【最新】基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の違いは? – レベルの違いを理解しよう




IT業界で働く上で役に立つ試験のうち、体系的な知識・技能を学べる資格として「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」が挙げられます。試験の形式やレベル、自分の実力や役に立つ場面等について知っておくことで、どちらの試験を受けるべきなのかを判断することができます。

今回はそれぞれの試験の特徴や違い、取得する場合のメリットについて、2つの試験を比較していきたいと思います。応用情報技術者試験との比較をする前に、まず基本情報技術者試験の概要から確認していきましょう。

基本情報技術者試験の概要

基本情報技術者試験とは日本情報処理機構(IPA)の主催する、高度IT人材になるための知識・技能を身につけることのできる資格です。

この資格の特徴は、情報処理に関する知識・技能を体系的に身につけることができる点です。セキュリティ・ネットワーク・データベース・マネジメント・ストラテジ等、非常に幅広い分野を学ぶことができるため、ITに携わる様々な場面で学んだ内容を活かすことができます。

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応用情報技術者試験の概要と基本との比較

応用情報技術者の対象者として「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能を持ち、高度IT人材としての方向性を確立した者」と示されています。つまり、応用的な情報技術の知識・技能を身につけた上で、高度IT人材として活用することを求められます。

そのため、本試験の午後試験では応用的な内容を含む記述式の問題が存在します。

それぞれの試験の基本情報をまとめたのが以下の表になります。

基本情報技術者試験 応用情報技術者試験
IPAに定められたレベル Lv.2 Lv.3
合格ライン 午前・午後ともに60% 午前・午後ともに60%
試験時間 午前150/午後150 午前150/午後150
出題内容(午前) 80問(4択問題) 80問(4択問題)
出題内容(午後) 大問5/11問中 大問5/11問中(記述あり)
合格率 25% 20%

この表から分かる様に、午後試験の記述問題が追加されること以外の試験の形式的な部分はほとんど変わりません。合格率も約5%の差であり、難易度的に変わらないように見えますが、もちろん受験者のレベルも異なるためそのレベルは大きく違います。

それでは具体的に、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験はどのような試験内容の違いがあるのでしょうか?

IPAの提供するシラバスを見てみると、その内容の文言が少しずつ違うことが分かります。以下の確立の関する出題内容を例として挙げます。

<基本情報>
2.応用数学 (1)確率と統計 ①確立
順列,組合せ,場合の数,確率とその基本定理,確率分布と期待値,マルコフ過程のあ らましを理解する。

<応用情報>
2.応用数学 (1)確率と統計 ①確立
順列,組合せ,場合の数,確率とその基本定理,確率分布(離散型,連続型)と期待値, マルコフ過程を理解する。

基本的な出題範囲は類似している様ですが、このように基本情報技術者試験の内容を深掘りするような、応用的な出題がされると予想されます。

このように範囲的には同じであっても知識・技能の深さが必要となる問題が出題される一方で、計算や考えることが増え解くのに時間がかかる問題となる場合もあります。
過去問から類似の問題を引用すると分かりやすいです。以下は基本情報技術者試験と応用情報技術者試験のマネジメント系の問題で、どちらもアローダイアグラム(作業の順序とその作業にかかる日数や余裕を表した図)に関する問題です。

<基本情報>

 

<応用情報>

 

※どちらもIPAの公式HPから引用(上:基本情報技術者試験 令和元年度秋期より、下:応用情報技術者試験 令和元年度秋期より)

基本情報技術者試験が単なるクリティカルパス(作業の工程上で最も時間がかかる余裕のない作業経路)を求める問題であるのに対し、応用情報技術者試験では条件の異なる2つのクリティカルパスを求めたのち、その差分を算出する必要があります。
この様に必要な知識量が大差なくとも、応用情報技術者試験の出題は答えを導くのに時間がかかる場合もあります。

そのため、応用技術者試験の合格を目指す人は以下の2つの能力が求められます。

①基本情報技術者以上の知識・技能の深さを身につけること
②より難易度の高い問題を同じ時間内に素早く解くこと

どちらを受験するべきか?

基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の違いを見てきましたが、どちらの試験を受けるべきかをどのように決めれば良いのでしょうか?

自分の実力に合わせて

基本情報技術者試験も応用情報技術者試験も、申し込みに年齢制限や必要な資格はなく、どんな人でも受験することができます。しかしそうは言っても、ITに関する知識がほとんどない初学者がいきなり応用技術者試験の取得を目指すのはかなり難易度が高いでしょう。知識が定着しないまま高いレベルに挑むことはかえって時間を無駄にしてしまいかねません。初学者であれば、まずは基本情報技術者試験の合格を目指すことをおすすめします。

逆にIT上級者であれば、応用情報技術者の取得を目指しても良いかもしれません。その際には、一度基本情報技術者試験の過去問を解いていることをおすすめします。初見の状態で4〜5割の正答率があれば、50時間ほどの対策を取ることで基本情報技術者の合格ラインには達することができるかと思われます。その場合は、さらに対策をすることで応用情報技術者の取得も十分に狙えるでしょう。

資格取得の目的

基本情報技術者試験も知名度が高く人気な資格であるため、もちろん就職活動や昇進・昇格に役立つ場面が多くあるかと思います。そのため、さらにレベルが高い応用情報技術者試験はさらに大きなインパクトが期待できるでしょう。対策にかけられる時間が多く、計画的に学習を進められるのであれば、応用情報技術者試験を目指すことも可能です。

対策にかけられる時間

基本情報技術者試験に初学者が合格するには、最低200時間の学習時間が必要だとも言われています。応用情報技術者試験に挑むのであれば、それ以上の時間をかけて対策する必要があると言えます。また、内容としても暗記をすればいいという問題ではなく、きちんと理解する必要があるため、自分の対策にかけられる時間と本試験までの期間を照らし合わせ、受ける試験を決める必要があるでしょう。

まとめ

いかがでしょうか。応用情報技術者試験の問題は、基本情報技術者試験と比較して、量の多さや問題の難易度など、かなりレベルが高くなることが理解いただけたかと思います。

基本的には、基本情報技術者試験にしっかりと合格をしてから、応用情報技術者試験に挑むのが良いでしょう。

また基本情報技術者試験・応用情報技術者試験ともに、自分の実力や資格取得の目的、対策にかけられる時間等を考え、しっかりと学習計画を立てることが、合格への第一歩であると言えます。

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