実践 危機管理読本―リスクマネジメントの基本から不祥事・災害対策まで




「改訂新版」増補 まえがき

時代が歴史的な激変期を迎え、リスク要因が高まっている。国際通貨基金(IMF)は二〇一二(平成二十四)年一月の発表で「世界経済の失速、下振れリスク」を明言した。欧州債務危機、米国の低迷、新興国のバブル懸念である。また東日本大震災、タイの洪水など巨大な自然災害の発生、さらに企業から行政まで社会の様々な活動主体における事故・事件などわれわれが向き合わなければならないリスク課題が拡大している。

平成二十三(二〇一一)年三月十一日、東北地方太平洋側を襲った巨大地震と大津波は約二万人の死傷者を出し、多くの生活・産業拠点を倒壊、流出させ、甚大な被害をもたらした。さらにこの大震災によって福島第一原子力発電所では放射性物質の漏洩、拡散する過酷事故が起こり、未だ多くの人々が不安と恐怖の中で日々を過ごさねばならない現実がある。

この震災や原発事故に対し、政府・自治体・電力会社など関係者の危機への対応は必ずしも適切であったとは言い難く、人災との批判も免れず、災害リスクマネジメントや事業継続管理(BCM)に問題があったと言えるだろう。

震災直後、特に原発事故の当事者から「想定外」という言葉が繰り返され、奇異に聞こえたものである。なぜならリスクマネジメントでは、まず十分なアセスメント(影響予測評価)により、不確実な状況で、最悪事態の想定シナリオに対応するところから始めるのが原則である。「想定外」とは予測データやシナリオがなかったか、予測の範囲を限定したかのどちらかではないか。どちらにしてもリスク事象に対する認識やそれらを克服する真摯な姿勢が、さらにはリスクマネジメントとしての取り組みに問題があったと言わざるをえない。

企業や官庁などにおける不祥事(事故・事件)においてもコンプライアンス基準やルールなどに反するような従来よくあるパターンのケースもあれば、情報技術のデジタル化がさらに進化することによって、まったく新しい事象も出てきている。例えば企業による不正会計事件でもかつてのように単なる会計処理上の偽装問題ではなく、グローバルな金融市場における複雑なデリバティブ(金融派生商品)や瞬時に変化する為替相場などを組み合わせた金融商品など、単なる会計だけでなく金融や情報技術についての高度な知識がなければ解決が難しい問題が増えている。

バブル崩壊後、米国での市場原理的発想から、株式会社は株主のものであり、企業の他のステークホルダーの利益に優先して株主価値の極大化を軸にする企業評価が全盛の時期があった。ところがヘッジ・ファンドや投資銀行による無軌道な投機的投資行為によって金融が崩壊し、貧困や失業者が増加、格差が拡大し、不祥事も続発して、過度な金融資本主義への反省から是正の動きが出てきている。

企業経営もCSR(企業社会責任)を基軸とするマネジメントやビジネスが本流になり、パラダイム(認識枠組み)の転換が起きている。リスクマネジメントとは基本的に活動主体(官庁、企業、学校、病医院等)にとってのリスク克服への経営管理と解釈されるが、同時にその主体の存続と事業継続をはかることは幅広い社会のステークホルダー(利害関係者)の利益・価値にもなり、その目的達成のためには相互に連携・協力しなければならない。いわゆるソーシャル・リスクマネジメントが要請されるのである。

リスクマネジメントについてスイスのジュネーブに本部を置くISO(国際標準化機構)は二〇〇九(平成二十一)年十一月、ISO三一〇〇〇:二〇〇九『リスクマネジメントの原則及び指針』を発表した。求められている主体は企業だけではなく非営利の政府、自治体、医療や教育機関、その他公共的組織など幅広い経営体である。リスクマネジメント研究は実務的にも学術的にも注目され、社会からの関心が高まっている。ISO標準規格では「用語の定義」と共にリスクマネジメントのPDCAなどの「枠組み」とフローの「プロセス」を提示している。

今回は改訂新版の増補として発刊されるので、新たに感染症災害やソーシャル・メディアによるリスク問題に詳しく触れることができなかった。しかし「第八章:自然災害への危機管理」において、東日本大震災についての小論を掲載させていただき、事業継続管理についても若干手直しをした。激甚災害の発生確率が高まっているとされる今日、いささかでもお役にたてれば幸いである。

また本書の改訂、増刷ごとに多方面の方々からご助言などをいただき、ここに深く感謝申し上げたい。さらに出版業界が厳しい中で増補版を発刊していただいた日本コンサルタントグループの清水正行会長と編集・進行でお世話いただいた加藤信之氏に心より謝意を表するものである。

平成二十四(二〇一二)年四月吉日
藤江俊彦

藤江 俊彦 (著)
日本コンサルタントグループ、出典:出版社HP

「改訂新版」まえがき

平成十三(二〇〇一)年に本書の初版が刊行されて以来、おかげさまで多くの読者諸賢の支持を得、平成十六(二〇〇四)年に「改訂版」が発刊され、さらに今回「改訂新版」を上梓できることになったのは誠に幸せなことである。現代の時代状況の中で、これほどまでにリスクマネジメントや危機管理への関心が強いことは驚きでもあり、また反面複雑な思いもなきにしも非ずである。歴史的転換期の必然なのであろうか。

わずか数年でも、内外の企業の不祥事はさらに多様化、質的変化をしてきた。敵対的M&A(買収・合併)絡みの不正取引、耐震強度偽装、肉類等の食品偽装、ホテル等の違法改造、介護事業不正請求、鉄道脱線事故、建設談合、昇降機・湯沸器等の製品事故など際限がない。また官公庁でも社会保険等の年金問題、地方自治体首長による収賄などの事件、大学・学校など教育機関や病院・診療所など医療機関における事故、事件も増加している。さらに近年の地球温暖化による自然災害の増加と規模の拡大は、地震や台風の多発するわが国にとって、災害危機管理が喫緊の課題であることを迫っている。

そこで今回の「改訂新版」では新たな時流に沿って、主として次の四点に留意、内容を盛り込んだ。

第一は、災害管理型リスクマネジメントについての考え方、近年の動向、対策を第八章として加えた。前回の「改訂版」では第六章の緊急時のケースの一つとして位置づけていた。今回は内閣府も重要視する経営体の事業継続管理(BCM)を取り上げ、対策面として防災マニュアル作成のコンテンツを確認する形式で項目を追加した。実践的対応に役立つことを心がけたつもりである。

第二は、会社法、金は商品取引法(日本版SOX法)の施行による内部統制システムのあり方や実施についてこれまでのものを一部書き直して追加した。特にCSR(企業の社会的責任)の意義や背景を詳しく述べ、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスなどの類似概念の意味を説明し、それらが相互にどのように関連しているかを整理した。リスクマネジメントが内部統制に法的に組み込まれ、経営の社会的責任を果たすうえで必須であることを理解できるであろう。

第三に、個人情報保護法が施行され、その後の対応に問題も発生している。多くは個人情報、個人データ、保有個人情報などの誤解や拡大解釈などによるものと言われている。そこで個人情報関連の尻令を現場レベルで担当者が再度確認し、実践に役立つ知識として提示した。

第四に、相変わらず不祥事発生後のマスコミ取材への対応や記者会見が不適切で、なかには致命的な結末を招くケースもある。平成十九(二〇〇七)年一月の洋菓子メーカーの消費期限切れ原材料使用問題は、確たる法令速反は認められず、当の原材料使用製品での食中毒患者が出たわけではないのに、創業家支配が事実上崩壊し、大手パンメーカーの傘下に入ることになってしまった。マスコミ対応の失敗が主たる原因の一つとなったことは否めない。

本書では特に危機広報に紙幅を割いているのが特徴だが、緊急時のマスコミ対応、記者会見での留意すべき点について補足した。平素からの研修、メディア・トレーニングに活用いただいてもよいし、精神的に追い詰められた緊急時にも何等かの助けになれば幸いである。

時代の変化がますます激しくなり、リスク要因も多様化、複雑化、広範化し、影響も拡大することが予想される。今後さらに企業などの経営体にとっての実践的な危機管理についての研究を進め、いささかでもお役に立てればと願っている。

版を重ねるごとに各方面の諸賢からご教示、ご叱声、ご助言をいただき、おかげさまで内容の充実を期すことができたのは、有難いことである。今回「改訂新版」刊行まで諸般の事情により予想以上に手間取り、遅れてしまった。ご迷惑をおかけした読者や日本コンサルタントグループ、とりわけご担当の加藤信之氏にお詫びを申し上げ、またあらためて出版して頂いたことに清水正行社長のご理解に対しても深く感謝するものである。

平成十九(二〇〇七)年七月吉日
藤江俊彦

まえがき

二十世紀末から始まった社会変動や価値の転換は、新世紀に入ってさらに激しくなり、その中で個人も組織もかつて経験したことのない多様なリスクに取り巻かれるようになった。グローバル化や情報テクノロジー(IT)の進展、地球環境問題への対応などマクロな次元から身近かな不祥事や職場の人権問題までリスクは広範囲で、かつ複雑多岐なものになっている。

ことに平成十二(二〇〇〇)年には、大手企業による集団食中毒、リコール隠し、製品性能の過大表示販売などきわだった事故や事件が続発した。また中央省庁や地方行政機関、医療や教育機関でも不祥事や不測事態が頻発している。そのためかつてないほど危機管理やリスクマネジメントへの関心が高まっている。ただその割にはほとんどのケースが不測事態の発生時にその場限りの緊急時対応をするのみで、平常時からのリスクマネジメントがなされていない。もともと経営にその意識が根付いておらず、戦略的で組織的な体制づくりが不十分であるように思える。

リスクマネジメントや危機管理はすでに多くの著書・論文も発表されているが、基本的な考え方と実践的な対策、広報対応までを一冊に分かりやすくまとめたものが少なく、それを意図したのが本書『実践・危機管理読』である。

わが国では組織でも個人でも先行きの見通しについて、不測の事態や危機的状況など「よくないことはあまり考えないようにし、いいことだけを考えよう」という風潮がある。企業経営でも、リスクや危機はあってはならない特殊ケースであり、そうしたものを常日頃から心配したり、コストをかけて準備する必要はなく、何か起こったらそのときに全力投球で対応すればよい、そんなことを考える余裕があればビジネスや本業に頭も時間もお金もかけるべきだ、という考え方が根強いのではないだろうか。

ここには潜在意識の中に「良いイメージだけ考えるとそれが本当に実現する」という単純な思い込みがある。プラス思考の勘違いである。本当のイメージトレーニングでは、失敗したり、最悪事態に追い込まれたときの自分の姿もしっかりイメージとして受け入れ、そのピンチからの脱却を具体的にイメージとして体験しておくことが成功の鍵となる。当初からリスクや危機的状況を心と頭の中にインプットし、そこから具体的に備えを固めておくわけである。それによって平穏な日常を持続することができるのである。企業、団体、行政府などあらゆるセクターの活動主体が、激変する環境の中で直面するかも知れないリスクを分析し、予測し、対策を立てておかなければならない時代なのである。それが組織を守り、明日を開くことになる。

これまで危機的状況はできるだけ表沙汰にしないで隠蔽し、組織の中だけで内輪に片づけようとする傾向が強かった。だがいまは生活者市民意識の成熟と共に組織の公共的、社会的責任が問われている。さらに情報テクノロジーの発展によって情報開示と説明責任を果たし、透明性を高め、社会に受容される対応が強く求められるようになった。

近年大きな不祥事を起こした企業の中には、企業倫理担当部門を設けたり、社会貢献活動をアピールしてイメージアップのコミュニケーション活動を活発にし、上辺を取りつくろいながら、内実はとんでもない違法行為や杜撰な経営管理をしているケースがあった。こうしたきれいごとの組織体質がはびこること自体経営の問題であり、組織の存続や成長に大きなリスク要因となる。「臭いものにはフタ」という諺がある。だがいくらフタをしても、上辺のきれいごとをいつまでも維持しきれないのが現代という時代である。

企業でも官庁でも、組織内の不祥事がマスメディアで社会に伝達されてはじめて危機として認識し、本格的に取り組むという傾向がありはしないだろうか。つまり表沙汰になってはじめて本格的に対応するのである。そのため危機発生時のマスメディアの報道取材にどう対応するかは公共社会に対しての企業の姿勢を問われ、その存続や業績に大きく響くことになる。

マスメディアの報道や論調はインターネットのウェブやプログなどと連動し、相乗的に波及効果をもつため従来以上に影響力を増したとも考えられる。マスメディアへの取材対応など、危機広報はリスクマネジメント全体の中で大きなウエイトをもつものである。

本書の校正作業を進行中の九月十一日、アメリカ・ニューヨーク市の世界貿易センターツインタワービルが同時多発テロによって崩壊するという歴史的事件が起きた。なんと発生の一週間前、私はバッファロー空港からニューヨーク市ラガーディア空港に向け衝突した旅客機とほぼ同じコースを飛んでいたのである。ロウアーマンハッタンにそびえ立つ世界貿易センターのツインタワービルを旅客機の窓から見ながら、今回に限ってバッグからポケットカメラを取り出し、二枚撮った。虫の知らせだったのか、ありし日のタワービルの思い出の写真になった。

首都ワシントンDCでのペンタゴンとニューヨーク市マンハッタンのWTC(世界貿易センター)ツインタワービルの破壊は、アメリカ合衆国のイメージ的象徴への痛烈なダメージであった。ブッシュ大統領はこれに対し、「自由と民主主義」への挑戦であり、「無限の正義」による報復我と宣言した。確かにテロは許すことのできないものである。だがそれと同時にこれは従来の政治的思想としての民主主義や、国家的対立関係の枠を越えたテロ行為であることに気づかねばならないだろう。

すでに二十世紀の末、新世紀は国家対国家の戦争ではなく、宗教をベースにした「文明の街突」であることをハンチントンが指摘していた。彼とは異なる表現を使えば西欧の近代合理主義(モダニズム)が行き詰まり、非西欧的な脱近代、超近代の非合理をも包含したボストモダニズムへの転換の動きである。ここでは、科学的合理性をベースにした要素還元主義的な知的構造のあり方が動揺し、これを越える思考様式が模索されている。

実はWTCのツインタワーは世界金融のメッカであり、西欧モダニズムの象徴でもあったのではないだろうか。そこには五十数ヶ国の人がグローバルなファイナンス業務をコンピュータを駆使して近代的ナレッジによってこなしていた。それが特定の宗教的世界観を信ずる者によって破壊されたのである。テロリストは政治的レベルでの自由や民主主義を超え、自分達と異なる文明世界観に対する破壊を試みたという見方をする識者もいる。

二十一世紀のリスクや危機を考えるとき、従来の科学分析的手法による予測可能な発想や解決方法だけでは対応しきれない現実を、このテロ事件は問題提起したように思う。旅客機の乗っ取りという一九六〇年代の手法で、しかもカッターナイフだけで実行するアナログ手法は、ハイテクに偏向していたアメリカの中枢を直撃したのである。いくらデジタル化が進んでも、アナログの重要性を忘れてはならない。二十一世紀におけるリスクマネジメントへの大きなヒントがここにあるように思う。

ボストモダンの科学として注目される複雑系理論について、アメリカのジャーナリストのジョン・F・ロスはその著「リスクセンス」(佐光紀子訳/集英社)の中で「複雑な構造の結果は予測できなくても、コンピュータでいくつものシナリオのモデルを作ることはできる」という。科学的予測の限界を越えて「パスカルが神を信じるかという帰結に辿り着いたときと同じように、リスクに対する疑問へ間接的にアプローチする方法がある」というのである。それは神を信じる信じないではなく、それぞれの場合での帰結を検討する、ということである。「コンピュータ・モデルも、ある出来事が複雑な構造の中で起こる可能性を予測することはできないが、事故やトラブルの帰結を検討することはできる。(中略)その結果、どの斡旋システムやリスク管理方法が優れているかがはっきりするため、リスク管理ではこうした方法は有用だ」として、リスクマネジメントに対する発想の転換を提示している。

本書ではオーソドックスなリスクマネジメントの基礎知識と考え方を第一章に簡単にまとめ、第二章で経営の社会的責任についてコンプライアンスや経営倫理、環境の視点で触れた。第三章ではリスクアセスメントなど三つの段階局面での特性や体制のあり方を述べ、第四章では常態化した危機管理の体制、プロジェクトチームの役割などを日本企業の実状に合わせて具体的に述べたつもりである。第五章は、危機コミュニケーションでもっとも注目を集めているマスメディア対応や記者会見を事務的な留意点まで細かく示した。第六章では、ケース別研究として、最近増加している内部告発、欠陥商品、人格権や知的財産権の侵害問題、さらに自然災害にも触れそれらのケースでの広報対応のあり方を述べた。第七章は、まさにグローバル化の中の危機管理のあり方や対応の仕方について、海外でのテロや誘拐、人質事件についてコメントしている。グローバル化は時代的潮流であるが、すべて良いことづくめではない。リスク負担も拡大することを忘れてはならない。海外駐在はもちろん、出張、旅行時にも参考にしていただけると思われる。

本書は主として中堅以上の企業を想定して書かれているが、それだけではない。大企業や大きな公共団体はもとより、中小企業、市民NPOなど規模に関係なく、さらには個人にとっても役立つように工夫したつもりでいる。主語や状況を置き換えて読んでいただきたい。

なお本書は、危機管理やリスクマネジメントなどに関する広報・パブリックリレーションズの講演や、セミナーをベースに手直しした箇所もある。内容、文章で濃淡があるのはそのためと理解していただきたい。最後に本書刊行を実現していただいた日本コンサルタントグループ清水正行社長と、お手をわずらわせた加藤信之氏に御礼を申し上げたい。

平成十三(二〇〇一)年九月吉日
藤江俊彥

目次

・「改訂新版」増補まえがき
・「改訂新版」まえがき
・まえがき

第一章:リスクと危機のマネジメント

1.リスクと危機の概念と分類
①リスクの概念
②リスクの分類
③危機(クライシス)の概念とイッシュー

2.リスクマネジメントと危機管理
①リスクマネジメントの発展と必要性
②企業経営とリスクマネジメントの目的
③リスクマネジメントの形態
④リスクマネジメントと危機管理(クライシスマネジメント)

第二章:経営と社会的責任(SR)

1.組織経営の有効性と効率性

2.企業の社会的責任(CSR
①なぜCSR(企業の社会的責任)なのか
②コンプライアンスとは何か
③CSR(企業の社会的責任)の重層的体制づくり

3.コンプライアンスとビジネス倫理

4.組薇風土と組織文化の影響

5.内部統制とリスクマネジメント、ガバナンス

6.環境経営の社会的意義

第三章:リスクマネジメントの手法と展開

1.リスク処理手段(リスクトリートメント)

2.リスクの調査と予測

3.リスクマネジメントの目的

4.リスクマネジメントの三つの局面
①平常時(事前)
②緊急時(有事)
③回復・収束時(事後)

第四章:危機管理体制の整備

1.リスクマネジメント組織の体制整備
①緊急対策本部は早急に
②リスク管理部門と危機管理委員会
③リスク・危機管理委員会の主な役割

2.通報システムと連絡網

3.緊急対策本部の設置と役割
①対外的な公式見解の作成
②広報PR担当者の役割

4.危機管理マニュアルの策定
①三本立てで作成する
②実施マニュアル作成のポイント

5.トレーニングの必要性
①シミュレーション・トレーニング
②メディアトレーニング

第五章:緊急時の広報・広告とマスコミ対応

1.緊急時のマスコミ取材と報道
①緊急事態発生時の危機広報とマスコミ報道
②メディア・リテラシー(媒体読解力)と活用力
③広報と情報開示、説明責任の関係
④記者の関心と動きをさぐる
⑤テレビ報道と社会情報系番組
⑥法務的対応だけでなく広報的対応も

2.緊急時のマスコミ対応と記者会見
①マスコミの取材対応の基本
②受動型広報と能動型広報
③緊急記者会見の開き方
④発表側の記録(ビデオ撮影、レコーダー、ボジションペーパーの作成)
⑤緊急記者会見の進行と発表声明、質疑応答のポイント
⑥取材記者との接触とつき合い方
⑦誤報道への対応
⑧マイナス報道への対応
⑨その他のジャーナリズムなどへの対応
⑩誘拐報道での注意点
⑪報道被害とオンブズマン制

3.広告への危機管理と対応
①広告の公共倫理性と不適切な広告表現
②広告と広報・パブリシティとの連動
③企業広告で顧客、社会への説明
④お詫び広告・謹告と挨拶広告など

第六章:危機のケース別実践対応

1.危機ケース別対応の実際(1)
①内部告発への対応
②欠陥商品への対応
③苦情、クレームへの対応
④うわさと風評

2.危機ケース別対応の実際(2)
①知的所有権(著作権、肖像権、不正競争防止法)と広報・広告リスク
②人格権としてのプライバシー侵害、名誉毀損問題への対策
③ハラスメントなど人権問題
④個人情報の漏洩とコンビュータ・セキュリティ

第七章:グローバル社会での危機管理

1.増加している海外でのクライシス

2.現代的リスクの傾向とレベル

3.海外での危機管理体制づくりのボイント

4.テロ事件への備え
①「戦争よりテロ」の世紀を認識
②テロによるリスクの評価

5.誘拐、人質監禁事件への対応
①なぜ日本人がねらわれるか
②事前の防止策
③誘拐、人質や脅迫事件が発生したときの企業対応

6.日本への武力、テロ攻撃への国民保護

第八章:自然災害への危機管理

1.多発する自然災害

2.災害管理型リスクマネジメント
①災害と災害管理型リスクマネジメント
②災害管理型リスクマネジメントの類似用語
③災害対策への防災計画とマニュアル

3.事業継続管理(BCM)と事業継続計画(BCP)
①事業継続管理とその必要性
②事業継続管理のガイドライン
③事業継続管理の取り組み

4.災害マニュアルの位置づけと構成内容
①災害・防災マニュアルの目的と対象
②災害・防災対策の基本方針
③災害・防災対策本部の設置と解散
④災害発生時の通報・コミュニケーション環境整備(情報共有と通報体制)
⑤初期行動と救援活動(初動対応)
⑥現場の緊急時対応と事業体制(緊急時対応と事業継続体制の復旧)

5.災害への事前対策
①建物や施設の立地や基礎構造の検証
②建物や設備について
③社員、職員への防災教育と訓練

6.災害後の復旧対策
①復旧の体制づくり
②復旧時に行うこと

7.東日本大震災に学ぶ教訓|見直すべき大規模災害への備え
①広域複合災害としての東日本大震災
②災害危機管理は「防災対策」から「マネジメント」
③事業継続管理(BCM)はなぜ必要か
④実効性の上がる事業継続管理

・あとがき
・索引

藤江 俊彦 (著)
日本コンサルタントグループ、出典:出版社HP