キャリアコンサルタントに需要はあるのか?今後の将来性は?
キャリアコンサルタントの概要
キャリアコンサルタントとは、労働者の職業の選択、職業生活設計に関する相談に応じ、助言や指導を行う人のことをいいます。
2016年からは国家資格となりより注目が集まっている資格です。
学科試験、実技論述、実技面接と3つの試験に合格して、名簿に登録するとキャリアコンサルタントとして働くことができます。実務経験者または講習受講者、キャリアコンサルティング技能検定合格者が受験対象になっているので、誰もが受験できるわけではありません。
合格率は学科と実技それぞれ65〜70%で推移しており、学科・実技同時合格率は55%ほどになります。一度に合格するのはやや難しいですが、しっかりと学習すれば合格できない試験ではありません。
キャリアコンサルタントの現状
では、現状キャリアコンサルタントはどのくらい役立ち、需要があるのでしょうか。
現在のキャリアコンサルタントの資格は仕事をする上であまり役に立ちません。キャリア支援の仕事をしている人でも、キャリアコンサルタントの資格を取得している人はほとんどいません。その理由としては、資格がなければできない仕事がないということ、比較的新しい資格なので認知度が低いことが挙げられます。
現状はあまり役に立たない資格と評価されていますが、将来的にどうなっていくでしょうか。
キャリアコンサルタントの将来性
結論から申しますと、キャリアコンサルタントは「将来性あり」です。
将来性がある理由
働き方の多様化
現在、働き方が多様化してきており、フレックスタイムやテレワークなど時間や場所にとらわれずに働きたいという人が増えています。
それだけではなく、今や副業や転職も珍しいものではありません。
「将来の不安でより多くの収入が欲しい」「趣味を仕事にしてみたい」など理由は人それぞれですが、現在は個人でも手軽に稼げる手段がたくさんあるので副業を始めやすい環境が整っています。
そして、中途採用をあまりしてこなかった日系の大企業も最近では中途採用を始めています。今までの「中途採用で大企業は難しい」という常識が変わってきているのです。
このように、働くといっても働き方もキャリア選択も自分で好きなように決めることができるようになってきているので、キャリアについての悩みというのが増えてきています。
キャリアコンサルタントはまさにこれからの時代に必要な仕事でしょう。
終身雇用制度の崩壊
終身雇用制度の崩壊というのも、キャリアコンサルタントが今後必要とされる大きな理由のひとつです。
一度正規雇用されれば定年までその会社で働いていく終身雇用を日本の多くの企業は行ってきました。しかし現在、終身雇用制度を続ける会社は少なくなりつつあります。原因としては、少子高齢化などにより日本経済が低迷していること、年功序列ではなく成果主義による評価が増えていること、即戦力の人材への需要増加などが挙げられます。
先に紹介した働き方の多様化だけでなく、終身雇用がなくなりつつあることによっても、一つの企業に一生勤めるという職業設計を立てる人は減少してくると考えられます。それに伴い、キャリアコンサルタントの重要性は高まってくるでしょう。
人生100年時代
また、これからは人生100年時代になると言われており、誰でも100歳まで生きる社会に変化していくと考えられています。人生100年時代に向けて、定年を伸ばしたり高齢者雇用制度を整えたり、社会ではさまざまな取り組みが行われています。そして、個人としても、定年後のキャリアプランを考える人や100歳まで生きることを考えてライフプランを立てる人が増えてきています。
この状況では、ますますキャリアコンサルタントの出番が増えていくでしょう。遠い将来のことを考えながら、ひとりで最も適切なキャリア設計を立てることは難しいだけではなく、不安に思う人も多いはずです。キャリア開発の専門知識を持ったキャリアコンサルタントが、相談者の不安を理解し、より良い職業設計をしていくことが求められてきます。
AI化
キャリアコンサルタントの仕事はAIに代替することが難しいものです。キャリア設計を立てるための助言や指導を行っていくためには、相談者の価値観や人生観なども把握し、相談者自身と考えていかなければなりません。そのような人の感情や心情を理解することは、現在のAIでは再現しにくいものになります。相談者がより生き生きと働けるような環境を見つけるためには、キャリアコンサルタントが必要不可欠です。
まとめ
現在キャリアコンサルタントはあまり注目されていない資格ですが、働き方が多様化していくにつれてだんだん注目されていく資格になるでしょう。また、AIに代替されにくい職業であるため、将来性のある資格といえます。
副業でキャリアコンサルタントを行っている人もいるので、キャリア設計の支援をしたいという人は、気軽に試験を受けてみてはいかがでしょうか。