日商電子会計実務検定試験対策テキスト2級(中級)
プロローグ
企業の成長は社会の発展とともにあります。上下水道・公園・学校・病院などの生活基盤施設から道路・鉄道・港湾・空港などの交通システム、電話・衛星・インターネットなどの情報通信システム、電力・ガス・石油などのエネルギー供給システムなど社会資本が企業活動の基盤となっています。企業は、この高度に発展した社会資本を利用し、社会にある人・物・金・情報などの資源を取り込んで事業を展開し、社会に新たな価値ある生産物を供給します。企業はその事業活動について利潤追求と同時に社会に順応した経済活動、社会貢献の責任も負っています。公共性公益性の高い事業にも企業活動の範囲が広がり、その影響力がますます拡大する現代、企業の社会的責任は、経営者のみならず企業に関わるすべての人に課せられています。
1980年代以降コンピュータや情報通信技術の急速な発展による情報革命(IT革命)によって、社会は大きく変化しました。インターネットを介して様々な情報発信、情報交換がおこなわれるようになり、インターネットは日常生活の基盤をも築いています。インターネットの有効利用は企業を経営するうえでも不可欠であり、その通信機器であるパソコンは同時に情報処理の面からも不可欠な時代となりました。あらゆる経営情報はパソコンで処理され、様々な場面でこの電子情報が有効利用されています。
企業会計においても電子化は進んでいます。外部への情報提供目的である財務会計、経営管理者への情報提供目的である管理会計、いずれも電子化・IT活用のメリットは計り知れません。電子会計に携わる人には、簿記および基幹業務ソフトに精通している人材というだけでなく、社会における企業の役割と責任を理解したうえで IT情報を正しく集計・分析・判断・報告できる能力が必要とされています。
本書は、このようなキャリア開発プログラムの入門書であり、「勘定奉行i8」をベースに、 財務会計システムを学習するテキストです。
また、同様の趣旨で創設された日本商工会議所主催の「電子会計実務検定試験2級(中級)」を受験するにあたり、最適な教材であると考えています。
本書で会計実務の基礎を学んだ皆さんが、実務の現場において高い理想と探究心を持ってご活躍されることを期待申し上げます。
財務会計システムでは
仕訳伝票を入力するだけで、元帳・合計残高試算表・決算報告書などの管理資料や財務諸表 はもちろんのこと、経営状況を把握する為の多彩な分析資料までが、自動転記・集計され、簡単に作成できるようになっています。
給与計算システムでは
支給・控除額を入力するだけで、総支給額や所得税などを自動計算します。給与明細書・源泉徴収簿・その他各種管理資料が自動的に作成できるだけでなく、月々処理してきたデータをもとに、年末調整や社会保険計算まで処理できます。
販売管理・在庫管理システムでは
見積から受注・売上・請求・入金と複雑な販売業務の流れを強力にサポートします。また、仕入・在庫管理システムで発注から仕入・支払と面倒な在庫の管理をおこなうことができます。両システムとも、伝票を入力するだけで、売上に関しては、納品書・請求書の発行など、仕入に関しては支払・在庫の管理が自動的にできるだけでなく、得意先・仕入先・商品別・その他様々な角度からの管理資料が作成できます。
目次
第1章 企業のしくみと業務管理
1 企業のしくみ
1-1 組織形態
1-2 経営管理
1-3 経営戦略
2 業務管理
2-1 基幹業務
2-2 財務管理
第2章 日常の会計処理
1 勘定奉行i8の起動と終了
1-1 勘定奉行i8の起動方法
1-2 勘定奉行i8の終了方法
2 データファイルの管理
2-1 会計データの新規作成
2-2 会計データの復元
2-3 会計データの選択
2-4 会計データの削除
3 会計データの入力と関連帳簿
3-1 科目設定
① 勘定科目
② 補助科目
3-2 会計データの入力方法
3-3 入力方法① 伝票入力(仕訳処理)
例題1
3-4 入力方法② 仕訳帳入力
例題2~3
3-5 入力方法③ 現金出納帳入力
例題4~5
3-6入力方法④ 預金出納帳入力
例題6
3- 7入力方法⑤ 元帳入力
例題7
3-8 確認方法・仕訳伝票リスト
例題8
3-9 確認方法・元帳
例題9
3-10 確認方法・補助科目内訳表
例題10~11
3-11 確認方法・合計残高試算表
4 日常取引の処理
4-1 会社概要
4-2 現金
例題12
4-3 預金
① 普通預金
例題13~14
② 当座預金
例題15~16
4-4 売掛金(売上)
① 掛け取引について
② 請求書
例題17~18
③ 売掛金の回収
例題19~20
4-5 受取手形
① 手形の受取
例題21
② 手形の裏書譲渡
例題22
③ 手形の割引
例題23
④ 手形の取立
例題24
4-6 有価証券
◆有価証券の売買
例題25
4-7 前払費用、長期前払費用
◆借入保証料
例題26
4-8買掛金 (仕入・外注)
① 掛け取引
② 請求書
例題27
③ 決済
4-9 未払金
① 労働保険料
例題28
② 社会保険料
例題29~30
③ その他の未払金
例題31~32
4-10 借入金
① 返済予定表
例題33
② 流動固定分類
例題34
4-11 役員報酬と給与
① 給与支給
例題35
② 給与一覧表
例題36
4-12棚卸
例題37
4-13 減価償却費
例題38
4-14税金
① 法人税
例題39
② 法人住民税、法人事業税
例題40
③ 消費税
例題41
④ 所得税
例題42
⑤ 住民税
例題43
⑥ 印紙税その他
4-15仕訳解答例
第3章 企業の現状分析と経営計画
1 財務の状況
1-1 貸借対照表
① 貸借対照表の構造
② 貸借対照表の出力例
1-2 企業の支払能力と安全性
① 流動比率
② 当座比率
③ 固定比率
④ 自己資本比率(株主資本比率)
1-3 損益計算書
① 損益計算書の構造
② 損益計算書の出力例
1-4 企業の収益力
① 売上高と利益の関係
② 調達した資本と利益の関係
③ 資本の運用と効率性
④ 財務レバレッジ
1-5 企業の生産性
① 生産の効率と付加価値
② 労働生産性
1-6 企業の成長性
1-7 勘定奉行による分析
①「経営分析設定画面」の設定
② 収益性分析
③ 安全性分析
④ 生産性分析
2 費用(原価)と利益の状況
2-1 短期利益計画
① 売上総利益と貢献利益
② 損益分岐点の販売量と売上高
③ 目標利益達成点の販売量と売上高
2-2 損益分岐点図表
① 損益分岐点図表
② 損益分岐点図表の応用
③ 貢献利益図表
④ 貢献利益率と損益分岐点売上高
2-3 安全余裕率と損益分岐点比率
2-4 勘定奉行による分析
3 資金の状況
3-1 損益計算と資金計算
① 損益計算書と資金計算
② 貸借対照表と資金計算
3-2 資金繰り表の作成
① 資金の流れ
② 実績資金繰り表の作成
3-3 資金収支の予測
① 見積資金繰り表の作成
② 資金繰りの改善
3-4 勘定奉行による資金繰り表の作成
第4章 業務管理と関連システム
1 出納業務と財務管理システム
1-1 現金出納業務と現金管理
① 入出金と領収証、証ひょう綴り
② 入出金の記録-出納帳
③ 残高チェックと金種表
1-2 預金出納業務と預金管理
① 当座預金
② 普通預金
③ 定期預金・定期積金
1-3 財務管理システムの機能と役割
① 財務会計システムの特徴
② 会計処理
③ 出力帳票
1-4 手形管理システムの機能と役割
① 手形の流れ
② 手形残高
1-5 資産管理と資産管理システム
① 償却方法
② 按分計算
③ 償却資産税
④ 資産登録および出力
2 販売業務と販売管理システム
2-1 販売業務の流れ
① 販売管理システム
② マスター登録(台帳登録)
③ 見積り
④ 受注
⑤ 納品
⑥ 請求
⑦ 回収
2-2 債権管理
2-3 得意先別管理
2-4 売上分析
2-5 顧客管理システム
3 購買業務と購買管理システム
3-1 購買業務の流れ
3-2 購買管理システム
3-3 在庫管理
3-4 販売、購買、財務管理システムの統合
4 給与計算業務と給与計算システム
4-1 関連法規等
4-2 給与計算内容
① 給料、役員報酬、賞与、退職金
② 支給方法と締め日・支給日
③ 勤怠項目
④ 支給項目、控除項目
⑤ 社会保険料
⑥ 労働保険料
⑦ 所得税の源泉徴収
⑧ 所得税と年末調整
⑨ 住民税
4-3 給与計算システム
4-4 就業管理システム
4-5 人事管理システム
5 法人と税金
5-1 法人
5-2 税金
① 法人税
② 法人住民税
③ 法人事業税
④ 消費税
5-3法人税システム
第5章 製造業における業務と原価情報の活用
1 製造業のしくみ
1-1 製品の製造原価
① 発生形態による分類
② 製品との関係による分類
③ 生産や稼働(操業度)との関係による分類
④ 総原価と販売費および一般管理費
1-2 製造原価の計算
① 当月(当期)の製品製造原価
② 総合原価計算と個別原価計算
③ 当月(当期)製品製造原価を求める月末処理(仕掛品)
④ 当月(当期)材料費を求める月末処理
⑤ 製品の売上原価を求める月末処理
1-3 原価情報の活用
① 製造原価報告書
② 勘定奉行による製造原価報告書の集計・表示
③ 勘定奉行による製造原価報告書と損益計算書
模擬問題
1 A問題
問題1
問題2
問題3
2 B問題
問題1
問題2
問題3
3 解答と解説
3-1 A問題
◆解答 ◆解説
3-2 B問題
◆解答 ◆解説
3-3仕訳解答例
■A問題 問題2
■B問題 問題2
●本テキストで使用するデータについて