最新知りたいことがパッとわかる給与計算の事務手続き・届け出ができる本




はじめに

この本は、給与計算を担当している、会社の縁の下の力持ちであるあなたに贈ります。給与計算という業務は、会社の中でもトップレベルで大切な仕事です。給与計算は、間違うことができない……。そればかりでなく、給与計算時期は毎月決まっているので、体調が悪くても会社を休むことがなかなかできないのが実情です。さらに従業員の給与額は機密業務なので、気軽に誰かに相談できる内容でもありません。そんな毎月のプレッシャーの中、不安や迷いを少しでも軽減したいと思い、本書を1頁1頁めくっていくと、最後には給与計算がミスなく漏れなく無事に終了している……そんなことをイメージして書きました。

●給与計算の担当になったばかりの人(はじめて給与計算を経験する)
●実は、給与計算の知識を体系的に勉強したことがなく担当をしていることが不安な人
●これから給与計算担当になりたいと思っている人

給与計算をどう進めていいのかわからない
最初は、段取りもわからず不必要に時間がかかってしまいます。本書に書いてある順番で業務を進めていけば、確実に正しい給与処理ができるような構成になっています。大丈夫です。本書のとおりに進めてください。

給与計算を進めるにあたって迷うこと
給与計算は確認に確認を重ねる性質の業務なので、自分の進めている処理が正しいのかこの本で確認ができます。なるべく多くのケースを載せているので図表を見て確認できます。

給与計算と連動している社会保険、税金についても知識を得られる
給与計算は、単純に差し引きすれば終わる業務ではなく、労働法、社会保険法、税法の知識があって、その上で最後に計算をします。つまり計算は手段であり、その前提である計算根拠は法律によるところが多いので、知っておくべき法律知識もまとめてあります。

私は、給与計算は会社にとってなくてはならない大切な業務なのですから、あなたはその担当になっていることを、ぜひとも誇りに思ってほしいと考えています。

多田智子

目次

第1章 給与計算に必要な基本知識

01 給与計算の基礎知識
●給与計算の作業と構成
02 給与支給明細書から給与計算を理解する
●給与支給明細書でわかる給与計算項目
03 給与計算に関係する法律と会社のルール
●労働時間計算上の労働基準法と就業規則の位置づけ
●労働時間計算上の主なルール
04 社会保険料と税金の控除額
●控除する保険料と税金の特徴
●所得税の計算プロセス
05 賞与計算の基礎知識.
●賞与計算のプロセス
06 年末調整の基礎知識
●源泉徴収票に関わる書類
●年末調整の手順
07 従業員の入退社時
08 賃金支払いの5原則と最低賃金のルール.
●賃金支払いの5原則
●地域別最低賃金(平成29年度)
09 賃金体系(給与の構成)と割増賃金の基礎知識
●賃金体系(給与の構成)の例
●算定基礎から外せる7つの手当
10 給与の締め日と支払日の基礎知識
●月額給与の締め日と支払日の例
11 賃金台帳と労働者名簿の基礎知識
●法律で義務づけられた賃金台帳の記載事項
●賃金台帳例
●法律で規定された労働者名簿の記載事項
●労働者名簿の例
12 平均賃金で計算する手当
●算定基礎額として平均賃金が使われる手当や制裁の制限など
●平均賃金から除かれるもの
●平均賃金を基準とする手当

第2章 毎月の給与計算 STEP1 今月の従業員情報を確認する

01 従業員の動きをチェックする
●給与計算に関係する従業員の動きと給与計算への影響
02 入社した従業員の社会保険
●入社した社員の社会保険加入確認のフローチャート
●社会保険料の控除開始月
03 入社した従業員の住民税
●入社した従業員の住民税の処理パターン
column住民税は1月1日在住の市区町村に納める
●特別徴収を引き継ぐときの給与所得者異動届出書例
●特別徴収への切替申請書例
04 退職する従業員の社会保険料.
●退職と社会保険(健康保険、厚生年金保険)の関係
05 退職する従業員の住民税
●退職する従業員の住民税の処理パターン
●普通徴収・一括徴収の給与所得者異動届出書例
06 退職時の源泉徴収票
●年の中途で退職する従業員の源泉徴収票例
07 退職金の税金
●退職金の退職所得税額の計算式
●課税退職所得金額に対する税率と退職所得税額の計算方法
●退職所得申告書例
●退職所得申告書を提出しなかった場合の退職所得税額の計算方法
●退職所得税額の計算例
column所得税の課税方法は「総合課税」と「分離課税」の2種類がある
●退職金支給明細書例
●退職金の源泉徴収票例
08 従業員の個別の変更処理
●住所変更と住民税の処理
●扶養家族の変更による所得税・家族手当の変更
●給与処理
●大幅な給与変動による社会保険料の変更
09 休職・休業時の賃金や社会保険
●休職・休業時の社会保険料と公的保険による休業補償の法的ルール
●休業補償の給付金の計算方法
●労災と認定されるための要件
●傷病手当金と労災給付金(休業補償給付、休業特別支給金)の待機期間の違い
●出産手当金の計算方法と産前産後休業の支給期間
●育児休業の期間と社会保険料の扱い
●育児休業給付金の計算方法
●従業員情報の確認のチェックシート例

第3章 毎月の給与計算 STEP2 今月の勤怠情報を確認する

01 従業員の勤怠確認
●勤怠確認
●勤怠項目の種類
column「減給制裁」と「ノーワーク・ノーペイ」は違う
02-1 出勤した日としない日
●勤怠項目部分の給与支給明細書例
02-2 休憩時間と年次有給休暇
●休憩時間の法的ルール
●有給休暇を取得できる条件と付与日数
●有給休暇の繰り越しと消滅
●有給休暇の賃金支払いの3つの基準
●有給休暇の買いあげが例外的に認められる3つのケース
column有給休暇を取得したことによる不利益な扱いはしてはいけない
02-3 法定休日労働と振替休日・代休
●法定休日と所定休日の違い
●振替休日と代休の違い
●振替休日で時間外労働が発生するケース
●振替休日で割増賃金を支払うケース
03-1 残業(時間外労働)時間
●残業時間と賃金の割増率
●残業時間60時間超の割増率5割を猶予されている中小企業
03-2 深夜労働と休日労働の時間
●深夜労働と賃金の割増率
●休日労働と賃金の割増率
03-3 複雑な労働時間の計算
●遅刻と残業がある場合の賃金
●時間外労働が法定休日におよんだ場合の賃金の割増率
●法定休日労働が所定労働日におよんだ場合の賃金の割増率
04-1 変形労働時間制
●1カ月単位の変形労働時間制の内容と特徴
●1年単位の変形労働時間制の内容と特徴
●フレックスタイム制の内容と特徴
●フレックスタイム制の時間外労働
04-2 みなし労働時間と裁量労働
●事業場外労働に対するみなし労働時間制
●裁量労働制の種類と内容

第4章 毎月の給与計算 STEP3 給与支給項目を計算する

01給与支給項目
●支給項目の構成とチェックのポイント
02 固定的支給項目の計算
●支給項目部分の給与支給明細書例
●家族手当の範囲(給与規程例)
column手当が多い企業は悩みも多い!?
●所得税法上と健康保険上の扶養適用条件の違い
●家族手当変更届例
03 通勤手当の計算
●マイカー・自転車通勤の非課税限度額
column通勤手当の不正受給にも目を光らせよう
●通勤手当の各種算定基礎への算入の取り扱い
●交通費支給ルール例
04-1 時間外労働時間の計算をする
●時間外手当の割増賃金の計算プロセス(月給制)
●時間外手当の時間単価の出し方(月給制)と割増賃金額
04-2 割増賃金の計算で発生する端数処理
●割増賃金を計算するときの端数処理のルール
●1日の残業時間の端数処理の違いにより1カ月で差が出る
●割増賃金の計算プロセスと端数処理
04-3 時間外労働が重なった場合の割増賃金の計算
重複した割増賃金の計算例猶予される中小企業
04-4 時給、日給、歩合給、年俸制の割増賃金の計算
●時給と日給の時間外手当の割増賃金額の求め方
column管理職は残業代がなくても割増賃金は発生する
●歩合給の時間外手当の時間単価の出し方
●年俸制の時間外手当の時間単価の出し方
05 欠勤や遅刻・早退の控除額
●不就労控除の1日単価の計算方法
●1カ月の日数の計算方法のメリット・デメリット
●欠勤控除の控除方式と支給方式の使い分け
●不就労控除の時間単価の計算方法
06 入社・退職時の日割り計算
●計算方法の違いによる入退職時の日割り賃金
07 有給休暇の給与計算
●有給休暇の賃金計算方法
●半日有休と残業の賃金計算方法
●従業員情報の確認のチェックシート例

第5章 毎月の給与計算 STEP4 給与からの控除項目を計算する

01 給与から控除できる項目
●控除項目の種類とチェックのポイント
02-1 健康保険料と厚生年金保険料
●控除項目部分の給与支給明細書記入例
●標準報酬月額と保険料率、控除する保険料の関係
●社会保険料の保険料率と会社と従業員の負担割合
Column厚生年金保険料率は18.3%まで上がっていく
02-2 健康保険料と厚生年金保険料の端数処理
●社会保険料の計算と端数処理の考え方
02-3 随時改定(保険料の途中変更)と育児休業・産前産後休業後の改定
●随時改定を行うための条件
●育児休業等終了時改定・産前産後休業終了時改定の流れ
●随時改定と育児休業等終了時改定・産前産後休業終了時改定の違い
●厚生年金の養育期間に関する特例措置
02-4 同日得喪(60歳以降の再雇用時の保険料改定)
●60歳到達時の手続き(社会保険)
●60歳到達時以後の手続き(社会保険)
●同日得喪と随時改定との違い
●同日得喪のメリットと注意点
column厚生年金の減額防止のための措置から役割が拡大
●標準報酬月額の等級と保険料
03 雇用保険料
●雇用保険料の計算式と本人負担分の出し方
●64歳の従業員の雇用保険料免除開始の時期
04 保険料と年齢の関係
●年齢による保険料徴収の変化
●介護保険料の徴収開始と終了
05 所得税
●源泉所得税額を計算する流れ
●税法上の扶養親族の範囲は6親等内の血族または3親等内の姻族
●扶養親族等の数の数え方
06 住民税
●住民税の税額決定と給与からの徴収の流れ
●住民税の特別徴収のサイクル
07 協定控除(財形貯蓄などの控除)
●協定控除(その他控除項目)を実施する条件
●協定控除の控除項目で見られる主な項目

第6章 毎月の給与計算 STEP5  給与計算の終了

01 給与計算終了後の作業
●給与計算終了後の作業の流れとポイント
●給与計算終了後のチェックシート例
02給与の支給方法と銀行振込の手順
●銀行口座振込依頼書例
●振込依頼書(同意書)に記載する項目
03 給与支給明細書の作成・交付と賃金台帳への記入
●給与支給明細書に記載された法定通知事項と賃金台帳
04 社会保険料と所得税、住民税の納付
●所得税納付の用紙と書き方
●住民税納付の用紙と書き方
●健康保険と厚生年金の保険料の納付の流れ
●雇用保険料納付の流れ
05 「申し送りシート」を作成
●「申し送りシート」例
●給与計算スケジュール

第7章 賞与計算の流れと実務を理解する

01 賞与計算のしかた
●給与計算と賞与計算の違いと共通点
●賞与支給明細書でわかる賞与計算項目
02-1 賞与にかかる社会保険料控除
●健康保険と厚生年金の標準賞与額の上限の違い
●健康保険と厚生年金の賞与保険料控除額の計算式
02-2 入社・退職時・休業前後の賞与からの社会保険料.
●賞与に対する社会保険料控除のルール
03 賞与から控除する源泉所得税額
●賞与の源泉所得税額算出の流れと計算例
04 社会保険料と所得税の納付
●被保険者賞与支払届例
●被保険者賞与支払届総括表例
●源泉所得税の納付書例(納期特例のケース)

第8章 年末調整の流れと実務を理解する

01 年末調整の対象者を確認しスケジュールを立てる
●年末調整のスケジュール一覧
●年末調整の対象者になる人、ならない人
02 年末調整で配布・回収する書類と確認のポイント
●控除対象扶養親族の年齢確認早見表
●給与所得者の扶養控除等申告書のチェックポイント
●寡婦・寡夫の確認用フローチャート
●給与所得者の保険料控除申告書と給与所得者の配偶者控除等申告書のチェックポイント
●住宅借入金等特別控除申告書のチェックポイント
03 源泉徴収簿で集計
●年末調整の計算プロセスのフローチャート
●税務署が配布している源泉徴収簿例
●総支給金額と給与所得控除後の給与等の金額の計算手順
●扶養控除等控除額の計算手順①
●扶養控除等控除額の計算手順②
●差引課税給与所得金額の計算
●最終的な税額の計算手順
04 源泉徴収票を作成し交付する
column受給者番号は会社が任意につけておくと便利
●源泉徴収簿から転記
●保険料控除申告書などから転記
05 年末調整後は納税と税務署・市区町村へ書類提出をする
●源泉徴収票を税務署に提出する必要のある人
●法定調書合計表の書き方とポイント
●給与支払報告書(総括表)の書き方とポイント
●市区町村への提出

第9章 年間スケジュール

01 6月 労働保険の確定申告
●労働保険対象者の範囲
●労働保険料の納付の流れ
●労働保險申告書記入例
●労働保険料の対象となる賃金
02 6月 住民税の変更
●特別徴収税額決定通知書(会社用)
●特別徴収税額決定通知書(納税者用)
●特別徴収納入書(6月から翌年5月分)
●03 7月 社会保険の算定
●標準報酬月額の決定(改定)時期と適用期間
●定時決定のしくみと1年間の適用サイクル
●標準報酬月額の決定要素に含まれる給与(報酬月額)とは
●算定対象月と支払基礎日数の数え方
●算定事例【正社員の場合】
●算定事例別の例【産前産後休業の場合】
●算定基礎届総括表例
●算定基礎届例
●報酬月額変更届記入例
●70歳以上被用者算定基礎届例
04 8月12月 賞与計算と支払届
●賞与計算チェックリスト
05 12月 年末調整とマイナンバー..
●年末調整とマイナンバー

第10章 社会保険の手続き

01 社会保険と雇用保険の取得
●健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届例
●雇用保険被保険者資格取得届例
02 社会保険と雇用保険の喪失
●雇用保険 離職証明書の記入例
03 社会保険と雇用保険の変更
●健康保険被扶養者(異動)届/国民年金第3号被保険者関係届例
●健康保険・厚生年金保険被保険者氏名変更届例
●健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届例
●国民年金第3号被保険者住所変更届例

索引