2020年版 コンクリート診断士試験合格指南
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刊行にあたって
コンクリートは、耐久性が優れることで多くの社会資本整備に活用されてきました。しかも、わが国の保有資源である石灰石などの天然材料を原料としているため、安価に得られる構造材料として、ダム、橋梁、エネルギー施設、河川・港湾構造物、建築物と様々な構造物に利用されています。ところが、それらの多くの構造物は、すでに相当に高齢化していると言えます。
コンクリートは維持管理がほとんど不要とはいえ、これまでのコンクリート材料の中には、耐久性を十分に検討しないまま利用されたものもあり、使用環境から早期に劣化する場合もあります。そのため、建設後の長い年月を経ないうちに補修・補強が必要となる構造物もあります。維持管理をなおざりにしている事例も多く、すでに補修をするよりも造り直しが望ましい構造物もあります。昨今は、社会資本をどのように再整備するかが喫緊の課題になり、適切な点検・診断の必要性が叫ばれています。
このような背景から、公益社団法人日本コンクリート工学会は「コンクリート診断士」を認定する制度を設けました。2019年4月時点の登録者数は1万3330人となりました。コンクリート診断士には、コンクリートの基本的な知識、コンクリートの劣化に関わる知識、劣化状況の評価、延命措置の判断など、幅広い知識が必要とされるのみならず、第三者に対して正確に説明できる能力も求められます。そのため、コンクリート診断士の資格試験では、知識だけでなく経験に基づく判断力を試す記述式問題も出題されます。
本書は、試験の要と言える「記述式問題」の攻略に力点を置く一方、専門的知識を評価する「四肢択一式問題」を一定の水準以上でクリアするための解説も設けています。ぜひ、ご活用ください。
2020年1月
著者
目次
1記述式問題対策
1-1記述式問題攻略のコツ
1.高得点を取るために
2.答案作成のステップ
1-2やってはいけない解答作成の悪い例
1-3記述式問題の出題傾向
1.問題I(建築分野)の出題傾向
2.問題1(土木分野)の出題傾向
3.構造物別や劣化要因別に整理しよう
4.時系列にパターン化
1-4記述式問題の解答例とポイント
問題I・建築(問題1~15)
問題Ⅱ・土木(問題16~31)
1-5記述式の予想問題
columnコンクリート診断士の仕事
2択一式問題対策
2-1択一式問題攻略のコツ
2-2択一式問題の出題傾向
2-3択一式問題の解答例とポイント
コンクリートの変状(問題1~9)
劣化メカニズム・評価・予測(問題10~19)
調査・診断方法(問題20~37)
補修・補強方法(問題38~48)
その他(問題49~50)
3コンクリート診断士試験を知ろう
3-1コンクリート診断士試験の仕組み
1.コンクリート診断士はどんな制度?
2.合格者数の推移
3.コンクリート診断士とは
4.コンクリート診断士の役割と活躍が期待される分野
5.どんな知識が問われるのか
6.出題形式は?
7.想定合格ライン
8.時間配分のテクニック
9.解答作成で注意すること
10.関連情報を収集しよう
11.2020年度試験の受験手続き
3-2 2019年度試験の総括
4どんな勉強をどれくらい?
4-1勉強の進め方
1.テキストは受験マニュアルではない
2.択一式問題の勉強の進め方
3.記述式問題の勉強の進め方
4-2勉強のスケジュールを立てよう
<付録1> 2019年度四肢択一式問題[解答・解説付き] <付録2> 試験直前30分でここだけチェック!
・この本の使い方
コンクリート診断士試験の問題には、「四肢択一式問題」と「記述式問題」があります。合否を分ける差が相対的に出やすいのは「記述式問題」。本書はその攻略に重点を置き、1章で解説します。「四肢択一式問題」から学びたいかたは2章、試験の全体像を知りたいかたは3章と4章からお読みください。