民法判例百選II 債権 第8版 (別冊ジュリスト238号)
目次
はしがき
債権
I債権の目的
1種類債権の特定——制限種類債権の場合(最三小判昭和30・10・18潮見佳男
II債権の効力
2公務員に対する国の安全配慮義務(最三小判昭和50・2・25)吉政知広
3契約交渉破棄における責任(最三小判昭和59・9・18)池田清治
4契約締結にかかる説明義務違反(最二小判平成23・4・22)角田美穂子
5履行補助者の行為についての債務者の責任(大判昭和4・3・30)荻野奈緒
6賃貸人修繕義務不履行と賃借人の損害回避減少措置(最二小判平成21・1・19)田中洋
7民法416条2項の予見時期(大判大正7・8・27)難波譲治
8契約解除した場合の損害額算定時期(最二小判昭和28・12・18)坂口甲
9履行不能の場合の損害額算定時期(最一小判昭和47・4・20)久保宏之
10代償請求権(最二小判昭和41・12・23)田中宏治
Ⅲ責任財産の保全
11金銭債権について債権者代位権を行使できる範囲(最三小判昭和44・6・24)三枝健治12金銭債権を保全する債権者代位権と債務者の無資力要件(最一小判昭和50・3・6)工藤祐巌
13被害者による保険金請求権の代位行使(最三小判昭和49・11・29)小至庸平
14詐害行為取消権の性質(大連判明治44・3・24)沖野眞已
15特定物債権と詐害行為取消権(最大判昭和36・7・19)森田修
16特定物債権者の詐害行為取消しと自己に対する所有権移転登記請求(最一小判昭和53・10・5)早川眞一郎
17債権譲渡通知と詐害行為取消権(最二小判平成10・6・12)北居功
18詐害行為の一部取消しと価額償還(最三小判昭和63・7・19)片山直也
IV第三者との関係における債権の保護
19第三者の債権侵害と不法行為(大判大正4・3・10)新堂明子
V多数当事者の債権関係
20連帯債務者間の求償と通知(最二小判昭和57・12・17)平林美紀
21共同不法行為者の一人に対する債務免除の効力(最一小判平成10・9・10福田誠治
22解除による原状回復義務と保証人の責任(最大判昭和40・6・30) 杉本好央
23期間の定めのない継続的保証契約と保証人の解約権(最二小判昭和39・12・18) 平野裕之
24根保証における元本確定前の履行請求と随伴性(最二小判平成24・12・14) 齋藤由起
VI債権譲渡・債務引受
25譲渡禁止特約付債権の譲渡と債務者の事後承諾(最一小判平成9・6・5) 野澤正充
26将来発生する債権の譲渡(最三小判平成11・1・29) 下村信江
27債権譲渡における異議をとどめない承諾の効力(最二小判昭和42・10・27) 和田勝行
28債権譲渡と相殺(最一小判昭和50・12・8) 岩川隆嗣
29債権譲渡の対抗要件の構造(最一小判昭和49・3・7) 石田剛
30同順位の債権譲受人間における供託金還付請求権の帰属)(最三小判平成5・3・30) 藤井徳展
31重畳的債務引受(最三小判昭和41・12・20) 沖野眞已
VII債権の消滅
32建物賃借人の地代弁済と第三者弁済(最二小判昭和63・7・1)住田英穂
33指名債権の二重譲渡と民法478条(最二小判昭和61・4・11)本田純一
34預金担保貸付けと民法478条の類推適用(最一小判昭和59・2・23)野田和裕
35現金自動入出機による預金の払戻しと民法478条(最三小判平成15・4・8)河上正二
36弁済による代位(最三小判昭和59・5・29)森永淑子
37担保保存義務免除特約の効力(最二小判平成7・6・23)髙橋眞
38時効消滅した債権による相殺と相殺適状の要件(最一小判平成25・2・28)加毛明
39差押えと相殺(最大判昭和45・6・24)北居功
Ⅷ契約総則
40事情変更の原則の要件(最三小判平成9・7・1)小粥太郎
41契約上の地位の移転(最二小判昭和46・4・23)丸山絵美子
IX契約の解除
42付随的債務の不履行と解除(最三小判昭和36・11・21)渡辺達徳
43債務の不履行の軽微性と解除(最二小判昭和43・2・23)福本忍
44複合的契約における債務不履行と契約解除(最三小判平成8・11・12)鹿野菜穂子
45他人の権利の売買の解除と買主の使用利益の返還義務(最二小判昭和51・2・13)田中教雄
46約款一般の拘束力——約款による意思の推定(大判大正4・12・24)松田貴文
X契約各論
(1)贈与
47贈与と書面(最二小判昭和60・11・29)森山浩江
(2)売買
48手付の交付と履行に着手した当事者による解除(最大判昭和40・11・24)奥富晃
49買主が悪意の場合における他人の権利の売主の債務不履行責任(最一小判昭和41・9・8)高秀成
50売買後に規制された土壌汚染と契約不適合(最三小判平成22・6・1)桑岡和人
51買主による目的物の受領と契約不適合の担保責任(最二小判昭和36・12・15)吉政知広
52数量に関する契約不適合における損害賠償責任(最一小判昭和57・1・21)森田宏樹
53契約不適合の担保責任の期間制限と消滅時効(最三小判平成13・11・27)松井和彦
54建物の敷地の欠陥と敷地賃借権の契約不適合(最三小判平成3・4・2)中田邦博
55買主の引取義務(最一小判昭和46・12・16)平野裕之
(3)消費貸借
56制限超過利息を任意に支払った場合と貸金業法43条(最二小判平成18・1・13)小野秀誠
(4)賃貸借
57第三者による目的物の占有と妨害排除(最二小判昭和28・12・18)赤松秀岳
58他人名義の建物登記と借地権の対抗力(最大判昭和41・4・27)副田隆重
59賃貸人たる地位の主張(最三小判昭和49・3・19)岡本裕樹
60信頼関係破壊の法理(最二小判平成8・10・14)渡辺達徳
61正当事由と建物賃借人の事情(最一小判昭和58・1・20)武川幸嗣
62立退料の提供申出の時期(最三小判平成6・10・25)橋口祐介
63消費者契約である建物賃貸借契約における更新料条項の効力(最二小判平成23・7・15)大澤彩
64債務不履行による賃貸借契約の解除と承諾がある転貸借の帰趨(最三小判平成9・2・25)千葉恵美子
65賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との同時履行(最一小判昭和49・9・2)髙篤英弘
66土地賃借権の移転と敷金の承継(最二小判昭和53・12・22)小林和子
67サブリースと賃料減額請求(最三小判平成15・10・21)内田貴
(5)請負
68注文者の責めによる仕事の完成不能と請負人の報酬請求権・利得償還義務(最三小判昭和52・2・22)米倉暢大
69請負契約における所有権の帰属(最三小判平成5・10・19)曽野裕夫
70瑕疵修補に代わる損害賠償請求権と報酬請求権との同時履行(最三小判平成9・2・14)森田修
(6) 委任
71受任者の利益のためにも締結された委任と解除(最二小判昭和56・1・19)一木孝之
(7)寄託
72誤振込金の返還請求と預金債権(最二小判平成8・4・26)岩原紳作
73預金債権の帰属(最二小判平成15・2・21)加毛明
74預金口座の取引経過についての金融機関の開示義務(最一小判平成21・1・22)瀬戸口祐基
(8)組合・和解
75組合財産の帰属(大判昭和11・2・25)金子敬明
76和解と錯誤(最一小判昭和33・6・14)曽野裕夫
XI不当利得
77運用利益の返還義務(最三小判昭和38・12・24)大久保邦彦
78不当に利得した代替物を処分した場合の返還義務(最一小判平成19・3・8)原恵美
79転用物訴権(最三小判平成7・9・19)松岡久和
80騙取金銭による弁済と不当利得(最一小判昭和49・9・26)平田健治
81第三者に交付された貸付金の返還(最三小判平成10・5・26)藤原正則
82所有物返還請求権と民法708条(最大判昭和45・10・21)水津太郎
XII不法行為
83過失の意義 大阪アルカリ事件(大判大正5・12・22)山本周平
84医療機関に要求される医療水準の判断 姫路日赤未熟児網膜症事件(最二小判平成7・6・9)手嶋豊
85建物の設計・施工者の責任(最二小判平成19・7・6)窪田充見
86通常有すべき安全性 イレッサ薬害訴訟(最三小判平成25・4・12)橋本佳幸
87因果関係の立証 東大病院ルンバール事件(最二小判昭和50・10・24)米村滋人
88生存の相当程度の可能性(最二小判平成12・9・22)石橋秀起
89景観利益 国立マンション事件(最一小判平成18・3・30)秋山靖浩
90意見ないし論評の表明と名誉毀損(最三小判平成9・9・9)和田真一
91名誉毀損による損害(最三小判平成9・5・27)久保野恵美子
92未成年者の不法行為と監督義務者の責任 サッカーボール事件(最一小判平成27・4・9)久保野恵美子
93認知症患者の起こした事故と家族の責任 JR東海事件(最三小判平成28・3・1)中原太郎
94取引先の外観信頼(最一小判昭和42・11・2)樫見由美子
95使用者から被用者への求償権の制限(最一小判昭和51・7・8)中原太郎
96共同不法行為の要件(大阪地判平成7・7・5)米村滋人
97世同不法行為と使用者責任の競合と求償(最二小判昭和63・7・1)大澤逸平
98民法416条と不法行為(最一小判昭和48・6・7)前田陽一
99企業損害(間接損害)(最二小判昭和43・11・15)吉田邦彦
100損害の意義 労働能力の喪失(最三小判昭和56・12・22)若林三奈
101事故の被害者が別の事故で死亡した場合の損害額の算定(最一小判平成8・4・25)樫見由美子
102年少女子の逸失利益と家事労働分の加算(最二小判昭和62・1・19)水野謙
103不法行為の被害者の相続人が遺族補償年金を受けた場合の損益相殺的調整(最大判平成27・3・4)山口斉昭
104後遺症と示談(最二小判昭和43・3・15)山城一真
105過失相殺の要件(最大判昭和39・6・24)橋本佳幸
106過失相殺と身体的特徴の料酌(最三小判平成8・10・29)窪田充見
107共同不法行為と過失相殺(最三小判平成13・3・13)大塚直
108民法724条の消滅時効の起算点(最二小判昭和48・11・16)建部雅
109民法724条後段の除斥期間の起算点(最三小判平成16・4・27)林誠司
110差止請求―国道43号線訴訟(最二小判平成7・7・7)根本尚徳
111請求権競合—免責約款(最一小判平成10・4・30)山本豊
文献略称
収載判例索引
事件記録符号
表紙・扉・本文レイアウト 河井宜行
民法判例百選Ⅰ 総則・物権[第8版]
総則
Ⅰ一般条項
1権利の濫用(1) 宇奈月温泉事件 大村敦志
2権利の濫用(2) 信玄公旗掛松事件 長野中武
3信義則 賃貸借契約の終了と転借人のへの対抗 佐藤光夫
Ⅱ人
4人格権 北方ジャーナル事件 山本敬三
5意思能力のない者の行為 河上正二
6後見人の追認拒絶 熊谷士郎
Ⅲ法人
7法人の目的の範囲 後藤元伸
8権利能力なき社団の成立要件 山田誠一
9権利能力なき社団の取引上の債務 西内康人
IV物
10一筆の土地の一部についての取引 秋山靖浩
11建築中の建物 田高寛貴
Ⅴ法律行為
12公序良俗違反(1)不倫な関係にある女性に対する包括遺贈 原田昌和
13公序良俗違反(2) 証券取引における損失保証契約 山本敬三
14公序良俗違反(3) 男女別定年制度 水野紀子
15暴利行為 武田直大
16取締法規違反の法律行為の効力 石川博康
17強行法規違反の法律行為の効力 大村敦志
18内心の意思の不一致 大中有信
19法律行為の解釈と慣習 上田誠一郎
20法律行為の解釈と任意規定 石川博康
21民法94条2項の類推適用 野々上敬介
22民法94条2項・110条の類推適用 佐久間毅
23詐欺における善意の第三者の登記の必要性 竹中悟人
24動機(法律行為の基礎とした事情)についての錯誤 山下純司
25意思表示の到達 滝沢昌彦
Ⅵ代理
26代理権の濫用 吉永一行
27白紙委任状と代理権授与表示 後藤巻則
28外形信頼と民法109条などの法理 東京地裁厚生部事件 野澤正充
29民法110条の基本代理権 事実行為 北居功
30民法110条の正当理由の判断 早川眞一郎
31代表理事の代表権の制限と民法110条 中原太郎
32代理権授与表示の範囲を超えてされた代理行為と表見代理 臼井豊
33消滅した代理権の範囲を超えてされた代理行為と表見代理 山下純司
34無権代理人の責任 難波譲治
35本人の無権代理人相続 前田陽一
36無権代理人の本人相続 後藤巻則
37無権利者を委託者とする販売委託 契約の所有者による追認の効果 岩藤美智子
VI無効および取消し
38他人の権利の処分と追認 佐久間毅
39未成年当時にした行為についての法定追認の成否 潮見佳男
VIII条件
40故意の条件成就 上野達也
IX時効
41時効援用の効果 松久三四彦
42時効の援用権者 森田宏樹
43時効完成後の債務承認 金山直樹
44消滅時効の起算点 じん肺罹患による損害賠償請求権 松本克美
45自己の物の時効取得 本田純一
46前主の無過失と10年の取得時効 松久三四彦
47賃借権の時効取得 大久保邦彦
48土地賃借権の時効取得と抵当不動産の買受人への対抗 阿部裕介
物権
I物権総則
(1)物権的請求権
49物権法定主義鷹の湯事件 松尾弘
50土地崩壊の危険と所有権に基づく危険防止請求 根本尚徳
51物権的請求権の相手方土地上の建物を譲渡後も登記名義を保有する者 横山美夏
(2)物権変動の時期
52物権変動の時期 横山美夏
(3)不動産物件変動
53特約によらない中間省略登記請求権 小粥太郎
54民法177条の物権変動の範囲 一般論 七戸克彦
55法律行為の取消しと登記 金子敬明
56解除と登記 鶴藤倫道
57時効取得と登記 村田健介
58不動産所有権の取得時効完成後に設定された抵当権と再度の取得時効の完成 松岡久和
59共同相続と登記 占部洋之
60民法177条の第三者の範囲(1)-背信的悪意者 石田剛
61民法177条の第三者の範囲(2)一背信的悪意者からの転得者 幡野弘樹
62民法177条の第三者不法占拠者 山野目章夫
63登記のない地役権と承役権の譲受人 村田大樹
(4)動産物権変動
64民法178条の引渡し一占有改定 石綿はる美
(5)明認方法
65明認方法 伊藤栄寿
Ⅱ占有権
66占有一法人の代表機関 山口敬介
67相続と民法185条にいう「新たな権原」 大場浩之
68占有改定・指図による占有移転と即時取得 大塚直
69民法194条に該当する善意占有者の使用収益権 笠井修
70占有の訴えに対する本権に基づく 笠井正俊
Ⅲ所有権
71分筆後の残余地の特定承継と袋地所有権の通行権 秋山靖浩
72建築途中の建物への第三者の工事と所有権の帰属 髙橋智也
73建物の付合—賃借人のした増築 水津太郎
74共有者相互間の明渡請求 片山直也
75共有者の一人による不実登記の抹消手続請求 七戸克彦
76共有物分割の方法―全面的価格賠償 鎌野邦樹
77金銭所有権 川地宏行
IV入会権
78入会団体による総有権確認請求権 山田誠一
V留置権
79留置権の対抗力 藤原正則
80民法295条2項の類推適用 古積健三郎
VI先取特権
81動産売買先取特権の物上代位(1)請負代金債権 直井義典
82動産売買先取特権の物上代位(2)一般債権者の差押え 道垣内弘人
VII質権
83債権質設定者の質権者に対する担保価値維持義務 藤澤治奈
VII抵当権
84抵当権の付従性 鳥山泰志
85抵当権の効力の及ぶ範囲(1)―従物 古積健三郎
86抵当権の効力の及ぶ範囲(2)―敷地賃借権 占部洋之
87抵当権の物上代位(1)——賃料債権 中山知己
88抵当権の物上代位(2) ——債権譲渡との優劣 今尾真
89抵当権に基づく妨害排除請求 田高寛貴
90抵当権に基づく動産の返還請求 青木則幸
91法定地上権(1)―1番抵当権設定時に土地と建物の所有者が異なっていた場合 松本恒雄
92法定地上権(2)―共同抵当建物の再築 道垣内弘人
93法定地上権(3)一土地・建物とも共有の場合 髙橋眞
94共同抵当における物上保証人所有不動産の後順位抵当権者の地位 池田雅則
95共同抵当権目的物が同一物上保証人に属する場合の後順位抵当権者の地位 清水恵介
IX譲渡担保
96譲渡担保の認定 小山泰史
97譲渡担保権者の清算義務 山野目章夫
98不動産譲渡担保の実行 鳥谷部茂
99集合動産の譲渡担保 池田雅則
100集合債権の譲渡担保 角紀代恵
X所有権留保
101動産留保所有権者に対する土地所有者の明渡し等の請求 和田勝行
民法判例百選Ⅲ 親族・相続[第2版]
親族
Ⅰ婚姻
1子に嫡出性を付与するための婚姻の効力 前田陽一
2本人の意識不明の間に受理された婚姻届の効力 滝沢昌彦
3婚姻の無効と追認 前田泰
4離婚により解消したのちの重婚の取消し 神谷遊
5女性の再婚禁止期間の合憲性 久保野恵美子
6夫婦同氏制の合憲性 蟻川恒正
7夫婦同居に関する審判の合憲性 菱田雄郷
8別居中の婚姻費用分担の義務とその程度 冷水登紀代
9夫婦相互の日常家事代理権と表見代理 窪田充見
10夫の所得と共有財産 犬伏由子
11夫と通じた者に対する妻の慰謝料請求権 窪田充見
II離婚
12生活保護の受給を継続するための方便としてなされた離婚届の効力 久保野恵美子
13協議離婚届書作成後の翻意と離婚届の効力 森山浩江
14離婚原因としての精神病 犬伏由子
15有責配偶者の離婚請求 高橋朋子
16推定される嫡出子の監護費用の分担請求と権利濫用 水野紀子
17離婚訴訟における財産分与と過去の婚姻費用分担の態様の斟酌 水野紀子
18財産分与と離婚慰謝料との関係 常岡史子
19離婚に伴う財産分与(金銭給付合意)と詐害行為取消しの範囲 森田修
20父母別居中の面会交流権 山口亮子
21面会交流の間接強制 高田昌宏
III婚姻予約・内縁
22婚約の成立 本沢巳代子
23婚姻外の男女関係(「パートナーシップ関係」)の解消と不法行為責任 山下純司
24内縁の法的性質・不当破棄 大島梨沙
25内縁の解消と財産分与 大村敦志
26遺族給付の重婚的内縁配偶者への帰属 嵩さやか
27近親婚にあたる内縁配偶者の遺族厚生年金受給資格 森山浩江
IV実子
28推定の及ばない嫡出子の範囲 木村敦子
29親子関係不存在確認請求と権利濫用 西希代子
30虚偽の嫡出子出生届等と認知の効力 木村敦子
31母の認知 石井美智子
32死後認知の相手方 高田裕成
33認知者による認知無効 水野紀子
34男性死亡後に保存精子を用いた人工生殖によって生まれた子の親子関係 小池泰
35外国における代理出産によって出生した子の出生届 早川眞一郎
36性同一性障害による性別変更と嫡出推定 渡邉泰彦
37認知者の死亡後における認知無効の訴え 畑瑞穂
V養子
38節税目的の養子縁組の成否 床谷文雄
39虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否 本山敦
40他人の子を嫡出子として届出した者の代諾による養子縁組の効力 青竹美佳
41特別養子の要件 中川忠晃
42特別養子審判の準再審事由 中島弘雅
VI親権・後見・扶養
43親の命名権——悪魔ちゃん事件 河上正二
44幼児引渡請求の性質 山口亮子
45人身保護法による子の引渡請求と拘束の顕著な違法性 棚村政行
46連帯保証等と利益相反行為 角紀代恵
47遺産分割と利益相反行為 合田篤子
48親権者の一方に利益相反関係ある場合における代理方法 佐久間毅
49物上保証行為と親権者の法定代理権濫用 石綿はる美
50父母による養育費支払の合意と子からの扶養料請求 中川直子
51過去の扶養料の求償 常岡史子
相続
Ⅰ 相続人
52遺言書の破棄・隠匿行為と相続欠格 石川博康
53廃除原因としての「重大な侮辱」 川淳一
54生存配偶者の姻族関係終了と祭祀承継 許末恵
55特別縁故者への遺産分与対象としての共有持分権 山田誠一
56相続財産法人の法的地位と被相続人からの物権取得者との関係 田高寛貴
II相続の効力
57嫡出でない子の法定相続分 幡野弘樹
58「遺産確認の訴え」の適否 山本克己
59共同相続人間における相続回復請求権 副田隆重
60慰謝料請求権の相続性 米村滋人
61生命保険金請求権の相続性 水野貴浩
62連帯債務の相続 福田誠治
63遺産たる金銭と遺産分割前の相続人の権利 道垣内弘人
64遺産中の不動産の賃料債権の帰属 尾島茂樹
65金銭債権の共同相続 宮本誠子
66預貯金債権の共同相続 白石大
67株式等の共同相続 田中亘
68遺産中の特定財産の持分権の譲受人による分割請求 小粥太郎
69遺産分割協議と詐害行為取消権 佐藤岩昭
70遺産分割後の負担不履行を理由とする解除 沖野眞已
71遺産たる建物の相続開始後の使用関係 髙橋眞
72遺産分割と登記 作内良平
73相続放棄と登記 山本敬三
74遺贈と登記 山野目章夫
75「相続させる」旨の遺言と登記 水野謙
III相続の承認と放棄
76民法915条1項の「自己のために相続の開始があったことを知った時」の意義 小賀野晶一
77再転相続人の相続放棄 本山敦
78限定承認をした相続人が死因贈与による不動産取得を相続債権者に対抗できるか 武川幸嗣
IV遺言
79自筆証書遺言の方式―押印 櫛橋明香
80カーボン複写による自筆証書遺言と自書の要件 池田清治
81公正証書遺言の方式 羽生香織
82死亡危急者遺言の方式 山本顯治
83共同遺言 石畝剛士
84遺言の解釈 浦野由紀子
85受遺者の選定を遺言執行者に委託した遺言の効力 大塚智見
86負担付死因贈与の受贈者による贈与者生前の負担履行と贈与撤回の可否 鹿野菜穂子
87「相続させる」旨の遺言の解釈 水野謙
88「相続させる」旨の遺言と債務 白須真理子
89「相続させる」旨の遺言ある場合の遺言執行者の職務権限 平野秀文
90遺言執行者がある場合の相続人の遺産処分 田中宏治
V遺留分
91相続債務がある場合の遺留分侵害額の算定方法 松川正毅
92遺留分権利者の減殺請求権の性質 西希代子
93遺留分減殺請求権を債権者代位権の目的とすることの可否 幡野弘樹
94特別受益者への贈与と遺留分減殺の対象 浦野由紀子
95遺留分減殺請求の目的物の価額算定の基準時 内田貴
96相続人に対する遺贈と民法1034条の目的の価額 横山美夏
97相続分指定・特別受益と遺留分減殺 床谷文雄
98減殺の順序——死因贈与の取扱い 足立公志朗
99価額弁償―目的財産の各個につき許される 石田剛
100価額弁償請求権の取得時期 小池泰
101遺留分減殺の目的物についての取得時効の援用と減殺請求 森田宏樹
はしがき
民法判例百選I・II「第7版」,同III[初版]は2015年の新春に刊行されたので、まだ3年ほどが経過したにすぎない。しかしこの間に,2015年3月には民法(債権関係)改正案が国会に提出され、2017年5月に可決成立、2020年4月には施行されることとなった。また、民法(相続関係)改正についても、約3年に及んだ法制審議会での審議を経て、2018年2月には要綱が取りまとめられた。さらには、いくつかの重要な判例も現れている。民法を学習する方々の便宜を考えるならば,本百選を改版する緊急の必要が生じていると考えられる。
今回の改版にあたっては、中田裕康教授に代わって森田宏樹が編集に加わったが、6名が協働でIからIIIまでを編集するという第6版以降の方針に変わりはない。しかし、出版にあたっては,これも第6版以降の表示方法を踏襲して、各巻の編者を、Ⅰは潮見と道垣内、IIは窪田と森田、IIIは水野と大村としている。
全体の編集方針は前の版と同様,次のとおりである。全3巻で約300件の判例を選択し、各巻に割り当てる。重複はしないようにする。複数の領域にわたるテーマの判例は、判例としての意義がより大きい領域の巻に配置する。ただし、各巻の構成のバランスも考慮する。その結果、たとえば、相続と登記に関する判例は、1件をⅠに、4件をIIIに配置することとなった。
より具体的な編集方針の基本としたのは,民法判例百選I・IIの初版以来の方針、すなわち,「民法典の欠缺を埋める判決や、民法典を実質的に修正している判決を取り上げることによって、条文だけからは捉えることの不可能であるかまたは困難であるところの民法の現実の姿を示すこと」を中心としつつ、「有名な判決は,ある程度取り上げること」である。選択にあたって直面した諸問題(判例の展開のある場合にどの段階の判決を採るか、特別法との関係など)への対応については、I・II[第6版]の「序」に記載した方針を踏襲することにしたが、今回の編集にあたって特に留意したのは、前述の通り、民法(債権関係)改正に対応することであった。
改正法はいまだ施行されていないので、収録される判決はすべて(現時点では現行法である)改正前民法の規定を前提としたものであるが、そのうちのかなりの数の判決が改正の影響を受けるものと思われる。改正によって削除あるいは大幅に変更された条文に関する判決も一定数は存在する。今回の収録判例の選択にあたっては、改正によって従前ほどの価値を持たなくなると考えられる判決も、いくつかの例外を除いて削除していない。
このような判決も含めて,従前の判例が法改正によってどのような影響を受けるのかを理解すること、すなわちその位置づけや意義についてどのような変更が生じるのか、あるいは,判例の中で維持される部分はどこであり、維持されない部分はどこなのかといったことを具体的に把握することが、民法を学習するにあたって重要であろうと考えたからである。また、民法(相続関係)改正の動向についても、中間試案から要綱に至る過程で生じた変化も含めて、必要な範囲で考慮に入れるように努めた。
第7版と比較しての本巻(II)の変更は、次のとおりである。
(1)事項は同じかほぼ同じだが、第7版後の新しい判決または別の判決に換えたもの―4件(13(旧14),18(旧19),65(旧61),92(旧89))
(2)新しい事項に関する判決で、第7版当時出ていたものを入れたもの―7件(28,43,46,49,62,68,74)
(3)新しい事項に関する判決で,第7版後に出たものを入れたもの―2件(93,103)
(4)第7版に収録されていたが、本書には収録しなかったもの―4件(旧30,旧36,旧41,旧56)。
結果、第7版より5件増の111件を収録した。判例の選択については、様々な考え方がありうるところであり、読者からの忌憚のないご批判をいただければ幸いである。
最後に、ご多忙のなか、流動的な法状況を考慮に入れて、充実した原稿をお寄せくださった執筆者各位に対し、心からの感謝の意を表したい。重要な法改正に対応する形でアップデイトされた本書が、民法の判例を学ぼうとされる方々にとって引き続き役立つものとなることを期待している。
2018年2月
民法判例百選編者一同