システムアーキテクト試験(SA)のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)
システムアーキテクト試験(SA)の概要
システムアーキテクト試験(SA)は、ITストラテジストによる提案を受け、情報システム又は組込みシステムの開発に必要となる要件を定義し、実現のためのアーキテクチャを設計して、情報システムについては開発を主導する者にとっての試験です。また、経済産業省が認定する国家資格です。
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システムアーキテクト試験(SA)の公式テキスト
公式テキストは存在していません。市販の参考書で勉強する場合は、技術評論社や翔泳社など情報処理技術者試験の参考書を発行している出版社のものを活用するとよいでしょう。ここでは、システムアーキテクト試験(SA)におすすめの参考書をご紹介します。
令和02年システムアーキテクト合格教本
はじめに
本書は、システムアーキテクト試験の受験参考書です。
システムアーキテクト試験は、名前のとおり、システムのアーキテクチャを設計する人材の能力を評価する試験です。システムアーキテクトが担当する業務の中核は、要件定義・外部設計・総合テスト・移行設計です(ただし、データベーススペシャリスト・ネットワークスペシャリスト・情報処理安全確保支援士が担当する部分を除く)。
いわゆるSE(システムエンジニア)の仕事であると解釈してもかまいません。ITベンダに勤務するエンジニアの多くは、基本情報技術者試験→応用情報技術者試験→システムアーキテクト試験の順に合格されるキャリアパスを想定していると思われます。その点を考慮すれば、システムアーキテクト試験は、ITベンダの係長職もしくは課長職である方々もしくはその候補者が受験する試験であるともいえます。
システムアーキテクト試験は、国家試験である性格上、特定のITベンダ(例えば、マイクロソフト社)の製品に関する問題は出題されません。したがって、広く一般的な要件定義・外部設計等に関する知識があれば十分に合格できます。ただし、この“広く一般的な”という点が、問題を難しくしている側面もあります。実務では、業務に必要な知識の範囲が狭く深く、ITベンダの製品に依存しているケースが多いからだと思われます。
そこで、本書は“広く一般的な”知識を要求される試験問題に焦点を合わせ、特に午前Ⅱ・午後I・午後Ⅱ試験に役立つ構成としました。
本書の特徴は、次の3点です。
①出題ジャンル別に試験問題を並べ替え、イメージが湧きやすくなるように配置しています。
②午後I(記述式)については、なるべく別解や間違った解答に関する解説も入れ、別解の許容範囲が理解できるようにしています。
③午後Ⅱ(論述式)については、論文を書く手順や守らねばならないルールを示し、わかりやすさを狙って、同じシステム開発事例に基づいた論文例を掲載しています。
本書の内容は、システムアーキテクト試験に合格するための必要知識・情報をほとんど網羅するものであり、多くの読者が合格されることを期待しています。
令和2年2月
著者 金子則彦
目次
はじめに
試験ガイダンス
1 システムアーキテクト試験の概要
2 午前I対策
午前II問題
1 午前Ⅱ対策
2 企画・計画
2.1 共通フレーム2013
2.2 エンタープライズアーキテクチャー
3 要件定義
3.1 共通フレームの要件定義プロセス
3.2 機能要件と非機能要件
3.3 BPMN
3.4 BABOK
4 機能設計
4.1 DFD
4.2 オブジェクト指向
4.3 UML
4.4 デザインパターン
5 概念データモデル設計
5.1 E-R図
5.2 UMLのクラス図の多重度
6 プログラム構造設計
6.1 プログラム構造
6.2 モジュール設計
7 レビュー・テスト
7.1 レビュー
7.2 テスト
午後Ⅰ問題
1 午後I対策
1.1 出題傾向
1.2 問題文・設問文の傾向
1.3 問題へのアプローチ
1.4 解答をまとめるアプローチ例
1.5 午後I問題の演習方法
2 販売・購買業務
2.1 レンタル契約システムの再構築
2.2 飲料製造会社の業務及びシステムの移行
2.3 ソフトウェア開発業務の委託管理システムの導入
2.4 売上・回収業務のシステム改善
2.5 購買管理システムの設計
2.6 仕入納品システムの変更
3 物流・在庫業務
3.1 物流システムの再構築
3.2 物流センタのシステム構築
3.3 化学品メーカの容器管理システムの開発
4 店舗管理業務
4.1 コンビニエンスストアにおける発注業務の効率改善
4.2 システムにおける災害対策
5 会計・人事業務
5.1 債券システムの設計
5.2 利益管理システムの改善
5.3 勤務管理システムの導入
5.4 市役所の人事給与パッケージ導入
6 移行
6.1 販売システムの移行設計
7 システム開発管理業務
7.1 システム開発のテスト計画
7.2 ソフトウェア開発の品質管理・進捗管理
8 その他
8.1 公的業務を行う団体の情報開示システムの構築
8.2 ETCサービス管理システムの構築
8.3 生命保険会社のマイナンバー制度導入
8.4 金融機関とのデータ連携システムの構築
8.5 問合せ管理システムの導入
午後Ⅱ問題
1 午後Ⅱ対策
1.1 出題傾向
1.2 問題選択のポイント
1.3 問題のスタイル
1.4 解答字数と解答時間の配分
1.5 試験場での問題選択
1.6 “論述の対象とする計画又はシステムの概要”の書き方
1.7 論文構成(下書き)の書き方
1.8 設問アの書き方
1.9 設問イ“分析・設計において工夫した点”の書き方
1.10 設問ウの書き方
1.11 論文構成(下書き)の書き方
1.12 論文例
1.13 採点基準と採点のポイント
1.14 演習方法
1.15 本文をもっと上手に書くコツ
2 要件定義
2.1 システム要件定義の準備
2.2 要件定義
2.3 業務要件の優先順位付け
3 システム間連携
3.1 システム間連携方式
3.2 複数のシステムにまたがったシステム構造の見直し
4 標準化・部品利用
4.1 フレームワークの利用
4.2 業務ソフトウェアパッケージの導入
5 外部設計・内部設計
5.1 ユーザビリティを重視したユーザインタフェースの設計
5.2 複数の業務にまたがった統一コードの整備方針の策定
5.3 柔軟性をもたせた機能の設計
5.4 障害時にもサービスを継続させる業務ソフトウェアの設計
6 テスト
6.1 システムテスト計画の策定
6.2 大規模システムの一部を改造した場合の全体テストの方法
7 移行
7.1 移行計画におけるタイムチャートの事前確認
7.2 システムの段階移行
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午前問題演習「DEKIDAS-Web」について
高度試験対策の姉妹書
索引
本書に記載されている会社名製品名などは、それぞれ各社の商標登録商標、商品名です。なお、本文中にTMマーク、®️マークは明記しておりません。本書に記載されたURL等は予告なく変更される場合があります。
試験ガイダンス
1 システムアーキテクト試験の概要
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、平成7~20年に実施されたアプリケーションエンジニア試験の後継版であり、主にシステムエンジニア(いわゆるSE)向けの試験です。システムアーキテクト試験では、アプリケーションエンジニア試験では問われなかった組込みシステムの関連問題が出題され、それが両者の大きな違いになっています。
対象者像、役割と業務
システムアーキテクト試験の対象者像、役割と業務(組込みシステムを除く)は、下表のとおりです。
対象者像 | 高度IT人材として確立した専門分野をもち、ITストラテジストによる提案を受けて、情報システム又は組込みシステム・loTを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、情報システムについては開発を主導する者 |
役割と業務 | ・情報システム 情報システム戦略を具体化するための情報システムの構造の設計や、開発に必要となる用件の定義、システム方式の設計及び情報システムを開発する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。 ①情報システム戦略を具体化するために、全体最適の観点から、対象とする情報システムの構造を設計する。 ②全体システム化計画及び個別システム化構想・計画を具体化するために、対象とする情報システムの開発の必要となる用件を分析、整理し、取りまとめる。 ③対象とする情報システムの要件を実現し、情報セキュリティを確保できる、最適なシステム方式を設計する。 ④要件及び設計されたシステム方式に基づいて、要求された品質及び情報セキュリティを確保できるソフトウェアの設計・開発、テスト、運用及び保守についての検討を行い、対象とする情報システムを開発する。なお、ネットワーク、データベース、セキュリティなどの固有技術については、必要に応じて専門家の支援を受ける。 ⑤対象とする情報システム及びその効果を評価する。 |
出題形式と試験時間
システムアーキテクト試験の出題形式などは、下表のとおりです。
試験区分 | 午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) |
10:50~11:30 (40分) |
12:30~14:00 (90分) |
14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式 (四肢択一) |
多肢選択式 (四肢択一) |
記述式 | 記述式 (小論文) |
出題数と解答数 | 30問出題から30問解答 | 25問出題から25問解答 | 4問出題から2問解答 | 3問出題から1問解答 |
午前I試験の免除制度
平成30年度秋以降の応用情報技術者試験合格者・いずれかの高度試験合格者・いずれかの高度試験の午前I試験で基準点以上の成績を得た者は、令和2年度のシステムアーキテクト試験を受験する場合、午前I試験を免除されます。
応募者数・受験者数・合格者数など
平成24~令和元年度のシステムアーキテクト試験の応募者数などは、下表のとおりです。
H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R01 | |
応募者 | 9,901 | 9,346 | 8,814 | 8,181 | 8,157 | 8,678 | 9,105 | 8,341 |
受験者 | 6,683 | 6,113 | 5,735 | 5,274 | 5,363 | 5,539 | 5,832 | 5,217 |
合格者 | 965 | 864 | 860 | 697 | 748 | 703 | 736 | 798 |
合格率 | 14.40% | 14.10% | 15.00% | 13.20% | 13.90% | 12.70% | 12.60% | 15.30% |
試験区分別の得点分布
令和元年度の試験区分別の得点分布は、下表のとおりです。
得点 | 午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ |
90点~100点 | 24名 | 87名 | 71名 |
80点~89点 | 211名 | 847名 | 314名 |
70点~79点 | 468名 | 997名 | 711名 |
60点~69点 | 556名 | 1,322名 | 860名 |
50点~59点 | 461名 | 481名 | 643名 |
40点~49点 | 271名 | 354名 | 370名 |
30点~39点 | 108名 | 72名 | 132名 |
20点~29点 | 19名 | 29名 | 49名 |
10点~19点 | 4名 | 3名 | 8名 |
0点~9点 | 2名 | 0名 | 5名 |
合計 | 2,124名 | 4,192名 | 3,163名 |
上表の特徴の1つに、午前I免除者の数の多さがあります。受験者数5,217-午前Ⅰの合計人数2,124 = 3,093人が午前I免除者の人数であり、3,093人+4,192人 = 73.8%が、午前Ⅱ受験者に占める午前I免除者の割合です。午前Iの試験範囲は広く、対応しづらいので、まず午前I免除者になってから、その次にシステムアーキテクト試験の受験対策をするのが得策です。
2 午前I対策
午前I試験は、高度系試験と呼ばれる”ITストラテジスト”や”ネットワークスペシャリスト”などの共通試験です。したがって、システムアーキテクトのためだけの午前I試験対策はありません。本書は、基本的に午前1対策を対象に含めていませんので、午前1対策を真正面から取り組みたい読者は、他書を参照してください。ここでは、午前I対策の概要と午前Ⅱ対策を考えるうえでのヒントになる事項を取り上げます。
出題形式・試験時間など
午前I試験では、30問の四肢択一問題が出題され、9:30~10:20の50分間で解答します。したがって、平均解答時間は、50分÷30間=1.7分/間です。
情報処理教科書 システムアーキテクト 2020年版
はじめに
システムアーキテクト(SA)試験は、情報処理技術者試験の一つです。
SA試験には、午前I,午前II,午後I,午後IIの時間区分があり、午前I試験は、高度試験(SAを含む)及び情報処理安全確保支援士試験に共通の問題が出され、所定の条件を満たすと申請により免除される制度があります。午前II・午後I・午後IIの試験は、SAに固有の問題が出されます。
本書は、午前Ⅱ・午後I・午後Ⅱの試験対策に特化して執筆しています。日々の忙しい業務の合間を縫って勉強している方々が短時間で効率よく受験勉強ができるように、各時間区分の試験の攻略法と過去問題の解答・解説を中心としたコンパクトな内容にしました。午前I試験の対策には『情報処理教科書 高度試験午前I・Ⅱ 2020年版』をご利用ください。
今は、通勤や旅行、銀行,ショッピング等々、仕事でもプライベートでも、コンピュータシステムが必要不可欠な世の中になっています。つまり、コンピュータシステムが存在しないことには人々の日常生活に支障を来す,水や電気などと同じような社会インフラの一つとなっているのです。
この大切な社会インフラを具体的にどのように作るかを考えるのが、システムアーキテクトの仕事だと考えています。そして、システムアーキテクト試験は、この仕事が迷行できる能力を測る唯一の試験であると考えます。
本書に記載してある各テーマにおけるポイント,過去問題の解答や論文事例などが、試験対策だけでなく、みなさまの知識の向上,ノウハウの一助となれば幸いです。みなさまの試験の合格と、IT業界でのご活躍をお祈りしています。
著者代表 松田幹子
目次
本書の構成・使い方
読者特典ダウンロード
第1部 午前Ⅱ対策
第1章 午前Ⅱ演習
1.1 コンピュータ構成要素
1.2 システム構成要素
1.3 データベース
1.4 ネットワーク
1.5 セキュリティ
1.6 システム開発技術
1.6.1 システム要件定義
1.6.2 システム方式設計
1.6.3 ソフトウェア要件定義
1.6.4 ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計
1.6.5 ソフトウェア構築
1.6.6 システム結合システム適格性確認テスト
1.6.7 受入れ支援
1.6.8 保守・廃棄
1.7 ソフトウェア開発管理技術
1.8 システム戦略
1.9 システム企画
第2部 午後Ⅰ対策
第1章 午後Ⅰ試験の攻略法
1.1 午後I試験攻略のポイント
1.1.1 午後I試験の出題形式
1.1.2 午後I試験の出題傾向
1.2 午後Ⅰ問題の解き方
1.2.1 問題文の構成
1.2.2 問題の解き方の例
1.2.3 IPAによる出題趣旨・採点講評・解答例・解答の要点
第2章 午後I演習(情報システム)
演習1 サービスデザイン思考による開発アプローチ
演習2 レンタル契約システムの再構築
演習3 システムの改善
演習4 情報開示システムの構築
演習5 ETCサービス管理システムの構築
演習6 生命保険会社のシステムの構築
演習7 生産管理システムの改善
演習8 ソフトウェアパッケージ導入
演習9 仕入れ納品システムの変更
演習10 問合せ管理システムの導入
演習 売上・回収業務のシステム改善
演習12 データ連携システムの構築
演習13 業務及びシステムの移行
演習14 業務委託管理システムの導入
第3章 午後Ⅰ演習
演習1 IoT、AIを活用する自動倉庫システムの開発
演習2 IoT、AIを活用する海運用コンテナターミナルシステムの開発
演習3 IoT、AIの利用を目指した農業生産システムの開発)
演習4 生活支援ロボットシステムの開発
演習5 災害監視用小型無人航空機システムの開発
第3部 午後Ⅱ対策
第1章 午後Ⅱ試験の攻略法
学習の前に
1.1 午後Ⅱ試験攻略のポイント
1.1.1 午後I試験の出題形式
1.1.2 論文の記述方法
1.2 過去問題分析
1.2.1 情報システムの問題
1.2.2 組込みシステムの問題
1.3 論文作成例
1.3.1 設問ア
1.3.2 設問イ
1.3.3 設問ウ
1.3.4 IPAによる出題趣旨と採点講評
第2章 午後Ⅱ演習(情報システム)
演習の前に
演習1 システム適格性確認テストの計画
演習2 業務からのニーズに応えるためのデータを活用した情報の提供
演習3 業務ソフトウェアパッケージの導入
演習4 非機能要件を定義するプロセス
演習5 柔軟性をもたせた機能の設計
演習6 業務要件の優先順位付け
演習7 情報システムの移行方法
演習8 新システム方式設計
演習9 業務の課題に対応するための業務機能の変更又は追加
演習10 出口業務プロセスの見直しにおける情報システムの活用
第3章 午後Ⅱ演習(組込みシステム)
演習の前に
演習1 組込みシステムのデバッグモニタ機能
演習2 組込みシステムのAI利用、IoT化などに伴うデータ量増加への対応
演習3 IoTの進展と組込みシステムのセキュリティ対応
演習4 組込みシステムにおけるオープンソースソフトウェアの導入
演習5 組込みシステム製品を構築する際のモジュール同インタフェースの仕様決定
付録 システムアーキテクトになるには
索引
本書の構成・使い方
本書は、システムアーキテクト試験の午前II問題を扱う第1部,午後I問題を扱う第2部と、午後II問題を扱う第3部の三部構成となっています。基本的には,第1部から順に学習することを想定していますが、第2部や第3部から学習することも可能です。
●第1部:午前Ⅱ対策
第1部は、午前Ⅱ試験(多肢選択式)対策にご利用ください。
第1章……午前Ⅱ問題を試験要綱の出題分野に沿って分類し、出題頻度や重要度の高いものを中心に、100問を選定して収録しています。また、分野ごとの出題数の推移と出題傾向を掲載しています。
●第2部:午後I対策
第2部は、午後I試験(記述式)対策にご利用ください。
第1章……出題形式出題傾向を分析し,過去問1問を取り上げて問題の解き方を詳しく説明しています。
第2,3章……第1章で学んだ問題の解き方を確実に身につけるための演習問題です。出題の新しいものから順に掲載しています。Web提供についての詳細は「読者特典ダウンロード」をご覧ください。
章 | 問題の分野 | 書籍掲載問題数 | Web提供問題数 | 合計 |
第1章・第2章 | 情報システム | 15問 | 18問 | 33問 |
第3章 | 組込システム | 5問 | 6問 | 11問 |
●第3部:午後II対策
第3部は、午後II試験(論述式)対策にご利用ください。
第1章……論述式の午後II試験の出題形式と,攻略のポイントを説明しています。
続いて、「論述すべき事項は問題文に書いてある」という考えに基づき,具体的な問題を使いながら迷うことなく小論文を作成できるようになる方法を紹介します。試験対策に十分な時間を割けない読者も,この章の内容だけは理解してから試験に臨むことをおすすめします。
第2,3章……第1章で学んだ論文作成方法を確実に身につけるための演習問題です。
章 | 問題の分野 | 書籍掲載問題数 | Web提供問題数 | 合計 |
第1章・第2章 | 情報システム | 11問 | 11問 | 22問 |
第3章 | 組込システム | 5問 | 6問 | 11問 |
●付録:システムアーキテクトになるには
出題範囲や出題形式などの試験概要,統計情報,受験方法などについてまとめています。
2020 徹底解説 システムアーキテクト 本試験問題 (本試験問題シリーズ)
刊行にあたって
情報処理技術者試験は,共通キャリア・スキルフレームワークをモデルとして,各試験に対応するレベルを満たしているかどうかを判定するもので,高度情報処理技術者試験(以下,高度試験)はこの中の最高レベルの試験として、午前I,午前II,午後I,午後IIの4試験に分けて実施されます。
午前I試験は,これまで同時期に実施される応用情報技術者の午前試験から選ばれた問題が他の高度試験と共通の問題として出題され、解答には幅広い知識の理解が必要です。続く午前II試験は、試験区分ごとに異なる専門分野の問題を中心に出題され、午後の試験で出題される事例を理解し解答する上で重要な知識になります。
なお,令和2年春期試験から,全ての高度試験でセキュリティ分野が重点出題分野に指定され,一部試験を除き,最高難度のレベル4の問題まで出題されることになりました。午前試験では,実務に必要な基本的な知識が多く出題されており,試験対策で学習した知識の量が成績として確実に反映されると言えます。
一方,午後I,午後II試験は,もっている知識を事例に適用し,決められた時間内で解答を記述する能力が要求されます。具体的には、問題文の事例や説明を読んで背景や状況・条件を理解し,必要な知識を組み合わせて解答するという応用力を身に付ける必要があり,そのためには,午前試験で学習する知識を断片的なものではなく,事例と結び付け,体系的な知識・技術として理解することが重要になります。
午前試験では、半数以上が過去に出題された問題や,一部の内容が修正された問題です。また、午後の試験でも,問題内容は変わっても過去に出題された設問内容の主旨を引き継いだ問題も多いため,過去の試験問題を解くことは重要で,そのための演習用問題集として,本書は最適です。
この本試験問題シリーズでは,受験をする際に,最近の出題傾向を理解するために重要な3期分の本試験問題とその詳細な解答解説を収録しました。問題を解いた後は、必ず解説を読んで出題内容と関連事項を理解してください。特に午後問題は正解を確認するだけでなく,問題を実際の事例としてとらえ,解答を導く過程を理解することが非常に大切です。
合格を目指す皆さまが,この本試験問題シリーズを十分に活用し,栄冠を勝ち取られますよう、心よりお祈り申し上げます。
2020年2月
アイテックIT 人材教育研究部
目次
徹底解説 本試験問題シリーズの刊行にあたって
試験制度解説編
1. システムアーキテクト試験の概要
2. 受験ガイド
3. 会和2年秋期の試験に向けて
平成29年度秋期 問題と解答・解説編
午前I問題
午前II問題
午後I問題
午後II問題
午前I問題 解答・解説
午前II問題 解答・解説
午後I 問題 解答・解説
午後I問題 IPA 発表の解答例
午後II問題 解答・解説
午後II問題 IPA 発表の出題趣旨と採点講評
平成30年度秋期 問題と解答・解説編
午前I問題
午前II問題
午後I問題
午後II問題
午前I問題 解答・解説
午前II問題 解答・解説
午後I問題 解答・解説
午後I問題 IPA発表の解答例
午後II問題 解答・解説
午後II問題 IPA発表の出題趣旨と採点講評
令和元年度秋期 問題と解答・解説編
午前I問題
午前II問題
午後I問題
午後II問題
午前I 問題 解答・解説
午前II問題 解答・解説
午後I問題 解答・解説
午後I問題 IPA 発表の解答例
午後II問題 解答・解説
午後II問題 IPA 発表の出題趣旨と採点講評
出題分析
システムアーキテクト試験
(1) 午前問題出題分析
(2) 午前の出題範囲
(3) 午後I問題 予想配点表
ALL IN ONE パーフェクトマスター システムアーキテクト 2020年度 (情報処理技術者試験)
はじめに
本書は、システムアーキテクト試験に、最短時間と最少労力で合格するための試験対策本です。
学習にあたっては、何を(What)、どのように(How to)学習するのかが重要です。そのため、本書はまず本試験問題を徹底的に分析し、学習するべき内容(What)を精査しました。次にその内容をどのように学習するかの方法論(How to)を、TACが講義において長年培ってきた解法スキルを、ビジュアルに展開しています。
効率の良い学習方法は、「第0部試験の分析と突破法」で解説しているように、午前1、午後I、午後IIの各試験に特化した学習を行うことです。本書「第1部システムアーキテクトの知識-午前II試験対策」では、出題頻度の高いキーワード、キーフレーズについて、意味内容を効率良く習得できるよう、解説しています。
「第2部午後I試験対策」では、TACならではの解法スキルとして「三段跳び法」について解説しています。Hop→Step→Jumpの3段階で問題を解いていくと、短時間で、設問趣旨に沿った解答を導き出すことができるようになります。
「第3部午後II試験対策」では、合格答案を書くため多種多様な方法について解説しています。合格答案とは、「設問要求の充足度」「内容の妥当性」「論述の具体性」の3要素を満たした答案で、そのための答案作成方法として、「ユニット法」「ステップ法」について解説しています。また、解答(論述)を自由に展開するための「自由展開法」や「“そこで私は”展開法」「“最初に次に”展開法」などを提示しています。これらの方法を駆使すれば、試験時間内に合格答案を書くことができるようになります。
さらには、各試験対策として、過去問題を使用した「確認問題」を設けています。出題頻度の高い問題を厳選していますので、本文解説と確認問題で繰り返しトレーニングを行い、受験知識・答案方法を確実に定着させてください。
以上、本書は、各試験突破に特化した、最も効果的な学習方法を提供いたします。本書を活用して、試験に合格されることを心から願っております。
2020年2月 TAC情報処理講座
システムアーキテクト試験概要
●試験日:10月〈第3日曜日〉
●合格発表:12月中旬
●受験資格:特になし
●受験手数料:5,700円
出題形式
試験区分 | 午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) |
10:50~11:30 (40分) |
12:30~14:00 (90分) |
14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式 (四肢択一) |
多肢選択式 (四肢択一) |
記述式 | 記述式 (小論文) |
合格基準
時間区分 | 配点 | 基準点 |
午前Ⅰ | 100点満点 | 60点 |
午前Ⅱ | 100点満点 | 60点 |
午後Ⅰ | 100点満点 | 60点 |
午後Ⅱ | Aランク |
※論述式試験の評価ランクと合否関係
評価ランク | 内容 | 合否 |
A | 合格水準にある | 合格 |
B | 合格水準まであと一歩である | 不合格 |
C | 内容が不十分である | |
D | 出題の要求から著しく逸脱している |
免除制度
高度試験午前I試験については、次の条件1~3のいずれかを満たせば、その後2年間受験を免除する。
条件1:応用情報技術者試験に合格する。
条件2:いずれかの高度試験又は支援士試験に合格する。
条件3:いずれかの高度試験又は支援士試験の午前I試験で基準点以上の成績を得る。
試験の対象者
対象者像
高度IT人材として確立した専門分野をもち、ITストラテジストによる提案を受けて、情報システム又は組込みシステム・IoTを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、情報システムについては開発を主導する者
業務と役割
[情報システム]
情報システム戦略を具体化するための情報システムの構造の設計や、開発に必要となる要件の定義、システム方式の設計及び情報システムを開発する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。
①情報システム戦略を具体化するために、全体最適の観点から、対象とする。
②全体システム化計画及び個別システム化構想・計画を具体化するために、対象とする情報システムの開発に必要となる要件を分析、整理し、取りまとめる。
③対象とする情報システムの要件を実現し、情報セキュリティを確保できる、最適なシステム方式を設計する。
④要件及び設計されたシステム方式に基づいて、要求された品質及びセキュリティを確保できるソフトウェアの設計・開発、テスト、運用及び保守についての検討を行い、対象とする情報システムを開発する。なお、ネットワーク、データベース、セキュリティなどの固有技術については、必要に応じて専門家の支援を受ける。
⑤対象とする情報システム及びその効果を評価する。
〔組込みシステム・IoTを利用したシステム] 組込みシステム・IoTを利用したシステムの要件を調査・分析し、機能仕様を決定し、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様を取りまとめる業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。
①組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画・開発計画に基づき、対象とするシステムの機能要件、技術的要件、環境条件、品質要件を調査・分析し、機能仕様を決定する。
②機能仕様を実現するハードウェアとソフトウェアへの機能分担を検討して、最適なシステムアーキテクチャを設計し、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様を取りまとめる。③汎用的なモジュールの導入の妥当性や開発されたソフトウェア資産の再利用の可能性について方針を策定する。
期待する技術水準
システムアーキテクトの業務と役割を円滑に遂行するため、次の知識・実戦化力が要求される。
①情報システム戦略を正しく理解し、業務モデル・情報システム全体休てを検討できる。
②各種業務プロセスについての専門知識とシステムに関する知識を有し、双方を活用して、適切なシステムを提案できる。
③企業のビジネス活動を抽象化(モデル化)して、情報技術を適用できる形に再構成できる。
④業種ごとのベストプラクティスや主要企業の業務プロセスの状況、同一業種の多くのユーザ企業における業務プロセスの状況、業種ごとの専門知識、業界固有の慣行などに関する知見をもつ。
⑤情報システムのシステム方式、開発手法、ソフトウェアパッケージなどの汎用的なシステムに関する知見をもち、適切な選択と適用ができる。
⑥OS、データベース、ネットワーク、セキュリティなどにかかわる基本的要素技術に関する知見をもち、その技術リスクと影響を勘案し、適切な情報システムを構築し、保守できる。
⑦情報システムのシステム運用、業務運用、投資効果及び業務効果についさて、適切な評価基準を設定し、分析・評価できる。
⑧多数の企業への展開を念頭において、ソフトウェアや、システムサービスの汎用化を検討できる。
[組込みシステム・IoTを利用したシステム] ①組込みシステム・IoTを利用したシステムが用いられる環境条件や安全性などの品質要件を吟味し、実現すべき機能仕様を決定できる。②対象とするシステムの機能仕様に基づき、ハードウェアとソフトウェアの適切な組合せを設計し、それぞれの要求仕様としてまとめることができる。
③リアルタイムOSに関する深い知識と汎用的なモジュールに対する知識を有し、システムアーキテクチャの合理的な設計、ソフトウェア資産の再利用可能性の検討、適切な活用ができる。
Contents
はじめに
システムアーキテクト試験概要
第0部試験の分析と突破法―本書の特徴
1試験の分析
1.1システムアーキテクト試験全体の分析
1.2システムアーキテクト試験の突破法
2午前II試験の分析と突破法
2.1午前II試験の分析
2.2午前II試験の突破法
3午後I試験の分析と突破法
3.1午後I試験の分析
3.2午後I試験の突破法
4午後II試験の分析と突破法
4.1午後II試験の分析
4.2午後II試験の突破法
第1部 システムアーキテクトの知識/午前II試験対策
1システム設計
1.1システム設計
1.2設計技法
1.3オブジェクト指向アプローチ
1.4設計レビュー
確認問題
2開発、運用、保守
2.1プログラミング
2.2プログラムテスト
2.3システム運用と保守
確認問題
3システム開発管理
3.1システム開発管理
3.2システム戦略
3.3企業活動
確認問題
4システム技術
4.1コンピュータシステム技術
4.2システム構成技術
4.3データベース技術
4.4ネットワーク技術
4.5セキュリティ技術
4.6AI
4.7IoT
4.8ビッグデータ
4.9ブロックチェーンとRPA
確認問題
第2部 午後I試験対策
1午後I試験の概要と解き方
1.1午後I試験の概要
1.2記述式問題の解き方
2問題文の読解トレーニング 二段階読解法
2.1全体像を意識しながら問題文を読む-概要読解
2.2アンダーラインを引きながら問題文を読む-詳細読解
2.3トレーニングとしての二段階読解法
3設問の解き方一正解発見の三段跳び法
3.1三段跳び法
3.2ステップの繰り返しが必要な場合
3.3テクニックが目指す先
4記述式問題の解き方の例
具体例食品製造業の基幹システムの改善(H25問3)
5記述式問題の演習
問1生命保険会社のシステムの構築(出題年度:H29問1)
問2ソフトウェアパッケージ導入(出題年度:H29問3)
問3仕入れ納品システムの変更(出題年度:H28問1)
問4業務委託管理システムの導入(出題年度:H27問3)
問5物流センタのシステム構築(出題年度:H26問2)
問6情報開示システムの構築(出題年度:H30問2)
問7問合せ管理システムの導入(出題年度:H28問2)
問8業務及びシステムの移行(出題年度:H27問2)
問9勤務管理システムの導入(出題年度:H26問3)
問10銀行のATM(現金自動預払機)サービス(出題年度:H25問2)
問11ETCサービス管理システムの構築(出題年度:H30問3)
問12サービスデザイン思考による開発アプローチ(出題年度:R元問1)
第3部 午後II試験対策
1午後II試験の概要と解き方
1.1午後II試験の概要
1.2ユニット法
1.3ステップ法
1.4自由展開法
1.5“そこで私は”展開法
1.6“最初に、次に”展開法
1.7テクニックの目指す先
2合格論文の作成例
作成例1要件定義について(H21問1)
作成例2業務の変化を見込んだソフトウェア構造の設計について(H24問1)
作成例3要求を実現する上での問題を解消するための業務部門への提案(H25問1)
3論述式問題の演習
問1.非機能要件を定義するプロセスについて(出題年度:H29問1)
問2業務要件の優先順位付けについて(出題年度:H28問1)
問3システム方式設計について(出題年度:H27問1)
問4データ交換を利用する情報システムの設計について(出題年度:H26問2)
問5障害時にもサービスを継続させる業務ソフトウェアの設計について(出題年度:H24問2)
問6設計内容の説明責任について(出題年度:H25問2)
問7業務の課題に対応するための業務機能の変更又は追加について(出題年度:H27問2)
問8業務プロセスの見直しにおける情報システムの活用について(出題年度:H26問1
問9業務ソフトウェアパッケージの導入について(出題年度:H30問2)
問10ユーザビリティを重視したユーザインタフェースの設計について(出題年度:R元問1)
「第1部システムアーキテクトの知識」索引
2020 システムアーキテクト 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)
まえがき
令和2年春期情報処理技術者試験の中止が決まった1週間後に,このまえがきを書いています。
コロナウィルスの終息が見えない状況で,筆者のモチベーションは低下しています。筆者が担当している、システム監査技術者試験,プロジェクトマネージャ試験の試験対策講座の受講者に対して,合格を鼓舞する言葉が出ませんでした。
知人の研究者によると,ノロウィルスは人間のゲノムの100万倍の速さで進化するそうです。コロナウィルスの進化も同様に速そうです。SARS-CoV-2というコロナウィルスの名称から,新しいバージョンのコロナウィルスが現れることが推測できます。
コロナウィルスの影響で、私のように仕事が減った方も多くいます。これは危機です。危機はチャンスに変えるしかありません。しかし,人間のゲノムの進化スピードはウィルスに負けます。ここで,人類滅亡を回避するためには,人間の可能性のスピードは、ウィルスの進化スピードに負けるわけにはいかないと考えるべきです。
コロナウィルスの影響を受けた,受けないにかかわらず,今は,自らの個体の進化スピードを上げましょう。来るべき時に備えて、自ら学習して個体を進化させましょう。コロナウィルスの影響によって仕事が減ったことや,テレワークの推進などによって生じた時間がある方は,なおさらです。
本書は,コロナウィルスの影響により筆者のモチベーションが下がる前に書き終えています。したがって,本書によって、みなさんのモチベーションが下がることはありません。上がること,間違いありません。
システムアーキテクト試験を今秋初めて受験する方は,本書を活用して学習し自らを進化させることで,一発合格しましょう。再チャレンジする方は,過去の成功体験を、いったん心にしまい込んで,本書を読んで自らを進化させることで,新たなパワーを身に付けましょう。
最後に,毎年,新人研修をさせていただいているJ社と,添削済み論文の提供を快諾してくださった皆様に感謝します。
2020年4月
岡山 昌二
本書の使い方
本書は、システムアーキテクト試験の午後対策を重点的に効率良く学習できよう書籍の構成を工夫しています。また,初めて受験する方にも再挑戦する方にも学習効率が上がるような構成になっています。
第1部 試験の概要と対策
試験の出題傾向と試験対策の知識,筆者のつぶやき付!
第2部 午前 II (専門知識)試験の重点対策
午後試験につながる専門知識を重点分野に絞って解説!
第3部 午後I試験の重点対策
出題される四つの主要業務パターンの理解+段階的に身に付ける解法テクニック!
第4部 午後 II 試験の重点対策
論述テクニック*論文設計ワークシートによる演習+もう少しがんばろう論文掲載!
※巻末付録 「論文設計ワークシート」
1切り取って使える!(A3 に拡大コピーして下さい)
2分かりやすい記入例付!
書籍の構成の工夫
理解度の確認と進捗管理がしやすい構成
①各部の扉裏にある「学習スケジュール」で、長期的な学習スケジュールをイメージし、「各章の学習進捗表」で,学習予定と進捗を管理しましょう。
②各節の「学習目標」のレを使い,学習目標の達成度をチェックし,確実に実力をアップしましょう。
③第2部の午前 II 問題は,問題ごとにある CHECKボックスを利用して理解度を記録し,効率良く繰り返し学習ができます。
④第3部の午後1問題で使用するダウンロードサービス「配点付き午後1解答用紙」には、コメント欄が付いています。復習の効率を上げるため,採 点時に気づいたポイントをメモしておきましょう。
⑤巻末資料の「本書掲載問題一覧」を利用して,学習の進捗と見直しが必要な問題を一覧で管理しましょう。
学習者が間違えやすい事例とコメントを掲載し、なぜ得点が伸びないかを理解し、得点力がアップする構成
①第3部 第4章では,学習者が書いてしまいがちな「サンプル解答」と IPA 発表の「正解例」を比較し,何が足りないのかコメントしています。
②第4部 第5章では,「もう少しがんばろう論文」の事例+コツがわかる添削コメント」を掲載しています。実際の受講者が書いた論文から注意すべき点,見習うべき点を理解することで,論述力をアップします。
目次
まえがき
本書の使い方・書籍の構成の工夫
無料ダウンロードサービスのご案内
第1部 試験の概要と対策
第1章 試験概要
第2章 出題傾向
第3章 試験対策
第4章 合格のツボ!
第2部 午前II(専門知識)試験の重点対策
第1章 学習方法
第2章 システム開発技術
第3章 ソフトウェア開発管理技術
第4章 オブジェクト指向分析
第5章 構造化分析
第6章 システム化計画
第7章 要件定義
第8章 調達計画・実施
第9章 セキュリティ
第3部 午後I試験の重点対策
第1章 学習方法と合格のツボ!
第2章 午後I試験に出題される企業の主要業務
第3章 解法テクニック
第4章 解法テクニック活用の演習
第5章 解法テクニック応用の演習
第4部 午後II試験の重点対策
第1章 合格に向けて「筆者と一緒にがんばろう」
第2章 解法テクニック
第3章 論文設計ワークシート活用の演習
第4章 解法テクニック応用の演習
第5章 「もう少しがんばろう論文」から学ぶ
論述のコツ!
巻末資料 本書掲載問題一覧
索引
システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集 第5版 (情報処理技術者試験対策書)
はじめに
筆者が仕事として初めて文章を書いたのは,1980年のことです。
当時はワープロなどもまだ普及しておらず,手書きの文章を何度も書き直して上司にレビューをお願いしました。書類を見たときの上司の顔,短い文章にもかかわらずコメントするまでの時間の長さは,今でも忘れられません。
情報処理技術者試験対策のセミナーの案内を見て, システム監査技術者試験の受験勉強を始めたのは,今から30年ほど前です。添削用の論文を 1 本書けばよいのに3本も書いて講師を困らせていました。
その後,ワープロが普及し,「おまえは字が汚いから書類はワープロで書け」と上司に言われ,システム本部に1台しかないパソコンを占有して仕事をしていました。
日本語を知らない,あるいは,字が汚いにもかかわらず,論文対策の講義や, 論文の書き方の本を出版するという仕事がいただけるのは,情報処理技術者試験のおかげです。試験勉強は,情報処理に関する能力の向上にとどまらず,日本語力や他人を納得させる力も併わせて向上させ,社外における人間関係も広がりました。このような効果は筆者だけでなく,他の受験者にもいえます。毎年,情報処理技術者試験をきっかけにして勉強が好きになり,上級の試験に合格した方からメールをいただいています。
近年,情報処理技術者試験の受験者数が低下しています。この試験によって社会に出てからの勉強の楽しさを知った者にとって,この傾向は残念なことです。情報処理技術者試験の受験者数の減少傾向については,筆者の力の及ぶところではありませんが,論述式試験のもつイメージの敷居を低くすることによって,既に情報処理技術者試験に合格している方に,更に上級の試験にチャレンジしてもらいたいと考え,この本を執筆しています。
上級の情報処理技術者試験の合格者が増え,合格者が組織で活躍することによって,必ずこの試験が見直され,受験者数の減少傾向が反転します。読者と情報処理技術者試験に携わる全ての人が幸せになることを願っています。
字がきれいに書けない方も安心してください。筆者の講師経験から100.人中98人は,筆者よりも読みやすい字を書きます。ワープロを使って手書きで文章を書くことに慣れていない方も安心してください。この本は作文を書くことから始めています。この本に書かれた訓練を繰り返すことによって,合格レベルの論文が書けるようになります。
この本は,通勤時などの電車内での学習を考慮し,必要な章だけを切り離して読んでも支障がないように,重要なポイントを各章で繰返し書いています。また,本試験問題に対応した,専門の先生方による論文事例を収録しています。一つの問題に対して専門知識や経験をどのように表現すればよいか,ぜひ参考にしてください。
この本を出版するに当たって,論文事例を執筆してくださった先生方,並びにアイテックIT人材教育研究部の皆様に感謝します。
2018年5月吉日
岡山昌二
目次
はじめに
第1部 合格論文の書き方
第1章 本書を手にしたら読んでみる
1.1 効果を出すことに急いでいる方は読んでみる
1.2 大人の学習を後押しする理由をもってみる
1.3 情報処理技術者試験のマイナスイメージを払拭してみる
1.4 “小論文なんて書けない”について考えてみる
1.5 本書の第一印象を変えてみる
第2章 論述式試験を突破する
2.1 論述式試験とは何なのか
2.2 採点者を意識して論述する
2.3 論述式試験突破に必要な要素を明らかにする
2.4 論文を評価する
第3章 基礎編
3.1 五つの訓練で論文が書けるようになる
3.2 【訓練1】「作文」や「論文ふう」の文章を書く
3.3 【訓練2】 トピックを詳細化して段落にする
第4章 論文を作成する際の約束ごとを確認する
4.1 試験で指示された約束ごとを確認する
4.2 全試験区分に共通する論述の約束ごとを確認する
第5章 論文を設計して書く演習をする
5.1 【訓練3】問題文にトピックを書き込む
5.2 【訓練4】ワークシートに記入する
5.3 【訓練5】ワークシートを基に論述する
第6章 書き直してみる
6.1 添削を受けて論文を書き直す
第7章 午後I問題を使って論文を書いてみる
7.1 問題の出題趣旨を確認する
7.2 論述式問題を確認する
7.3 論文ネタの収集演習をする
7.4 論文ネタを確認する
第8章 本試験に備える
8.1 2時間で論述を終了させるために決めておくこと
8.2 試験前日にすること
8.3 本試験中に困ったときにすること
第9章 受験者の問題を解消する
9.1 学習を始めるに当たっての不明な点を解消する
9.2 学習中の問題を解消する
9.3 試験前の問題を解消する
9.4 不合格への対策を講じる
第2章 論文事例
第1章 要件定義
平成29年度 問1
非機能要件を定義するプロセスについて
論文事例1:岡山昌
論文事例2:北條 武
平成28年度 問1
業務要件の優先順位付けについて
論文事例1:岡山 昌二
論文事例2:長嶋 仁
平成26年度 問1
業務プロセスの見直しにおける情報システムの活用について
論文事例1:岡山 昌二
論文事例2:長嶋 仁
平成25年度 問1
要求を実現する上での問題を解消するための業務部門への 提案について
論文事例1:岡山昌二
論文事例2:長嶋 仁
第2章 開発(機能の設計)
平成29年度 問2
柔軟性をもたせた機能の設計について
論文事例1:鈴木久
論文事例2:満川 一彦
平成 27 年度 問1
システム方式設計について
論文事例1:岡山 昌
論文事例2:鈴木久
平成27年度 問2
業務の課題に対応するための業務機能の変更又は追加について
論文事例1:岡山 昌二
論文事例2:満川 一彦
平成25年度 問2
設計内容の説明責任について
論文事例1:岡山 昌二
論文事例2:満川一彦
第3章 開発(ソフトウェアの設計)
平成 26年度 問2
データ交換を利用する情報システムの設計について
論文事例1:岡山昌二
論文事例2:満川 一彦
平成 24年度 問1
業務の変化を見込んだソフトウェア構造の設計について
論文事例1:満川 一彦
論文事例2:長嶋 仁
平成 24年度 問2
障害時にもサービスを継続させる業務ソフトウェアの設計について
論文事例1:岡山昌二
論文事例2:満川一彦
第4章 システムテスト・システム移行
平成 28年度 問2
情報システムの移行方法について
論文事例1:岡山 昌二
論文事例2:鈴木久
第5章 組込みシステム
平成29年度 問3
IoTの進展と組込みシステムのセキュリティ対応について
論文事例1:長嶋仁
論文事例2:北條武
平成 28年度 問3
組込みシステムにおけるオープンソースソフトウェアの導入について
論文事例1:北條武
論文事例2:満川 一彦
平成 27 年度 問3
組込みシステム製品を構築する際のモジュール間インタフェースの仕様決定について
論文事例1:北條武
論文事例2:満川 一彦
平成26年度 問3
組込みシステムの開発における機能分割について
論文事例1:鈴木久
論文事例2:樺沢祐二
平成 25年度 問3
組込みシステムの開発における信頼性設計について
論文事例1:鈴木久
論文事例2:樺沢祐二
平成 24年度 問3
組込みシステムの開発プロセスモデルについて
論文事例1:岡山 昌二
論文事例2:樺沢祐二
事例作成者の紹介と一言アドバイス
参考文献
巻末ワークシート