改訂7版 環境社会検定試験eco検定公式テキスト
エコピープル行動指針
1. 環境に関心をもつ
2. 健康に気を配り、毎日の生活を丁寧に暮らす
3. 多様な”いのち”を慈しむ
4. 自然の豊かさを楽しみ、自然から学ぶ
5. 地域コミュニティをともに創りあげていく
6. それぞれの人や組織を認め、連携し、協働する
7. 限りある資源を大切にする
改訂7版の刊行にあたって
日本の環境政策や環境保全の取組みの基本方針ともいうべき環境基本法が1993年に制定されたのを受けて、東京商工会議所は、持続可能な社会の実現および経済と環境と社会の発展のため、積極 的な取組みを行ってきました。そして、持続可能な社会の実現のための根源は「人」であるとの認識に立って、2006年に環境社会検定試験(eco検定)を創設いたしました。
環境社会検定試験は、「環境に関する幅広い知識を礎とし環境問題に積極的に取組む“人づくり”と、環境と経済を両立させた“持続可能な社会づくり”を目的として、2018年12月までに25回の試験を実施してまいりました。受験者総数は延べ45万人を超え、合格者も約27万人にのぼっています。また、合格者を「エコピープル」と呼称し、その環境活動の支援も推進しています。
本書は環境社会検定試験の公式テキストとして、ビジネスパーソンや次代を担う学生を始めとするあらゆる世代の皆さまに、環境に関する幅広い基本知識を習得していただき、ビジネスや地域活動、家庭生活で役立てていただきたいという思いから発刊してまいりました。
2017年1月に改訂6版を発刊いたしましたが、環境に関する国際的な動きがますます活発になる 中で、国内でも企業のSDGsに関する取組みが拡がっていることなどを受け、この度、改訂7版を発刊する運びとなりました。改訂にあたり、一般社団法人環境政策対話研究所の柳下正治代表理事を はじめ、本書の発刊に協力いただきました公式テキスト作成委員会の委員ならびに執筆者・関係者 の皆さまに敬意を表しますとともに、この場を借りて御礼申し上げます。
2006年の初版発刊以来、本書は検定試験受験用の公式テキストとしてだけでなく、ますます多様化・複雑化する環境問題について、幅広い分野を網羅的にわかりやすく伝える環境知識の基本書で あることをめざしています。また、わたしたちの生活との関連性に重点を置き、環境問題を体系的 に整理し、より具体的に説明、解説することに努めてまいりました。
環境問題は社会や経済と密接に絡みあい、ますます複雑化しております。環境に関する技術やモノづくりは日々研究が進み、環境問題解決のための制度やシステムの構築なども着々と進められているものの、それらを動かし、活かすのはまさに「人」です。科学や技術、システムは環境問題解決に向けて、あくまでもアプローチの方法の選択肢を提供しているにすぎません。その選択肢から何を選ぶかは、社会を構成するわたしたち一人ひとりが考え抜き、意思決定していかなければなり ません。東京商工会議所では、エコピープル(eco検定合格者)の優れた環境活動を表彰する制度(eco検定アワード)も推進しています。
本書では、複雑な環境問題への正解を提示することよりも、むしろ議論の基礎となる知識や考え方をわかりやすく記載しています。ビジネスや地域活動、家庭生活のさまざまな場面で何度も読み返しながら、知識の習得と問題解決に向けた考え方を身につけていただければ幸いです。本書で得た知識を活かし、点から線へ、線から面へと環境への取組みが拡がることを願ってやみません。本書が、皆さまの環境意識の向上に少しでもお役に立ち、持続可能な社会の実現に寄与することを祈念しております。
東京商工会議所 環境社会検定委員長
田畑日出男
本書の構成と内容
本書の構成と使い方
本書は、6つの章で構成されています。各章はいくつかの節から構成され、全部で約90の節があります。そして、一つひとつの節は、掲げられた課題に対して基礎知識を提供し、問題解決への考え方や必要な情報を示すなど、それぞれに完結した情報書となっています。今回から各節においてそのテーマと関連するSDGsの17のゴールも掲げました。
また、本書は前から順に読み進めるうちに、環境問題についての基礎知識が身につくように構成に工夫をしています。しかし、環境問題にほとんど初めて触れる読者には、第1章に続いて第3章を読むことを勧めます。そして、改めて第2章に戻って学ぶことで、第3章で学んだ環境問題に対する理解がより深まると思います。その後、第4章、第5章を読み、環境問題の解決に向けてどう取り組んだらよいのか、自分なりの答えを見出すことができるようになると思います。
本書の内容
第1章 持続可能な社会に向けて
環境問題に取り組んでいく上で必要とされる基礎的な知識、考え方を習得します。人間が将来にわたって地球の環境から、その恩恵を享受し、発展し続けていくためには「持続可能な開発(Sustainable Development)」の考え方に基づく行動が必要であることを学びます。また、2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を学びます。SDGsは、2030年までの具体的な目標として、貧困や飢餓、クリーンエネルギーの普及、気候変動対策、平和的社会の構築など、17の目標と169のターゲットから構成されます。SDGsはすべての国や政府、民間、市民社会における、すべての分野においての持続可能な社会をめざした取組みの共通目標です。
第2章 地球を知る
環境問題を理解していく上で必要な、環境問題を生じさせている背景や、世の中の動きを学習します。自然科学的な知識を2-1で、経済・社会的な側面を2-2で学習します。
第3章 環境問題を知る
環境問題にはさまざまな現象があり、問題があります。それらを系統立てて解説する本書の核心部です。3-1から3-4までは「地球環境問題」を中心に扱います。地球温暖化、生物多様性問題などを、できるだけ平易に解説し、さらに国際社会及び日本における取組みの現状や課題などを解説しました。3-5から3-7までは、身近な「地域環境問題」を中心に、循環型社会づくり、大気環境、水環境、化学物質などを取り上げました。日常空間の中で生じている問題について、基礎情報を得て、解決への道筋について理解を深めることができるように工夫しています。また、3-8では放射性物質と環境との関わりを環境問題として解説しました。
第4章 持続可能な社会に向けたアプローチ
環境問題にはさまざまな事象があり、課題があります。この章では、多くの事象や課題に対してどう問題解決をめざして立ち向かうのか、すなわちどのような目標を立て、どのような手法を用い て取り組んでいったらよいのかについて解説しました。
第5章 各主体の役割・活動
環境問題を解決する主役は、社会を構成するすべてのメンバー、すなわち国・自治体などの公的 な主体、企業、市民、及び NPO/NGOです。本章では、具体的な取組み事例を紹介しながら、主体ごとの役割分担を解説し、さらに各主体による協働の取組みの重要性について説明しました。
第6章 エコピープルへのメッセージ
持続可能な社会への変革の担い手として、皆さんがそれぞれの場で活動をされることを祈念してメッセージを送りました。
図表0-1本テキストの全体構成
CONTENTS
カラー資料
改訂7版の刊行にあたって
環境社会検定試験(ECO検定)とは
第1章 持続可能な社会に向けて
01 環境とは何か、環境問題とは何か
02 環境問題への取組みの歴史(世界)
03 環境問題への取組みの歴史(日本)
04 「持続可能な社会」に向けた行動計画―地球サミット―
05 持続可能な社会に向けて
〈日本の四大公害病〉
第2章 地球を知る
2-1 地球の基礎知識
01 生命の誕生と地球の自然環境
02 大気の構成と働き
03 水の循環と海洋の働き
04 森林と土壌の働き
05 生物を育む生態系
2-2 いま地球で起きていること
01 人口問題
02 経済と環境負荷
03 食料需給
04 資源と環境について
05 貧困、格差、生活の質
〈日本の食料自給率〉
第3章 環境問題を知る
3-1 地球温暖化(低炭素・地球温暖化適応社会)
01 地球温暖化の科学的側面
02 地球温暖化対策 緩和策と適応策
03 地球温暖化問題に関する国際的な取組み
04 日本の地球温暖化対策(国の制度)
05 日本の地球温暖化対策(企業・地方自治体・国民運動の展開)
06 脱炭素社会をめざして
3-2 エネルギー
01 エネルギーと環境のかかわり
02 エネルギーの動向
03 日本のエネルギー政策の経緯
04 エネルギー供給源の種類と特性
05 再生可能エネルギー
06 省エネルギー対策と技術
3-3 生物多様性・自然共生社会
01 生物多様性の重要性
02 生物多様性の危機
03 生物多様性に対する国際的な取組み
04 生物多様性の主流化
05 生物多様性保全の施策
06 自然共生社会に向けた取組み
3-4 地球環境問題
01 オゾン層保護に関する問題
02 水資源や海洋環境に関する問題
03 酸性雨などの長距離越境移動大気汚染問題
04 急速に進む森林破壊
05 土壌・土地の劣化、砂漠化とその対策
3-5 循環型社会
01 循環型社会をめざして
02 廃棄物処理にまつわる国際的な問題
03 廃棄物処理にまつわる国内の問題
04 そのほかの廃棄物の問題
05 リサイクル制度
3-6 地域環境問題
01 地域環境問題
02 大気汚染の原因とメカニズム
03 大気環境保全の施策
04 水質汚濁の原因とメカニズム
05 水環境保全に関する施策
06 土壌環境・地盤環境
07 騒音・振動・悪臭
08 都市化と環境問題
09 交通と環境問題
10 ヒートアイランド現象
3-7 化学物質
01 化学物質のリスクとリスク評価
02 化学物質のリスク管理・コミュニケーション
3-8 震災関連・放射性物質
01 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故
02 放射性物質による環境汚染への対処
03 災害廃棄物と放射性物質により汚染された廃棄物の処理
04 放射性廃棄物について
〈核燃料サイクルと使用済み核燃料について〉
第4章 持続可能な社会に向けたアプローチ
01 「持続可能な日本社会」の実現に向けた行動計画
02 環境保全の取組みにおける基本とすべき原則
03 環境政策の計画と指標
04 環境保全のためのさまざまな手法
05 環境教育・環境学習
06 環境アセスメント制度(環境影響評価)
07 国際社会の中の日本の役割
〈持続可能性を測るさまざまな指標〉
第5章 各主体の役割・活動
5-1 各主体の役割・活動
01 各主体の役割・分担と参加
02 企業、市民、NPO、行政の協働
5-2 パブリックセクター(国際機関、政府、自治体など)
01 国際社会の取組み
02 国による取組み
03 地方自治体による取組み
5-3 企業の環境への取組み
01 企業の社会的責任(CSR)
02 環境マネジメントシステム(EMS)
03 環境コミュニケーションとそのツール
04 製品の環境配慮
05 企業の環境活動
06 第一次産業と環境活動
07 働き方改革と環境改善
5-4 個人の行動
01 環境問題と市民のかかわり
02 ライフスタイルと環境
03 消費者/生活者としての市民
04 地域住民としての市民
05 有権者、納税者としての市民参加
5-5 NPO、主体を超えた連携
01 NPOの役割
02 ソーシャルビジネス
03 各主体の連携による地域協働の取組み
〈東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会とSDGs〉
第6章 エコピープルへのメッセージ
01 広範な知識と経験の充実
02 目指すべき社会
03 地球人としての責任、将来世代への責任
「エコピープル=eco検定合格者」になったら
地球環境条約一覧
環境に関連する主な法律一覧表
日本及び国際社会における環境を巡る動き
SDGs対応 索引
索引
環境社会検定試験(eco検定)とは
社会と環境を考える“人”のために
環境に関する技術やモノづくりは日々研究が進み、環境問題解決のための制度やシステムの構築なども着々と進められています。しかし、それらを動かし、活かすのはまさに“人”です。
環境社会検定試験® (eco検定)は、環境に関する幅広い知識 を礎とし、環境問題に積極的に取り組む「人づくり」と、環境と経済を両立させた「持続可能な社会づくり」をめざしています。
試験要項
主催 | 東京商工会議所・施行商工会議所 |
受験資格 | 学歴・年齢・性別・国籍を問わず、どなたでも受験できます。 |
出題範囲 | 公式テキストの知識と、それを理解した上での応用力を問います。出題範囲は、基本的に公式テキストに準じますが、最近の時事問題についても出題します。 |
出題形式 | マークシート方式による選択問題 |
制限時間 | 2時間 |
合否の基準 | 100点満点とし、70点以上をもって合格とします。 |
受験料 | 詳細は下記ホームページ、またはお電話にてご確認ください。 |
試験会場 | 全国の主要都市で実施します。 |
試験日 | 毎年、7月・12月の年2回実施 |
お問合わせ先 | 東京商工会議所 検定センター TEL:03-3989-0777(土日・祝日・年末年始を除く 10:00〜18:00) ホームページ:https://www.kentei.org/eco/ ※試験日や試験のお申込み手続きなどについては、上記ホームページにてご確認ください。 |
合格証(カード)見本
eco-MASTER GRAND PRIXのご案内
環境社会検定試験® (eco検定)の受験者3人1 組でチームを作り、チームの合計点数を競って いただく、「eco-MASTER GRAND PRIX」を 7月試験で開催しています。栄えある最高得点 を獲得したチームには「ベストeco-MASTER チーム」の称号が与えられます。
エントリーなどに関する詳細は、上記ホームページにてご確認ください。