経営学検定(マネジメント検定)試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)
経営学検定試験の概要
経営学検定試験(マネジメント検定)は、経営に関する基本知識や専門知識、また応用としての経営管理能力や問題解決能力が一定の水準を超えていることを認定する資格試験です。試験は初級・中級・上級に分かれており、上級には受験資格として中級を合格している必要があります。
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経営学検定試験の公式テキスト
中央経済社が出版している公式テキストや問題文があります。全国の書店などで購入することができ、初級と中級に関しては通信講座やe-ラーニングも実施しています。今回は、公式を中心とした合格に近づくためのおすすめ問題集テキストをご紹介します。
経営学検定試験のおすすめ参考書
1.「経営学検定 公式テキスト 初級 経営学の基本」(中央経済社)
経営に関する知識と能力を判定する全国レベルの検定試験。2015年からマネジメント検定の呼称も用いるなど,より実践的な試験へと刷新。1巻は大学等の基本テキストにも好適。
2.「経営学検定初級 2018年度版 過去問題&解答・解説(2017年の2回収載)」(中央経済社)
各年度毎に刊行しており、本問題集を学習することで経営学検定試験の年々のレベルと出題傾向をつかむことができます。
経営学検定(マネジメント検定)試験の副読本
1.「経営学大図鑑 」(三省堂)
中央経済社が出版している公式テキストや問題文が基本的な必須事項ですが、海外でのビジネススクールの人気もあり、知識をこれ以上に実践として求められる事があります。経営学大図鑑では、起業から、財務、ビジネス戦略、人材育成、マーケティング、プロダクションと、実際のビジネス戦略、ストラテジーなどをわかりやすい図解(マインド・マップ)と豊富な実例で紹介しております。
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目次 -経営学検定試験公式テキスト1 – 経営学の基本
経営学検定試験公式テキストの刊行にあたって
経営学検定試験は,経営に関する基礎的・専門的知識やその応用能力としての経営管理能力や問題解決能力が一定水準に達していることを全国レベルで資格認定するわが国唯一の検定試験です。この試験は、大学で経営学を学んでいる学生や,企業・官公庁・NPOなど各種の組織で活動している実務家に対して,経営に関する学習目標とインセンティブを提供することを意図しています。現在まで多くの大学や企業で利用され,多数の学生やビジネスパーソンなどが受験しています。
学生にとってこの試験の合格は,就職活動に際して強力なアピールの材料になるでしょう。企業や官公庁,NPOなどで働く社会人やビジネスパーソンにとっても、経営各分野の専門的知識やその応用能力が一定水準にあることを自己確認できるとともに,キャリアアップの有力な武器になります。大学では卒業試験や大学院入学試験に,企業では採用試験,社内選抜試験,昇格テスト,社内研修、経営幹部養成プログラムなどに利用されています。
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経営学検定試験は、社会教育の推進をはかるために設立された特定非営利活動法人経営能力開発センターが,日本マネジメント学会(旧称・日本経営教育学会)の協力を得て,2003年に全国主要大学の経営学関係の教員で構成する経営学検定試験協議会を設置してスタートし,2011年より一般社団法人日本経営協会が実施・運営を行っています。
本経営学検定試験公式テキストは,初級,中級および上級を受験しようとする人のために2004年に全5巻構成で刊行され,2006年には試験制度の変更や法令・制度の改正,経営環境の動向に対応して全7巻の構成になりましたが,その後,2009年には中級試験制度の見直しを行うとともに、ふたたび全5巻構成にコンパクト化して刊行してきました。
今回(2015年)の改訂では、企業・団体の経営や教育・研修に携わる方々から寄せられた、より実践的な試験内容を求める声に応えるべく,中級に経営法務とIT経営を新たに加えるなど、テキストの再編成と試験制度の見直しを行っています。また,それに伴って本検定が実践的な知識や能力の修得を目指していることをより的確に表すために,「マネジメント検定」の呼称を使用することといたしました。なお,正式名称は「経営学検定試験」のままで変更ありません。
<初級・中級試験範囲および公式テキストの構成>
旧試験範囲とテキスト構成 | 改訂試験範囲とテキスト構成 | |
初級 | ①経営学の基本 | ①経営学の基本 |
中級 | ②マネジメント ③マーケティング ④経営財務 ⑤人的資源管理 |
②マネジメント ③人的資源管理/経営法務 ④マーケティング/IT経営 ⑤経営財務 |
<2015年からの試験制度変更に伴うテキストの改訂方針と改訂内容>
①初級テキストは,初学者を対象とした経営学の基礎知識を体系的に修得できる内容とする。
②中級テキストは、ビジネスパーソンを対象とし,特定の職種や業種に偏らず経営やマネジメントの実務遂行に必要とされる実践的な内容とするため,近年のマネジメントにおいて重要度が増している,経営法務とIT経営を新たな分野として加える。
③社会・経済環境の変化を踏まえて,必要な補筆・修正を行い,各章の整合性や難易度,用語の統一などテキスト全体の統一をはかる。
なお,本公式テキストの改訂は,下記のテキスト編集委員会の協力を得て一般社団法人日本経営協会が監修を行っています。
編集委員 委員長:小椋康宏(東洋大学経営学部教授),松本芳男(日本大学商学部教授),木下潔(経営コンサルタント・東洋大学大学院教授)
2015年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
まえがき
本書は,経営学検定試験の初級を受験しようとする人のための公式なテキストである。第1版は2003年に刊行され,その後,試験制度や出題範囲の変更に伴って数次の改訂を行っている。この間,全体の構成を大幅に変更するとともに,理解しやすくなるよう文章や図表を工夫し,重複部分の調整,冗長な表現の明確化,新たな動向の追加などを行ってきた。本書の特徴は以下の点にある。
①全体の構成は,検定試験の初級の出題分野に対応している。しかし,企業システム,経営戦略,経営組織,経営管理などは中級受験者にとっても必須の知識であり,中級受験者も想定した内容となっている。
②経営学の学問的体系と経営実務的観点の両方を考慮した内容となっており,経営学の基礎知識と企業経営上重要な問題をバランスよく学習できる。
③特定の主義・主張に偏向することなく,できるだけオーソドックスな見解を取り上げ,初学者にも理解できるような平易な説明を行っている。
④各章のはじめに「学習のポイント」と「Key Words」,各節に「Focus」を掲載し,学習の指針を示した。
本書の概要を以下に示す。
第1部「企業システム」は、現代企業のしくみ・制度と運営メカニズムを扱っている。企業経営が行われる「場」としての企業それ自体について知ることは、経営者や管理者はもとより,企業社会に生きるすべての人にとって不可欠の知識である。そこでまず企業や会社の概念と形態,企業における所有・経営・支配の関係と経営目的などを取り上げる。次に取締役会,監査役会などの会社機関とコーポレート・ガバナンスの問題を検討し,最後に日本型企業システムの特質と課題を取り上げている。
第2部「経営戦略」は、「経営戦略の体系と理論」「全社戦略」「事業戦略」「機能別戦略」という4つの章からなっている。変動し続ける環境に適応しながらも,日々の変化に翻弄されることなく企業が長期的に存続していくためには、長期的視点に立った経営戦略の論理をもつことが不可欠である。
第3部「経営組織」は、「組織に関する基礎理論」「経営組織の基本形態」「企業組織の諸形態」「組織の制度・管理・文化」という4つの章からなっている。いかに優れた戦略シナリオをもっていても,実行体制がともなわなければ高い成果を生み出すことはできない。現代企業は多くのメンバーから構成される組織体であり,これらのメンバーの思考・行動のベクトルを合わせ統合化するためには,優れた組織化の能力が不可欠である。
第4部「経営管理」は,「経営管理の基礎理論」「マネジメントの階層とプロセス」「経営計画」「コントロール」の4つの章からなっている。経営目的や経営戦略を確実に遂行し成果をあげるためには,経営や管理の合理的なしくみを構築し,堅実な経営計画を策定し,その進捗状況に合わせて是正措置をとるマネジメント・コントロールが不可欠である。
第5部の「経営課題」では,現代企業が取り組むべき重要な5つの課題を取り上げている。すなわち「M&Aと買収防衛策」「経営のグローバリゼーション」「企業経営と情報化」「企業の社会的責任(CSR)と企業倫理」「環境経営」である。これらの課題に消極的に対応するのではなく,積極的に戦略的視点をもって取り組むことがこれからの企業経営に求められているのである。
受験しようとする人は何よりもまずこのテキストを何度も読み,重要事項を正確に理解することが必要である。経営学検定試験は、経営に関する基礎的知識・専門的知識が一定の水準に達していることを認定する試験であるから,重要な基礎的事項は何度でも形を変えて出題されることになる。
なお,2015年発行の第5版,および2018年発行の第6版では,2012年の第4版をもとに全面的な見直し・改訂作業を行っている。第5版および第6版で改訂した箇所の執筆分担は次のとおりである。
第1部,第5部1・4・5章……松本芳男(日本大学商学部教授),佐久間信夫(創価大学経営学部教授)
第2部……中村公一(駒澤大学経営学部教授)
第3部,第4部,第5部2・3章……松本芳男(日本大学商学部教授)
2018年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
目次
第1部 企業システム
第1章 企業と経営
1 企業と経営の概念
2 企業の部門形成と経営者・管理者の役割
第2章 企業・会社の概念と諸形態
1 企業の法律形態と経済形態
2 日本における会社の種類
第3章 所有・経営・支配と経営目的
1 株式会社の発展と経営機能の分化
2 大規模株式会社の支配と統治
3 経営者型企業と経営目的
第4章 会社機関とコーポレート・ガバナンス
1 株式会社の機関とコーポレート・ガバナンス
2 株式相互持ち合いの緩和と株主総会
3 監査役会の機能と実態
4 取締役会改革と執行役員制
5 指名委員会等設置会社
6 監査等委員会設置会社
7 コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コード
第5章 日本型企業システム
1 日本型企業システムの特質と課題
2 稟議的経営と日本型経営
3 メイン・バンク制度と株式相互持ち合い
4 日本型企業統治
第2部 経営戦略
第1章 経営戦略の体系と理論
1 戦略概念
2 経営戦略論の系譜
第2章 全社戦略
1 全社戦略の特徴
2 全社戦略とドメイン
3 成長のための戦略
第3章 事業戦略
1 事業戦略
2 競争戦略の登場
3 コスト・リーダーシップ戦略
4 差別化戦略
5 集中戦略
6 バリューチェーン
第4章 機能別戦略
1 機能別戦略
2 研究開発戦略
3 生産戦略
4 マーケティング戦略
5 人事戦略
第3部 経営組織
第1章 組織に関する基礎理論
1 伝統的組織論
2 近代組織論
第2章 経営組織の基本形態
1 分業と協業の体系としての組織
2 ライン組織
3 ファンクショナル組織
4 ライン・アンド・スタッフ組織
第3章 企業組織の諸形態
1 職能部門制組織
2 事業部制組織
3 マトリックス組織
4 ネットワーク組織
5 プロジェクト・チーム
6 SBU(Strategic Business Unit)
7 カンパニー制組織
8 持株会社組織
第4章 組織の制度・管理・文化
1 企業における人事管理
2 組織文化
第4部 経営管理
第1章 経営管理の基礎理論
1 管理過程論
2 ホーソン実験と人間関係論
3 統合の哲学:フォレット
4 秒動機づけ理論
5 リーダーシップの理論
6 組織管理モデル
第2章 マネジメントの階層とプロセス
1 マネジメントの機能と階層
2 マネジメントのプロセスとサイクル,PDCA
第3章 経営計画
1 経営計画の意義
2 経営計画の種類
第4章 コントロール
1 マネジメント・コントロールの意義
2 利益管理
3 予算管理
4 自己統制(self control)
第5部 経営課題
第Ⅰ章 M&Aと買収防衛策・
1 M&Aの目的とM&Aのパターン
2 M&Aの手法
3 敵対的企業買収と防衛策
第2章 経営のグローバリゼーション
1 経営の国際化とグローバリゼーション
2 多国籍企業の経営スタイル:EPRGプロフィール
3 日本企業の海外経営スタイル
4 異文化経営
第3章 企業経営と情報化
1 情報の意義
2 企業経営における情報化の進展
3 情報ビジネス
4 IT革命の経営的意義
第4章 企業の社会的責任(CSR)と企業倫理
1 CSRの概念と国際機関の取り組み
2 CSRの水準と企業の社会貢献
3 小企業倫理の制度化と実践
第5章 環境経営
1 地球環境問題と環境規制
2 環境経営と環境マネジメント技術
3 環境ビジネスト
索引
経営学検定試験 試験ガイド
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目次 – 経営学検定試験公式テキスト2 – マネジメント
経営学検定試験公式テキストの刊行にあたって
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経営学検定試験は,経営に関する基礎的・専門的知識やその応用能力としての経営管理能力や問題解決能力が一定水準に達していることを全国レベルで資格認定するわが国唯一の検定試験です。この試験は、大学で経営学を学んでいる学生や,企業・官公庁・NPOなど各種の組織で活動している実務家に対して,経営に関する学習目標とインセンティブを提供することを意図しています。現在まで多くの大学や企業で利用され,多数の学生やビジネスパーソンなどが受験しています。
学生にとってこの試験の合格は,就職活動に際して強力なアピールの材料になるでしょう。企業や官公庁,NPOなどで働く社会人やビジネスパーソンにとっても,経営各分野の専門的知識やその応用能力が一定水準にあることを自己確認できるとともに,キャリアアップの有力な武器になります。大学では卒業試験や大学院入学試験に,企業では採用試験,社内選抜試験,昇格テスト,社内研修、経営幹部養成プログラムなどに利用されています。
経営学検定試験は,社会教育の推進をはかるために設立された特定非営利活動法人経営能力開発センターが,日本マネジメント学会(旧称・日本経営教育学会)の協力を得て,2003年に全国主要大学の経営学関係の教員で構成する経営学検定試験協議会を設置してスタートし,2011年より一般社団法人日本経営協会が実施・運営を行っています。
本経営学検定試験公式テキストは,初級、中級および上級を受験しようとする人のために2004年に全5巻構成で刊行され,2006年には試験制度の変更や法令・制度の改正,経営環境の動向に対応して全7巻の構成になりましたが,その後,2009年には中級試験制度の見直しを行うとともに、ふたたび全5巻構成にコンパクト化して刊行してきました。
今回(2015年)の改訂では,企業・団体の経営や教育・研修に携わる方々から寄せられた、より実践的な試験内容を求める声に応えるべく、中級に経営法務とIT経営を新たに加えるなど,テキストの再編成と試験制度の見直しを行っています。また、それに伴って本検定が実践的な知識や能力の修得を目指していることをより的確に表すために,「マネジメント検定」の呼称を使用することといたしました。なお,正式名称は「経営学検定試験」のままで変更ありません。
<初級・中級試験範囲および公式テキストの構成>
<2015年からの試験制度変更に伴うテキストの改訂方針と改訂内容>
①初級テキストは,初学者を対象とした経営学の基礎知識を体系的に修得できる内容とする。
②中級テキストは、ビジネスパーソンを対象とし,特定の職種や業種に偏らず経営やマネジメントの実務遂行に必要とされる実践的な内容とするため,近年のマネジメントにおいて重要度が増している,経営法務とIT経営を新たな分野として加える。
③社会・経済環境の変化を踏まえて,必要な補筆・修正を行い,各章の整合性や難易度,用語の統一などテキスト全体の統一をはかる。
なお,本公式テキストの改訂は,下記のテキスト編集委員会の協力を得て一般社団法人日本経営協会が監修を行っています。
編集委員 委員長:小椋康宏(東洋大学経営学部教授),松本芳男(日本大学商学部教授),木下潔(経営コンサルタント・東洋大学大学院教授)
2015年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
まえがき
本書は,経営学検定試験公式テキストとして、中級を受験しようとする人のために書かれた4冊のうちの1つであり、「経営戦略」と「組織のマネジメント」を中心に扱っている。
個人であれ組織であれ,行動を通じて高い成果を実現しようとする場合,「合理的な意思決定」と「高い実行力」が不可欠である。意思決定には,トップ・マネジメントが行う戦略的意思決定,主にミドル・マネジメントが担う管理的意思決定,作業層が行う業務的意思決定などがある。高い成果を実現するためには,いずれのレベルの意思決定も合理的になされる必要があることは当然であるが,特に重要なのが戦略的意思決定である。
本来,軍事用語であった「戦略」という概念が経営学の分野に明示的に導入されたのは,1960年代になってからのことであり,経営史家のチャンドラー(Chandler Jr, A.)が初めて導入したといわれている。それ以降,経営戦略は多くの研究者により研究され理論的にも実務的にも重要な知見が蓄積されてきている。
本書ではまず,経営戦略の概念とレベルを明らかにしたうえで,経営戦略を策定するプロセスについて説明している。経営戦略の概念はさまざまに定義されているが,基本的には,企業の存続や競争優位性を確保するために,長期的観点から企業が進むべき方向性や事業分野を選択することを意味している。ひと言でいえば「企業のグランドデザインを描く」ことにほかならない。企業を取り巻く環境は絶えず激しく変化しており,これらの環境変化に適応できなければ企業は存続できない。しかし,単に環境変化に後追い的に適応するだけでは、日々の変化に翻弄され,かえって企業の存続は危うくなる。絶えず変化する環境の中で長期的に存続していくためには、明確な論理にもとづく経営戦略をもつことが不可欠なのである。
企業全体にかかわる戦略を全社戦略という。全社戦略として最も重要な問題は、自社が従事すべき事業分野を決定する「ドメインの定義」である。英語の”strategy”の語源はギリシャ語の”strategos”(将軍の術)であるといわれている。将軍にとってまず求められるのは自軍の強みを活かし、相手の弱点を突けるような「戦いの場」を選ぶことである。企業にとっての「戦いの場」とは、事業活動を展開する分野にほかならない。ドメインとは本来,生物の生存領域や活動領域を意味しているが,戦略論では企業が事業活動を展開する分野の意味で用いられている。ドメインを定義することにより,「わが社はどのような会社であるか」という企業のアイデンティティーが明確になり,組織としての一体感が強化され,人々の思考や行動のベクトルが一致し,経営資源蓄積のパターンにも一貫性がみられるようになる。ドメインの定義と並んで重要なのが、企業全体の方向づけや重視すべき価値理念を表す「経営理念」「ビジョン」「ミッション」などを明らかにすることである。
事業ごとの戦略において中核となるのは「いかにして自社の競争優位性を確立し維持していくか」という競争戦略である。さらに,研究開発戦略,生産戦略,マーケティング戦略,人事戦略など機能別の戦略を検討する。実際に戦略シナリオを描いていくためには分析ツールが不可欠であり,SWOT分析やPPMなど基本的な戦略分析ツールを検討する。最後に,経営戦略が当初の構想どおり展開しているかどうかを確認するコントロールの問題を取り上げて検討する。
経営戦略に続いて「組織のデザインとマネジメント」を扱っている。いかに合理的な戦略を策定しても,実行力がともなわなければ成果に結びつかない。この実行力を基本的に規定しているのが組織のデザインとマネジメントである。組織デザインの対象となるのは,個々人が担当する職務の設計,集団・部門・組織階層などの編成,標準化や集権・分権の程度などを決める構造化,ラインとスタッフ関係の構築,調整メカニズムの構築などである。
具体的な企業組織の形態としては職能部門制組織,事業部制組織とその発展型としてのカンパニー制組織,プロジェクト組織,マトリックス組織,ネットワーク型組織などがあるが,近年,経営統合に際してよく利用される持株会社についても取り上げた。また、企業組織を補完する制度として、委員会制度,プロジェクト・チーム,クロスファンクショナル・チームなども検討する。
組織構造は組織の骨格・枠組みであるが、それが円滑に機能するかどうかは組織文化に依存している。組織文化は,組織メンバーに共有された価値観,信念,行動規範などであり,最も根底的なところで人々の思考・行動パターンを規定している。組織を取り巻く環境は絶えず変化しており,それに対応して経営戦略も変化する。ある時点でいかに有効な組織をデザインしても,環境や戦略の変化に対応して組織を変革する必要がある。組織変革として、M&Aや会社分割のような組織の境界の変更,組織機構の改革,組織文化の改革などを検討する。続いて個人と組織のマネジメントに関して,個人と組織のかかわり合い・コミットメントの問題と,ナレッジ・マネジメントという重要なテーマについて検討する。
次に,組織をマネジメントするうえで身につけておくべきスキル・手法として,マネジメント・スキル,仮説思考,フレームワーク思考,MECE(ミッシー),KJ法,シックス・シンキング・ハット,マイクロ・カウンセリングなどを取り上げて説明する。
今回の改訂では,第5章に「内部統制」を追加した。内部統制は業務が適正かつ効率的に遂行されるように管理することであり,以前から行われてきたが,近年における取引形態の多様化・グローバル化・IT化の急速な進展を背景に,より高度で複雑な問題が生じてきており,これらに対応できる内部統制制度の確立が重要な経営課題となってきている。本書では,会社法と金融商品取引法において規定されている内部統制制度のポイントを扱っている。
本書はこれまで数回にわたって改訂を行ってきたが,今回の改訂作業は次のような分担で実施した。
第1章 小椋康宏
第2章 中村公一
第3章,第5章 松本芳男
第4章 木下潔
2015年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
目次
第1章 マネジメントの基本
1 マネジメントとは何か
①経営環境の変化とマネジメント
②マネジメントの階層
2 マネジャーの仕事と資質
①マネジャーの仕事
②マネジャーに求められる資質
3 マネジメントとリーダーシップ
第2章 経営戦略
1 経営戦略の重要性と体系
①「経営戦略」という考え方
②経営戦略の階層性
③経営戦略の策定アプローチ
2 戦略計画の立案
①戦略の実行計画化
②マネジメント・プロセスとPDCA
3 経営環境の分析
①経営環境の分析
②外部環境の分析
③自社能力の分析
4 全社戦略
①ミッション・経営理念・ビジョン
②企業ドメイン
③企業成長の方向性
④全社戦略の方法
⑤経営資源の配分
5 事業戦略(競争戦略)
①事業戦略と競争戦略
②ポーターの競争戦略論
③競争地位別の戦略
④戦略グループと移動障壁
⑤市場のライフサイクル
6 機能別戦略
①R&D戦略
②生産戦略
③マーケティング戦略
第3章 組織のデザインとマネジメント
1 組織デザイン
①組織デザインのアプローチ
②組織デザインの対象
2 企業組織の諸形態
①職能部門制組織
②事業部制組織
③プロジェクト組織
④カンパニー制
⑤持株会社
⑥マトリックス組織
⑦ネットワーク型組織
⑧委員会制度
⑨プロジェクトチーム
⑩クロスファンクショナル・チーム
3 組織文化
①組織文化の意義
②組織の基軸価値
4 組織変革
①組織の境界の変更:M&A,会社分割
②組織機構改革
③組織文化の変革
5 個人行動のマネジメント
①組織や仕事へのコミットメント
②コミットメントと意欲
6 組織行動のマネジメント
ナレッジ・マネジメント
①知識の共有・活用
②知識の創造
③ダイバーシティ・マネジメント
第4章 マネジメント・スキル
1 マネジメント・スキル
① 3つのマネジメント・スキル
② マネジメントの実践に不可欠な3つの要素
2 論理的思考法
①論理的思考法の重要性
②基本的な論理的思考法
3 問題解決法
①問題と課題
②問題解決のフロー
③現状分析
④原因分析(真因の把握)
⑤課題の設定
⑥解決策の検討
⑦解決プランの策定と実行
4 マネジメントのためのコミュニケーション・スキル
①コミュニケーション・スキルの重要性
②聴き取りのスキル
③モチベーションを高めるスキル
④ファシリテーションのスキル
⑤プレゼンテーションのスキル
第5章 内部統制
1 コンプライアンス経営と内部統制
①内部統制の意義
②企業不祥事の原因と防止策
2 内部統制の定義と目的
3 会社法において求められる内部統制
①業務執行機関の内部統制構築義務
4 金融商品取引法において求められる内部統制
①確認書制度
②内部統制報告制度
索引
経営学検定試験 試験ガイド
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目次 – 経営学検定試験公式テキスト3 – 人的資源管理/経営法務
経営学検定試験公式テキストの刊行にあたって
経営学検定試験は,経営に関する基礎的・専門的知識やその応用能力としての経営管理能力や問題解決能力が一定水準に達していることを全国レベルで資格認定するわが国唯一の検定試験です。この試験は,大学で経営学を学んでいる学生や,企業・官公庁・NPOなど各種の組織で活動している実務家に対して,経営に関する学習目標とインセンティブを提供することを意図しています。現在まで多くの大学や企業で利用され,多数の学生やビジネスパーソンなどが受験しています。
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学生にとってこの試験の合格は,就職活動に際して強力なアピールの材料になるでしょう。企業や官公庁,NPOなどで働く社会人やビジネスパーソンにとっても,経営各分野の専門的知識やその応用能力が一定水準にあることを自己確認できるとともに、キャリアアップの有力な武器になります。大学では卒業試験や大学院入学試験に,企業では採用試験,社内選抜試験,昇格テスト,社内研修,経営幹部養成プログラムなどに利用されています。
経営学検定試験は,社会教育の推進をはかるために設立された特定非営利活動法人経営能力開発センターが,日本マネジメント学会(旧称・日本経営教育学会)の協力を得て,2003年に全国主要大学の経営学関係の教員で構成する経営学検定試験協議会を設置してスタートし,2011年より一般社団法人日本経営協会が実施・運営を行っています。
本経営学検定試験公式テキストは、初級,中級および上級を受験しようとする人のために2004年に全5巻構成で刊行され,2006年には試験制度の変更や法令・制度の改正,経営環境の動向に対応して全7巻の構成になりましたが,その後,2009年には中級試験制度の見直しを行うとともに,ふたたび全5巻構成にコンパクト化して刊行してきました。
今回(2015年)の改訂では、企業・団体の経営や教育・研修に携わる方々から寄せられた、より実践的な試験内容を求める声に応えるべく、中級に経営法務とIT経営を新たに加えるなど,テキストの再編成と試験制度の見直しを行っています。また,それに伴って本検定が実践的な知識や能力の修得を目指していることをより的確に表すために,「マネジメント検定」の呼称を使用することといたしました。なお,正式名称は「経営学検定試験」のままで変更ありません。
<初級・中級試験範囲および公式テキストの構成>
旧試験範囲とテキスト構成 | 改訂試験範囲とテキスト構成 | |
初級 | ①経営学の基本 | ①経営学の基本 |
中級 | ②マネジメント ③マーケティング ④経営財務 ⑤人的資源管理 |
②マネジメント ③人的資源管理/経営法務 ④マーケティング/IT経営 ⑤経営財務 |
<2015年からの試験制度変更に伴うテキストの改訂方針と改訂内容>
①初級テキストは,初学者を対象とした経営学の基礎知識を体系的に修得できる内容とする。
②中級テキストは、ビジネスパーソンを対象とし,特定の職種や業種に偏らず経営やマネジメントの実務遂行に必要とされる実践的な内容とするため,近年のマネジメントにおいて重要度が増している,経営法務とIT経営を新たな分野として加える。
③社会・経済環境の変化を踏まえて、必要な補筆・修正を行い、各章の整合性や難易度,用語の統一などテキスト全体の統一をはかる。
なお,本公式テキストの改訂は,下記のテキスト編集委員会の協力を得て一般社団法人日本経営協会が監修を行っています。
編集委員委員長:小椋康宏(東洋大学経営学部教授),松本芳男(日本大学商学部教授),木下潔(経営コンサルタント・東洋大学大学院教授)
2015年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
まえがき
本書は,経営学検定試験公式テキストとして、中級を受験しようとする人のために書かれた4冊のうちの1つであり,人的資源管理固有の内容のみならず,最近関心が高まりつつあるメンタルヘルスを含めて人的資源管理に必要な内容を幅広く扱っている。さらに後半では経営法務の知識を学習できるようになっている。本書の概要を示すと以下の通りとなる。
第1部は人的資源管理の基本を解説している。
第1章は「人的資源管理の原則」で,人的資源管理(HRM)の理論的背景とアメリカで発展した理論の日本における適用の経緯とその特徴について解説している。
第2章は「人事制度と能力開発」である。
第1節「雇用形態の多様化と人事制度」は,人的資源管理の中核ともいうべき人事制度について、その望ましいあり方を雇用形態の多様化や人事管理の業績主義化に照らして解説している。
第2節は「雇用管理」で,採用から退職に至るまでの流れについて解説をし,非正規従業員の問題にも言及する。
第3節「人事評価と昇進・昇格」では人事評価について,その仕組みと体系,その活用目的,昇進・昇格との関連性について解説している。
第4節は「能力開発とキャリア開発」で,能力開発を個人および組織の両面から行うべきものととらえ,新しい企業内教育のあり方や具体的展開方法などについて解説している。
第3章は,「労務管理と労使関係」である。
第1節「報酬制度と福利厚生」では,日本の賃金の変遷を概観し,職務給,職能給の基本給としての妥当性などにつき解説している。また,福利厚生についても、カフェテリアプランなどの今後の展開を示唆する動向を取り入れている。
第2節「労働時間管理」では、裁量労働制やフレックスタイム制などの新しい働き方や勤務形態などについて解説している。
第3節「職場のストレスとメンタルヘルス」では,最近の重要な課題である、職場ストレス対策としてのメンタルヘルスケアについて,平成18年4月の形で労働安全衛生法施行以降の動向に基づいて解説している。
第4節「労使関係と労働組合」では,わが国の雇用慣行を代表する企業別知合の特徴や団体交渉や労使協議制を中心とする労使関係のあり方につき解説している。
第2部は経営法務を性質ごとに5章に分け解説している。
第1章「企業経営と法務」では,一般的に経営環境の変化と経営法務,経営法務の内容,コンプライアンスと経営法務,経営法務の役割について述べる。
第2章「企業組織と法務」では,株式会社についての基本的問題を取り上げ、株式と株主,株式会社の機関と取締役の任務,株主の剰余金の分配、企業の組織再編,M&Aについて解説する。
第3章「企業取引と法」ではその中心概念である契約を取り上げ,契約の成立過程,契約の履行,契約の不履行,国際取引について解説する。
第4章「企業活動と法規制」では,企業活動について今日の重要な問題(競争秩序,個人情報,知的財産)をトピックス的に取り上げ検討する。
第5章「企業をめぐる紛争と法」では,紛争の特質と解決方法の多様化について解説する。
第2部を利用されるにあたっては、六法全書で条文を確認されながらお読みいただくことを推奨する。すでに経営法務について通暁されている方の場合には,これまでの知識などの確認や整理の目的で,また初学者の方は今後の学習の道しるべにしていただければ幸いである。
本書は、経営学検定試験の中級合格を目指す人だけでなく、マネジメントの実践の場で力強い味方となる人的資源管理や経営法務についての基礎知識を身につけたいビジネス・パーソンにとっての実用書として、また経営やマネジメントを学ぶ学生にとっての入門書として役に立つであろう。
なお,本書の改訂・執筆担当は次のとおりである。
第1部(人的資源管理)……細萱伸子(上智大学経済学部准教授)
第2部(経営法務) ……根田正樹(日本大学商学部教授)
前回2015年4月の刊行以降での,人的資源管理の統計資料等最新情報へのアップデート,及び経営法務の法改正に伴う「企業活動と個人情報保護法」の書き直しを行った。
2018年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
目次
第1部 人的資源管理
第1章 人的資源管理の原則
1 人的資源管理の原則と展開
① 人的資源管理の原則
②管理の伝統から能力発揮へ:HRMの登場
③経営戦略との関係性:SHRMへの移行
2 日本におけるHRM/SHRM
①日本におけるHRM/7
②日本におけるSHRM
第2章 人事制度と能力開発
1 雇用形態の多様化と人事制度
①雇用形態の多様化と社員区分
②人事制度の定義とその全体フレーム
③職能資格制度の今日的意義とその限界
④ポスト職能資格制度としてのコンピテンシーモデル
2 雇用管理(採用、配置・異動,退職)
①要員計画
②採用管理
③配置・異動
④退職管理
⑤戦略的対応と多様な従業員の雇用管理
3 人事評価と昇進・昇格
①人事評価の基本概念
②人事考課制度の目的・仕組み・原則
③人事考課制度の運用
④昇進と昇格
4 能力開発とキャリア開発
①日本における能力開発の体系とその特徴
②キャリア形成とCDP
③能力開発をめぐる新しい動き
第3章 労務管理と労使関係
1 報酬制度と福利厚生
①報酬・賃金の性格と決定基準
②日本における賃金の変遷
③賃金管理の内容
④福利厚生
2 労働時間管理
①労働時間管理の目的と課題
②労働時間の基本概念
③労働時間の柔軟化を志向した諸制度
3 職場のストレスとメンタルヘルス
①企業・職場におけるストレス,メンタルヘルス
②ストレス,メンタルヘルスに関する基礎知識
4 労使関係と労働組合
①労使関係と法的枠組み
②労働組合の機能と組織形態
③団体交渉,労使協議制と労使紛争
第2部 経営法務
第1章 企業経営と法務
1 企業経営環境の変化と経営法務
2 経営法務の内容
3 コンプライアンスと経営法務
①企業活動と法的リスク
②コンプライアンスの意義と構造
③コンプライアンス体制
④コンプライアンスと経営者
⑤コンプライアンス体制の整備
4 経営法務の役割
第2章 企業組織と法務
1 株式の多様化と活用
①株式と株主
②株式の種類と活用
2 株式会社の機関と取締役の任務
①株式会社の機関と設計
②取締役の任務と責任
3 株主への剰余金の分配
①剰余金の分配規制
②剰余金配当の手続
③剰余金配当の要件
④違法配当の効力
4 企業の組織再編一事業譲渡,合併,会社分割,株式交換および株式移転
①企業の組織再編
②会社分割
③完全親会社の創設一株式交換および株式移転
5 M&A
①M&Aの意義と形態
②上場会社に対するM&A
③M&Aと株券等大量保有状況開示制度
④敵対的M&Aと企業防衛
第3章 企業取引と法
1 契約
①契約とは
②契約の成立過程
③契約の履行
④企業取引と契約不履行
2 国際取引
①国際取引と法務
②国際売買
③国際投資
④国際取引と紛争解決
第4章 企業活動と法規制
1 競争秩序と法規制
①市場経済と法
②私的独占と法規制
③不当な取引制限と規制
④不公正な取引方法の規制
⑤企業結合・集中の規制
2 企業活動と個人情報保護法
①個人情報保護の必要性と法
②個人情報保護法の概要
③企業活動と個人情報保護法
④個人情報保護と保護プログラム
3 企業活動と知的財産権
①知的財産権の意義
②特許権
③著作権
④実用新案権
⑤意匠権
⑥営業秘密
⑦商標権
第5章 企業をめぐる紛争と法
1 紛争と解決方法の多様化
①紛争の複雑化・多様化
②民事裁判
③裁判外紛争処理手続(ADR)
2 債権回収
①民事執行手続
②強制執行
③担保権の実行
3 債務者の倒産と対応
①倒産処理制度
②破産
③民事再生
④会社更生
索引
経営学検定試験 試験ガイド
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目次 – 経営学検定試験公式テキスト4 – マーケティング/IT経営
経営学検定試験公式テキストの刊行にあたって
経営学検定試験は,経営に関する基礎的・専門的知識やその応用能力としての経営管理能力や問題解決能力が一定水準に達していることを全国レベルで資格認定するわが国唯一の検定試験です。この試験は,大学で経営学を学んでいる学生や,企業・官公庁・NPOなど各種の組織で活動している実務家に対して,経営に関する学習目標とインセンティブを提供することを意図しています。現在まで多くの大学や企業で利用され,多数の学生やビジネスパーソンなどが受験しています。
最新の経営学検定(マネジメント検定)テキストを確認する
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学生にとってこの試験の合格は,就職活動に際して強力なアピールの材料になるでしょう。企業や官公庁,NPOなどで働く社会人やビジネスパーソンにとっても,経営各分野の専門的知識やその応用能力が一定水準にあることを自己確認できるとともに、キャリアアップの有力な武器になります。大学では卒業試験や大学院入学試験に,企業では採用試験,社内選抜試験,昇格テスト,社内研修,経営幹部養成プログラムなどに利用されています。
経営学検定試験は,社会教育の推進をはかるために設立された特定非営利活動法人経営能力開発センターが,日本マネジメント学会(旧称・日本経営教育学会)の協力を得て,2003年に全国主要大学の経営学関係の教員で構成する経営学検定試験協議会を設置してスタートし,2011年より一般社団法人日本経営協会が実施・運営を行っています。
本経営学検定試験公式テキストは、初級,中級および上級を受験しようとする人のために2004年に全5巻構成で刊行され,2006年には試験制度の変更や法令・制度の改正,経営環境の動向に対応して全7巻の構成になりましたが,その後,2009年には中級試験制度の見直しを行うとともに,ふたたび全5巻構成にコンパクト化して刊行してきました。
今回(2015年)の改訂では、企業・団体の経営や教育・研修に携わる方々から寄せられた、より実践的な試験内容を求める声に応えるべく、中級に経営法務とIT経営を新たに加えるなど,テキストの再編成と試験制度の見直しを行っています。また,それに伴って本検定が実践的な知識や能力の修得を目指していることをより的確に表すために,「マネジメント検定」の呼称を使用することといたしました。なお,正式名称は「経営学検定試験」のままで変更ありません。
<初級・中級試験範囲および公式テキストの構成>
旧試験範囲とテキスト構成 | 改訂試験範囲とテキスト構成 | |
初級 | ①経営学の基本 | ①経営学の基本 |
中級 | ②マネジメント ③マーケティング ④経営財務 ⑤人的資源管理 |
②マネジメント ③人的資源管理/経営法務 ④マーケティング/IT経営 ⑤経営財務 |
<2015年からの試験制度変更に伴うテキストの改訂方針と改訂内容>
①初級テキストは,初学者を対象とした経営学の基礎知識を体系的に修得できる内容とする。
②中級テキストは、ビジネスパーソンを対象とし,特定の職種や業種に偏らず経営やマネジメントの実務遂行に必要とされる実践的な内容とするため,近年のマネジメントにおいて重要度が増している,経営法務とIT経営を新たな分野として加える。
③社会・経済環境の変化を踏まえて、必要な補筆・修正を行い、各章の整合性や難易度,用語の統一などテキスト全体の統一をはかる。
なお,本公式テキストの改訂は,下記のテキスト編集委員会の協力を得て一般社団法人日本経営協会が監修を行っています。
編集委員委員長:小椋康宏(東洋大学経営学部教授),松本芳男(日本大学商学部教授),木下潔(経営コンサルタント・東洋大学大学院教授)
2015年1月
一般社団法人日本経営協会 特定非営利活動法人経営能力開発センター
まえがき
本書は,経営学検定試験公式テキストとして,中級を受験しようとする人の ために書かれた4冊のうちの1つであり,第1部「マーケティング」と,第2 部「IT経営」の2部構成となっている。
第1部「マーケティング」は、 マーケティングのコンセプト, マーケティン グ・リサーチと標的市場, マーケティング・プログラム, マーケティングのさらなる展開,という4つの章から構成されている。
第1章「マーケティングのコンセプト」では,まず“マーケティング”の本質はなにかについてのさまざまな考え方を紹介する。そして, マーケティングに対する考え方の時代による変遷や,企業経営におけるマーケティングの位置づけについて考える。
第2章「マーケティング・リサーチと標的市場」においてはまず, マーケティング戦略の策定に必要な市場調査の手法について述べる。次いで,消費者市場の特性と消費者の購買行動について説明する。また,消費者市場と比較しながら、ビジネス市場の特性と企業の購買行動についても説明を加える。そして,標的市場を選定していくプロセスを段階的にとらえ,市場細分化とは何か, その具体的な方法論にはどのようなものがあるか,さらには細分化の結果として現われてくる市場セグメントのなかから自社にとって適切な標的市場をどのように選び出すのか,といった課題について理解を深めていく。
第3章「マーケティング・プログラム」においては,製品戦略・価格戦略・チャネル戦略・プロモーション戦略という“マーケティング・ミックスの4 P”の各々について、具体的に説明する。製品戦略では,製品ミックス、製品ライフサイクル、ブランド戦略などについて取り上げる。価格戦略では、価格決定に影響を与える需要の価格弾力性やさまざまな価格政策などについて取り上げる。チャネル戦略では、流通の機能,チャネル上における企業間関係、垂直的流通システムなどについて取り上げ,さらにチャネル戦略と深いかかわりをもつ物流,ロジスティクス,サプライ・チェーン・マネジメントについても説明を加えていく。プロモーション戦略では、広告・PR・パブリシティ・人的販売・販売促進といったプロモーション・ミックスについて実務的な方法論を説明しながら、顧客とのコミュニケーションのあり方について考察を深めていく。
第4章「マーケティングのさらなる展開」においてはまず,製造業を中心にして述べられることの多いマーケティング・ミックスに対して,小売業や卸売業,および, サービス業におけるマーケティング・ミックスの特徴を明らかにする。次いで,顧客価値を重視するマーケティング,情報化の進展とともに展開する新しいマーケティング, など最近のトピックスについて考えていく。
第2部「IT 経営」は,企業経営と経営情報システム,情報処理と ICT システム,ICT システムの開発,経営情報システムに関する情報セキュリティ, という4つの章から構成されている。
第1章「企業経営と経営情報システム」においては、経営情報システムの機能と役割,企業における位置づけについて説明する。そして、今や企業経営の インフラとして重要な位置を占めるようになった経営情報システムの発展についてまとめている。また,現代のビジネスに欠かせないインターネットに関する知識を説明する。
第2章「情報処理とICT システム」においては,情報処理に関する基本的な知識をまとめ,コンピュータのハードウェアとソフトウェア,サーバー, ネットワーク, インターネットの技術的な側面などについて,基礎的知識を身につける。
第3章「ICTシステムの開発」においては,システムの導入形態やシステム開発の方法, プログラミングに関する基礎知識など,管理者として知っておくべき内容をまとめている。
第4章「経営情報システムに関する情報セキュリティ」においては、情報セキュリティに関する要件,セキュリティに関わる経営リスク、具体的なセキュリティ対策,セキュリティにかかる法律やガイドラインなどについて説明する。
本書は、マーケティングについての体系的な知識と,経営情報システムについての基礎知識を身につけたいビジネス・パーソンにとっての実用書として, また経営やマーケティングを学ぶ学生にとっての入門書として役に立つであろう。
なお,本書の改訂・執筆担当は次のとおりである。
第1部……木下潔(経営コンサルタント・東洋大学大学院教授)
第2部……秋本芳伸(ITコンサルタント工学博士)
さらに,前回2015年3月の第4版の刊行以降に,社会の関心が高まっている, インターネットを利用した新たなマーケティング手法や, IoT, AI などのICTトピックスなどを追加した。
2018年1月
一般社団法人日本経営協会 特定非営利活動法人経営能力開発センター
目次
第1部 マーケティング
第1章 マーケティングのコンセプト
1 マーケティングという考え方
①マーケティングの重要性
②マーケティングの定義
③マーケティングの考え方の時代的変遷
2 戦略とマーケティング
第2章 マーケティング・リサーチと標的市場
1 顧客満足とマーケティング・リサーチ
①業績評価と顧客の視点
②マーケティング・リサーチ
2 消費者市場と消費者行動
①消費者の購買行動に影響する要因
②消費者どうしの相互作用の購買行動への影響
③消費者の購買決定のタイプ
④消費者の購買決定プロセス
3 ビジネス市場と企業の購買行動
①ビジネス市場の特性
②組織の購買行動の影響要因
③組織における購買決定のタイプ
④組織における購買決定プロセス
⑤組織購買における意思決定者の役割
4 標的市場の選定
①市場細分化と顧客ターゲット
②ターゲティング(標的化)―市場セグメントの選定方法
③ポジショニング―顧客に対する価値の伝達
第3章 マーケティング・プログラム
1 製品戦略とブランド戦略
①製品概念の変貌とサービスの重要性
②製品ミックス
③製品ライフサイクル
④新製品開発
⑤ブランド
2 価格戦略
①価格戦略の意味
②価格決定のメカニズム
③価格決定の手法
④顧客からみた価格情報
3 チャネル戦略
①流通の機能
②マーケティング・チャネルの経済的役割
③主要な流通フロー
④マーケティング・チャネルの存在理由
⑤多様な企業間関係
⑥垂直的マーケティング・システムの種類とその特徴
⑦チャネル・メンバー間の競争構造
4 ロジスティクス
①物流
②ロジスティクス
③サプライ・チェーン・マネジメント
5 プロモーション戦略
①プロモーションの意義
② プロモーション・ミックス
③ プル戦略とプッシュ戦略
④ プロモーションへの反応プロセス
⑤ 広告のマクロ的影響性
第4章 マーケティングのさらなる展開
1 流通業やサービス業のマーケティング・ミックス
①流通業のマーケティング・ミックス
②サービス業のマーケティング・ミックス
2 顧客価値を重視するマーケティング
①顧客価値創造のマーケティング
②関係性マーケティング
③ワントゥワン・マーケティング
④共創マーケティング
3 情報化の進展とマーケティングの新展開
①CRMと情報管理
②インターネット・マーケーティング
③消費者の購買プロセスとネット対応
④バズ・マーケティング
⑤データベース・マーケティング
第2部 IT経営
第1章 企業経営と経営情報システム
1 経営情報システムの概念と機能
①経営情報システムと企業の各部門の関係
②経営情報システム開発における各部門の関係
2 経営情報システムの発展
①ビジネスプロセスの改善や効率化のための業務システム
②企業経営のための意思決定支援システム
3 経営情報システムの新しい流れ
① データセンター(Data Center)
②クラウド・コンピューティング(Cloud Computing)
③グループウェア(Group ware)
4 インターネットとICT
①WWW(World Wide Web)
②SNS(Social Networking Service)
③EC(Electronic Commerce)/電子商取引
④インターネット・マーケティング(Internet Marketing)
⑤ビッグデータ(Big Data)
5 ICTの新たな潮流
①ブロックチェーン(Blockchain)
②IoT(Internet of Things)
③CPS(Cyber Physical System)
④AI(Artificial Intelligence:人工知能)
第2章 情報処理とICTシステム
1 データ処理と情報処理
①情報処理の基本
②データの表現
2 コンピュータの5大基本機能とハードウェア(Hardware)
①コンピュータの5大基本機能
②補助記憶装置(外部記憶装置)
③入力装置,出力装置
3 サーバー
①LAN(Local Area Network)上のサーバーの種類
インターネット上のサーバーの種類
4 コンピュータ・システムのソフトウェア(Software)
①基本ソフトウェアとアプリケーション・ソフトウェア
②パッケージ・ソフトウェアとカスタム・ソフトウェア
③基本ソフトウェアの種類
5 コンピュータ・システムのネットワーク
①地理的な分類:LAN,WAN,MAN
②構成方法による分類:ネットワークトポロジー
③メディアアクセス制御(Media Access Control)
④LANの種類
⑤WANで使う回線
6 インターネットの基本
①WWW(World Wide Web)の基本技術
②電子メール(Electronic Mail)の基本技術
③ インターネットの歴史(ARPANET,NSFNET)
④通信プロトコル(OSI参照モデル,TCP/IP)
⑤MACアドレス
⑥IPアドレス(IPv4とIPv6)
⑦ポート(Service Port)
⑧ドメイン名の仕組みとルール
⑨イントラネット,エクストラネット,インターネット
⑩ネットワーク機器.
第3章 ICTシステムの開発
1 ICTシステムの変遷とシステムの導入形態
①ICTシステムの変遷
②ICTシステムの導入形態
2 ICTシステムの開発
①ICTシステムのライフ・サイクル
②システム開発のプロセス
③システム要求定義
④RFP(Request For Proposal)
⑤代表的なソフトウェア開発手法
⑥分析手法・設計手法
⑦ICTシステムコスト
3 プログラミング
①アルゴリズム(Algorism)とフローチャート
②プログラミング手順
第4章 経営情報システムに関する情報セキュリティ
1 情報セキュリティに関する要件と対策
①情報セキュリティの要件
②セキュリティ対策の基本
③マルウェアとコンピュータウィルス
④具体的なセキュリティ対策
⑤暗号技術
⑥無線LANのセキュリティ
⑦セキュリティに関わる周辺装置および技術
2 情報セキュリティに関わる法律,基準,ガイドライン
①情報セキュリティに関わる法律
②情報セキュリティに関わるガイドライン・基準
③制度
索引
経営学検定試験 試験ガイド
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目次 – 経営学検定試験公式テキスト5 – 経営財務
経営学検定試験公式テキストの刊行にあたって
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経営学検定試験は,経営に関する基礎的・専門的知識やその応用能力としての経営管理能力や問題解決能力が一定水準に達していることを全国レベルで資格認定するわが国唯一の検定試験です。この試験は、大学で経営学を学んでいる学生や,企業・官公庁・NPOなど各種の組織で活動している実務家に対して,経営に関する学習目標とインセンティブを提供することを意図しています。現在まで多くの大学や企業で利用され,多数の学生やビジネスパーソンなどが受験しています。
学生にとってこの試験の合格は,就職活動に際して強力なアピールの材料になるでしょう。企業や官公庁,NPOなどで働く社会人やビジネスパーソンにとっても,経営各分野の専門的知識やその応用能力が一定水準にあることを自己確認できるとともに,キャリアアップの有力な武器になります。大学では卒業試験や大学院入学試験に,企業では採用試験,社内選抜試験,昇格テスト,社内研修,経営幹部養成プログラムなどに利用されています。
経営学検定試験は,社会教育の推進をはかるために設立された特定非営利活動法人経営能力開発センターが、日本マネジメント学会(旧称・日本経営教育学会)の協力を得て,2003年に全国主要大学の経営学関係の教員で構成する経営学検定試験協議会を設置してスタートし,2011年より一般社団法人日本経営協会が実施・運営を行っています。
本経営学検定試験公式テキストは,初級,中級および上級を受験しようとする人のために2004年に全5巻構成で刊行され,2006年には試験制度の変更や法令・制度の改正,経営環境の動向に対応して全7巻の構成になりましたが、その後,2009年には中級試験制度の見直しを行うとともに,ふたたび全5巻構成にコンパクト化して刊行してきました。
今回(2015年)の改訂では、企業・団体の経営や教育・研修に携わる方々から寄せられた,より実践的な試験内容を求める声に応えるべく、中級に経営法務とIT経営を新たに加えるなど、テキストの再編成と試験制度の見直しを行っています。また,それに伴って本検定が実践的な知識や能力の修得を目指していることをより的確に表すために,「マネジメント検定」の呼称を使用することといたしました。なお,正式名称は「経営学検定試験」のままで変更ありません。
<初級・中級試験範囲および公式テキストの構成>
旧試験範囲とテキスト構成 | 改訂試験範囲とテキスト構成 | |
初級 | ①経営学の基本 | ①経営学の基本 |
中級 | ②マネジメント ③マーケティング ④経営財務 ⑤人的資源管理 |
②マネジメント ③人的資源管理/経営法務 ④マーケティング/IT経営 ⑤経営財務 |
<2015年からの試験制度変更に伴うテキストの改訂方針と改訂内容>
①初級テキストは,初学者を対象とした経営学の基礎知識を体系的に修得できる内容とする。
②中級テキストは、ビジネスパーソンを対象とし,特定の職種や業種に偏らず経営やマネジメントの実務遂行に必要とされる実践的な内容とするため,近年のマネジメントにおいて重要度が増している,経営法務とIT経営を新たな分野として加える。
③社会・経済環境の変化を踏まえて,必要な補筆・修正を行い,各章の整日合性や難易度,用語の統一などテキスト全体の統一をはかる。
なお,本公式テキストの改訂は,下記のテキスト編集委員会の協力を得て一般社団法人日本経営協会が監修を行っています。
編集委員 委員長:小椋康宏(東洋大学経営学部教授),松本芳男(日本大学商学部教授),木下潔(経営コンサルタント・東洋大学大学院教授)
2015年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
まえがき
本書は、経営学検定試験公式テキストとして、中級を受験しようとする人のために書かれた4冊のうちの1つであり,第1章「経営財務の意義」,第2章「資本市場と投資」,第3章「企業価値評価」,第4章「業績評価と経営分析」,第5章「資金調達と資本構成」,第6章「管理会計」,という構成になっている。
全体としては、まず第1章「経営財務の意義」で、経営財務の全体像を描き出し,経営財務はなぜ必要かに始まり、経営財務と企業会計のかかわりについて説明する。次に,第2章「資本市場と投資」では,調達した資金を企業がどのように運用・投資して利益を生み出すのか、を説明する。ここでは、ファイナンス理論の基本的考え方である「リスクとリターン」「資本コスト」などについて解説し,さらに投資の効果を定量的に測定する投資の経済性計算についても説明する。そして、第3章「企業価値評価」において、将来の「フリー・キャッシュフロー」を生み出す企業価値をどのように測定するか,というテーマを取り上げる。企業価値は,企業が行う資金調達と資金運用の総合評価と考えられる。さらに,第4章「業績評価と経営分析」においては,企業価値を評価するデータのもとになる財務情報がどのように整理され,財務諸表の形となって経営分析に用いられるのか,について説明する。第5章「資金調達と資本構成」において、企業がどのような手段を用いて資金調達を行うのか,およびペイアウト政策について説明する。ここでは,資金調達にかかる資本コストの算出方法についても説明する。最後に,第6章「管理会計」においては,経営者や管理者の意思決定にとって重要な管理会計の分野を取り上げる。
本書のタイトルは「経営財務」であり,その基本テーマはコーポレート・ファイナンスである。しかし,コーポレート・ファイナンスとインベストメント(投資)には、リスクとリターンの関係や投資の評価方法など,多くの共通する考え方や手法がある。また,経営財務における経済的な情報の多くは,制度会計として財務諸表を作成する過程である財務会計からもたらされる。さらに、財務会計とならぶアカウンティングの分野である管理会計は,意思決定に必要な情報提供という意味ではファイナンスに通じるものがある。そこで,本書では経営者や管理者,または,それらをめざす実務家にとって重要と思われる項目については、インベストメント,財務会計,管理会計の分野のテーマは取り扱っている。
本書は、経営学検定試験の中級合格を目指す人だけでなく,マネジメントの実践の場で必須となる財務会計についての基礎知識を身につけたいビジネス・パーソンにとっての実用書として,また経営やマネジメントを学ぶ学生にとっての入門書として役に立つであろう。
なお,本書の改訂・執筆担当は次のとおりである。
第1章〜第5章……小椋康宏(東洋大学経営学部教授)
第1章,第4章,第6章……岩田弘尚(専修大学経営学部准教授)
2015年1月
一般社団法人日本経営協会
特定非営利活動法人経営能力開発センター
目次
第1章 経営財務の意義
1 経営財務の基礎知識
①経営財務はなぜ必要か
②ファイナンスの意義
③経営財務(コーポレート・ファイナンス)の体系
④企業価値の評価
⑤経営財務(コーポレート・ファイナンス)理解のためのキーワード
2 ファイナンスとアカウンティング
①ファイナンスとアカウンティングのちがい
②会計利益と経済利益のちがい
③法制度と財務会計
④新しい会計制度の流れ
⑤国際財務報告基準:IFRS
⑥IFRS会計の特徴
第2章 資本市場と投資
1 資本市場のリターンとリスク分析
①期待リターン
②リスク
③ポートフォリオの期待リターンとリスク
④最適ポートフォリオの理論
⑤CAPMの理論
2 投資決定の評価基準
①投資評価の意義
②回収期間法
③割引回収期間法
④正味現在価値法(NPV法)
⑤内部収益率法(IRR法)
⑥不確実性とリアル・オプション
3 資金運用の管理
①運転資本管理
②デリバティブ(金融派生商品)
第3章 企業価値評価
1 資本コスト
①資本コストの意味
②資本コストの役割
③資本コストの算出方法(例)
④社債による負債資本コストの算出
⑤株主資本コストの算出
2 企業価値評価モデル
①DCF法の基本的な考え方
②割引率の選択
③キャッシュフローの算定
④割引キャッシュフロー(Discounted Cash-Flow)法による株式評価モデル
3 企業価値評価法の実際
①EVAとMVA
②株主価値の評価法
第4章 業績評価と経営分析
1 財務諸表の読み方
①損益計算書
②貸借対照表(Balance Sheet)
③キャッシュフロー計算書(Cash-Flow Statement)
④株主資本等変動計算書
2 経営財務分析
①経営財務分析の意義
②財務諸表分析の手法
③財務分析の主要比率
④モデル企業の財務データと比率分析
⑤体系的な財務分析手法
第5章 資金調達と資本構成
1 資金調達の手段
①資金調達手段の種別化
②負債による資金の調達
③株式による資金の調達
2 資本構成と配当政策
①最適資本構成
②財務レバレッジ効果
③ペイアウト政策(配当政策と自社株買い)
④ペイアウト政策と株主価値
第6章 管理会計
1 管理会計手法
①管理会計とファイナンスの関係
②CVP分析
③損益分岐点分析
④全部原価計算と直接原価計算
2 予算管理
①利益計画と予算の関係
②予算編成
③予算統制
3 戦略的管理会計
①経営戦略と管理会計
②バランスト・スコアカード
③原価企画
④ABC
付表
索引
経営学検定試験 試験ガイド