日経TEST公式練習問題集2017-18年版

まえがき

日経TEST(日経経済知力テスト)とは、日本経済新聞社が実施している、ビジネスに必要な経済知識と、それを仕事に応用して考える力(ビジネス思考力)を客観的に測るテストです。2008年秋から公益社団法人日本経済研究センターとともに主催する「全国一斉試験」を開始し、2017年で10年目を迎えました。

日本経済新聞社 (編集)
日本経済新聞出版社、出典:出版社HP

経済はめまぐるしく変動しています。多くのビジネスパーソンの皆様は日本経済新聞を通じて日々、経済情報の吸収に努められていると思いますが、「どこまで」できているかは自分では評価しにくいものです。また、これから取り組もうと考える方や、就職を控えた学生の皆様にとっては、「何をどこから」手をつければよいのか、見当がつきにくいと思います。

そうした皆様に、「自分の力がビジネス社会でどのレベルにあるか」を「経済知力スコア」として示すのが日経TESTです。英語能力のテストなどと同様、異なる問題によるどの回のテストを受けても、同じ尺度で受験者の能力を測る、IRT(項目反応理論)テストと呼ばれる方式で設計されています。業種、役職、就業年数によって、どの程度のスコアが求められるかの目安も設けています。

経済知力スコアにより「どこまで」という目標が設定できるので、レベルアップの必要を痛感されている方、これから学ぼうという方には特に適したテストだといえます。問題形式はすべて四肢択一式で100問、時間は80分。得意・不得意分野の診断なども提供します。

出題ジャンルは経済・金融・産業の動きから、消費、科学技術、国際情勢まで幅広いのですが、皆様のそれぞれの仕事を掘り下げるうえで必要と思われる分野をカバーするものです。また、日経TESTは知識を問うだけでなく、知識に基づく考える力を問うのが特長で、独自の「5つの評価軸」を設けてその力を測定しています。

出題の題材は「生きた経済」です。ただし、時事的な知識だけを問うテストではありません。幅広い経済を対象に、仕事に応用して「考える力」を客観的に測る機能は日経TEST以外にないものです。

本書は、この日経TESTを経済知力のアップにより役立てていただく目的で作成したものです。昨年までは「公式練習問題集」という表題で日経TESTの形式に沿った例題を中心に構成してきましたが、今回は評価軸別に「入門解説(例題解説)」を加えました。

文字通り、これから学ぶ方への入門という目的に加え、「経済は難しい・苦手」と感じてきた方に、従来の入門書と一味違う方法で経済になじんでもらう工夫をしています。

日経TESTはいわゆる検定試験とは異なるため、この一冊をマスターすれば合格、という性格のものではありません。しかし、本書を読み通すことにより、複雑にみえる世界経済・日本経済の全体像がつかめ、難しいと感じていた日々の経済ニュースも頭に入りやすくなるはずです。それが経済知力の向上・日経TESTのスコアアップに結びつきます。

米トランプ政権の発足などを受けて2016-17年版をほぼ全面改訂したため、解説も練習問題も2017~18年の経済の動きにマッチした内容となっています。知識を吸収しながら楽しく読めるストーリー性も意識しており、日経TESTを受験される予定のない方にとっても、最近の経済のポイントをつかむ一冊として、お役に立つと思います。

なお、日経TESTは6月、11月の全国一斉試験のほか、企業などが自社の社内で随時できる「日経TEST企業・団体試験」も同じ尺度で実施しています。これらの試験の対策や受験後の復習にも活用をおすすめします。会社・組織として経済知力のアップを課題とする皆様も是非お手にとり、検討材料にしていただければ幸甚です。

2017年3月
日本経済新聞社

目次

まえがき 本書の読み方・使い方
ガイダンス 日経TESTとは Guidance

第1章 基礎知識 Basic
入門解説
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第2章 実践知識 Knowledge
入門解説
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第3章 視野の広さ Sensitive
入門解説
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第4章 知識を知恵にする力 Induction
例題解説
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第5章 知恵を活用する力 Deduction
例題解説
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

まとめ・学習のポイント

本書の読み方・使い方

日経TESTの実際の試験では、このあと説明する「5つの評価軸」に基づき、一つの評価軸につき20問ずつ、合計100問の問題を毎回、出題しています。本書はその評価軸を1章ずつ、5章に分けました。

「知識」を問う評価軸の第1章~第3章については、冒頭でその評価軸の出題趣旨を説明した後、問題を解くうえで必要な経済知識を獲得する前提となる知識やコツを盛り込んだ「入門解説」を掲載しました。

その後に、実際の日経TESTの出題形式に準じた「練習問題」を20問ずつ掲載。さらにその後に、2017~18年時点でポイントとなるテーマを掘り下げた「ステップアップ解説」を掲載しています。

「考える力」を問う評価軸の第4章~第5章については、「入門解説」の代わりに「例題解説」を掲載しています。実際の出題形式に沿ってどのように解答を得るかという考え方に加えて、日経TESTが求める「考える力」にふさわしいテーマを選んでいます。その内容についても掘り下げて解説します。

各章の末尾には、経済になじむコツや豆知識を紹介した「コラム」を掲載。最後に、学習法に関するアドバイスなどを補足した「まとめ・学習のポイント」を掲載しています。

「練習問題」は、解答の解説とセットで読んでいただくことで、入門解説などでは触れられなかったポイントを補足しています。各問題には「キーワード」をつけました。

本番の日経TESTは能力測定が目的です。問題の形式は本書と同じですが、100問を80分で解いていただくため、短時間で答えられる問題、考える問題を取り混ぜ、テンポよく答えられるようになっています。本書内の問題は「学習」が目的であることをご承知おきください。

また、解説・問題の内容はおおむね2017年2月までの情報に基づいていることをお断りしておきます。

日本経済新聞社 (編集)
日本経済新聞出版社、出典:出版社HP