Ver.6.1対応 徹底解説RPAツール WinActor導入・応用完全ガイド
まえがき
RPAは、従来「人間が手作業で行っていた」 PC上の作業をソフトウェアロボット が代行・支援できることから、「働き方改革」や「デジタルトランスフォーメーション」 の潮流により急速に注目されている技術です。
NTTグループでは、この潮流が高まる以前の2008年頃から、NTTアクセスサービスシステム研究所にて現場での作業効率化技術の研究開発を進め、2014年に NTTアドバンステクノロジ株式会社にてこの研究開発成果を活用した純国産・完全 日本語対応 RPA 製品「WinActor」を製品化し、販売開始しました。
WinActorでは、さまざまなPC操作を記述した「シナリオ」に従い、ソフトウェア ロボットがPC操作を代行します。「シナリオ」作成に特別なプログラミングスキル が不要であることが大きな特徴であり、人が行うPC操作を記録することで自動的 に「シナリオ」を作成できます。この特徴により、業種・業態を問わず導入企業の現 場社員自らが業務効率化を推進、生産性向上へと導き、「業務改善への意識改革が 現場から企業全体に浸透した」といった高い評価も頂いています。
大規模なお客様の要望に応えるため管理機能(クラウド型WinActor Manager on Cloudやオンプレミス型 WinDirector)も充実しています。さらに、オフィス機器ベ ンダ、人材育成会社、業務アウトソース会社等の多岐に渡る領域の企業との協業が 進み、関連市場を創出、拡大させた結果、国内トップシェアとの評価を得ています。
WinActorは、今後、AIとの連携を進め、判断を伴う非定型業務への対応等、よ り人間に近い能力を具備させることで適用範囲を飛躍的に広げ、人とロボットの協 業による便利で豊かな未来社会の実現を目指します。
本書は、SBモバイルサービス株式会社の豊富なWinActorのシナリオ作成経験、 ヘルプデスク運用実績や研修実績をベースに、WinActorによる業務自動化の検討段階からシナリオの開発、運用プロセス、実際の導入ノウハウに至るまで、大変 分かりやすくまとめた、ある意味、テクニック教則本を超えたものです。本書及び WinActorが、読者の皆様やお客様の生産性向上、ひいてはデジタルトランスフォー メーションに一層、貢献するものと期待しております。
2019年8月
NTTアドバンステクノロジ株式会社
取締役 AIロボティクス事業本部長
髙木康志
はじめに
あの日このように早く改訂版をお届けできるのを大変嬉しく思います。
本書の元になった初版『徹底解説RPAツール WinActor導入・応用完全ガイド』(2019年4月)は、RPA入門者から実務者までわかりやすく読み切れる専門書を目指して執筆し、多くの方々にご好評をいただきました。
そして出版から約2ヶ月、WinActorのメジャーバージョンアップ(Ver.6)を迎え、メール受信機能、画像マッチングの精度向上、さらにGoogle Chrome操作の自動記録など、WinActorは私たちがRPAを開発するのに大きな進化を遂げました。
われわれは今回の改訂版で、上記の新機能に対応して、内容の更新に努めました。
RPAは現在においても、働き方改革や労働人口の減少の補完役として期待されている、大変便利なツールです。
市場では、「RPAは二巡目」と言われており、大企業を中心にRPAの導入が浸透する中で、RPAの応用としてAIを活用した非定形業務への適用、そしてさらに、中小企業の本格的なRPAの導入ステージと言われています。
また、すでにRPAを導入した企業はさらに高度なRPA化へ、そして中小企業は業務に適正なRPAツールを選定し、業務を自動化・効率化していきます。
われわれは、今回のWinActorメジャーバージョンアップにより追加された機能の検証をいち早く行うとともに、すでに WinActorを導入しているユーザー、すなわちシナリオを作成し、実行しているユーザーに、今回の機能が業務にどのように活用で きるのか、またバージョンアップ後に必要な機能の利用方法を余すことなく盛り込み、執筆いたしました。
また、上記の通り、これからRPAツールを選定し、WinActorを利用するユーザーにも分かりやすく、機能ごとの解説を目指しました。
初版でも記載の通り、われわれはソフトバンクグループ内で多くのデジタルレイ バーとしてのWinActorによる自動化業務を運用しており、何度もトライアンドエラー を繰り返し、RPA化のノウハウを蓄積して参りました。
前著に引き続き、本書では WinActorの新機能をいかに活用し、どのようなRPA開発プロセスを目指すのかをお伝えしようと思います。
本改訂版が、読者のみなさま・導入企業のRPA化の理解に貢献できることを願っております。
2019年8月
SBモバイルサービス株式会社
清水 亮
目次
まえがき
はじめに
第1章 RPAの基礎
1-1 RPAとは
1-1-1 起源
1-1-2 日本の課題とRPAの登場
1-1-3 RPAの段階
1-2 基本情報
1-2-1 RPAに適した業務
1-2-2 相性の良い業務
1-2-3 RPAのメリット
1-2-4 RPAツール
1-3 成功の秘訣
1-3-1 推進体制の構築
1-3-2 RPA以外の業務効率化手法
1-3-3 BPR
1-4 ワンポイントアドバイス
1-4-1 100%を狙わない
1-4-2 主役は業務担当者
第2章 開発検討から運用までのプロセス
2-1 RPA導入を始める前に知っておくべき重要なポイント
2-1-1 具体的な目標、規模、体制の整理
2-1-2 RPAの導入体制は業務部門主導型
2-1-3 効果と範囲
2-1-4 リスクの評価
2-2役割ごとのモチベーションの高め方
2-3 事前評価(RPAツールの選定)~本格導入へのプロセス
2-3-1 事前評価プロセス
2-4 本格導入プロセス:RPAツールの選定~ヒアリング〜アセスメント(PoC)~検証~開発・評価~運用
2-4-1 対象業務のリスト化
2-5 効果を見極めて開発業務と開発範囲を選定
2-5-1 業務の見直し
2-5-2 業務の可視化(現業務の棚卸)
2-6 誰が見ても分かるフロー図の作成
2-6-1 条件分岐を明確にする
2-7例外、エラー時の処理は明確なルールを設定する
2-8 RPAにおけるDevOpsとアジャイル開発
2-9 シナリオの開発~マニュアルの作成
2-10 イレギュラーパターンも含めたテストの実施
2-11 導入初期の評価ではあまり時間をかけない
2-11-1 運用
第3章 WinActorとは
3-1 WinActorの特徴
3-2 ソフトバンクがWinActorを選んだ理由
3-3 WinActorの導入において気を付けるべきこと
3-3-1 ソフトウェアの入手方法とライセンスの種類
3-3-2 クライアント PCの占有
3-3-3 学習コンテンツの不足
3-4 WinActorのインストール
3-4-1 動作環境
3-4-2 インストール方法
3-5 WinActorの基本操作
3-5-1 画面構成
3-5-2 シナリオの作り方
3-5-3 プロパティ設定
3-5-4 画像マッチング
3-6 対応可能なインターフェース
3-7 変数
3-7-1 変数とは?
3-7-2 WinActorの変数設定
第4章 シナリオ開発標準
4-1 処理単位でのグループ化
4-2 共通処理はサブルーチン化
4-3 ノード・ライブラリの命名ルール
4-3-1 グループの命名ルール
4-3-2 ノード・ライブラリの命名ルール
4-4 繰り返し、分岐の命名ルール
4-4-1 繰り返しの命名ルール
4-4-2 分岐の命名ルール
4-5 変数の取扱いルール
4-5-1 変数の命名ルール
4-5-2 変数の結合ルール
4-6 定数の取扱いルール
4-7 シナリオの命名ルール
4-8 ウィンドウ識別名の整理
4-9 不要な変数の削除
4-10 優先インターフェース
第5章 Webデータの取得
5-1 学習する主な操作
5-2 作成シナリオの概要
5-3 Webブラウザ(IE)操作
5-3-1 E起動
5-3-2 ウィンドウ状態待機
5-3-3 ウィンドウ最大化
5-3-4 IEの倍率を100%に設定
5-3-5 自動記録アクション(IEモード)
5-3-6 ウィンドウ状態待機を設定
5-4 画像マッチング
5-4-1 料金の安い順をクリック
5-4-2 検索結果画面待機
5-4-3 検索結果の取得
5-4-4 IEをトップページへ戻す
第6章 取得データの操作
6-1 学習する主な操作
6-2 作成シナリオの概要
6-3 インプットボックス
6-4 条件分岐
6-5 変数値設定
6-6 ウィンドウ識別ルールの設定
第7章 Excel操作
7-1 学習する主な操作
7-2 作成シナリオの概要
7-3 Excel処理に必要な変数の作成
7-4 Excelの値を読み込む
7-5 Excelへ値を書き込む
7-6 繰り返し処理
7-7 Excelを上書き保存して閉じる
7-8 IEを閉じる
第8章 高度なWebブラウザ操作テクニック
8-1 HTML概要
8-1-1 frame
8-1-2 tag
8-1-3 class
8-1-4 id
8-1-5 type
8-1-6 name
8-1-7 text
8-2 高度なWebブラウザ(IE)操作
8-2-1 ターゲット情報の確認方法
8-3 Webブラウザ(Chrome)操作
8-3-1 自動記録アクション(Chromeモード)
8-3-2 XPath
第9章 エラー・例外発生を想定したシナリオ開発
9-1 例外処理
9-1-1 例外処理活用方法
9-2デバッグ
9-2-1 エラーの原因と解消方法
9-2-2 ブレイクポイントとステップ実行
9-3 ログの活用
9-3-1 ログの出力項目
9-3-2 ログの確認方法
9-4 特殊変数
第10章 押さえておきたい便利な機能
10-1 メール送信
10-1-1 ライブラリ「メール送信」
10-1-2 スクリプトの修正方法
10-1-3 設定項目と設定方法
10-1-4 SMTPサーバとポート番号
10-2 メール管理
10-2-1 メール受信設定
10-2-2 メール受信とメール情報取得シナリオ
10-3 ログイン処理
10-3-1 変数一覧の初期値による設定
10-3-2 インプットボックスを使った入力
10-3-3 ユーザーファイルを使用した処理
10-4 アプリケーションの起動方法
10-4-1 デスクトップのアイコンをクリック
10-4-2 コマンド実行
10-4-3 ファイルを指定して起動ウィンドウより起動
10-5 画像が見つかるまで下スクロール(画像マッチング)
10-6 営業日確認
10-7 データ一覧
10-7-1 処理可能なファイル形式、データ形式
10-7-2 データ一覧の機能
10-7-3 データ一覧のインポート
10-8 日付による分岐
10-9 テキストから項目の値の取り出し
10-9-1 テキストから項目の値の取り出し方法
10-9-2 テキストから項目の値の取り出し方法2
10-10 WinActorノート
10-10-1 WinActorノートの起動方法と操作方法
10-10-2 WinActorノートを使ってシナリオ作成
10-11 IE画面のHTML情報を一括取得
10-12 スクリプト実行
10-12-1 ノード「スクリプト実行」のプロパティ画面説明
10-12-2 スクリプトパラメータ
10-12-3 WinActor独自関数
第11章 総合演習
11-1 全体概要
11-1-1 課題とゴール
11-1-2 使用するExcelファイル
11-1-3 使用フォルダ構成
11-1-4 株価検索の画面遷移
11-1-5 総合演習 完成イメージ
11-1-6 シナリオ内の変数を変数一覧のインポートにより作成
11-2 課題①ファイルパス作成
11-2-1 文字列操作の完成イメージ
11-2-2 使用するノード
11-2-3 ファイルパス作成
11-3 課題②前月末営業日取得
11-3-1 使用するファイル
11-3-2 Excel検索の完成イメージ
11-3-3 使用するノード
11-3-4 前月末日の取得
11-3-5 前月末営業日を取得
11-3-6 前月末営業日の書式変更
11-3-7 Excel検索の完成シナリオ
11-3-8 ここまでの完成シナリオ
11-4 課題③Excelより検索企業名取得
11-4-1 使用するファイル
11-4-2 Excelフィルタの完成イメージ
11-4-3 使用するノード
11-4-4 Excelのフィルタ
11-4-5 Excelフィルタの完成シナリオ
11-4-6 ここまでの完成シナリオ
11-5 課題④前月末株価取得
11-5-1 株価検索の画面遷移
11-5-2 Chrome操作の完成イメージ
11-5-3 使用するノード
11-5-4 ブラウザを起動
11-5-5 企業名を検索
11-5-6 企業コードを取得
11-5-7 企業コードが数値4桁かの確認
11-5-8 時系列タブをクリック
11-5-9 繰り返し処理の作成
11-5-10 表「時系列」の「日付」取得
11-5-11 日付と前月末営業日の比較で分岐
11-5-12 「行番号」のカウントアップ
11-5-13 ブラウザのクローズ
11-5-14 Chrome操作の完成シナリオ.
11-5-15 ここまでの完成シナリオ
11-6 課題⑤ Excelへの書込み
11-6-1 使用するファイル
11-6-2 Excel書込みの完成シナリオ
11-6-3 使用するノード
11-6-4 企業コードを書き込み
11-6-5 ここまでの完成シナリオ
11-7 課題⑥繰り返し処理
11-7-1 株価取得繰返し処理の完成イメージ
11-7-2 使用するノード
11-7-3 繰返し処理
11-7-4 株価取得繰返し処理の完成シナリオ
11-7-5 ここまでの完成シナリオ
11-8 課題⑦ファイルの新規作成.
11-8-1 Excelファイル操作の完成イメージ
11-8-2 使用するノード
11-8-3 保存ファイルパスの作成
11-8-4 保存ファイルの作成
11-8-5 処理ファイルの再フィルタ
11-8-6 保存ファイルへコピーして閉じる
11-8-7 株価一覧データを削除して閉じる
11-8-8 Excelファイル操作の完成シナリオ
11-8-9 ここまで全体の完成シナリオ
11-9 課題⑧Gmail送信
11-9-1 Gmail送信の完成イメージ
11-9-2 使用するノード
11-9-3 Gmail送信
11-9-4 総合演習完成シナリオ
付録
FAQ
各種サンプル
比較演算子一覧
正規表現
特殊変数一覧
役立つショートカットキー
索引
【プロフェッショナル】の参考書
目次 – RPAの真髄
この本を手にしたあなたへ
「RPAって何?」
つい最近までよく耳にした言葉である。それがこの1年で多くの企業がRPAを導入し、大企業では8割以上に達するといわれる。ところが、バイロット導入後に本格展開を始める段になると、「圧倒的な成果を上げている企業」と「そこそこの成果しか出ていない企業」に二分される。
その差は何か?
答えは簡単だ。「導入方法が違う」のである。
RPAはソフトウェアだが、従来のソフトウェアと同じ導入方法をとっている企業は、RPAの真の威力を引き出しきれないだろう。もし、あなたがRPAの威力を実感できていないとしたら、本書で紹介する先進事例などから成功の条件を見定めてほしい。
圧倒的な成果を上げている先進企業は、しっかりとした方法論のもと、業務効率化の先をも見据えた挑戦を続けている。そこに「RPAの真髄」がある。
安部 慶喜
はじめに
RPAは本格展開による大改革の時代へ
「RPAを活用し、抜本的な働き方改革を断行せよ」「デジタル業務改革による生産性向上を急げ」―
日本の名だたる企業で、トップの号令によりRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した大改革が進行している。この取り組みは企業規模を問わず多様な業種に広がり続け、新聞紙面でRPAの文字を見ない日はないほどだ。
その一方で、「果たして、本当に成果は上がっているのか?」という疑問の声が多数寄せられている。RPAという新手法への期待ばかりが先行し、各社の取り組みが断片的に報道されていることから、実体をつかみにくい状況にあるのではないだろうか。また、世の中では華々しい成果が喧伝されているというのに、「我が社では思ったような効果が出ない」と相談に来られる企業も多い。
本書では、このような疑問や悩みにお答えしたい。RPAは今、試行段階から本格展開へと移行しつつある。その先頭グループを走るさまざまな業種の企業が、どのような壁を乗り越え、大きな成果を手にするに至ったのか、経営トップや現場の生の声をお届けしたい。
新たに見えてきた成功の条件
RPAの本格展開を迎え、導入方法の巧拙による成果の差が鮮明に表れ始めた。最も成功した企業と「思ったような効果が出ない」と悩む企業の間には、3倍、4倍もの差があるだろう。
日本企業はよく「改善は得意だが、改革は苦手」といわれる。RPAの導入においても同じ傾向があり、業務プロセスの一部にRPAを導入し、部分的な自動化によって業務を改善しようとする。
しかし、これだけでは残念ながらRPAの真価を引き出せているとはいえない。大きな成果を上げている企業の取り組みを見ると、ほぼ例外なく、RPAを働き方改革やデジタル改革のキードライバー(原動力)と位置づけ、「新しいステージの経営・事業にチャレンジする機会」と捉えている。
鍵となる考え方は、①単なるツール導入ではなく、RPAをベースとした業務改革として考えること、②定着を見越して運用・統制ルールを整備すること、③社員の意識改革につなげ、改革スキルを獲得すること、などが挙げられる。本書ではこのような成功に向けたポイントをお伝えしたい。
止まらない普及拡大と、さらなる進化
今やRPAの普及拡大は燎原の火のごとく様々な方面で進んでいる。特にここ1年で活発化した適用先として注目しているのは「中堅中小企業」だ。人手不足に一番悩んでいる中堅中小企業だからこそ、RPAが求められている。今年、間違いなく大きな波に発展する中堅中小企業のRPA導入については、第4章で詳しく解説する。
民間企業だけでなく「公共機関」での活用も始まっている。本書で紹介する事例の通り、働き方改革が求められるのは公共機関も同じである。業務プロセスの旧弊を打破する手法としてもRPAは期待されている。
テクノロジー面の進化にはさらに目を見張る。特にAI(人工知能)などの各種先進技術とRPAを組み合わせたソリューションの進化が著しい。ただし、技術の活用ばかりに目を奪われ、業務に使えない絵に描いた餅になってはいけない。本書では、真に業務改革に有用なAI関連技術を紹介する。進化するRPAの最前線について、理解を深めていただけるだろう。
RPAがデジタル変革の礎に
最後に、RPAが持つ「変革ドライバー」としての役割について述べたい。先進事例を読んでいただければすぐにお気づきになると思うが、今やRPAは単に目先の業務を省力化するだけの手段ではない。RPAは、デジタルテクノロジーを使って自らを変革し続けるためのドライバーとなり、実践企業では「従業員一人ひとりが自律的に改革に挑む企業文化」の獲得へとつながってきている。
デジタル化の大変革期において、このような企業文化は今後の成長に不可欠な礎になる。RPAの活用によって、人の働き方はどう変わるのか、真のデジタル化はどのように実現されるのか、そうした未来の展望を明らかにしたい。
日本企業のRPA黎明期に出版した前著『RPAの威力』では、RPAの基本、手始めに取り組むPoC(概念実証)の進め方、クイックスタートの重要性などについてお伝えした。同書は予想を超える反響をいただいたが、日本企業のRPAが本格展開の段階へと移る中、次なる課題への解決策が求められていると感じ、再び筆を執った。
本書は『RPAの威力』を読まれた方は当然ながら、未読の方にも分かりやすい形でまとめている。興味や問題意識に応じて、どの章から読み始めていただいても理解できるように配慮した。特に第6章で紹介する先進7社の事例は、改革最前線の知恵や工夫が凝縮された珠玉の内容となっている。ぜひお読みいただきたい。
本書をお読みいただければ、最大の成果を生み出せる「RPAの真髄」を手にしていただけると確信している。
目次
この本を手にしたあなたへ
はじめに
第1章 新潮流、RPAの「今」
急増する導入企業、成長するソフトウェアロボット
1-1 一段と加速する導入機運
4割以上が業務の「完全自動化」を果たす
即効性を増して強まるRPAの威力
中堅中小企業に導入の裾野が広がる
1-2 ステージアップの道しるべ
大手企業はもう一段の効率化を目指しステージ2へ
AIとの連携で非定型業務の処理も射程圏内に
第2章 RPA本格展開のアプローチ
かじ取りの巧拙が成果の大きさを左右する
2-1 本格展開の機は熟した!
先行企業が直面する典型的な課題
2-2 効果を最大化する「直下型」プロジェクト
成功への最初の一歩は全業務の棚卸し
「2:8」の法則で対象業務を選定
2-3 直下型で留意したい5つのポイント
ポイント① 経営層のリーダーシップと事業部門長のコミット
ポイント② 適切なツール選び
ポイント③ RPA専門組織の発足
ポイント④ 運用・統制ルールの策定
ポイント⑤ 業務改革の意識づけ
第3章 本格展開時に外せない運用・統制の勘所
運用時に陥りやすいリスクを一掃する
3-1 トライアルと本格展開は別物
ロボットが10体を超えると目が届きにくくなる
3-2 RPA本格展開で留意すべき5つの潜在リスクと対処法
リスク① 周辺システムに起因する誤動作
リスク② ロボットのブラックボックス化
リスク③ エラー/停止時のリカバリー
リスク④ 処理の洗い出し漏れによる誤動作
リスク⑤ 不正使用や情報漏えい
第4章 中堅中小企業に浸透し始めたRPA
導入のハードルが下がり、ロボットが少数精鋭のビジネスを支える
4-1 中堅中小のRPA導入実態、半年足らずで様変わり
中堅中小が直面する人手不足の難問をRPAが解消
4-2 中堅企業の挑戦 日本タングステン
中堅企業こそRPAに取り組む意味がある
余力創出だけではない無限の投資対効果
RPAで将来を描く時間を捻出
RPAによる改革領域はいくらでもある
取引先の協力も得て業務プロセスを抜本改革
「RPAに取り組んだから今がある」と言える日が来る
4-3 新料金とクラウドの登場が中堅中小企業の追い風に
月額20万円程度から利用可能なクラウドサービス
第5章 AI×ロボットが開く新段階のデジタル革命
RPAとデジタルテクノロジーの連携で業務効率化を加速
5-1 AIとロボットは企業に欠かせない仲間に
RPAの推進状況で差がつき始めた企業のデジタル化
5-2 AI-OCRとRPAの連携で目覚ましい成果
可変帳票を読み取り、認識した文字をRPAで自動補正
5-3 AIチャットボット導入時の開発工数をRPAで削減
ロボットと連携してパーソナルコンシェルジュに進化
第6章 成果を出す先進7社の取り組み
「RPA×業務改革」のベストプラクティス
6-1 ブラザー工業
自動化や効率化の「先」を見据え経営トップが先頭に立ちRPAを推進
営業や事業企画、開発を皮切りに、約1年間で140体のロボットをスピード展開
適用領域を他部門へ広げて効果を上乗せ
人と業務を切り離し、純粋に業務そのものを見直す
従業員に”伝染する”成長意欲こそ「RPAの真髄」
セールス担当がAIを学び始める、誰もがデジタル変革の担い手に
6-2 あいおいニッセイ同和損害保険
全力疾走で業務改革を敢行”大玉”の効果をRPAで狙い撃ち
PoCの成果を生かし「直下型」で本格展開へ
業務量が多い事業部門を選び、「2:8」の法則で対象業務を絞り込み
RPAとワークフローを組み合わせ4万時間の余力を創出
生み出した余力を効率化に再投資、部門内で改革チームが始動
業務改革に終わりなし、人材を育て改革内製化の波をつくる
6-3 三菱重工業
プロジェクトの方向性を思い切って大転換「攻めの改革」を財務部門がけん引
変われる者だけが生き残るーグローバル財務部が改革の先鋒に
定型業務は大幅自動化、工数半減
財務部門が身軽になるBPOを採るか、RPAでデジタル変革を全社的に発展させるか
まずは業務プロセスを可視化、簡素化・標準化の後に自動化を進める
RPAとOCRの合わせ技で月2万件の伝票処理を効率化
大きな目標を掲げてメンバーを鼓舞
6-4 イオンクレジットサービス
風土も変えるPRA起点のデジタル変革により新ビジネス創出のリーダー育成へ
目前に広がる新たな事業機会、これをものにするチャレンジングな組織づくり
徹底した可視化と文書化・標準化
余力創出、事務処理リスク、ストレス、3つの視点でRPA化の優先度を見極め
集中教育で全事業部にRPA人材を養成表れ始めた自律的業務改革の動き
経営陣が一堂に会する会議でデジタル化の専門組織を検討
6-5 NECマネジメントパートナー
新たにロボット350体投入、7万時間削減RPAをきっかけにデジタル変革の屋台骨を築く
「直下型改革」と「現場型改善」の二刀流で、業務効率化の効果を最大限に引き出す
期待される桁違いに大きな効果、直下型で9万時間、現場型で8万時間
理想形の「ToBe」が困難なら「CanBe」を描いて前進
事業部とすり合わせながらロボットの運用ルールを整備
効率化効果に先行して表れた発想の柔軟性などの成果
6-6 資生堂タイランド
成長市場で拡大するビジネスをRPAで支える社内に芽生え始めたロボットとの共存意識
急速な需要増に応える物流強化がRPAの契機に
販売増に貢献するロボット活用、高難度の売れ筋分析で成果
通関業務でもロボットの活躍でリードタイム短縮
「クイックウィン」が成功のキーワード
変化する環境に進化する技術で挑戦する機運を醸成
6-7 金沢市企業局
市民生活を支えるライフラインの維持に向け地方公営企業の”前例なき”RPAに挑む
テンプレートを用いてRPA対象業務を洗い出す
期待される効果や将来の展開を見越し、当初の自動化対象に3種類の業務を選定
ロボットが心地よく仕事に臨めるよう、バラバラだった業務プロセスを標準化
ロボットの活躍によって、職員の精神的負担を緩和できる可能性も
大掛かりな人事異動でもRPAをやめない
第7章 第4次産業革命の覇者へ
自らを“壊す”経験が最強の企業資産になる
7-1 芽生えた改革意欲を企業文化に昇華させる新組織
「デジタル部」に求められる3つの役割
7-2 RPA本格展開の経験が変革期を勝ち抜く礎に
「企画起点」「自己破壊」「リーンスタートアップ」が鍵
おわりに
著者紹介
目次 – RPAの威力 ~ロボットと共に生きる働き方改革~
“この本を手にしたあなたへ”
「今ある仕事の半分は、ロボットやAIによって無くなるだろう」
誰もが耳にしたこの言葉、あなたはどのくらい先のことだと思いますか?
10年後? それとも20年後?
私は今、この言葉を強く実感している。実は、RPAのことだったのだ。
恐らくRPAを導入している企業のほとんどは私と同じ意見だろう。
もしあなたがまだRPAを使っていないならば、またRPAを使っていてもうまく使えていなかったならば、本書でまとめた成功ポイントや 先進8社の事例をじっくりと読んでほしい。
そしてRPAを1日でも早く使ってほしい。
そうすれば、あなたも「RPAの威力」を実感するだろう。
安部 慶喜
はじめに
想像を絶する「RPAの威力」
「デジタルで働き方を改革せよ!」。トップの号令の下、デジタル技術を活用して働き方 を改革していこうという企業が増えている。経営者の多くは、デジタル技術の急速な進展 を目の当たりにし、今やデジタルを経営に取り入れなければ生き残れないという危機感を 抱いている。CDO (Chief Digital Officer)を置きデジタルを経営に生かしていくための 取り組みに注力している企業も出始めている。
ところが、働き方を支援するためのモバイルワーク、テレビ会議システムなどを取り入 れてみて、逆に忙しくなっていないだろうか。クラウドコンピューティング、人工知能 (AI)、IoTと新しい技術が続々と登場しているが、具体的に何をすればよいのか考え あぐねたり、あるいは、すべてやり尽くしたと思ったりしていないだろうか。
本書で取り上げた企業では、従業員名簿にロボットが名を連ねる。そのロボットは人の 何倍ものスピードで正確に仕事をこなし4時間働き続け、不平不満も言わない。オフィス でロボットと一緒に働き、人は生き生きと仕事をする。こんな組織に変え、「真の働き方改 革」を実現した企業が今、続々と登場しているのである。
「疲れ知らずのデジタルレイバー」を使いこなせ
我々がコンサルティングを手がけてきたお客様の多くは働き方改革に取り組んでいる。 そこで見えてきたことは、従業員の業務を分析していくと実に単純作業が多いという事実である。定例会議用の資料を作成するために、社内のコンピュータにある複数のデータを見てパソコンで入力して集計し会議用資料に盛り込んでいく。今後半年の売上を推定するために、過去の売上と前年の売上、および営業部門の今月の推定データを集めてきて集計して予測する。競合会社の新製品情報をWebで集めてきて一覧表を作成する、など。
人間が手作業で行っている業務がなんと多いことだろうか。実態は、人間がパソコンを使って手作業で行っている単純作業が実に多く、労働時間のかなりのウェイトを占めている。こうした単純作業を効果的に削減できる手法が、本書で取り上げたRPA(Robotic Process Automation)であり、「働き方改革」の本命である。
RPAは元々、欧米を中心に広がってきたものだが、2015年頃から日本でも導入が 始まり、2016年7月に日本RPA協会が発足して以降導入が増え始め、2017年に入って採用が急増している。このRPAは、人間がパソコンで行っていた手作業を自動で 実行するソフトウエアロボット(以下、ロボットと呼称)であり、その手法を指す。従来、工場での組み立て作業は人間が行っていたが、産業用のアームロボットに代替していった。それと同様に、ホワイトカラーの世界でも、ロボットが人間の作業を代替する時代を迎えたのである。
組織の観点では、RPAは人間が指示したとおりのことを忠実に実行してくれる有能な 部下である。そのため、RPAは「デジタルレイバー(Digital Labor) : 仮想知的労働者」 とも呼ばれている。デジタルレイバーは、昼でも夜でも4時間働き通しでも、なんら疲れを知らない。残業という概念もない。
この有能なデジタルレイバーを使いこなすことによって、人間は単純作業から解放され、 時間的な余力が生まれるだけでなく、疲弊した気持ちから解き放たれ心の余裕が生まれる ことになる。それは、従業員の残業時間を減らすという意味合いと、余力時間を、イノベーションを起こすための価値創造に振り向けられるという意味合いの両方を持つ。
くしくも日本は消費の飽和状態が続き、モノ売りからコト売りへの転換、海外進出、M&A、デジ タル化推進を背景にイノベーションこそが求められており、余力時間をこうした価値創造 に費やすことができる。
しかも、デジタルレイバーは、とてつもないスピードで、大量のデータを正確に処理す ることができる。人間では到底及ばない、ずば抜けた能力を持つスーパーロボットだ。ビ ジネス、事業の「短サイクル化」が進展する中で、データ処理をデジタルレイバーに任せれば、人間は分析の頻度を上げることができ、短サイクル化に対応させることができる。毎 月1回、毎週1回しか実現できなかった分析を毎日でも、あるいは毎日何回でも実施する ことができるようになる。デジタルレイバーを組織の一員として迎え入れることが、人間 の働き方まで変えようとしているのである。
このように、デジタルレイバーが人間に余力時間を作ることで人間はイノベーションや 価値創造に時間を費やすことができるとともに、デジタルレイバーのずば抜けた処理能力を活用することで人間の働き方までも変えることができる。これこそ「真の働き方改革」であり「RPAの威力」である。
半信半疑から意識と行動の大変革へ
アビームコンサルティングでは、「真の働き方改革」を実現する強力な手法として企業へ のRPAの導入を推奨し、すでに3桁に及ぶ数のお客様の取り組みを支援してきた。そこ で、各業界でRPAの導入に先進的に取り組んでいる企業8社にご協力いただき、本書で実例として取り上げさせていただいた。
衝撃を受けたのは、各社は導入時に自ら想像していた以上に5歩も10歩も先を行ってい るという実態である。導入前はRPAの導入に半信半疑で効果を疑問視する声があったにもかかわらず、導入後はその効果を実感し、自らがRPAを活用した業務改革に取り組も うとする姿に変わっていたのである。
「この業務に適用して効果が出たのだから、あの業務にも適用してみよう」
「そもそも、この手順、この仕事は必要なのだろうか」
「グループ内の他の会社にも使ってもらえるようにロボットを派遣しよう」
「この拠点で成功したノウハウをアジア全体に展開しよう」
「ロボットを作れる人材を自分たちで養成しよう」
「デジタルレイバーが居るという前提で組織を考えるようになった」
「デジタルレイバーに社員番号を与えて社員名簿に載せるようにした」
「これを機に全社のデジタル化を本格的に展開することにした」
現場の人たちが、自ら考え行動する、意識・行動の大変革が起きていた。疲弊感が漂っ ていた現場は明るくなり、自分で考えて生き生きと行動する雰囲気に変わっていた。 「RPAの威力」は、働く人たちの意識と行動までを変え、自律型組織へと会社を変質させ るチカラだった。「これこそ働き方改革なのだ」ということを実感した。取材に快く応じて いただいた8社の皆さんに感謝する次第である。
安部 慶喜
目次
この本を手にしたあなたへ
はじめに…想像を絶する「RPAの威力」
第1章 RPAの本質 なぜRPAが求められているのか?
1-1 人間とロボットが共に生きる時代に
「デジタルレイバー」を採用せよ、増員せよ!
「ロボットに仕事を奪われる」の誤解
高速で正確な処理をいとも簡単に実現
社外情報の収集も大得意
AIよりRPAが使われるワケ
1-2 働き方改革の大本命
日本の労働生産性は先進7カ国で最下位
過残業でコーポレートリスク高まる
求められる「真の働き方改革」
1-3 採用企業は急増し数百社に
金融からサービス業、メーカーへと拡大
1-4 経営にすぐ効く「即効薬」
半数が1カ月で導入
97%が5割以上業務削減
正確性を担保でき、余力が生まれる
意識が変わり働き方が変わる「RPAの威力」
RPAを活用しない企業は生き残れない
第2章 進め方と成功のポイント RPAを導入する際の注意点と対応策は?
2-1 考えるより触れ
「短サイクル化」に対応せよ
現場の実業務で試せ
トップダウンに応えるボトムアップがカギ
2-2 業務部門とIT部門がタッグを組め
一定のルールの下ですみ分けて両輪で
システム部門の関与は構想段階から
セキュリティは情報システム部門主導で対策を
2-3 運用ルール・体制を考え抜け
基幹システムの運用ルールは使えない
内部統制とRPA
トラブル時のリカバリーを想定する
夜中もロボットに働いてもらう
2-4 現場を巻き込め
デジタル戦略の一環で、RPAは推進の第一歩
2-5 最適なツールを選べ
推奨はサーバー型で修整容易なタイプ
第3章 先進8社の取り組み 各社の導入の狙いとその効果は?
3-1 大和ハウス工業
急成長を裏で支える働き方改革、グループ各社への「ロボット派遣」も視野に
実効性を重視し、実績のないベータ版にあえて挑戦
オープンデータをロボットで取り込み1200万円コスト削減
勤怠チェックロボで業務を完全自動化
事業競争力に直結する作業、ものづくり、さらにグループ各社へ
トライ&エラーで進化させる
ロボットを情報システム部の管理下に置く
3-2 農林中央金庫
業務部門主導でロボットを開発・導入、有価証券の時価登録業務に適用
システムとシステム未満をつなぐ
時価登録業務の9割を自動化
業務負荷の軽減、平準化のほかに意識改革も
人とシステムとロボットが共存共栄で
運用ポリシーの確立が重要
3-3 ブリヂストン中国
凄まじいスピード感の競争に勝ち残るため、人海戦術を脱しロボットとの共同作業へ
疑心暗鬼ながらも新しい技術だからこそ全社で挑戦
業務の棚卸から着手
「商品情報収集」ロボは年間2000時間以上の削減効果
「販売見込作成」「価格情報収集」など初期5体で年間3600時間を削減
PDCAではなくDoから始めるDCAPが重要
継続的な活動として浸透させる
3-4 帝人フロンティア
BPRとRPAを並行で推進、OCRロボによる自動化で業務を86%削減
OCRロボットで入金業務260時間を86%削減
毎月の連結決算業務は12時間からコピペ1回に
ロボット開発はわずか3~4週間で、高いフレキシビリティ
原点に立ち返り、自発的に業務を見直す視点が生まれた
3-5 アサツー ディ・ケイ
間接業務をロボットに委ね営業は本業に専念、計画中の新ERPシステムにも組み込む
ロボットと共に働く部署を新設
ロボット2割、人は8割
営業はExcel入力だけで済み、本来の業務に集中
これからは、人とシステムにロボットが加わる
「RPAでできるかもしれない」という発想が思考回路に
ロボットを作成できる人材を育成しながら全社に展開
3-6 テレビ朝日
夏祭りイベントのチケット販売管理に応用、入力業務から解放され分析・対策を「短サイクル化」
チケットの種類は多種多様
ロボットもチームの一員
分析・対策は毎日1回から毎時間へ「短サイクル化」
今後はより戦略的なマーケティングへ
「とりあえず、やってみませんか」と声をかけやすくなった
3-7 NECマネジメントパートナー
ロボット100体稼働で数万時間削減へ、グループの業務改革推進プロジェクトを牽引
トップダウンで専門部署「自動化ツールグループ」を設置
垂直立ち上げに成功
自動化対象業務を洗い出し100件をリストアップ
EUC、汎用ツール、RPAを適材適所で使い分け
「チェックロボ」「データ集計ロボ」「対話型ロボ」などを作成
Excel、PDF向けの汎用ツールと使い分け
ロボットを内製化し100体に
社内啓発セミナーで従業員を巻き込む
余力を創出し高付加価値業務へシフト
現場を巻き込む組織戦略がカギ
AIとRPAとの組み合わせも
3-8 インテージホールディングス
グループ戦略のデジタル基盤としてRPAを採用、成長事業に適用し業務の大幅な効率化を実証
AIの進化を踏まえて、まずはRPAを現場に展開
急成長しているグループ会社の課題解決に適用
RPAの権限を明確にするため「社員一覧にロボット」
デジタルレイバーがプラットフォームに
第4章 RPAの将来像 ロボットはどのように進化していくのか? そして人間は
進化するデジタル技術とのつなぎ役に
RPAは「デジタルレイバー・プラットフォーム」に
「プロセスイノベータ」を育成せよ
0から1を生み出し、人の心を動かす
ロボットの進化が人の真価を掘り起こす
おわりに