2019年版 ぜんぶ絵で見て覚える第1種電気工事士 筆記試験すい~っと合格
合格ライン(60点)到達への最短学習コースを見極めよう
○試験の出題傾向を整理すれば、合格法が見えてくる
第一種電気工事士資格の第一関門である筆記試験は、全部で50問が出題されて、1問2点の100点満点で採点されます。合格ラインは60点とされているので、50問のうち30問が正解できれば合格となります。これから受験勉強をはじめる方は、この50問中30問、「60点」という数値目標をまず頭に入れて学習を進めることになります。
出題科目 | 出題数 |
電気に関する基礎理論 | 4~6問 |
配電理論及び配線設計 | 3~5問 |
電気応用 | 1~2問 |
電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事の材料及び工具並びに受電設備 | 7~12問 |
電気工事の施工方法 | 3~5問 |
自家用電気工作物の検査方法 | 3~5問 |
配線図(高圧受電設備、制御回路) | 10問 |
発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性 | 3~5問 |
法令 | 3問 |
合計 | 50問 |
試験を実施する(一財)電気技術者試験センターでは、筆記試験の出題内容として9つの科目を公表しています。そして各科目ごとの例年の出題数は表Aのとおりです。実際の試験は、ほぼこの科目の順番で出題されるため、多くの受験参考書はこの科目の順番で学習を進めるようになっています。しかし、この科目順の学習は、はたして効率のよい学習法といえるのでしょうか。
そこで、試験科目の内容をもう少し細かく分けて、専門知識がなくても理解できて、覚えやすい順番に上から下に並べ替えてみたのが図Bです。検査や法規は一見難しそうに感じますが、出題範囲がある程度限定されるので、容易に丸暗記できてしまいます。さらに図Bでは、例年の出題数を横軸にとっています。この図を見て、あなたなら、どんな順番で学習していこうと思われますか?だれもが、覚えやすくて得点が稼げるところから勉強を始めたほうが有利だと気づくはずです。つまりこの図の1→2→3→4→5の順に勉強を進めたほうが、合格するには近道なのです。
本書は、この図Bの「わかりやすさ」と「出題数(点数が稼げる)」の順番に学習しやすいように構成し、最大限の学習効果を生み出せるように工夫しています。
○無理のない、合格への最短コースで学習しよう
何ごとにおいてもそうですが、物事をうまく進めるためには作戦が必要です。自分の得意不得意を冷静に判断して、合格目標ラインの60点を確保するためにどこに重点をおくべきか、しっかりした作戦を立ててはじめましょう。電気の理論や計算問題など、苦手な科目があっても、ほかで十分カバーできればよいのです。
高圧受電設備と制御(第1章、第2章、第3章)→例年15問出題→30点
機器・器具・材料・工具(第1章、第2章、第4章)→例年約5問出題→10点
検査と法令(第6章、第8章)→例年6~8問出題→12点
発電・送電・変電(第7章)→例年3~5問出題→8点
合格ラインの60点
5問くらい上乗せできれば安心!
電気応用と電気機器(第5章)→1~2問出題
電気工事の施工方法(第4章)→3~5問出題
電気に関する基礎理論(第9章)→4~6問出題
配電理論及び配線設計(第9章)→3~5問出題
本書の特徴を生かす上手な学習法
○第一種電気工事士攻略の鍵は、その「資格範囲」にある
第一種電気工事士は、言うまでもなく第二種電気工事士の上位に位置づけられた資格です。ですから試験では、当然のことながら第一種電気工事士でなければできない作業についての理解が主に問われます。このことを念頭において効率よく学習を進めることが合格への近道になります。
図Cをご覧ください。図は電気をつくる発電施設から、電気を使う需要設備までの電気工作物(*注)のうち、電気工事士が作業できる資格範囲を示したものです。
この図でわかるとおり第一種電気工事士と第二種電気工事士の作業範囲の違いは、600Vを超える高圧で受電する(最大電力500kW未満の)自家用電気工作物の需要設備(高圧受電設備)です。つまり試験でも、この高圧受電設備に関する問題がいちばん多く出題されるのです。
*注:電気工作物は、発電所、変電所、送配電設備をはじめ、工場、ビル、住宅などの受電設備、屋内配線、電気使用設備などの総称です。
○本書第1章~第3章で確実に30点を確保するのが合格への第一歩
本書は、合格に向けて効率よく学習を進められるように、試験で最も出題数が多い高圧受電設備の解説を第1章と第2章にまとめています。高圧を扱う施設ですから、作業には厳重な安全確保が必要となり、施工においては厳重な規程が定められています。つまり、第一種電気工事士を目指す人材には、この高圧受電設備の構成や施工に関する理解は必須であって、試験でもこの部分の問題だけで例年30点以上の高い配分がなされています。
高圧とはいえ、理解するのに専門的で高度な知識をそれほど必要としないので、これから勉強をはじめる方でも順を追ってきちんと学習すれば容易にマスターできる内容です。受験にあたっては、まず先に学習してしまい、30点をしっかり確保してしまうことが合格への近道になります。
○第二種との重複範囲はビルや工場を意識して16点以上を加点する
高圧課題で30点を確保したら、続いて第4章の低圧屋内配線部分で6点超を、さらに第6章の検査(とくに絶縁耐力試験が重要)と第8章の法令で各3点ずつの加算を目指しましょう。
第4章の内容は広範囲で、はじめての方には覚えることが多く感じるかもしれませんが、第一種では一般住宅(第二種の資格範囲)のことよりも、ビルや商業施設、工場などの規模が大きな自家用電気工作物の低圧屋内配線工事についての理解が問われます。つまり、一般住宅ではあまり用いられない、コンクリート埋設の電線管工事やダクト工事、フロアケーブル工事といったオフィスビルや商業施設で必要となる施工法に重点を置いて覚えることがポイントになります。法令についても、第一種の資格範囲に関わる部分が学習のポイントになります。
本書では、各章で第一種試験の重要ポイントにはそれがわかるように「重要マーク」が付けてありますので、学習時間があまり取れない人や第二種の資格をすでに取得されている方は、まずそこを重点的に覚えるようにするとよいでしょう。
○全国トップレベルの合格者数を毎年輩出する工業高校のユニークな「書いて覚える」勉強法
第一種電気工事士をクラス全員で受験し、全国トップレベルの合格者数を輩出している工業高校があります。その学校では第一種の学習にあたり、まずはじめに高圧受電設備の単線結線図を生徒がノートに繰り返し書き写して暗記します。その時点では結線図の内容を理解する必要はありません。生徒たちは5、6回も書けばあとは何も見なくても書けるようになり、1週間後に書き取りテストをするとほとんどの生徒が上手に書けるようになっています。
つぎは複線結線図の書き取り練習です。複線結線図の練習がはじまれば、各構成要素の名称と役割、外観写真のイメージをつなぎ合わせていきます。図記号はいままで繰り返し書いてすでに頭に入っていますから、生徒たちは難なく高圧受電設備の配線図問題を解けるようになっています。同様に重要ポイントもノートに書いて覚えれば頭に入りやすくなります。
本書では、この学習法が読者にも実践できるように、マーカーペンでなぞって書いて何度でも練習できる丸暗記ボードを付けました。丸暗記ボードで書き方のコツをつかめば、後は白紙のノートに繰り返し書いて覚えましょう。急いで覚える必要はありません。ほかの勉強と並行して練習すればよいのです。これで高圧受電設備の30点は簡単に確保できます。
●著作権について
本書は著作権法上の保護を受けています。本書の一部あるいは全部について、著作者から文書による許諾を得ずに、いかなる方法においても無断で複写、複製することは禁じられています。
本書に掲載している過去問題は、一般財団法人電気技術者試験センターが作成した問題です。
●免責事項
本書の発行にあたっては、内容に誤りがないようできる限りの注意を払いましたが、本書の内容を適用したことによって生じる結果には、著者および出版社は一切の責任を負いませんのでご了承ください。
CONTENTS
合格ライン(60点)到達への最短学習コースを見極めよう
本書の特徴を生かす上手な学習法
第一種電気工事士になろう!
試験当日は余裕をもつことが大事
第1章 高圧受電設備
1-1高圧受電設備とは何か
1-2高圧受電設備の種類と特徴
1-3主遮断装置のしくみ
1-4区分開閉器と制御装置
1-5高圧受電設備の配線図
1-6高圧電路を開閉する機器
1-7高圧電気を計測する機器
1-8設備を保護する機器
1-9変圧器
1-10力率改善と高調波対策の機器
1-11高圧ケーブルの端末処理
第2章 高圧施設の施工法
2-1高圧用の絶縁電線とケーブル
2-2高圧の機械機器の施設
2-3高圧電気の引込方法
2-4高圧架空引込線の施工法
2-5高圧地中引込線の施工法
2-6屋側・屋内高圧電線路の施工
2.7高圧受電設備の接地工事・
2-8高圧受電設備の機器配置
2-9高圧工事の器具・材料
2-10高圧工事の用具と工具
第3章 電動機制御回路
3-1電動機の運転制御の基本
3-2電動機制御回路の主要機器
3-3制御回路図の基本理解
3-4電動機の運転・停止回路
3-5正転・逆転制御回路
3-6スターデルタ始動回路
3-7電動機制御回路の使用機器
第4章 低圧屋内配線工事
4-1低圧用絶縁電線とケーブル
4-2低圧屋内配線用器具
4-3電線の許容電流値と接続要件
4-4屋内電路と過電流遮断器
4-5低圧屋内幹線の設計
4-6分岐回路の種類
4-7低圧機械器具の接地工事
4-8漏電遮断器の施設
4-9屋内配線工事の重要ポイント
4-10ケーブル工事
4-11電線管工事
4-12金属可とう電線管工事
4-13金属線ぴ工事
4-14金属ダクト工事
4-15フロア床面の配線工事
4-16平形保護層工事
4-17ライティングダクト工事
4-18特殊場所の工事
4-19小勢力回路
4-20低圧工事用材料・器具・工具
COLUMN
高圧受電設備などの機器の文字記号
「(簡易)接触防護措置を施す」とは
三相交流で出てくる13の意味
第5章 電気応用と電気機器
5-1光源の種類と特徴
5-2照度の求め方
5-3蛍光ランプの点灯回路
5-4電熱源の種類と特徴
5-5三相誘導電動機の基本特性
5-6電動機の所要出力
5-7同期発電機と同期電動機
5-8蓄電池と浮動充電方式
5-9整流回路
5-10変圧器の基本原理
5-11変圧器の運用
5-12単相変圧器のV結線法
5-13変圧器の損失と最大効率
5-14三相短絡電流と遮断容量
5-15過電流遮断器と保護協調
5-16絶縁材料
第6章 自家用電気工作物の検査
6-1電気計器の種類と用途
6-2単相・三相電力の測定法
6-3高圧受電設備の検査手順
6-4接地抵抗の測定
6-5低圧電路(電線路)の絶縁測定
6-6絶縁耐力試験
6-7絶縁劣化の診断
6-8保護継電器の試験
6-9検査作業の留意点
6-10検査用機材
第7章 発電・送電・変電設備
7-1水力発電
7-2汽力発電
7-3ディーゼル発電とガスタービン発電
7-4分散型発電
7-5電力系統の基礎知識
7-6変電設備
7-7架空配電線路の強度
第8章 保安に関する法令
8-1電気事業法
8-2電気工事士法
8-3電気工事業法
8-4電気用品安全法
第9章 電気理論と配線設計
9-1電気抵抗とオームの法則
9-2直流抵抗回路
9-3電流の磁気作用
9-4磁気回路
9-5コンデンサと静電容量
9-6直流過渡現象
9-7電力・電力量と熱量
9-8単相交流電圧
9-9交流回路と位相
9-10単相交流の直並列回路
9-11単相交流の電力と力率
9-12力率の改善
9-13三相交流の結線
9-14配電方式
9-15電圧降下
9-16電力損失
9-17単相3線式配電線路
9-18需要率・不等率と負荷率
第10章 過去問題必須180選!
【実力判定】
本試験式平成30年度筆記試験
平成30年度筆記試験の答えと解き方
用語索引
第一種電気工事士になろう!
第一種電気工事士は、独立開業を目指せる花形資格です。免状を取得するには、一定年以上の実務経験が必要になりますが、資格合格は、就職や転職にも大きく有利に働きます。
第一種電気工事士になるには、経済産業大臣から指定を受けた、(一財)電気技術者試験センターが実施する国家試験を受験して、それに合格しなくてはいけません。受験資格に制限はとくになく、希望者は年齢や性別、国籍に関係なく誰でも受験することができます。
1資格取得までの道のり
第一種電気工事士の試験は、毎年1回行われていて、2019年度の試験の日程は下図のとおりです。
試験は筆記試験と技能試験の2回に分けて実施され、筆記試験に合格した人が技能試験を受験することができます。そして技能試験に合格すれば、第一種合格となります。
ただし、合格しても免状がもらえるわけではなく、現場での実務を受験前の期間も含めて一定年経験してはじめて免状が取得できます(大学、高等専門学校の電気工学課程を修めて卒業後3年以上、その他は5年以上。第二種資格での実務経験も含む)。
なお、筆記試験に合格しながら技能試験が不合格だった人は、翌年の筆記試験が免除され、もう一度、技能試験だけを受験することができます(詳しくは、(一財)電気技術者試験センターが配布する受験案内で確認してください)。
2受験申請をしよう
試験の申し込み受付期間は、6月中旬から7月初旬までの約2週間です。(一財)電気技術者試験センターのホームページで事前に告知されるので、それをチェックしておきましょう(インターネットが利用できない方は、直接電話03-3552-7691で確認します。問い合わせは平日の午前9時から午後5時15分まで)。申し込みは、郵便振替申込用紙による方法と、インターネットで申し込む方法があり、受験手数料は郵便の場合が11,300円、インターネットの場合が10,900円です。
なお、第二種下期と同時受験する場合には、筆記試験は同一会場で午前に第二種、午後に第一種が受験できますが、技能試験は土曜日と日曜日で二種と一種の受験都道府県を変えて、受験する必要があります(同一都道府県の受験地で、二種・一種の技能同日受験不可)。
試験当日は余裕をもつことが大事
いざ試験となると、だれもが緊張するものです。ですから、試験に際しては前もって準備をしておき、当日あわてることがないようにしておきます。
まず、試験日が近付いたら、試験会場までの交通手段と所要時間を必ず確認しておき、当日遅刻などしてあわてないようにしておきます。
また、討論前日~当日持参するものを準備しておきましょう。筆記用具は、答案用紙のマークカードがボールペンの文字だと読み取れないので、鉛筆かシャープペンを必ず用意します。また、試験日の気温が高いと、試験会場に冷房がなかったり、逆に冷房が効き過ぎていることもあるので、体温調節できる服装を心がけましょう。会場によっては時計がないこともあるので、時計は必ず持っていきます(携帯電話を時計代わりに使うことはできません)。
準備をしっかりしておけば、あとは試験に集中するだけです。
試験はどこで受けられるの?
47都道府県から自分の都合の良い試験地が選べます
筆記試験・技能試験ともに試験地が選べます。また、技能試験は試験地によって受験日(土曜日または日曜日)が異なるので、居住地に近い試験地験日に都合がつかない場合には、試験日が異なる隣県の試験地を指定して受験することができます。
以下は、平成30年度の筆記試験会場地です。
旭川市、北見市、札幌市、釧路市、室蘭市、函館市、青森市、盛岡市、仙台市、秋田市、山形市、郡山市、新潟市、水戸市、宇都宮市、高崎市、前橋市、さいたま市、熊谷市、市川市、千葉市、世田谷区、豊島区、大田区、杉並区、横浜市、川崎市、甲府市、松本市、長野市、岐阜市、大垣市、三島市、静岡市、名古屋市、津市、富山市、射水市、金沢市、福井市、守山市、草津市、大津市、京都市、東大阪市、大東市、大阪市、姫路市、神戸市、奈良市、和歌山市、鳥取市、松江市、岡山市、東広島市、広島市、山口市、周南市、徳島市、高松市、松山市、高知市、福岡市、佐賀市、長崎市、熊本市、大分市、宮崎市、鹿児島市、中頭郡西原町、宜野湾市