ビジネス著作権検定過去問・サンプル練習問題(上級初級一問一答例題)

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ビジネス著作権検定は上級、初級と級があります。

ここでは問題に慣れるため、レベルを知るため一度問題を見てみましょう。

試験対策では法制度の改正などもあり古い問題からかわっているところもあり、最新のテキストで学んでみましょう。

ビジネス著作権検定初級

 

問題1

著作物に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア小学生が書いた絵日記は、著作物である。

イ著名な書道家が書いた「一」という一文字の字は、著作物になり得ない。

ウ他人が描いた絵を機械的に忠実に撮影した写真は、必ず写真の著作物となる。

エどんなにありふれていても、小説のタイトル(題号)は、著作物となる。

解答作成:サーティファイビジネス著作権検定ワーキンググループ

※解説中の「◯条」は、特に断りがない限り「著作権法◯条」をしめします。

【正答ア】【解説】

著作物は、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(2条1項1号)。

ア表現について高度な創作性は要求されておらず、思想または感情が「創作的に」表現されていれば著作物である。

イ一文字でも、思想または感情を創作的に表現したものであれば著作物である。

ウ機械的に忠実に写真に撮影することは、「創作的に表現したのではなく、複製である。

エ通常の小説のタイトル(題号)は十分に思想 感情を創作的に表現しているとは言い難く、基本的には思想感情を創作的に表現した著作物ではない。短い自由詩や俳句をそのまま、小説のタイトル(題号)にしたものは、それ自体著作物なので、著作物として保護される。

 

問題2

著作物に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア頭の中で練っている小説の文章は、内容次第では著作物になり得る。

イ他人に見せる予定のない日記は、著作物にはなり得ない。

ウ朝顔の観察日記で、毎日その日に咲いた朝顔の数を記録したデータは、著作物ではない。

エ店舗で常時撮影されている防犯カメラの映像は、著作物である。

【正答ウ】【解説】

著作物は、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(2条1項1号)。

ア「表現」とは、単に内心で思っているだけでは足りず、外部から認識可能な形で表出されていなければならない。

イ他人に見せる予定があるかどうかにかかわらず、思想または感情が創作的に表現されていれば著作物である。

ウデータ自体は、思想または感情を創作的に表現したものではないので、著作物になり得ない。

エ単なる記録であり、人の思想または感情を創作的に表現しているわけではないので、著作物になり得ない。

 

問題3

次のうち、著作物として保護されないものはどれか。

ア評判のドラマを参考にして書いた小説

イ論理構成は明確だが、他人を誹謗中傷する内容の貼り紙

ウ特許を取得した独創的なコンピュータプログラム

エ健康診断のために病院で撮影した胸部レントゲン写真

【正答エ】【解説】

著作物は、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(2条1項1号)。また、10条1項に著作物が例示されている。

アドラマを参考にしていても、自分の小説にそのアイデアを利用しているだけであれば、思想または感情を創作的に表現した小説は著作物として保護される。

イ思想又は感情を創作的に表現したものは、その内容にかかわらず言語の著作物

(10条1項1号)に該当し、著作物として保護される。

ウ特許を取得していても、プログラムの著作物(10条1項9号)に該当すれば、著作物として保護される。

エ健康診断のような医学検査のためのレントゲン写真は、撮影者の思想または感情

の創作的表現とはいえず、著作物として保護されない。

 

問題4

次のうち、編集著作物にあたるものはどれか。

ア今までのNHKの「紅白歌合戦」で歌われた曲の中から、作成者の好みで毎年10曲を選び、コンピュータ上で検索できるようにしたデータベース

イある菓子メーカーが創業以来発売したすべての商品の商品名を、発売順に並べた一覧表

ウ今までに日本で発売された小説の中から、夏休みに読んでもらいたい小説として評論家が選んだ10作品を集めて1冊にした本

エある都市の電話加入者すべてを、五十音順に単純に並べた電話帳

【正答ウ】【解説】

編集著作物とは、編集物(データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものをいう(12条1項)。データベースとは、論文、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう(2条1項10の3号)。

アデータベースに該当するものは、編集物から除外されており、編集著作物にあたらない。

イすべての商品名を発売順に並べただけでは、素材の選択にも配列にも創作性がな

いので、編集著作物にあたらない。

ウ小説の選択について創作性があるので、 編集著作物にあたる。

えすべての電話加入者を五十音順に並べただけでは、素材の選択にも配列にも創作

一性がないので、編集著作物にあたらない。

 

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問題5

映画の著作物の著作者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア映画の著作物の著作者は、映画監督だけである。

イ映画の著作物の主題歌を創作した作曲家は、その映画の著作物の著作者となる。

ウ映画会社の社員が職務著作の規定が適用される映画監督として映画の製作にかかわった場合、その社員は映画の著作物の著作者とはならない。

エ映画の著作物に出演している俳優は、常に映画の著作物の著作者となる。

【正答ウ】【解説】

映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、第15条(職務著作)の規定の適用がある場合は、この限りでない(16条)。

ア映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与していれば、美術や撮影等の担当者も映画の著作物の著作者となる。

イ映画の著作物の著作者からは、原作となる小説、脚本音楽その他の著作物の著作者が除かれている(16条)。

ウ16条では職務著作の規定の適用がある場合は除外されており、映画監督が映画の著作物の全体的形成に創作的に関与したとしても、映画の著作物の著作者とはならない。

エ映画の著作物に出演している俳優は、実演家として著作隣接権者となるが、出演だけで、演技全体の演出をする等映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与していない限りは、映画の著作物の著作者とはならない。

 

問題6

著作者人格権に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

ア4人で共同して作成した絵画については、その4人全員がその絵画の著作者人格権を有する。

イ著作者人格権には、公表権、氏名表示権と同一性保持権がある。

ウ著作者人格権を有するためには、登録をする必要はない。

エ著作者人格権は、他人に譲渡することができる。

【正答エ】【解説】

ア著作者は、著作者人格権並びに著作権を享有する(17条1項)ので、共同著作物においてはそれを創作したすべての著作者が著作者人格権を有する。

イ著作者人格権には、公表権(18条)と氏名表示権(19条)と同一性保持権(20条)がある。

ウ著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない(17条2項)とされており、登録をする必要はない。

エ著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない(59条)。

 

問題7

著作者人格権の侵害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア未公表の写真を無断でWebサイトに公開され公表権を侵害された人は、そのWebサイトから写真を削除するように求める権利を有する。

イ評論の一部を抜き出して雑誌で取り上げ、誹謗中傷し、評論文の作者の名誉を侵害しても、著作者人格権の侵害とはならない。

ウ画家が死亡した後であれば、画家の絵に、画家が生きていれば許さなかったような書き込みをして展覧会に展示しても、著作者人格権の侵害とはならない。

エ著作者人格権を侵害しても、懲役が科されることはない。

【正答ア】【解説】

ア著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(112条1項)。著作者人格権のうちの公表権を侵害された写真の著作者は、侵害の停止としてWebサイトからの写真の削除を請求する権利を有する。

イ著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著

作者人格権を侵害する行為とみなす(113条6項)。著作者人格権は、公表権、氏名表示権、同一性保持権の3つだけだが、著作者の名誉または声望を害する方法により利用することは、著作者人格権の侵害とみなされる。

ウ著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない(60条)。絵に画家が認めないような書き込みをして展覧会に展示することは、画家の死後であっても、著作者人格権のうちの同一性保持権の侵害となるべき行為にあたるので、著作者人格権の侵害となる。

エ著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(119条2項)。

 

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問題8

次のうち、著作物の複製にあたらないものはどれか。

ア小説の一部分を自分のノートに書き写すこと

イクラシック音楽の演奏を録音すること

ウ歌謡曲を口ずさむこと

エテレビドラマを自宅で録画すること

【正答ウ】【解説】

複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいう(2条1項15号)。

ア書き写すことは複写に該当し、小説の一部分の複製にあたる。

イ録音することは、有形的再製であり、楽曲の複製にあたる。

ウ口ずさむことは、楽曲の無形的な再製であって、有形的に再製したことにはならず、複製にはあたらない。

エ録画することは、有形的再製であり、複製にあたる。

 

問題9

上映権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

アデパートの店内で、許諾なく、テレビ放送中のアニメーションを受信して大型スク リーンに映し出して客に見せる行為は、そのアニメーションの上映権を侵害する。

イ喫茶店で、許諾なく、映画のDVDをテレビモニターに再生して客に見せる行為は、その映画の上映権を侵害する。

ウ美術館で、許諾なく、絵画をスクリーンに映し出して来館者に見せる行為は、その絵画の上映権を侵害しない。

エ自宅で、許諾なく、映画のDVDを家族で鑑賞する目的で再生してパソコンのディスプレイに映写する行為は、その映画の上映権を侵害する。

【正答イ】【解説】

著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する(22条の2)。上映とは、著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴って映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする(2条1項17号)。

ア上映では、公衆送信される著作物は除外されている。放送中のアニメーションは、公衆送信される著作物にあたるので、上映にはあたらず、上映権を侵害しない。

イ映写幕に限らずテレビモニター等の「その他の物」で再生することも上映にあたるので、上映権を侵害する。

ウ上映の対象となる著作物は限定されておらず、絵画の著作物も含まれるので、上映権を侵害する。

エ「公に」とは、不特定または特定多数に直接見せまたは聞かせることを目的としていることを指すので、家族で鑑賞することは「公に」とはいえず、上映権を侵害しない。

 

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問題10

公衆送信権等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア人気アイドルのファンクラブの会員向けメールマガジンに、そのアイドルの好きな詩を許諾なく掲載して、電子メールで一斉に配信することは、詩の公衆送信権を侵害する。

イ市販の音楽CDから録音した音楽ファイルを、許諾なく友人1人に電子メールに添付して送信することは、音楽の公衆送信権を侵害する。

ウ早朝のラジオ番組でエッセーを許諾なく朗読しても、聴取者が1人もいなければエッセーの公衆送信権を侵害しない。

エ他人のイラストを許諾なく自分のブログに掲載しても、そのブログを閲覧した者がいなければ、イラストの公衆送信権を侵害しない。

【正答ア】【解説】

ア詩を電子メールで一斉に多数の者(公衆)に送ることは、公衆によって直接受信されることを目的にしているため、公衆送信にあたり、許諾なく行えば、詩の公衆送信権を侵害する。

イ友人1人に対してメール送信を行うことは、公衆によって直接受信されることを目的にしておらず、公衆送信にあたらないので、公衆送信権を侵害しない。

ウ実際にラジオを受信して聞いている人がいなくても、公衆が直接に受信することを目的として無線による送信を行っているので、公衆送信にあたり、そこで著作物を許諾なく利用すれば公衆送信権の侵害となる。

エ公衆送信は、自動公衆送信の場合には送信可能化を含む(23条1項かっこ書き)。ブログに他人の著作物を許諾なく掲載することは送信可能化にあたるので、誰もブログを閲覧していなくても、公衆送信権を侵害する。

 

 

 

ビジネス著作権検定上級

 

 

問題1

次のうち、著作物に該当しないものはどれか。

ア全国おすすめラーメン店のデータベースを作成するために、全国のラーメン店の店舗名住所・連絡先 画像を無作為に収集してUSBメモリに記録したデータ

イ即興で作成し、推敲も何もしていない詩

ウ作者急逝のため未完成でかつ未公表となっている小説

エ宇宙の法則をよどみなく説明できるとして公表されたが、誤りであったことが立証された物理学の論文

解説作成: サーティファイ ビジネス著作権検定 ワーキンググループ

※解説中の「○条」は、特に断りがない限り「著作権法○条」を示します。

 

【正答ア】【解説】

アデータベース作成のために無作為に収集したデータは、その収集に多大な労力がかかっていても、情報の選択にも体系的な構成にも創作性がないので、著作物とは ならない。これらのデータをもとに、自分の基準でおすすめのラーメン店を選んで検索できるようにした場合には、情報の選択に創作性があるので、データベースの著作物となる。

イ即興で作成し、推敲もしていなくて、完成していない詩であっても、創作性があれば著作物となり得る。

ウ著作物として保護されるためには、完成されていることや公表されていることは要件ではない。したがって、未完成未公表の小説でも著作物となり得る。

エ著作物には、その内容が客観的に正しいものであること、論理的に矛盾のないこと、といった要件はない。創作性のある表現かどうかで判断される。

 

問題2

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

アワープロソフトはプログラムの著作物であるが、このワープロソフトを使用して作成した論文は、ワープロソフトの二次的著作物ではない。

イ店舗で販売されているシミュレーションゲームは、「映画の効果に類似する視覚的または聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物」であるから、映画の著作物であり、その頒布権は消尽しない。

ウWeb上の無料のソーシャルゲームからオリジナル音楽を抜き出して、無断で自分のブログにアップロードすることは、その音楽の公衆送信権の侵害となる。

エスマートフォンに最初から無料で入っているゲームソフトのキャラクターの映像を取り出して、その画像を無断で自己の出版物に掲載するのは、複製権の侵害となる。

【正答イ】【解説】

ア二次的著作物とは、著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう(2条1項11号)。ワープロソフトを使用して作成された論文は、ワープロソフトの創作的表現をベースに、翻訳、編曲、変形、翻案したものではないので、ワープロソフトの二次的著作物ではない。

イ著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する(26条1項)。映画の著作物には頒布権が認められており、頒布権は消尽しない。シミュレーションゲームは、一定の筋書きに応じて動く影像からなる映画の著作物であるが、フィルムを上映して利益を上げる劇場用映画とはビジネスの形態が違うため、映画の著作物と認められるゲームソフトは、頒布権はあるがその頒布権は消尽することが最高裁判決で示されている(「中古ゲームソフト販売事件」最高裁平成14年 4月25日判決)。

ウ誰でも参加できる無料のソーシャルゲームであっても、そこで使用されている音楽は独立した音楽の著作物であり、そのゲームを楽しむときに聞くことはできるが、無断で自分のブログにアップロードすれば、違法な送信可能化であり、公衆送信権を侵害する。

エ自分で購入したスマートフォンに最初から無料で入っているゲームでも、そのキャラクター画は美術の著作物であり、著作物として保護されているので、無断で自己の出版物に使用すれば、そのキャラクター画の複製権、譲渡権の侵害になる。

 

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問題3

次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア「古池や蛙飛び込む水の音」という江戸時代の松尾芭蕉作の俳句は、創作性が高く、現代でも著作物として認められるため、無断で複製すると、著作権侵害となる。

イ「今年の漢字」として書道家により大書された「輪」という文字は、一文字で構成されているにすぎず、著作物とはいえない。

ウ「野村ノート」という書籍の題号を、著者に無断で 「野村監督ミーティングノート」と改変しても、「野村ノート」という書籍の題号そのものが著作物ではないため、著作権法上は何の問題もない。

エ漫画に登場する犬に無断で「ゴジラ」という名前を付けても、著作権侵害にはならない。

【正答エ】【解説】

著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(2条1項1号)。

ア芭蕉の俳句そのものは著作物と認められるが、芭蕉は江戸時代の俳人であり、この俳句の保護期間は既に満了していることは明らかである。したがって、無断で複 製しても、著作権侵害にはならない。

イこの「輪」という文字は、書道家により大書された「書」である。一般に、「書」は、墨の濃淡、筆の運びや筆勢などに書道家の創作性が認められるため、著作物に該当する。

ウ著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする(20条1項)。一般に、書籍の題号それ自体は短い文や言葉が多く、創作性が認められることは少ない。ただし、本の題号それ自体が著作物とならなくても、これを無断で改変することは、著作権法上、著作者人格権(同一性保持権) の侵害となる。

エ「ゴジラ」という架空の怪獣の名称はよく知られており、多くの人がその名前を聞けば、同じ怪獣を思い浮かべるが、その名前自体は著作物ではないので、漫画に登場する犬に「ゴジラ」という名前を無断で付けて公表しても、著作権侵害にはならない。

 

問題4

著作物に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア「明智光秀がなぜ本能寺の変を起こしたのか」について、歴史的資料を紐解いて考察した論文は、過去の一定の事実に関する記述ではあるものの、著作物である。

イ地図は、実際の地形や建築物などを計測等した上で正確に図面にしたものであるから、事実そのものであって、著作物ではない。

ウグラウンド全体が映り込むようにキャッチャー左後方にカメラを固定し、その固定カメラで野球の試合をそのまま撮影した動画は、著作物である。

エ夏休みの自由課題として小学生が作成したクワガタムシの観察記録は、著作物となることはない。

【正答ア】【解説】

ア歴史的事実に関する文章であっても、数多く存在する基礎資料から、どのような事実を、どのような視点で、どのように表現するかについては、様々な方法があり、過去の事実をもとにした論文は、思想または感情の創作的表現であり、著作物に該当する。

イもともと地球は平面ではなく、地形や建築物の大きさ・形状等を図面上に正確無比に写しとることはできず、その表現の仕方には地図を作る人の思想または感情が創作的に示されている。著作権法も、著作物の例示として、地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物を挙げている(10条1項6号)。

ウ野球の試合そのものは、いかにその内容が感動的なものであっても、著作物ではない。これを撮影した動画は、その撮影の方法や編集の仕方に創作性が認められれば著作物となり得るが、グラウンド全体が映り込むようにキャッチャー左後方から撮影するのはありふれた方法であるし、編集もカメラワークもなく記録された動画は、著作物とはなり得ない。

エ観察記録が、何時何分に餌を食べていた、何時何分には地中に潜っていたなどの客観的な記録や事実だけの記載の場合は著作物とはならないが、観察した様子や感想などを含めて記録しているような場合には、思想または感情を創作的に表現したものとして著作物となり得る。

 

問題5

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

ア裁判所が作成する判決文は、裁判官が自己の法律的判断に基づき、できるだけ正確かつ漏れのないように工夫して起案した文章であるので、著作物として著作権法による保護の対象となる。

公立中学の教員が、自己の経験に基づき、 公立大学の教育学部の学生向けに教育論を取り纏めたものは、著作物として著作権法による保護の対象となり得る。

ウ厚生労働省が、前年度のわが国の労働経済状況を調査の上、取り纏めた「労働経済白書」は、著作物として著作権法による保護の対象となり得る。

エわが国の法令のうち、「エンターテイメント業界に必要なもの」という観点で出版社

編集した法令集は、著作物として著作権法による保護の対象となり得る。

【正答ア】【解説】

ア裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われる著作物は、著作権法による保護の目的とはならない(13条3号)。

イ公立中学の教師は公務員であり、公立大学の教育学部の学生向けに作成された教育論文には公共性もあるであろうが、個人が著した文章であることに変わりはなく、著作物として著作権法による保護を受ける。

ウ著作権法13条2号は、国もしくは地方公共団体等が発する告示訓令・通達についても、憲法その他の法令(同条1号)と同じく著作権法による保護の目的とはならない旨定めているが、ここでいう「告示・訓令・通達」には、行政庁が作成する「教育白書」や「労働経済白書」は含まれない。

エわが国の法令そのものは、著作権法13条1号により著作権法による保護の目的とはならず、国もしくは地方公共団体等が作成するその編集物(法令集)も同様に著作権法による保護の目的とならない(同条4号)。しかし、一企業である出版社が作成する法令集は同条4号の範疇ではなく、それが編集著作物の要件を満たす場合には、著作物として著作権法の保護の対象となる。

 

問題6

二次的著作物に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア二次的著作物となるためには、原著作物の著作者以外の者が原著作物に翻案等をなす必要があり、原著作物の著作者が自分の著作物に翻案をしても、それは二次的著作物ではない。

イ二次的著作物となるためには、原著作物に対する翻案行為につき、原著作物の著作者の許諾を得る必要がある。

ウ小説に対し、何ら創作性のない加除訂正行為(例えば、難読漢字にルビを振るなど)をした場合でも、それは小説を原著作物とする二次的著作物になる。

エ二次的著作物を複製等利用する場合には、翻案者(二次的著作物の著作者)から許諾を得るだけでは足りず、原著作物の著作者の許諾も得る必要がある。

【正答エ】【解説】

ア二次的著作物に係る等の行為は、他人の原著作物になされる必要はなく、自分の著作物に翻案等をなすものであってもよい。その典型が、一話完結型の連載漫である(「ポパイネクタイ事件」最高裁平成9年7月17日判決)。

イ二次的著作物とは、著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう(2条1項11号)。二次助著作物の要件には、翻案等につき原著作者の許諾が必要とはされておらず、原著作者の許諾を得ずに無許諾で翻案等をなした場合でも、それは二次的著作物である。

ウ二次的著作物とは、原著作物に翻案等したものであって、原著作物に新たな創作付与をし、かつ、原著作物の本質的特徴がなお直接感得できるものをいう。

エ二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に検定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する(28条)。

 

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問題7

Aは人気がなくすぐに連載打ち切りになった過去の雑誌連載漫画のうち、リメイクすれば大ヒットする、という独自の視点で選択した漫画の最終回(作品作品Y、作品Z)を集め、Aのオススメ順に掲載した「Aの埋もれたお宝漫画全集」(漫画全集)を製作した。この事例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア漫画全集は、Aの著作物である。

イ漫画全集を出版しようとする場合には、Aの許諾のみを受ければ足りる。

ウ漫画全集から作品Xのみをスキャナで取り込んでWebサイトに掲載しようとする場合、作品Xの作者のみならず、Aの許諾も必要である。

エ漫画全集から個別の作品X,Y,Zのすべてをスキャナで取り込んで、別々にWebサイトに掲載しようとする場合、作品X,Y,Zのそれぞれの作者のみならず、Aの許諾も必要である。

【正答ア】【解説】

ア編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する(12条1項)。素材である過去の連載漫画の選択と配列に創作性があるので、「Aの埋もれたお宝漫画全集」(漫画全集)は、Aの編集著作物である。

イ編集著作物は、編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない(12条2項)。漫画全集を出版する、すなわち編集著作物そのものを複製するような場合、編集著作物の著作権者(A)の許諾は当然必要である。 さらに、本問のように編集物を構成する素材自体も著作物である場合、素材の著作物の著作権者の許諾も必要である。

ウ編集著作物そのものの複製ではなく、編集物の素材のみを複製する場合、素材の著作権者の許諾を得れば足りる。

エ編集著作物の素材すべてを複製する場合でも、 編集物一体として複製するのではなく、個別に複製して利用する場合、 複製対象である素材の著作物の著作権者の許諾を得ればよく、編集著作物の著作権者の許諾は必要ない。

 

問題8データベースに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

アデータベースの著作物と認められるには、データベースに含まれる個々のデータが著作物である必要はない。

イデータベースの著作物と認められるには、データベースに含まれる個々のデータが社会経済上有用な情報である必要はない。

ウデータベースの著作物を検索した結果、抽出された1個のデータを複製した者は、データベースの著作物の複製権を侵害したことになる。

エデータベースのデータの集め方に創作性がなくても、データベースの著作物になることはある。

【正答ウ】【解説】

アデータベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する(12条の2第1項)。個々のデータが著作物であることは、データベースの著作物の要件ではない。

イ個々のデータが社会経済上有用かどうかは、データベースの著作物の要件ではない。

ウデータベースを検索した結果、抽出された1つのデータは、データベースの著作物の部分を構成する情報であり、これを複製してもデータベースの著作物の複製とはならない。その情報が著作物である場合には、その著作物の複製となるのみである。

エ情報の選択または体系的な構成に創作性があればデータベースの著作物となるので、情報の選択に創作性がなくても、体系的な構成に創作性があればデータベースの著作物になる。

 

問題9

著作が複数存在するいわゆる共同著作物に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア「日本のアニメーション」というテーマで、Aが「黎明期」、Bが「過渡期」、Cが「成

書いて、併せて1冊の文庫本を作成した場合、この文庫本は、A、B、Cの共同著作物である。

イ漫画家Aが野球漫画を考えていたところ、担当の編集者Bが「野球強豪校での弱小ラグビー部の奮闘を描いた漫画」にすることを提案し、Aがこれを受け入れて漫画を創作した場合、この漫画は、AとBとの共同著作物である。

ウA、B、Cの3人の共同著作物であるプログラムを利用するには、過半数である2人の許諾では足りず、全員の許諾を得る必要がある。

エA、B、Cの3人の共同著作物であるプログラムを違法に複製して販売している者に対し、その複製・販売の差し止めを請求するには、A、B、Cの全員の合意が必要で、単独ではできない。

【正答ウ】【解説】

ア共同著作物とは、二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう (2条1項12号)。複数の人が書いた本でも、パート別に分けて分担し相互のパートに依存するところがなければ、個別的に利用することができるので、共同著作物にはあたらない。

イ編集者Bは作品の大まかな筋道(プロット)を提案しただけであり、これに基づき具体的な表現活動は漫画家Aが行っているから、この漫画はあくまでAの単独著作物である。

ウ共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない(65条2項)。

ウ共同著作物の各著作者又は各著作権者は、他の著作者又は他の著作権者の同意を得ないで、第112条の規定による請求又はその著作権の侵害に係る自己の持分に対する損害の賠償の請求若しくは自己の持分に応じた不当利得の返還の請求をすることができる(117条1項)。共同著作物の侵害に対する措置は、他の著作者の合意なく単独で行うことができる。

 

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問10

アBは、多忙な芸能人Aから依頼を受けて、Aのブログの原稿を書き上げ、A名義の文章としてブログにアップロードしている。この事例に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

イBは、Aから定刻にその日の出来事を簡潔にまとめたメモを渡され、そのメモを題材にA名義のブログを書き上げている場合、このブログの著作者はAと推定される。Bは、Aから定刻にその日の出来事を簡潔にまとめたメモを渡され、そのメモをA名義のブログを書き上げている場合、このブログの著作者はBである。

ウAは、毎日電話でこの日のブログにアップロードする内容をBに話し、Bはこれを録音し、Aの口述を文字に起こし、「てにをは」を整えて、ブログにアップロードする作業をしている場合、このブログの著作者はAである。

エAは、毎日電話でこの日のブログにアップロードする内容をBに話し、Bはこれを録音し、Aの口述を文字に起こし、「てにをは』を整えて、 ブログにアップロードする作業をしている場合、このブログの著作者はBである。

【正答エ】【解説】

著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する(14条)。

アこのブログ記事は、Aのブログ中にA名義で掲載されていることから、著作者はAと推定される。

イ実際にはAはブログ記事のネタを提供しているだけで、ブログ記事の創作的表をしているのはBであるから、ブログ記事の著作者はBである。

ウ具体的にブログにアップロードする内容と表現を創作し指示しているのはAであり、Bはその文章の文法的な部分を整えているだけで創作的表現はしていないので、著作者はAである。

エブログの創作的表現はAが行っており、Bはその手足となってAの口述を文字に起こし、「てにをは」を整えてブログにアップロードする作業をしているだけであるから、著作者はAである。

 

問題11

職務著作に関する記述のうち、正しいものはどれか。

ア従業員が社内で勤務時間内に会社のパソコンを使って、趣味で作成したプログラムの著作物の著作者は、会社である。

イ会社が従業員に命じて開発させた社内システムのプログラム、対外的に公表することを全く予定していないものは、会社が著作者となることはない。

ウ会社が従業員に命じて作成させた使用ポスターについては、会社が当該従業員にそのポスター製作に相当の対価を支払っている場合に限り、その著作者が会社となる。

エ映画製作会社が従業員に命じて製作させた映画については、その従業員がこの映画を監督してその全体的形成に創作的に寄与した場合であっても、その映画の著作者は映画製作会社である。

【正答エ】【解説】

法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約。勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする(15条1項)。

法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする(15条2項)。

ア勤務中に会社の機材を使用して作成した著作物であっても、業務上会社の指示で作成したものでなければ、職務著作とはならない。

イプログラムの著作物については、法人等の名義の下に公表することは、職務著作の要件に入っていない。

ウ法人等の名義の下に公表し、契約、勤務規則等に別段の定めがないという要件を満たさないと、職務著作にはならない。著作物創作に対し相当な対価を払うかどうかは、職務著作の成立には関係ない。

エ映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、 制作、監督、演出、 影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない(16条)。職務著作にあたる場合は、映画製作会社が著作者になる。

 

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出典:出版社HP

問題12

映画の著作物に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア小説が映画化されたとしても、原作である小説の著作者は、映画の著作物の著作者ではないため、当該映画に関し、著作権法上何らの権利も有しない。

イ映画に主演した俳優は、当該映画の著作物の著作者ではない。

ウゲームソフトはプログラムの著作物であり、たとえロールプレイングゲームのように創作・演出された動きのある画像を伴うものでも、映画の著作物には含まれない。

エ映画の著作物の著作権は、常に映画の著作物の著作者に帰属する。

【正答イ】【解説】

映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当その映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない(16条)。

ア原作小説の著作者が、映画化された映画の著作物の著作者とならないというところまでは正しい。しかし、当該映画は、小説を原著作物とする二次的著作物であるため、原著作物である小説の著作者(著作権者)は、当該映画についても映画の著作物の著作者(著作権者)と同一の権利を有する(28条)。

イ映画に出演している俳優は、実演家であって著作者ではない。

ウ映画の著作物とは、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる 方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする (2条3項) とされており、この要件にあてはまる限り、ロールプレイングゲーム等のゲー ムソフトも映画の著作物である。

エ映画の著作物の著作権は、職務著作の場合を除き、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する(29条1項)。

 

問題13

著作者人格権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア著作者が著作権をすべて譲渡した場合、著作者は著作者人格権を行使できなくなる。

イ会社の従業員が職務著作物を創作し、職務著作により法人が著作者となる場合であっても、その従業員は著作者人格権を行使できる。

ウ著作者が生存中であれば著作者人格権を侵害するような行為であっても、著作者が死亡した後はそのような行為を行っても、著作権法に違反しない。

エ著作者人格権の侵害について、著作権法は害による損害額を推定する規定をおいていない。

【正答エ】【解説】

ア著作権は著作者の一身に専属し、譲渡することができない(59条)。したがって、著作物の原作品およびその著作権をすべて他人に譲渡した場合であっても、著作者人格権は著作者に帰属しており、著作者のみが行使することができる。

イ会社の従業員が職務著作物を創作し、職務著作により法人が著作者となった場合は、著作者人格権は法人に帰属する。職務著作が成立する場合、従業員は著作者ではなく、従業員に著作者人格権は帰属しない。

ウ著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなった後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるならない(60条)。したがって、著作物を公衆に提供し、または提示する者は、著作者が生きていれば著作者人格権を侵害するような行為については、作者の死後であっても行うことはできない。

エ著作権および著作権の財産権侵害に対しては、損害額の推定が114条で規定されているが、著作者人格権侵害の場合については、損害額の推定規定はない。

 

問題14

関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

アある事件の関係者を出版するにあたり、著作者から実名ではなく変名を著作表示してほしいとの申し入れがあったが、それに反して、本名を表示してしても、その著作者の氏名表示権を侵害しない。

イ大学の研究室に在籍する学生が書いた論文を科学雑誌に掲載するにあたり、その学生に無断で、論文の著者名として指導教授名を記載し、その学生の名前は補助者としその学生の氏名表示権を侵害することはない。

ウある企業の社長が書いた自己啓発本が発売されたので、雑誌で紹介したが、その際著者名として表示してしまったとしても、この本の著者の氏名表示権を侵害しない。

エ著作者が表示された小説を映画化し、一般に公開するに際し、小説の著者から特段の要望がない場合、発売されている小説の書籍に表示されている著作者のペンネームを原作の著作者名として勝手に表示することは、小説の著者の氏名表示権を侵害する。

 

【正答ウ】【解説】

著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する(19条1項前段)。

ア変名を著作者名として表示するよう申し入れがあったにもかかわらず、実名を表示した場合、その著作者の氏名表示権を侵害する。

イ著作者を表示するにあたっては、著作者名として表示しなければならない。したがって、論文の著作者である学生の氏名を補助者として表示する行為は、学生の氏名表示権を侵害する。

 

ウ著作物の原作品以外は、著作物の公衆への提供 提示に際して氏名表示権が働く。したがって、雑誌で本の紹介をするにあたり、誤った著者の氏名を表示しても、氏名表示権を侵害しない。なお、著作物の原作品に関しては、公衆への提供・提示に関係なく氏名表示権が働く。

エその著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする(19条1項後段)。また、著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる(19条2項)。したがって、原著作物である小説を映画化し、一般に公開するにあたっては、小説の著者から特段の要望がなければ、その小説の書籍に表示されている著作者名を表示しておけば、氏名表示権の侵害とならない。

 

問題15

同一性保持権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

アゲームを進めるにつれ、キャラクターがプレーヤーの操作に応じて成長し、ストーリーが展開していくゲームについて、本来予定している範囲を超えてストーリーを改変してしまうデータが入ったメモリーカードをゲームの著作者に無断で輸入販売することは、ゲームの著作者の同一性保持権を侵害する。

イ小説家ではなく出版社が小説の題号を付けた場合でも、この題号を小説家に無断で変更することは、小説家の同一性保持権を侵害する。

ウ単行本で発行された小説を文庫本化するにあたり、出版社が単行本の表装のデザインを小説家に無断で号以外全く違うものに変更した場合、小説の著作者の同一性保持権を侵害する

エ建築の著作物にあたる住宅をバリアフリー化するため、その建物を設計した建築家に無断でエレベーターを設置した場合、その建築家の同一性保持権を侵害する。

【正答ア】【解説】

アゲームのプログラム自体を改変するものでなくても、メモリーカードのデータを使用することにより、元のゲームのストーリーを本来予定している範囲を超えたストーリーに改変することは同一性保持権の侵害になる(「ときめきメモリアル事件」最高裁平成13年2月13日判決)。さらに、国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実 演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によって作成された物を輸入する 行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす(113条1項1号)ので、このようなデータの入ったメモリーカードを著作権者の許諾なく輸入販売することは、同一性保持権の侵害となる。

イ著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有する(20条1項)が、題号の変更も保護の対象としたのは、著作者が付けた題号を無断で変更することによって著作者の人格的利益が損なわれるからである。したがって、著作者である小説家以外の者である出版社が付けた題号は、同条項の保護の対象とならない。

ウ小説の単行本の表装のデザインは、小説とは別個の著作物である。したがって、小説家に無断で表装のデザインを変更しても、小説の著作者の同一性保持権を侵害しない。

エ建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変については、20条1項の同一性保持権の規定は適用しない(20条2項2号)ので、バリアフリー化のためにエレベーターを設置しても、建築家の同一性保持権を侵害しない

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出典:出版社HP

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