スペイン語検定対策3級問題集《CD付》
本書の構成と使い方
本書は、日本スペイン協会西検委員会発行『スペイン語技能検定問題集』に基づき執筆した3級対策問題集です。過去に出題された問題とその類題、そして過去の出題傾向を踏まえ、独自に作成した練習問題と模擬試験を掲載しています。
本書の構成は、第1章「中級文法」、第2章「西文和訳」、第3章「和文西訳」、第4章「会話」(CD付き)、および模擬試験からなります。巻末の単語集は、過去に出題された語彙、および本書で使用した語彙のなかから、難易度の高い語彙をまとめたものです。
西検は、4級と3級の難易度の差が大きいため、両級のつなぎ役として第1章を置きました。第2章から第4章の問題をみて、「まだ難しい」と感じましたら、まずは第1章から取り組んでください。あるいは、学習段階や強化したい分野に合わせ、どの章、どのパートから着手しても結構です。模擬試験は、受験勉強の途中経過または試験本番前、力試しに解いてみてください。
過去問には、過去問8Aのようなマークが付いています。これは前述の問題集「8」の3級試験問題「A」から引用したことを示します。同様に、類題には類問8Aのように付してあります。
3級で扱われるテーマは、新聞記事、エッセー、文学など、無限といえるほど幅広い内容ですので、4級までの基本文法に加え、長文に用いられる接続詞、使役構文や知覚構文などの種々の構文知識、そして、豊富な語彙力が求められます。本書での学習を通じて、問題の形式と傾向に慣れ、3級相当の読解力と作文力を習得した後も、それにとどまらず、日々スペイン語の新聞や文学に接しながら、教養語・文語を中心に語彙力を高めていくことが肝要です。
最後に、過去問の使用を御快諾下さった日本スペイン協会西検委員会、および、本書の出版に際してご尽力頂いた白水社編集部の鈴木裕子氏に深く感謝の意を表します。
2011年6月 青砥清一
スペイン語技能検定の概要
試驗時期 | 春季:6月(一次)、7月(二次) |
秋季:10月(一次)、12 月(二次) | |
※6~4級は一次のみ | |
試験内容と時間 | 6級:筆記のみ(60分) |
5・4級:筆記と5分程度の聞き取り(60分) | |
3~1級:一次・筆記(90分)、二次・面接 | |
※3~1級の一次試験合格者は、1回に限り1年間一次試験の免除を受けられる。 | |
檢定基準 | 6級:基礎的な短い文章の読み書きができ、直説法現在終了。 |
5級:平易な文章の読み書きができ初級文法(直説法)終了。 | |
4級:簡単な日常会話ができ、文法を一通り終了。 | |
3級:新聞などが理解でき、一般ガイドに不自由しない。 | |
2級:ラジオ、テレビが理解でき、一般通訳ができる。 | |
1級:会議通訳、文学翻訳、専門ガイドができる。 | |
合格基準 | 70%以上の正解率 |
※日本スペイン協会によると西検6級は英検4級、3級は同準1 級にほぼ相当する。 | |
併願 | 連続した2つの級を受験できる。つまり3級受験者は2級または 4級と併願可能。 |
※上記の情報は2011年6月現在のものです。
◆問合せ先
公益財団法人 日本スペイン協会 西検事務局
〒108-0014 東京都港区芝4丁目5-18
TEL 03-6809-5836
ウェブサイト http://www.casa-esp.com/
目次
本書の構成と使い方
スペイン語技能検定の概要
目次
第1章 中級文法
1.「〜になる」を意味する再帰動詞
2. 理由を表す接続詞
3. 受身文
4. 複合動詞
5. 分詞構文
6. 使役構文
7. 知覚構文
8. 接続詞
第2章 西文和訳
1. 社会
2. 政治
3. 経済
4. 小説
5. エッセー
6. 地理·歷史
7. 環境問題
第3章 和文西訳
1. 天候
2. 芸術
3. 健康
4. 高齡化社会
5. ことわざ ·格言
6. 自然災害
7. 人生
8. 記念日
9. 地理・環境
10. 経済
11. 報道
第4章 会話(二次試驗)
1. 日常生活・健康
2. 余暇
3. 趣味・趣向
4. 意見
5. 日本の文化・事情
6. 旅行・觀光
7. 仕事・学業
スペイン語技能検定3級一次模擬試験
解答集
単語集
第1章 中級文法
傾向と対策
4級と3級と間の難易度の差は、語彙面のみならず、文法面でもみられます。本章では、3級の過去問題を解く前の準備段階として、過去に出題された問題の傾向から解答に必要になると思われる文法項目について取り上げます。
1.「~になる」を意味する再帰動詞
スペイン語には「~になる」という変化を表す再帰動詞がいくつかあります。それぞれに使う場面が異なります。
1) ponerse
体や心の状態の変化を表します。瞬間的・一時的な状態の変化です。
José se puso pálido del susto.
ホセは驚いて顔が青ざめた。
María se ha puesto enferma esta semana.
マリアは今週病気になった。
2) hacerse
思想、宗教、職業上の変化を表します。とくに主語の意志や主体性が感じられます。
No quiero hacerme mayor.
私は大人になりたくない。
Sus padres eran judíos de nacionalidad polaca, pero ella se hizo católica.
彼女の両親はポーランド国籍のユダヤ教徒だったが、彼女はカトリック教徒になった。
3) quedarse
原因や理由などのプロセスをともなう変化を表します。
Cuando me dieron la noticia, me quedé muy tranquilo.
その知らせを受けたとき、私はとても安心した。
Carmen se quedó viuda porque asesinaron a su marido.
カルメンは夫が暗殺されたため未亡人になった。
4) volverse
以前と比べた質的な変化を表します。
Mi esposo antes era simpático, pero al casarse se ha vuelto antipático.
私の夫は昔は感じがよかったが、結婚したら感じが悪くなった。
Tenía un perro que de viejo se volvió muy miedoso.
私は年老いてとても怖がりになった犬を飼っていた。
5) convertirse en
急激で根本的な変化を表します。前置詞 en を伴うことに注意しましょう。
La esperanza se convirtió en la desesperanza de repente.
希望が突然絶望になった。
María y Carlos se convertirán en padres muy pronto.
マリアとカルロスはもう間もなく親になるだろう。
6) llegar a ser
段階的に良い方向へと進んだ結果としての変化を表します。「ついに…になる」 「…になるに至る」といった意味合いがあります。
Jorge comenzó a trabajar de botones y llegó a ser gerente general del hotel.
ホルヘはベルボーイから働き始め、ホテルの総支配人になった。
Cuanto más dinero ganes más rápido llegarás a ser rico.
お金をどんどん稼げば稼ぐだけ君はすぐにお金持ちになるだろう。
練習 1-1 日本語に訳しなさい。 (解答:116ページ)
1) La madre les dijo a sus niños que se quedaran callados.
2) Eso hace que el corazón se me acelere y me ponga roja.
3) Los jóvenes emprendedores nos cuentan cómo llegaron a ser empresarios.
4) China se convirtió en el primer acreedor de Venezuela.
5) Su sueño era hacerse abogado, pero pensó que no podría porque las matrículas del curso eran muy limitadas.
語句
1) callado「静かな、無口な、無言の」
2) hacer (que + 接続法)「~ (hacer の主語) が… (que 以下)にさせる、~のせい(おかげ)で…になる」 acelerarse「急ぐ、早められる、速くなる」 (※ me は間接目的格人称代名詞で、心臓の鼓動が速くなった本人を指します)
3) emprendedor「起業家、企業家、事業主」 empresario「企業主、雇用者」
4) acreedor「債権者・国」(《反意語》deudor「債務者・国」)
5) matricula 「登録簿、登録者数、入学者数、学生数」
練習 1-2 ( )内の動詞を用いてスペイン語に訳しなさい。 (解答:116 ページ)
1) 私の友人はあの交通事故の結果、障碍者になった。(quedarse)
2) 君は私の人生にとってもう欠かせなくなっている。(volverse)
3) この企業は、収益世界一の携帯電話メーカーになる。(convertirse en)
4) ホセと私は今月ゴルフクラブの会員になった。(hacerse)
5) 病気のせいで、私の息子はついに医者にはなれなかった。(llegar a ser)
語句
1) …の結果 a consecuencia de…, como resultado de… 障碍者 discapacitado
2) …にとって欠かせない indispensable para…
3) 収益 beneficio(s), ganancia(s) 携帯電話 (teléfono) móvil, celular(中南米)
メーカー fabricante
4) 会員 socio
5) – O+vit por…, debido a…, a causa de…
2.理由を表す接続詞
理由を表す節と句は、porque, como, que, ya que, puestoqueなどの接続詞、ならびに por, a causa de などの前置詞句をとります。通常、節の中の動詞は直説法です。
Ayer Maria no vino a clase porque estaba enferma.
昨日マリアは病気だったので授業に来なかった。