新しい学校教育の形とは?社会を変えたい全ての人に向けた改革の書、「学校の「当たり前」をやめた。」を読んでみた
公立学校にとって当たり前である「宿題」「固定担任制」「中間期末テスト」。しかし、そんな当たり前に一石を投じる公立中学校の校長、工藤勇一氏の語る『学校の改革』と『社会の改革』についての考えを、「学校の「当たり前」をやめた。」(時事通信社)から読み解いていきたいと思います。
結果を求めた改革術を学ぶことができる指南書
公立学校にとって当たり前であった「宿題」「固定担任制」「中間期末テスト」などの制度。ですがそれは本当に生徒たちの結果に結びついたものでしょうか。この記事では、そんな既成概念を捨て、目的に手段を結びつけたより結果重視の学校教育について書評をしていきます。
この本の著者は、東京理科大学を卒業後、山形県、東京都の中学校で勤め、東京都や各区の教育委員会を務めたのち、2014年から千代田区立麹町中学校で校長をしている工藤勇一氏です。
今回読んだ、時事通信社より出版されている「学校の「当たり前」をやめた。」は教育関係者だけでなく、組織の改革や社会の改革を志す人すべてに向けて書かれた、筆者の功績とその改革に至る思想の指南書となっています。200ページほどとなっており、全部で5つの章に分かれた構成になっています。
1章では実際に著者の行った、麹町中学校の改革についての内容とそこに至った理由について書かれています。最初は違和感を覚える教員たちもたちまち理解してくれたといった内容が印象的でした。
2章では手段と目的のねじれについて、学校教育の課題を挙げていき、改革に取り組むに至る考えを述べています。手段こそが目的とされ、結果も出ないというのに多忙を極めている。そんな現状を問題視する著者の厳しい意見が書かれています。
3章4章では現在進行中である麹町中学校の取り組みが紹介されています。ここでは宿泊研修であったり法律の意義、制服に関する改革など多くの学校教育の当たり前について、疑問が投げかけられています。また、様々な改革に取り組む中で保護者や教員とのすれ違いをどのように解決してきたのか、学校のマネジメントとしての面からの記述もあります。
最終章である5章では著者の工藤氏の思い描く未来の学校教育について書かれています。実際に生徒指導をしていた頃の話や、実際に出会った生徒との話など、改革に打ち出した理由がわかる内容となっていました。
この本を読んで、著者の芯の強さを感じ、私自身も何も考えずに当たり前をこなしているだけなのではないか、と自問することができます。