働き方検定 労働法務士認定試験実物形式問題集〈Vol.1〉
【働き方検定】労働法務士認定試驗実物形式問題集 Vol.1
目次
問題
解答・解説
問題
労働法務士認定試験
問題数60問
制限時間150分
《注意事項》
1.合図があるまで、問題用紙を開かないで下さい。
2.試験委員の指示をよく聞いて下さい。
3.受験票、筆記用具以外のものは、机の上に出さないで下さい。
4.解答用紙はマークシートです。下記の記入にあたっての注意をよくお読み下さい。
マークシートの記入にあたっての注意
・HBまたはBの黒の鉛筆、シャープペンシルを使用して下さい。
・用紙の折り曲げは厳禁です。
・訂正の場合は消しゴムできれいに消し、消しクズなどが残らないようにして下さい。
・枠内からはみ出さないようにして下さい。
・氏名・会場名等、必要事項をご記入下さい。
・受験番号につきましては、番号を記入しマーク欄も必ずマークして下さい。
・受験番号欄でのマークミスは採点対象外(失格)となりますので特にご注意下さい。
本試験中で略記した法令名は下記の通り。
育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)
技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)
高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)
障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)
男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)
パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
労働保険料徴収法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律)
労働法務士認定試験問題
問題1:日本における労働法の沿革に関する以下のアからオまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.第2次世界大戦前の日本には、労働者保護のための法律として工場法が存在していたが、成年男子労働者を含む一般的な労働者保護立法は制定されていなかった。
イ.第2次世界大戦後の日本では、日本社会の民主化という当時の占領政策を反映して、公務員を含む労働者の団結権や争議権について規定した旧労働組合法が制定された。
ウ.第2次世界大戦後の日本では、労働条件保護に関して、原則として、すべての労働者に適用される労働基準法が制定されるとともに、同法が定める災害補償責任を保険制度によりカバーするための労働者災害補償保険法が制定された。
エ.1960~70年代の日本では、高度経済成長期を背景とする労働力不足における女性の職場進出、雇用形態の多様化など労働環境の変化に対応するため、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法の立法化などがなされた。
オ.2000年代に入り日本では、雇用失業情勢の悪化、非正規労働者の増加、若年者の就職難のなかで、労働市場における社会的弱者の保護を求める声が高まり、パートタイム労働法改正、労働契約法制定、労働基準法改正などがなされた。
問題2:憲法上の勤労の権利に関する以下のアからオまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.国の最高法規である憲法は、労働法の基本的な原則及び権利を明文で定めている。
イ.憲法27条・28条の規定は、同25条の規定と同様に、勤労者の生存権確保のための国の積極的政策義務、及びそのような施策を実現するための立法を授権する効果を有していると考えられる。
ウ.勤労の権利は、国に対して、労働者が自己の能力と適正を生かした労働の機会を得られるように労働市場の体制を整える義務を課すものであるが、そのような労働の機会を与えられない労働者に対し生活を保障する義務まで課すものではない。
エ.勤労の権利は、国の積極的政策義務に明白に反する国の立法・行政行為を違憲・無効する効果をも包含していると解される。
オ.労働関係における人種、信条、性別、社会的身分または門地による差別の禁止や規制については、「法の下の平等」が基本理念となり、また企業が労働者の服装・身だしなみ、プライバシーなどを服務規律や業務命令によってどの程度の規制ができるかについては、「人格の自由」が考慮される。
問題3:労働契約法・労働基準法における「労働者」及び「使用者」に関する以下のアからオまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.労働契約法は、その適用対象である「労働者」を「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義している。
イ.大学教授の私設秘書であっても、大学教授に使用されて労働し、賃金を支払われている場合には、労働基準法の「労働者」に当たる。
ウ.一級建築士が特定の事業主のためにその事業組織に組み込まれ、使用者の指揮命令の下に労務を提供し報酬を得ている場合であっても、一級建築士は高度の専門的能力、資格・知識を持っていることから、労働契約法上の「労働者」に当たらない。
エ.研修医が医療行為に従事する場合、その行為は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することになるから、病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができない場合であっても、当該研修医は労働基準法上の「労働者」に当たるとするのが判例である。
オ.労働基準法は、その適用対象である「使用者」を「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」と定義しているから、「使用者」に事業主以外の者も含まれる。
問題4:就業規則の作成・変更における労働基準法の規制に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
イ.「常時10人以上の労働者を使用する」とは、常に10人以上の労働者を使用することをいい、一時的でも10人未満になる場合は、「常時10人以上の労働者を使用する」に当たらない。
ウ.就業規則の作成・変更について、使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合、すべての労働者の意見を聴かなければならない。
エ.使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させる義務を負うが、常時10人未満の労働者を使用する使用者には、就業規則の周知義務はない。
問題5:以下のアからオまでの記述のうち、労働基準法における就業規則の絶対的必要記載事項として誤っているものを1つ選びなさい。
ア.始業および終業の時刻
イ.休日・休暇
ウ.賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法
エ.解雇に関する事項
オ.退職手当の決定、計算及び支払いの方法
問題6:労働契約の権利義務の体系について、次のaからeまでの記述のうち、正しいものの組合せを以下のアからオまでのうち1つ選びなさい。
a.使用者は、労務の指揮それ自体にとどまらず、業務の遂行全般について労働者に対し必要な指示・命令を発し、この業務命令が就業規則に規定がなかったとしても、労働者は、その命令に従う義務を有する。
b.人事権は、法律で定義されている権限ではないが、使用者は、労働契約に基づき、人事権を有していると解されている。
c.労働者は、労働契約の終了後も、使用者の利益を損なう可能性があるため、一般的には、労働契約の存続中と同様に競業避止義務を負う。
d.裁判例によると、労働者は、労働契約の終了後は、就業規則の具体的な規定や個別的な特約によって一定の営業秘密の保持が約定されていると認められていても、秘密保持義務までは負わない。
e.労働者が労働義務または付随的義務に違反して使用者に損害を与えた場合、債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。
ア.aとd
イ.bとe
ウ.bとc
エ.aとe-
オ.eとe
問題7:平均賃金に関する以下のアからオまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.平均賃金は、解雇の場合の予告手当や労働災害の場合の補償など、労働基準法上の金銭給付を計算する際に用いられる。
イ.賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合、平均賃金は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の80%を下ってはならない。
ウ.平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
エ.平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3か月間に、育児介護休業法による休業をした期間がある場合、その日数及びその期間中の賃金は、平均賃金の計算の基礎となる期間及び賃金の総額から控除する。
オ.日々雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。
問題8:最低賃金法に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.使用者は、労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかった場合や、使用が正当な理由により労働者に所定労働時間若しくは所定労働日の労働をさせなかった場合でも、最低賃金を支払わなければならない。
イ.最低賃金法は、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図ることを目的とするが、最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約において、最低賃金額に達しない賃金を定めた場合には、合意が優先され、その部分については有効となる。
ウ.労働者は、事業場に最低賃金法またはこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
エ.賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、最低賃金は、あまねく全国一律に決定されなければならない。
問題9:採用の自由に関する以下のアからオまでの記述のうち、判例に照らし誤っているものを1つ選びなさい、
ア.労働基準法3条は、労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない。
イ.思想、信条を理由とする雇入れの拒否を直ちに民法上の不法行為とすることができないことは明らかであり、その他これを公序良俗違反と解すべき根拠はない。
ウ.企業者は、契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができる。
エ.企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査することは、当該労働者の思想、信条の自由に対して影響を与える可能性がないとはいえないが、法律に別段の定めがない限り、企業者の法的に許される行為と解される。
オ.企業者が、労働者の採否決定にあたり行った調査が、直接には当該労働者の過去の行動についてされたものであっても、その行動が労働者の思想、信条となんらかの関係があることを否定できないような性質のものである場合には、当該調査は違法となる。
問題10.休職に関する以下のアからオまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.労働者が業務上または業務外の傷病により休職した場合、その療養のために休職する期間に当該労働者を解雇することは、法律上禁止されている。
イ.傷病休職制度は、休職期間中に傷病が治癒すれば復職となり、治癒せずに休職期間が満了すれば自然退職または解雇となる制度であり、制度の目的は解雇猶予である。
ウ.傷病休職からの復職の要件となる治癒とは、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復したときをいい、従前の職務より軽減した業務でなければ職務を行えない程度しか回復していない場合には、復職を認めず解雇することは当然容認される。
エ.労働者が傷病休職する場合は、事故欠勤休職とは異なり、使用者は、休職期間中当該労働者に、その平均賃金の60%の賃金を支払わなければならない。
オ.傷病休職からの復職の要件である治癒にあたるか否かを判断するために使用者から医師の診断を指示された場合、医師の診断は極めてプライバシー性の高いものであるから、労働者がこれに応じる義務が認められる余地はない。
問題11:定年制に関する以下のアからオまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.定年制は、万働契約の終了を定める制度であることから、定年制を定める規定は有期労働契約の期間の定めについての規定である。
イ.定年制は、万働契約の終了を定める制度であることから、定年により労働者が退職する場合、解雇に関する規制の適用はない。
ウ.定年制は、年功による昇進秩序を最優先課題として創設された制度であり、従業員の雇用尊重については考慮されていない。
エ.早期退職優遇制度(選択定年制)は、早い退職金の支給による高年齢者の生活保護と会社の経済状態の改善、若年層の賃金底上げといった企業改善の機能を有しており、雇用調整的な性格を有するものではない。
オ.判例は、企業が合意解約による退職の制度を取っている場合、早期退職優遇制度の利用を呼び掛ける行為が合意退職の申込みの誘引に当たり、労働者の申込に対する使用者の合意が合意解約による退職の要件になるとしている。
問題12:解雇の予告義務に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.使用者が、労働者を解雇しようとする場合、予告の日数は、1日について平均賃金を支払ったときでも、短縮することができない。
イ.日々雇い入れられる者が1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合でも、使用者は、解雇予告なく当該労働者を解雇することができる。
ウ.使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となったときでも、解雇予告をしなければならない。
エ.解雇予告の期間を置かず予告手当の支払いもしないでした解雇の通知は、即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後30日の期間を経過するか、通知の後に予告手当を支払ったときは、解雇の効力が生じるとするのが判例である。
問題13:公益通報者保護法2条3項に定める通報対象事実に関する次の文章中の()に入る最も適切な語句の組合せを、以下のアからオまでのうち1つ選びなさい。
公益通報者保護法2条3項の「通報対象事実」とは、次の一または二のいずれかの事実をいうもの規定している。
一(a)の生命又は身体の保護、(b)の利益の擁護、環境の保全、(c)の確保その他の(d)の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるものに規定する(e)の事実
二別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実
別表(第2条関係)
一刑法(明治40年法律第45号)
二食品衛生法(昭和22年法律第233号)
三金融商品取引法(昭和23年法律第25号)
四農林物資の規格化等に関する法律(昭和25年法律第175号)
五大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)
六廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
七個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
八…略…
ア.a.個人b.消費者c.公正な競争d.国民e.罪の犯罪行為
イ.a.国民b.国家c.企業秩序d.個人e.罪の犯罪行為
ウ.a.個人b.国家c.企業秩序d.国民e.規律に反する行為
エ.a.国民b.消費者c.公正な競争d.個人e.規律に反する行為
オ.a.個人b.消費者c.企業秩序d.国民e.規律に反する行為
問題14:懲戒に関する以下のアからオまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.使用者は、広く企業秩序を維持し、もって企業の円滑な運営を図るために、その雇用する労働者の企業秩序違反行為を理由として、当該労働者に対し、一種の制裁罰である懲戒を課することができるとするのが判例である。
イ.使用者が、懲戒当時に認識していなかった非違行為を理由に労働者を懲戒した場合であっても、懲戒事由があるときには、当該懲戒は有効であるとするのが判例である。
ウ.経歴の詐称を理由とする懲戒解雇につき、他の情状をあわせて考慮し、懲戒解雇事由として相当であると認められた場合は、使用者の懲戒権濫用に当たらないとするのが判例である。
エ.使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要し、法的規範として労働者に拘束力を認めるためには周知の手続を採る必要があるとするのが判例である。
オ.セクハラが就業規則の規定に違反し懲戒処分の対象となる旨が定められている場合、セクハラの防止のために部下職員を指導すべき立場にあったにもかかわらず、派遣労働者等の立場にある女性従業員らに対し、職場内において1年余にわたり多数回のセクハラ行為を繰り返した者に対する徴戒について、有効とするのが判例である。
問題15:労働基準法における賃金の支払いについての諸原則に関する以下のアからオまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.賃金は、労働者に、その全額を支払わなければならないが、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合、その労働組合との書面による協定があるときは、賃金の一部を控除して支払うことができる。
イ.賃金は、直接労働者に支払うことが原則であるが、労働者が未成年者である場合には、賃金は、その親権者又は法定代理人に支払われなければならない。
ウ.労働者が、賃金を自身の損害賠償債務の支払いのために第三者に譲渡し、その旨が使用者に通知された場合には、使用者は第三者にその賃金を支払うことができる。
エ.賃金は、通貨で、支払わなければならず、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合であっても、週貨以外のもので支払うことは許されない。
オ.賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないが、「毎月第4金曜日」という支払日の定め方は、一定の期日を定めての支払いとなるから許される。
問題16:労働基準法の休憩時間の原則に関する以下のアからオまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.使用者は、労働時間が8時間の場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないから、16時間隔日勤務の場合、法律上2時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
イ.休憩時間は、労働時間の途中に与えなければならず、途中のどの段階でもよいが、休憩時間を分割して与えることは許されない。
ウ.使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならないから、休憩時間中の外出も自由であり、外出の許可制は違法であるとするのが行政解釈である。
エ.就業規則に事業場内での政治活動の禁止やビラ配布・署名活動の許可制を定める規定がある場合であっても、休憩時間は自由に利用できるから、それらの規定の適用はないとするのが判例である。
オ.使用者が労働者に対し休憩時間を与える義務を履行しなかった場合には、債務不履行となり、使用者は、労働者が休憩をしなかったことによる肉体的精神的苦痛の損害を賠償する責任を負うとするのが判例である。
問題17:36協定による時間外・休日労働に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合との書面による協定をした場合には、これを行政官庁に届け出なくても、労働時間を延長し、または休日に労働させることができる。
イ.労働基進法36条1項の協定においては、業務の種類、労働者の数並びに1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日について、定めなければならないが、時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由を定める必要はない。
ウ.厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、労使協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、基準を定めることができる。
エ.労働基準法36条の協定の締結・届出は、使用者に対し法定労働時間と週休制の違反を免れさせる効力を有し、かつ個々の労働者に対し協定上定められた時間外・休日労働を義務付ける効力を有する。
問題18:事業場外労働のみなし制及び裁量労働制に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものみつーしたものを1つ選びなさい。
ア.労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合、労働時間を算定し難いときは、当該業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要であっても、所定労働時間のみ労働したものとみなされる。
イ.労働時間の算定し難いときに当たるか否かについては、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、本体会社と労働者との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮して判断するとするのが判例である。
ウ.使用者が、専門業務型裁量労働制の対象業務に労働者を就かせる場合、事業場の過半数代表と労使協定を締結したときは、定められた事項を行政官庁に届けなくても、労使協定で定められた時間だけ労働したとものとみなされる。
エ.使用者が、企画業務型裁量労働制の対象業務に労働者を就かせる場合、事業場の過半数代表と労使協定を締結したときは、定められた時間だけ労働したものとみなされる。
問題19:労働基準法の1年単位の変形労働時間制に関する以下のアからオまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.1年単位の変形労働時間制を採用するには、事業場の労使協定によって、1か月を超え1年を超えない対象期間を定めなければならないが、対象となる労働者の範囲を定める必要はない。
イ.1年単位の変形労働時間制を採用する場合、常時10人以上を使用する使用者は、事業場の労使協定が定められることから、就業規則に各労働日の始業・終業の時刻を定める必要はない。
ウ.労使協定の締結・届出がされた場合、1年単位の変形労働時間制は労働基準法上適法となり、各労働者の労働契約上も労使協定に定められた義務が生じる。
エ.1年単位の変形労働時間制を採用する場合、必ず労使協定が定められているのであるから、対象期間を平均して1週間当たりの所定労働時間が40時間を超えることも許される。
オ.厚生労働大臣は、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに1日及び1週間の所定労働時間の限度並びに対象期間及び協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。
問題20:労働基準法の労働時間等の原則の適用除外に関する以下のアからオまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.万働基準法の方働時間に関する規制が適用されない機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務か経営者又は監督もしくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者をいう。
イ.農業、畜産、水産業の事業に従事する者には、労働基準法の労働時間、休憩、休日、深夜業に関する規制は、適用されない。
ウ.自己を含む科理人の勤務割を決定していたホテルの料理長に対しては、出退勤の自由がなく、労務管理上の権限が不十分である場合でも、労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する規制は、適用されない。
エ.断続的労働に従事する者は、使用者が行政官庁の許可を受けたか否かに関わらず、労働基準法の労働時間に関する規制は、適用されない。
オ.行政官庁の許可を得ないで監視業務に従事させ8時間を超えて労働させた場合、使用者は法定方働時間違反の責任を負うが、労働者に対する時間外労働の割増手当の支払義務は負わない。
問題21:介護休業に関する以下のアからエまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.育児介護休業法2条3号に定める要介護状態とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。
イ.育児介護休業法2条4号に定める介護休業の対象家族には、配偶者、父母及び子並びに配偶者の父母のほか、祖父母、兄弟姉妹及び孫も含まれるが、いずれも同居または扶養している者に限られない。
ウ.期間を定めて雇用される者は、当該事業主に引き続き1年以上雇用されており、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約が満了しないことが明らかでなければ、介護休業の申出をすることができない。
エ.同一対象家族について介護休業をしたことがある労働者であっても、当該対象家族について介護休業日数が通算して93日に達するまでは、当該対象家族について回数にかかわらず介護休業の申出をすることができる。
問題30:次の文章は、打切補償と解雇制限について述べたものである。()に入る最も適切な語句の組合せを、以下のアからオまでのうち1つ選びなさい。
労働基準法は、労働者が業務上の負傷や疾病による療養のために休業する期間及びその後(a)日回の解雇を禁止している。もっとも、この解雇制限は、労働者が療春開始後3年を経過しても傷病が治らない場合に、使用者が平均賃金の(b)日分の打切補償の支払いをすることで解除される。
打切補償と解雇制限の解除は、労働基準法の療養補償が行われる場合だけでなく、労働者災害補償保険法の療養補償給付が行われる場合にも適用されるかどうかについて、判例は労働者災害補償保険法を受ける方働者が、療養開始後3年を経過しても疾病等が治らない場合には、使用者は、当該労働者につき、労働基準法の規定による打切補償の支払いをすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法の規定の適用を(c)と判示している。
ア.a.30b.900c.受けることができる
イ.a.60b.900c.受けることができる
ウ.a.30b.1200c.受けることができる
エ.a.60b.1200c.受けることはできない
オ.a.30b.1500c.受けることはできない
問題31:業務災害の認定に関する以下のアからオまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.判例によれば、出張中の宿泊先で夕食中に飲酒した後、階段から転落し、死亡した事故は、業務災害として認められない。
イ.判例によれば、事業所内のグラウンドで休憩時間中に参加強制のないスポーツ大会に参加して負傷した事故は、業務災害として認められない。
ウ.判例によれば、大工が元同僚と仕事上のことから争いを起こし、建築現場付近の県道上で頭部を殴打され、それがもとで死亡した事故は、業務災害として認められない。
エ.判例によれば、出張先の現場での同僚の送別会に出席し、飲酒して宿舎に帰った後、近くの川で溺死した事故は、業務災害として認められない。
オ.判例によれば、強盗が多発している外国の都市に出張中、宿泊先のホテルの自室で強盗犯人に襲われ死亡した事故は、業務災害として認められる。
問題32:「通勤災害」の要件に関する以下のアからオまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.「通勤による」とは、経験則上通勤と相当因果関係にあること、すなわち、通勤に通常伴う危険の具体化とみなされることをいう。例えば、通勤途中に第三者に殺害されたが、通勤がたまたま犯行の機会として選ばれたにすぎないときは、これに該当しない。
イ.「就業に関し」とは、「業務に就くため、又は業務を終えたため」の意であり、移動行為と業務との密接な関連を要求する趣旨である。例えば、労働者が組合活動やサークル活動のため居残った後の帰路は、時間の長短を問わず、これに該当しない。
ウ.「住居」とは、労働者の就業の拠点となる居住場所である。例えば、早出や長時間残業の際の宿泊場所として生活の本拠以外に有しているアパートは、これに該当する。
エ.「就業の場所」とは、業務を開始し、又は終了する場所をいう。例えば、物品を得意先に届けてそこから直接帰宅する場合の物品の届け先は、これに該当する。
オ.「合理的な経路及び方法」とは、通勤の移動を行う場合、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び手段をいう。例えば、通常用いている経路・手段の合理的な代替経路・手段は、これに該当する。
問題33:療養補償給付及び休業補償給付に関する以下のアからオまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.療養補償給付の内容には、居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護が含まれる。
イ.療養補償給付は、療養の給付が原則であるが、政府は、療養の給付をすることが困難な場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。
ウ.休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の翌日から支給される。
エ.休業補償給付の額は、1日につき給付基礎日額の60%に相当する額である。
オ.休業補償給付は、毎月勤労統計における平均給上昇又は低下に応じて休業給付基礎日額の改定が行われる。
問題34:労働審判手続に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.労働審判手続は、労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争及び労働組合と使用者間の団体的労使関係上の紛争を対象とする。
イ.労働審判委員会は、速やかに、当事者の陳述を聴いて争点及び証拠の整理をしなければならないが、労働審判手続においては、審理を終結するまでの期日の回数に制限は設けられていない。
ウ.労働審判手続においては、紛争について当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判を行うが、調停の成立による解決の見込みがある場合にも、調停による和解を試みることはない。
エ.当事者は、労働審判に対し、労働審判の告知を受けた日から2週間以内に、裁判所に異議の申立てをすることができ、適法な異議の申立てがあったときは、労働審判は、その効力を失う。
問題35:労働保険料徴収法における継続事業についての労働保険料の納付と手続に関する以下のアからエまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.事業主(保険年度の中途に労働保険の保険関係が成立した場合を除く)は、保険年度ごとに、所定の保険料を、その労働保険料の額等を記載した申告書に添えて、その保険年度の6月1日から40日以内に概算保険料を納付しなければならない。
イ.事業王は、網付した概算保険料の額が確定保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した概算保険料がないときは確定保険料を、確定保険料申告書に添えて、納付しなければならない。
ウ.所轄都道府県労働局歳入徴収官は、事業主が確定保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。
エ.既に納付した概月保険料の額が申告した確定保険料の額を超える場合において、事業主が充当の申出を行うことにより、次の保険年度の概算保険料又は未納の労働保険料、その他徴収法の規定による収当され、充当の申出を行わない場合は超過額が還付される。
問題36:労働基準法の不当な人身拘束の防止に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.中途採用された従業員に対して雇用契約の締結の際に支給され、1年以内に自発的に退職した場合には全額返還するものとされている、いわゆるサイニングボーナスについて、その性質、態様、報酬約定の内容に照らし、その返還規定は労働基準法16条に反しないとするのが判例である。
イ.退職後同業他社へ転職するときは退職金の2分の1を減額する旨の約定は、それが退職後のある程度の期間における転職制限であっても、違法な損害賠償の予定として労働基準法16条に反するとするのが判例である。
ウ.使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならず、労働者の委託を受けた場合であっても、貯蓄金を管理することはできない。
エ.使用者が、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制した場合には罰則が適用される。
問題37:労働基準法上の人権擁護規定に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.労働者が事業場内では政治活動をしないとの特約を結んで雇用されたにもかかわらず、この特約に違反した場合、使用者の特約違反を理由とした解雇を有効とするのが判例である。
イ.労働基準法3条は、使用者は、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない、と規定している。
ウ.使用者が、労働者の信条を理由として解雇した場合は、労働基準法第3条の違反になり、罰則の対象となるが、使用者がなした解雇の命令は有効である。
エ.労働者に対する使用者の取扱いが、労働条件に関する不利益取扱いではなく労働基準法3条違反ではない場合、当然に不法行為に基づく損害賠償責任も発生しない。
問題38:職場におけるセクシュアルハラスメントに関する以下のアから才までの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.職場におけるセクシュアルハラスメントには「対価型」と「環境型」があるが、このうち、事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇することは、環境型セクシュアルハラスメントである。
イ.職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置が、厚生労働大臣の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(セクハラ指針)」により定められている。
ウ.セクシュアルハラスメントが問題となる「職場」は、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指すが、労働者が通常就業している場所以外の場所におけるセクシュアルハラスメントであっても、「職場」におけるセクシュアルハラスメントとなる場合がある。
エ.職場におけるセクシュアルハラスメントが問題となる場合の「労働者」とは、事業主が雇用する労働者のすべてをいい、いわゆる非正規労働者も含む。
オ.使用者は、労働者の安全に配慮する義務や労働者が働きやすい職場環境を保つように配慮すべき義務を負っているから、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止しなかった場合には、債務不履行責任を問われる。
問題39:パートタイム労働法に関する以下のアからエまでの記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
ア.「パート社員」と称されていても、週の所定労働時間が通常の労働者と同じである者は、パートタイム労働法の適用対象となる「短時間労働者」には含まれない。
イ.事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、短時間労働者に対し、通常の労働者の募集を行う場合の募集事項の周知、通常の労働者の配置を新たに行う場合の応募の機会の付与、通常の労働者への転換のための試験制度を設けること、その他転換を推進するための措置のいずれかの措置を講じなければならない。
ウ.事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間労働者に対しても、これを実施する義務を負う。
エ.短時間労働者を常時5人以上雇い入れた事業主は、短時間雇用管理者を選任しなければならない。
問題40:有期労働契約から無期労働契約への転換申込権の要件と行使に関する以下のアからエまでの記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
ア.労働契約法18条1項により、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える労働者は、その一方的意思表示により無期労働契約への転換を成就する転換申込権を有している。
イ.同一事業主の複数の異なる事業場において有期労働契約を順次締結してきた場合、契約期間を通算して5年を超えている場合であっても、事業場が異なっていることから無期労働契約への転換申込権は発生しない。
ウ.有期労働契約者の無期転換申込権は、合理的な理由があってそれが本人の真意に出ていると認められる場合であっても、放棄することはできない。
エ.有期労働契約の無期転換について、就業規則上の整備が何もされていない場合であっても、無期転換後の労働条件は、期間の定めがないものとなり、有期労働契約中の労働条件はそのまま承継されない。