日経TEST公式テキスト&問題集 2018-19年版




まえがき

日経TEST(日経経済知力テスト)とは、日本経済新聞社が実施している、ビジネスに必要な経済知識と、それを仕事に応用して考える力(ビジネス知力)を客観的に測り、スコアで示すテストです。2008年秋から、公益社団法人日本経済研究センターとともに実施する「全国一斉試験」を開始し、2018年で10周年を迎えました。

経済はめまぐるしく変動しています。多くのビジネスパーソンの皆さんは、日本経済新聞などを通じて日々、経済情報の吸収に努められていると思いますが、周囲に比べて「どこまで」できているか、過去の自分と比べ「どれだけ」成長したかは、客観的に評価しにくいものです。また、これから取り組む方や、就職を控えた学生の皆さんは、「どこから」手をつければよいか、見当がつきにくいと思います。

そうした皆さんに、「自分の力がビジネス社会でどのレベルにあるか」を数値化して示すのが、日経TESTです。受験結果は英語能力のテストなどと同様、項目反応理論(IRT)に基づく統計処理を行った1000点満点の「経済知力スコア」で示します。業種、役職、就業年数によりどの程度のスコアが求められるのかの目安も設けています。

スコアで実力が分かり、「どこまで」という目標が設定できるので、レベルアップの必要を痛感されている方、これから学ぼうという方には特に適したテストです。問題形式はすべて四肢択一式で100問、時間は80分。得意分野・不得意分野の診断も提供します。

出題ジャンルは経済・金融・産業の動きから、消費、科学技術、国際情勢まで幅広く、皆さんのそれぞれの仕事を掘り下げるうえで必要と思われる分野をカバーしています。また、日経TESTは知識に基づき考える力を測るのが特長で、独自の「5つの評価軸」を設けてその力を測定しています。このような幅広い分野を対象に、仕事に応用して「考える力」を客観的に測るテスト機能は、日経TEST以外にないものです。

出題の材料は「生きた経済」です。経済・ビジネスの最新のニュースを題材に問題を更新しているので、日々起きる経済ニュースへの感度を高め、そのつど考える習慣をつけておくことが、経済知力のアップに有効です。

そのため本書も毎年、「年版」を発行し、経済の新しい動きを盛り込んだ解説と、練習問題を収録しています。経済の動きを理解するための基本的な知識や考え方は1年で変わるものではありませんが、知識も考え方も「使う」ことで、理解が深まります。

昨年版(2017-18年版)を、この1年の新しい動きに合わせて全面改訂しました。毎年ご購入いただいてきた方も重複感なく読んでいただけると思います。もちろん今年新たに手にとられた方にとっては、格好の入門書になります。

日経TESTはいわゆる検定試験と異なり、この一冊をマスターすれば合格というものではありません。しかし、本書を読み通すことで、複雑に見える世界経済・日本経済の全体像がつかめ、難しいと感じていた日々の経済ニュースも頭に入りやすくなるはずです。

そのため本書は昨年版までと同様、練習問題とその解説も含めて、新しい知識を吸収しながら楽しく読めるストーリー性を意識しています。日経TESTを当面受験する予定のない方にとっても、最近の経済のポイントをつかむ一冊として、お役に立つはずです。

日経TESTは全国一斉試験と、企業・団体・大学などが社員・職員・学生向けに随時実施できる「日経TEST企業・団体試験」を実施しています。社員教育・研修の一環としての導入も増えています。人材育成のリーダーとなる皆様もお手にとり、導入の検討材料にしていただければ幸いです。

2018年3月
日本経済新聞社 日経TEST編集長 石塚慎司

日本経済新聞社 (編集)
日本経済新聞出版社、出典:出版社HP

目次

まえがき
本書の読み方・使い方

ガイダンス 日経TESTとは Guidance
1. 日経TESTの概要/2. 日経TESTの問題構成/3. 日経TESTの出題ジャンル/4. 日経TESTのスコア/5. 個人成績表の見方

第1章 基礎知識 Basic
入門解説——GDPと企業業績から 経済の全体像をつかむ
経済全体を見るGDP、「数字でつかみ、語る」の第一歩/「生産」は「所得」として分配され「支出」される/GDP、総額で世界3位、1人当たりでは20位台/名目で540兆円、20年前の水準にやっと戻る/失業率下がりほぼ「完全無用」、求人倍率は44年ぶり水準/「景気回復」の判断は景気動向指数で/景気の先行きを読む「短観」/円高と円安、立場によりメリット・デメリット/為替レート、投資マネーで大きく変動/株価は経済の動きを先取り、全体の動きを示す日経平均/外国人投資家が売買の主役、株価上がれば「資産効果」/企業を見る基本は決算情報、要点は「決算短信」で/本業のもうけは営業利益、経営努力を表わす経常利益/業種・会社により変わる利益率/「取締役」は株主に代わって経営を監視/株主はROEを重視、事業全体の収益力はROA/広がるCSR重視経営、ESGの「G」はガバナンス/「働き方」の法律、実務常識として不可欠/「生産技術」や「マーケティング」の知識も
練習問題・解説
ステップアップ解説——注目集まる金融政策 まず基礎から理解
「物価の安定」を目標に「引き締め」と「緩和」/米国の利上げは経済と金融政策の「正常化」/日銀、政策の目標を「金利」から「量」に/マネタリーペース増→民間融資増の流れは不発/金融政策の目標、再び「金利」に/異次元緩和から5年、出口戦略に注目

第2章 実践知識 Knowledge
入門解説——世界経済と業界を知り 企業戦略の背景をつかむ
【米国経済】消費が70%占める、世界最大の経済/重視される「雇用」、金融政策判断の材料に/大型減税が実現、景気を刺激/「FANG」が世界のデジタル経済化をリード 【中国経済】「安定成長」への減速、構造改革が課題/個人消費拡大、ネット通販が主導/広域経済圏「一帯一路」を推進 【欧州経済】「EU単一市場」の規模、英国離脱でも存在感/欧州選挙イヤー、「離脱ドミノ」は回避 【アジア・新興国経済】ASEAN、6億人の市場/新興国、ロシア、ブラジルが脱マイナス成長
【自動車業界】中国が最大の市場、EVシフトで激震/トヨタ自動車も「全方位型」で開発/CASE対応カギ、異業種との連携広がる 【電機業界】「コモディティー化」で事業再編迫られる/パナソニックは自動車シフト、ソニーはビジネスモデル転換 【銀行業界】マイナス金利が経営圧迫、メガバンクに店舗・人員削減の動き/地方銀行、地方中小企業への資金供給を担う【小売業界】コンビニ6万店へ、ドラッグストアが売り上げ伸ばす/アマゾン・エフェクト、日本にも波及
練習問題・解説
ステップアップ解説——第4次産業革命の要点 技術×データが主役
「AI、ロボット、IoT」×「ビッグデータ」/賢くなるAI、大量のデータから学習/サービスロボットが飛躍的に拡大へ/IoT、半導体に「シリコンサイクル越え」の需要/個人データは「21世紀の石油」

第3章 視野の広さ Sensitive
入門解説——「何でも経済」の目で世の中を見る
つながる世界、地理センスも重要/ラグビーW杯、地方に外国人観光客呼び込む?/イベント、消費喚起の材料に/経済・企業への視野を広げる「周年」/政治はスケジュールで動く/法律・制度の改正に注目
練習問題・解説
ステップアップ解説――ネット通販旋風で自宅化 コト消費は進化系に
ここにもアマゾン、「自宅・便利・娯楽」/コト消費の進化系が「GINZA SIX」/「アムラー」世代と「ドラクエ」世代が支える/「N-BOX」のヒット、軽量化技術で光る

第4章 知識を知恵にする力 Induction
例題解説——経済・ビジネスを動かす共通点を見いだす
共通項を探し、選択肢に当てはめる/「共同で」は共通しても、狙いには違い/業種により人手不足感に差、共通項見いだす手がかりに/共通するキーワードを探す形式も/M&Aの目的を考える/海外企業・事業の買収、国内人口減少・市場縮小が大きな背景/インパウンド需要で、「滞在人口」は拡大/M&Aの共通項、精密機械から医療分野にM&A
練習問題・解説
ステップアップ解説——働き方改革を急ぐ理由 生産性の向上が焦点
「宅配クライシス」でヤマトが抜本対策/生産年齢人口の減少、「M字カーブ解消」などが補う/雇用者増も限界近づく、残るは労働生産性の向上/「副業」容認の動きも、人材の流動性が課題に

第5章 知恵を活用する力 Deduction
例題解説——仮説をビジネスに適用 先を読む力を鍛える
需給関係が基本、投資家の先行き思惑も影響/世界経済の拡大、エネルギー需要は増加/潤沢な投資マネー、「リスクオン」で流入/中国でのビジネス展開を考える/「日本製」が人気の条件、ネット通販も主要な販路に/中国以外のアジアの空港・免税店でも売れる/化粧品の輸出額、輸入額を上回る
練習問題・解説
ステップアップ解説——「人口」は確実な未来 世界の中の日本を考える
「短期」の判断は経済成長率の予測で/世界の成長率見通しは上向く/リスクには常に注意を払う/人口は「確実な未来」、2025年問題をどう乗り切るか/「多死社会」で家計の金融資産にも影響/2028年、インドがGDP世界3位に/2030年、中国の経済規模は日本の4倍/EVシフトで需要面から「オイルピーク」論/「知恵」を使ってプラス・マイナスを考える

まとめ・学習のポイント
日経TESTの実施要項、種類など

本書の読み方・使い方

日経TESTの実際の試験では、このあと説明する「5つの評価軸」に基づき、1つの評価軸につき20問ずつ、合計100問を毎回、出題しています。本書はその評価軸を1章ずつ、5章に分けました。

「知識」を問う第1章~第3章では、冒頭でその評価軸の出題趣旨を説明したあと、問題を解くうえで必要な経済知識を獲得する前提となる知識やコツを盛り込んだ「入門解説」を掲載しました。

その後に、実際の日経TESTの出題形式に準じた「練習問題」を20問ずつ掲載。さらにその 後に、2018~19年時点でポイントとなるテーマを掘り下げた「ステップアップ解説」を掲載しています。

「考える力」を問う第4章~第5章については、「入門解説」の代わりに、「例題解説」を掲載しました。実際の出題形式に沿ってどのように解答を得るかという考え方に加えて、とりあげたテーマについても掘り下げて解説します。

最後に、学習法に関するアドバイスなどを補足した「まとめ・学習のポイント」を掲載しました。

「練習問題」は、解答の解説とセットで読んでいただくことで、入門解説では触れられなかったポイントを補足しています。各問題には「キーワード」をつけました。

実際の日経TESTは能力測定が目的です。問題の形式は本書と同じですが、100問を80分で解いていただくため、短時間で答えられる問題、少し考える問題を取り混ぜ、テンポよく答えられるようになっています。本書内の問題は「学習」が目的なので、印象に残るようにややひねった設問もありますので、ご承知おきください。

また、解説・問題の内容はおおむね2018年2月までの情報に基づいていることをお断りしておきます。

日本経済新聞社 (編集)
日本経済新聞出版社、出典:出版社HP