司法書士試験 非常識合格法




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まえがき

私が受験指導校の講師になってから、既に28年が経ちました。その当時は司法書士の資格を取れば一生安泰、と言われており、受験者数も今より少なかったものです。

しかし、ここ数年の社会情勢の激しい変化に、かつては不況に強かった司法書士業界も大きな影響を受けています。その大きな変化の一つが、「資格さえ取れば、将来の一定の展望が開けた時代」が過去のものとなったことです。景況の悪化から安定を求める人が増え、司法書士を志す人も増加してきました。その結果、年々合格者が増え続け、業界内での競争が激化してしまったのです。

ここで一つ、お聞きしておきたいことがあります。みなさんが 司法書士を目指すのは、「ラクして稼ぎたい」からでしょうか。 もし「そうだ」とおっしゃるのであれば、今すぐ回れ右をした方がいいかもしれません。

厳しいことを言うようですが、そのような考えでは、合格率3% 以下の難関を突破して合格を勝ち取ることはもちろん、たとえ合格しても司法書士として生計を立てていくのは難しいでしょう。

司法書士の本分は、街の法律実務家として、社会に貢献することです。その信念がなければ、人々の信頼は得られず、仕事も依頼してもらえません。どうかその点については、覚えておいてください。

とはいえ、司法書士の未来は決して暗いものではありません。現在、司法書士の業務は以前のような登記一辺倒の仕事ぶりから、簡易裁判所での訴訟代理・企業法務・成年後見・債務整理・ 裁判外での和解代理や相談などと幅広く、多くの人々の法的ニーズに対応できるようになっています。

それだけ社会貢献の幅が広がり、やり甲斐のある仕事も増えているわけですから、まだまだ司法書士が活躍できる場はあります。実際にそれぞれの分野で社会に貢献し、活躍している方はたくさんいるので、みなさんにもぜひ、そのような司法書士を志していただきたいと思います。

そして、司法書士を目指す以上は合格を勝ち取らないと、意味がありません。本書でご紹介するのは、私が長年の講師経験で培ってきた、合格までの最短ルートです。「非常識合格法」としたのは、司法書士試験はとても「常識」では太刀打ちできない試験だからです。

常識的に考えると、「出題されるところは全部覚える」勉強になってしまいがちです。事実、多くの受験生がこの「常識の罠」にはまって苦しみます。しかし、司法書士試験は問われる知識の量が膨大で、我々ですら全てをマスターすることは不可能です。普通の試験と同じ感覚 で学習を開始すると、合格するまでに8年、ヘタをすると10年以上かかってしまうこともあるでしょう。

何にでもコツがあるように、司法書士試験にも、「合格のための勉強法」があります。それが、これからご紹介していく「非常識合格法」です。初学者の方も、既に学習中の方も、このメソッドに則って進めていけば、魔法のように点数が伸びていくことをお約束します。

なお、本書では勉強法だけでなく、実際に司法書士試験に出題された問題を多数ご紹介しております。これは、司法書士試験の実体を知っていただくとともに、みなさんにも問題を解く「流れ」を体感していただくためです。 法律用語が頻出するので、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、順を追って考えていけば、誰でも必ず答えられる問題ばかりです。諦めずについてきてくださいネ。

読み終えたときには、司法書士試験の問題が身近なものであること、なおかつ問題の解答を導くことが困難ではないことを理解していただけるはずです。私も講義をするつもりで書かせていただいたので、「わかった!」「意外とおもしろいナ」といった感想を得ていただければ、この企画は成功したと言えます。

本書を手に取ることにより、司法書士試験を身近に感じていただくとともに、「合格のための勉強」をスタートするきっかけにしていただければ幸いです。

平成24年12月吉日
戸谷満

戸谷 満 (著)
すばる舎 (2012/12/20)、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1部 司法書士試験完全ガイド
第1章 司法書士試験の実態
1司法書士試験の仕組み
2試験の本質をとらえる
3受かる人の共通点3カ条
4合格しにくい人の共通点3カ条
5法学部卒は有利でもなんでもない
6実務経験は合格後でも間に合う
7目指すは2年で合格!

第2章 司法書士という仕事
1司法書士の仕事内容
2資格をキャリアアップに活かす
3夢の独立・開業
4組織に属して活躍する

第3章 試験の攻略法と合格後の生活を知る
1 司法書士試験制度の概要
2筆記試験の概要
3合格後の手続
4 司法書士会との関わり

第2部 非常識合格法1短期合格をかなえる勉強術
第4章 受験生活の送り方
1 3年で合格しようと思うのは誤り
2諦めるのが、不合格の最大要因
3学習計画は逆算で考える
4実現可能なスケジューリングとは?
5勉強すれば合格できる!
6仲間をつくって勉強しよう
7不合格者ではなく、合格者を見よ
8合格者の後に続け!
9家族の理解を得る

第5章 実践的ノウハウ13
1勉強量が足りなくて落ちる、はウソ
2難問、奇問は捨ててよし
3出題事項=学習対象ではない
4合否の決め手は午後の登記法
5 1回の学習で全てわかろうとしない

6最も効率的なインプットは反復学習
7テキストは読んで、理解するもの
8条文を暗記しても通用しない
9一つの手法で全て解決、はムリ
10 伸び悩んだときは、先例をチェック

11 過去問の学習方法
12 記述式は書く練習が必須
13問題自体がミスしていることもある

第3部 非常識合格法2これでバッチリ!! 科目別対策
第6章 民法
1傾向と対策
2総則
3物権総論
4担保物権
5債権
6親族法・相続法

第7章 不動産登記法
1 傾向と対策
2総説・申請手続
3添付情報
4所有権の登記
5抵当権・根抵当権の登記
6用益物権・その他の登記

第8章 商法・商業登記法
1傾向と対策
2定義
3株式会社の設立
4株式
5株式会社の機関

6募集株式の発行
7企業再編
8商登法独自の論点
9その他の項目

第9章 その他マイナー科目
1 民事訴訟法1 傾向と対策
2 民事訴訟法2 訴訟の審理
3民事訴訟法3 その他の項目
4民事保全法・民事執行法1 傾向と対策
5 民事保全法・民事執行法2学習のポイント

6憲法1 傾向と対策
7憲法2 学習のポイント
8刑法1 傾向と対策
9刑法2 学習のポイント
10 供託法1 傾向と対策

11 供託法2 学習のポイント
12 司法書士法1傾向と対策
13 司法書士法2 学習のポイント

特典1先輩に続け! 合格体験記
1仕事と両立して合格!
2途中で退職して受験に専念、合格へ
3仕事を辞めて受験一本!
4大学在学中に2年で合格!

特典2受験指導校の賢い選び方・使い方
1受験指導校は合格への近道
2 受験指導校を選ぶポイント
3受験指導校のかけもちは厳禁
4通学と通信の違い
5理想的な講師像
6 市販の問題集との付き合い方

戸谷 満 (著)
すばる舎 (2012/12/20)、出典:出版社HP