茶道文化検定公式テキスト 1級・2級用―茶の湯をまなぶ本




はじめに

発刊にあたって

茶道は日本を代表する伝統文化であり、日本文化の真髄ともいえます。千利休が今日の茶の湯をつくりあげてから四百五十年以上、そして遡ること中国で茶が飲み始められてから約二千年もの歴史が流れ、今日にいたっております。

茶道は「和敬清寂」や「一期一会」などからも知られるように、深い精神性と独自の哲学をもっており、これをもとに茶室や露地、茶道具、懐石、菓子、茶などが創り出されました。すなわち建築、庭園、美術工芸、料理など多くの分野からなる綜合芸術、綜合文化です。

このような茶道の文化を、世代を超えて多くの方々に理解していただき、一盌のお茶を喫しその素晴らしさを再認識していただこうと、「茶道文化検定」を行うことになりました。

そのためのテキストとして作られたのが、『茶道文化検定公式テキスト 茶の湯をまなぶ本 』です。茶道の文化を多方面から知っていただくように構成されています。茶道の奥深さは、とてもこの一冊で語りつくせるものではありませんが、検定を受ける方のみならず茶道を愛する方、より深く理解しようとする方々に活用していただきたいと願っております。

「茶道文化検定」をきっかけに、茶道文化、日本文化への理解をより深めて、国際的にも交流の輪を広げていただけますよう念じております。

(一財)今日庵 茶道資料館
館長 千玄室

財団法人今日庵 茶道資料館 (著), 一般財団法人今日庵 茶道資料館 (監修)
淡交社、出典:出版社HP

茶道文化検定 公式テキスト 目次

一章 茶の歴史

中国の茶
日本の喫茶の始まり 奈良~平安時代
抹茶の始まり 鎌倉時代
武家の茶 室町時代
喫茶の展開 室町時代後期
信長・秀吉と利休の茶の湯 安土桃山時代
大名茶の始まり 江戸時代前期
わび茶の拡大 江戸時代中期
わび茶と大名茶の展開 江戸時代後期
近代の茶の湯 明治~昭和時代(戦前)

二章 茶事・茶会

茶事・茶会とは
いろいろな茶事
茶会のいろいろ
茶事の実際 正午の茶事(風炉)の場合
亭主と客の作法と心得
茶事・茶会に必要な道具
茶の精神を表す言葉

三章 茶道具

茶の湯と茶道具
掛物
花入
香炉と香合
釜と風炉
水指
茶入
茶壺
薄茶器
茶杓
茶碗

蓋置
建水
炭道具
煙草盆
懐石道具

四章 茶と禅

茶席における墨跡普及の歴史認
墨跡の種類
茶の湯における墨跡の重要性
墨跡の出典文献
茶席の代表的な禅語

五章 茶席の花

茶席の花の歴史
茶席の花に関する逸話
茶席の花の選択と禁花
花入について
茶会における花のしつらえ
代表的な茶席の花

六章 懷石

懐石とは
懐石以前の日本料理
会席料理の始まり
利休の茶会料理
会席と懐石
現在の懐石料理

七章 菓子

菓子の歴史
昔の茶の湯菓子
現在の茶の湯菓子
季節と行事の菓子

八章 茶室・露地

茶室とは
広間の茶室
四畳半の茶室
小間の茶室
大名好みの茶室
立礼席
水屋
露地について
茶家の露地

九章 茶業

宇治の茶園と茶作り
茶師と茶壺
近代の宇治茶

巻末付録

茶道史年表
主要茶道系譜
主要禅僧系譜
利休百首歌

コラム

おばえておきたい茶人
日本のおもな茶家と流儀
主として茶道具に使われる焼き物の分類
おぼえておきたい茶書館
国宝と重要文化財の主要茶室
おぼえておきたい名数

掲載図書所蔵先一覧
索引

●本書は、茶道文化検定一級・二級受験者用のテキストとして編集いたしました。

本書の表記について

●文中、★印が下についている語句については、上段に註を記しました。
●語句の読み仮名については、定まっていないものも多くあります。基本的に執筆者の意向にそいつつ、現時点でもっとも汎用している読み方を採用し、別の読みは( )で、または註に付記しました。
●古典からの引用文に関しては、原則として現代語訳をしています。読みやすさを考慮して、濁点、句読点を付しました。
●掲載図版の所蔵先は、巻末に一覧しました。

財団法人今日庵 茶道資料館 (著), 一般財団法人今日庵 茶道資料館 (監修)
淡交社、出典:出版社HP