薬剤師、現場に出る




目次

1. はじめに
2. 監修者より
3. 薬剤師、現場に出る – 手が震える さて、何て言う? –
4. 薬剤師、現場に出る – アルコール依存症と歩行困難 –
5. アルコール依存症患者の脳について
6. むくみ
7. 間質、の対になる言葉は?
8. 中学理科で学ぶ肝臓の構造と機能①
9. 中学理科で学ぶ肝臓の構造と機能② – 国試をこすります –
10. 中学理科で学ぶ肝臓の構造と機能③ – がん細胞を撃つ –
11. 糖尿病とは?
12. 「甘いものを食べすぎると糖尿病になりやすい」は本当か?
13. 「新しい」糖尿病治療薬
14. 組み合わせ最適化とIT
15. 血糖値スパイクの謎
16. パルモディア – 薬子的『モジュレーター』解釈 –
17. 薬剤師、現場に出る – ○○を主訴とする膠原病 –
18. 薬剤師、現場に出る – 白昼の死角 –
19. おわりに

大海薬子 (著), nomad (著)
フェイザー合同会社、出典:出版社HP

はじめに

はじめまして、大海薬局、薬剤師、大海薬子(おおうみくすりこ)と申します。
この本は、私が、電子書籍にまとめたものです。
ほぼ「ペーパー薬剤師」であった私が、周囲から一人前の薬剤師と認められることを目指して悪戦苦闘した記録です。大海薬局の管理薬剤師になるまでの経緯は本文で触れられなかったので、ここに軽く書いておきます。
私立薬学部(4年制)卒。化学系メーカーに就職。3年勤務後、結婚により退職しました。調剤歴のないまま、父逝去で経営者に就任しました。その後、数年間の調剤経験をへて、管理薬剤師になりました。

その間に、在宅の依頼が増え、患者様のお宅に伺うことが多くなりました。薬局のカウンター越しでのお付き合いと違い、1対1で患者様と向き合うと患者様からさまざまな問い合わせを受けます。そんな場面で、患者様にその場で的確な回答ができるよう勉強をしてきました。
果たして、私は目指すべき薬剤師になれたのでしょうか。
そのことを自問自答しながら、今後も日々の業務に取り組んでいきたいと思っております。

2019年1月12日 大海薬子

大海薬子 (著), nomad (著)
フェイザー合同会社、出典:出版社HP

監修者より

私と薬子さんとの出会いは、私が一時期体調を崩し、自宅で訪問診療を受けていた頃に遡ります。
担当医から「今は薬を取りに行くのも大変でしょうから、よかったら訪問薬剤を利用してはどうでしょうか?」と提案されました。薬剤師が訪問診療をしているのは知識としては知っていましたが、まさか私でも利用できるとは思わず、まったく予想もしていなかった提案 でした。ですが、当時、足腰が弱っており、外出するのにも困難を覚えていたため、その利便性の魅力に逆らえず、結局、頼んでみることにしました。
担当医の訪問を受けたある日の夕方、この本の主人公である薬子さんは、処方された薬を携えて私の前に現れました。
なんと溌刺とした女性だろう
第一印象はそういうものでした。臨床現場に足を踏み入れた初々しさともどかしさが混然一体となった魅力といったらいいんでしょうか。そういうものを発散していました。
私はまもなく回復しました。訪問を受けたのは、実際にはほんの数回にすぎません。ですが、彼女が帰宅途上で訪問していたこともあり、かなりの時間色んなことを話しこんでいました。在宅を始めた経緯や臨床に関する疑問、私の医師としての臨床経験や研究のことなどです。
私が再び日常に復帰し、以前のような生活が始まったある日のこと、彼女から一本の電話をもらいました。 私に、臨床で疑問に思ったことを教えてほしいとの依頼でした。これまで、研修医や若手コメディカルの教育をしたことは何度かありましたが、訪問診療をしている薬剤師さんの指導などしたことはありません。ちょっと考えましたが、彼女の魅力と国の方針(薬学部6年制への移行、臨床力の育成、訪問診療の重視などなど)を思い浮かべ、喜んで引き受けることにしました。
だから、この本は、医学・薬学に関する軽い読み物であると同時に彼女の薬剤師としての成長の記録でもあります。
楽しんで読んでいただけたらと思います。

2019年1月15日 nomad

大海薬子 (著), nomad (著)
フェイザー合同会社、出典:出版社HP