サクッとうかる日商3級 テキスト
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はじめに
~夢を実現するために~
みなさんは、どのような夢を描き、誰のために、何をしたいとお考えですか?それぞれに、さまざまな答えをお持ちでしょう。その夢を叶えるための『手段』が、日商簿記3級の合格ではないでしょうか。
手段は、目標に対して有効なものでなければなりません。有効なのは、理解です。何としても理解が大切です。「バラバラに仕訳を覚える」という行為は、まず意味がありません。「勘定科目の持つ意味」、この場面で「この処理が必要な理由」を理解して合格してこそ、実務での活躍もさらに上の級の合格も可能になるのです。
本書の章立てをご覧ください。身近なことで簿記の基礎を学び、現金の収支から収益・費用の処理を経て、一時的な処理や資本の増減に関する処理も一連のものとして、学べるように組み立てています。長年、講師を努めてきて、この形がみなさんに理解していただくためには、最良だと確信しています。
本書との出会いが、夢の実現に繋がり、それがみなさんの周りの人たちの幸せに繋がっていくことを、心よりお祈りしております。
ネットスクール 桑原知之
日商簿記3級のプロフィール
1日商簿記3級とは
小規模な株式会社の経理事務に必要な知識が身につく、簿記受験の第一歩となる資格です。簿記は経理の知識として必須なだけでなく、もっと幅広く役立つものです。例えば、営業マンが簿記の知識を持っていれば、採算のとれる仕事を獲ってくることができますよね。
またIT環境の整備が進み、起業する人もいます。起業家は商品の開発・営業・経営管理とマルチに業務をこなすことになります。この中で簿記の知識が必要不可欠だ、ということを痛感する人が多くいます。
2過去の合格率
全国で、10万人を超える申し込みのある日商簿記3級ですが、過去5回の合格率は45%前後となっています。
145回 2017.2.26 |
146回 2017.6.11 |
147回 2017.11.19 |
148回 2018.2.25 |
149回 2018.6.10 |
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受験者数 | 105,356 | 102,077 | 113,559 | 102,212 | 101,173 |
実受験者数 | 80,832 | 80,277 | 88,970 | 78,243 | 79,421 |
合格者数 | 38,289 | 40,880 | 35,868 | 38,246 | 35,189 |
合格率 | 47.4% | 50.9% | 40.3% | 48.9% | 44.3% |
3受験資格・試験日など
年齢、性別、学歴、国籍など、一切制限はありません。年間3回(2月、6月、11月)実施されます。※ただし2月は1級を除きます。
試験時間は2時間(9:00~11:00)です。100点満点中70点以上で合格です。詳しくは最寄の商工会議所へお問合せください。
【検定試験ホームページアドレスhttp://www.kentei.ne.jp/
簿記は特別な知識
簿記の学習を突き詰めていくと、税理士、会計士といった「士業(サル、ライ業)」につながるばかりか、そこまで突き詰めなくても、考え方さえしっかりと身に付けておけば、ビジネスで活用できる知識になります。
本書のコラムには、社会人に必要な数的感覚を扱うものを数多く掲載し、実務にも役立つようにしています。日商簿記3級の合格後、どのような世界が広がっていくかを図にしておきましたのでご覧ください。
日商簿記3級:商業簿記の基礎を学びます。
1ビジネスでの基本思考が身に付くので、経験を積むことで徐々にレベルを上げていくことができるでしょう。
2日商簿記3級を学んだ後に、多くの人が日商簿記2級を目指しています。
3日商簿記2級から税理士を目指すことが一般的でしたが、近年の試験の状況を考えると、日商簿記3級から直に税理士試験に進むことも考えられます。
夢に日付を
本書を手に取った人に共通していることは『向上心がある』ということではないでしょうか。そんなみなさんの将来の夢を具体的な目標にして、その実現までのプロセスを示しておきましょう。
夢や目標に日付を入れることで、逆算して「いま何をすべきか」が明確になります。向上心はすべての『成長』の糧あり、成長はその人の『生きている証』でもあります。「生きている」という事実に恥ずかしくないだけの努力をしていきましょう。
合格までのプロセス
みなさんの合格までのプロセスを、あらかじめ見ておきましょう。仮にみなさんが、学習スケジュール通りに学習を進め、試験当日には公枚ライン(70点)を超えるだけの実力を身に付けるとしましょう。するとみなさんの『実力線』は原点から始まる右上がりの直線で描くことができます。そこに、みなさんのヤル気度を示す『意欲線』と、本試験での得点力を示す『得点線』を加えてみましょう。
A:スタート期
スタートした当初は高い意欲を持ち、学習がスラスラ進んでいくため、さらに意欲が高まっていくことでしょう。この時期に学ぶ内容は、基礎的なものですが、これから学習を進めていく上で、基盤となりますから、軽視してはいけません。
B:進行期
学習が個別の内容に進んでくると、論点が少しずつ難しくなり、理解できているのかが不安になる頃です。それでも、みなさんの頭の中には少しずつ知識は増えていますから、ポジティブに考えることが大切です。この時期には、少しずつ正答できる問題が増えていくので得点線は徐々に伸びていきます。
C:陥没期
最初に過去問題を解いてみると、思うように点数が取れず、「これで合格できるのだろうか」と思い、意欲が大きく下がってしまう方が出てくる頃です。しかし、「合格への扉に手を掛けている」時期でもあります。「もうひと頑張りで突破できる」と信じて、焦らず丁寧にテキストに戻りながら学習していきましょう。
D:復活期(『ヨコ解き』で陥没期を抜けることができます)
試験2~3週間前くらいに、同じ論点の問題を続けて解く『ヨコ解き』を始めるようになると、これまでの蓄積も活かすことができ「結局、問われていることは同じだ」と気づき、合格が見えてきます。」この時期になると、意欲線も得点線も大きな上昇カーブを描き始めます。
E:仕上げ期
試験1~2週間前には、予想問題などを試験時間(2時間)で解くという『タテ解き』をしなければなりません。この時期に、合格のための解答順序や「絶対に正解しないといけないところ」といった意識が持てるようになります。また、得点的にも安定して合格ラインを超えていけるようになり、意欲も高まります。
ケアレスミス対策
ケアレスミスをしない世界を想像してみましょう。「学んで理解したことが出題されれば100%正解できる」それはそれはま晴らしい世界です。では、この世界に辿りつくにはどうすればいいのかを考えてみましょう。
1.ミスのパターンを探す
ケアレスミスは人の癖(クセ)です。癖ですから。10も20もある人はいませんし、1つもない人もいません。桁ミスをする人は桁ミスをしますし、問題を読み飛ばす人は読み飛ばしますですから、まず自分のケアレスミスのパターンを把握することが大切です。
2.ケアレスミスを減らす仕組みを考える。
桁ミスをするなら数字の3桁ごとに必ず「,(カンマ)を打つ」といいでしょうし、問題を読み飛ばすなら、読み終えた問題に必ず「(チェックマーク)を付ける」といいでしょう。こういったケアレスミスを減らす対策を考えましょう。
問題がわからないときの対策
まず、「難問が解けるようになるよりも、基本的な問題を確実に正解できるようになる方が合格に近い」のは、確かなことです。それでも、わからないところは気になるものです。ですが、わからないのは、未来永劫に続くものではありません。単に「今の一時的な現象」だと認識し、次の2点をはっきりさせましょう。
1どこまでならわかるのか
2なぜわからないのか
こうしておくことで、他の問題を解いたり他の内容を学習したりしているうちに、不意にわからないところが理解できる瞬間が来るばかりか、このときに感動さえ覚え、知識としてしっかりと定着します。「わからないところ」にぶつかったらこの2点を明確にして、とりあえず頭の中のわからないボックスに入れておくようにしましょう。
脳の仕組みと学習方法 ~脳科学の成果より~
考えるのも脳なら、記憶するのも理解するのも、また脳の働きです。近年の研究の成果で、脳の仕組みが明らかになってきました。脳の特徴を知って学習に役立てましょう。
脳の特徴1:丸暗記できるのは中学生ぐらいまで
高校生ぐらいになると、脳は「理解しないと記憶しづらい」理解型に変わっていきます。大人が学習するには、何よりも理解が大切です。
脳の特徴2:使うから記憶する
脳は、頻繁に使う知識を重要な知識だと認識し、記憶に留めようとします。つまり、問題を解くことで記憶に残るのです。本書は、節ごとに基本問題を入れて知識の確認を通じて記憶していただけるように制作しています。
脳の特徴3:寝ている間に整理する
脳は寝ている間に、今日起きたことの意味や内容を整理してくれるそうです。ですから、寝る前の学習は学んだ内容を整理してくれるだけでなく、翌日の学習も始めやすくなるので効果的です。
脳の特徴4:緊張感があると頭に入りやすい
「時間が制限されている」といった緊張感があると集中して頭に入りやすくなります。朝の出勤前の時間や、昼休みの時間を活用して効果的に学習しましょう。
脳の特徴5:描いた姿が実現されてゆく
合格した後の成功した自分の姿を描くと、それが実現する方向へ向かっていくそうです。勉強につまづいてしまったら、勉強を始めたときの自分を思い返してみましょう。
また、これは私の経験からですが、「忘れることを恐れると頭に入ってこなくなる」ように思います。人は忘れる生き物です。「忘れることを恐れない」ことも重要だと思います。
本書の特徴
2019年度の出題区分の改定に完全対応
日本商工会議所(主催団体)の公表している出題区分は、2019年度に大幅に改定されます。本書は2019年度の出題区分に完全対応しています。安心してお使い下さい。
フルカラーのテキスト
テキストはフルカラー。直感的に理解出来ます。
内容理解はこの1冊でOK!
簿記では「初回のアウトプットはインプットの内」と言われています。つまり、簿記の学習は、「アウトプット(基本問題を解くこと)をしないとインプット(知識修得)は完了しない」ということを意味しています。そこで、基本知識を学ぶとすぐに基本問題を解けるようにしました。
理解のためのツーステップ式!
テキストで学んだ内容は、基本問題で確認してこそ理解できます。本書はテキストと基本問題のツーステップ式となっています。基本問題は、各節のゴールとなる問題という意味で、テキストの節末に配置しています。
準拠問題集『サクッとうかるトレーニング』もご活用ください。出題範囲の広がりもあり、日商簿記3級でも従来の1冊型(テキスト+問題集)での合格が難しくなってきました。そこで、本書で得た知識を本試験レベルにまで引き上げる準拠問題集の活用をおすすめします。
contents
第0章 簿記の自己紹介
1「簿記さん」へのインタビュー
第1章 身のまわりの簿記
2自分貸借対照表を作ろう!
3自分損益計算書を作ろう!
4貸借対照表と損益計算書
第2章 仕訳と転記
5仕訳ってなんだろう?
6勘定口座への記入
第3章 現金と預金
7現金
8普通預金と定期預金
9当座預金
第4章 収益と費用
10収益の計上
11費用の計上
第5章 商品売買
12商品売買
13売上原価の算定
第6章 債権と債務
14約束手形
15貸付金と借入金
16役員貸付金・役員借入金
17電子記録債権・電子記録債務
18未収入金・未払金.
第7章 固定資産
19固定資産
第8章 一時的な処理
20仮払金と仮受金
21立替金と預り金
22法人税等
23消費税
24現金過不足
第9章 試算表
25試算表の作成
26誤処理の訂正
第10章 株式の発行・利益の計上・配当
27株式会社の設立
28帳簿の締切り
29株主への配当
第11章 精算表・財務諸表
30決算手続き
31これまでの決算整理
32当座借越の計上
33貸倒れの処理と貸倒引当金の設定
34費用の前払い
35収益の前受け
36費用の未払い
37収益の未収
38再振替仕訳
39精算表の作成
40損益計算書と貸借対照表の作成
41月次決算
第12章 帳簿
42主要簿の記帳
43現金・預金に関する帳簿
44商品に関する帳簿
45債権・債務に関する帳簿
46固定資産台帳
第13章 伝票
47伝票会計
基本問題解答
問題1~問題42