パーフェクト証券アナリスト第1次レベル




パーフェクト証券アナリスト第1次レベルについて

「パーフェクト証券アナリスト第1次レベル」では、合格点を取るために必要な骨格部分に絞り込み,その範囲を丁寧に解説するという,これまでにないアプローチを採用している。

働きながら学習する実務家にとって,学習時間の確保は難問である。そのため,過去問中心の試験準備が実際上唯一の選択肢になるが,肝心の骨格がおろそかでは,過去問練習の成果・精度を高めることもできない。幸い1次レベルに合格したとしても,2次レベルの内容に触れる段階でまったく方向性が分からなくなってしまう。

筆者は,2009年までの10年間にわたって公益社団法人日本証券アナリスト協会の教育・試験担当を務めていた。限られた時間でも学習できる分量に絞り、理論的な骨格部分を丁寧に説明する本書のイメージは,証券アナリスト協会で教育・試験プログラムの構想から始まり,通信テキストの編集,試験問題の作問と編集,さらには合否判定まで関与する間に、次第に形になってきたものである。

証券アナリスト協会を離れた2009年からは,「証券アナリスト試験対策のzip」という講座の授業という形で提供しているが,「パーフェクト証券アナリスト第1次レベル」はその印刷バージョンである。zipの教室のように1次レベル3科目全部を一まとめにし、科目間の共通部分と重複部分を集約的に取り上げる方式が本当は理想的である。

科目間の内容の相互依存関係や、会計基準に割引計算が相当数取り込まれていることを考えると、基本的な現在価値と将来価値の計算を最初に学習し,次にミクロ経済学,証券分析とポートフォリオ・マネジメントという順番で進んだ後、財務分析,マクロ経済学に取り組むのが最も自然だと思われるが,試験制度が科目別になっている関係から、合格最短テキストも科目別に分けてある。

ともあれ、本書を読んで例題を解いたら、直ぐに過去問に取りかかることをお勧めする。その際は、時間配分の感覚を養うために,試験問題がそのままの形で再現されているもの(例えば証券アナリスト協会が発行している過去問集)を使うとよい。そして,過去問を解いてみて分からないところは合格最短テキストの該当箇所を復習するようにして頂き,最短距離の効率的な試験準備に活用して頂ければ幸いである。

「パーフェクト証券アナリスト第1次レベル」は,数学と統計学の必要最小限の解説が含まれる構成になっているので,別途数学・統計学のテキストを購入する必要はない。しかし,数学・統計学をさらにじっくりと体系的に学ぼうとする読者には,「証券アナリストのための数学・統計学」(株式会社ビジネス教育出版社刊)をお勧めする。

佐野 三郎 (著)
ビジネス教育出版社、出典:出版社HP

目次

第1章 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
第1項 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
1.1 金融資産と財・サービスの違い
1.1.1 金融資産とは将来のお金(キャッシュ・フロー)の束
1.1.2 将来の出来事は本来不確実
1.2 株式と債券
1.2.1 株式
1.2.2 債券

第2項 将来の確実なキャッシュ・フロー(無リスク債券)の評価
2.1 貨幣の時間価値と利子率
2.2 将来価値と現在価値
2.2.1 将来価値
2.2.2 現在価値と割引ファクター
2.2.3 利子率と現在価値は反対に動く
2.3 複利計算
2.3.1年1回利払いのケース
2.3.2 年2回以上の利払いのケース
2.4 リスクフリー・レートと国債の価格
2.4.1 割引国債とスポット・レート
2.4.2 利付国債の価格計算
2.4.3 利付国債の最終利回り(イールド)
2.4.4 スポット・レートの実際の計算
2.4.5 イールド・カーブとフォワード・レート
2.4.6 一物一価の応用例

第3項 確率変数と不確実な金額の取扱い
3.1 不確実な場面を直感的にとらえる
3.2 確率変数
3.3 確率変数の期待値
3.3.1 期待値の計算と理解
3.3.2 期待値の表記方法
3.4 確率変数の期待値の性質
3.5 確率変数の分散と標準偏差,共分散と相関係数
3.5.1 確率変数の分散
3.5.2 確率変数の標準偏差
3.5.3 共分散と相関係数
3.5.4 相関係数と共分散の重要な性質

第4項 期待効用理論
4.1 将来の結果が不確実な「選択肢」の順番付け.
4.1.1 証券分析とミクロ経済学の関係
4.1.2 資産を個々の結果に分解し,それぞれについての満足を考える
4.2 期待効用
4.2.1 期待効用理論の結論
4.2.2 効用関数の形とリスク回避.
4.2.3 確実性等価を使った不確実な選択肢の比較
4.2.4 リスク中立的投資家とリスク愛好的投資家

第5項 ポートフォリオ理論その1-投資機会集合
5.1 ポートフォリオ理論と期待効用理論
5.2 ポートフォリオのリターンの計算
5.2.1 基本的な計算式
5.2.2 ポートフォリオの期待リターン
5.2.3 ポートフォリオのリターンの分散
5.2.4 リターンの分散が最小になるポートフォリオの特定(微分)
5.3 投資機会集合
5.3.1 相関係数が+1.0の場合
5.3.2 相関係数が-1.0(p=-1)の場合
5.3.3 相関係数が-1.0と+1.0の間(-1<ρRARB<1)の場合
5.3.4 空売りについて
5.3.5 リスクのある資産が3つ以上の場合の投資機会集合と最小分散フロンティア

第6項 ポートフォリオ理論 その2−投資家の選択の問題
6.1 平均分散アプローチの無差別曲線
6.2 投資家が選択する資産・ポートフォリオ
6.3 リスク回避度の違いと選択されるポートフォリオ
6.4 無リスク資産がある場合の最適なポートフォリオ選択
6.4.1 無リスク資産とリスク資産で作ったポートフォリオの特徴
6.4.2 分離定理

第7項 CAPM(資本資産評価モデル)
7.1 金融資産市場の均衡
7.2 CAPMの枠組みの下での資産市場の均衡
7.2.1 基本的な考え方
7.2.2 市場ポートフォリオが接点ポートフォリオになることの意味
7.2.3 市場が均衡しているときの資産の期待リターンの関係式
7.2.4 市場均衡の実現過程
7.2.5 CAPMが示す資産価格
7.3 CAPMのメッセージ
7.4 実務上のCAPMの影響

第8項 株価モデルと企業分析
8.1 配当割引モデル(DDM: Dividend Discount Model)
8.1.1 配当割引モデルの基本形
8.1.2 定率成長配当割引モデル
8.1.3 成長率がゼロのケース
8.1.4 サステイナブル成長率
8.1.5 定率成長配当割引モデルと株式のリターンの関係
8.1.6 多段階成長モデル
8.2 DDMのバリエーション
8.2.1 残余利益モデル
8.2.2 成長機会の現在価値
8.2.3 株主に帰属するフリー・キャッシュ・フロー(FCFE)
8.3 株式分析に関連するその他の事項.
8.3.1 ROEの分解
8.3.2 EBITDAと企業価値倍率
8.3.3 企業分析の視点

第9項 ファクター・モデル
9.1 ファクター・モデルとマーケットモデル
9.2 マーケット・モデル
9.2.1 モデルの仮定
9.2.2 マーケット・モデルが成り立つ場合の資産のリターンの期待値と分散
9.2.3 マーケット・モデルが成り立つ場合のポートフォリオのリターンの期待値と分散

第10項 債券のデュレーションとコンベクシティ
10.1 修正デュレーション
10.2 コンベクシティ

第11項 オプションとデリバティブ戦略
11.1 オプションとその種類
11.2 一物一価の法則と無裁定原理の関係
11.3 金融資産とアロー証券のポートフォリオの一物の関係
11.3.1 アロー証券
11.3.2 状態価格(アロー証券の現在の価格)
11.4 二項モデル
11.4.1 アロー証券の現在の価格とオプションの価格評価
11.4.2 二項モデルの考え方
11.4.3 リスク中立確率ことアロー証券の現在の価格の書換え
11.4.4 2期間の二項モデル.
11.4.5 ボラティリティ,金利,時間とオプションの価格
11.5 プットコール・パリティ
11.6 オプション戦略
11.7 無裁定理論と均衡理論の関係
11.8 デリバティブのまとめの例題

第12項時間加重収益率と金額加重収益率
12.1 算術平均値と幾何平均値
12.2 時間加重収益率と金額加重収益率.

付録 証券市場の概要

第2章 経済
第I部 ミクロ経済学
第1項 消費者,企業の行動と完全競争市場の均衡
1.1 消費者の選択の問題
1.1.1 消費者の選択を無差別曲線(効用関数)で表現する
1.1.2 予算制約線
1.1.3 最適な消費の組合せ
1.1.4 限界代替率
1.1.5 消費者の選好の違いと無差別曲線の形状
1.2 消費者の選択から導かれる需要曲線
1.2.1 商品・サービスの価格変化が選択に与える影響
1.2.2 需要曲線
1.3 企業の行動と供給曲線
1.3.1 企業には生産関数を当てはめる
1.3.2企業の費用
1.3.3 利益が最大になる生産量
1.3.4 利益の最大化から導かれる供給曲線
1.3.5 企業の選択の関連事項
1.4 価格受容者の仮定
1.5 完全競争市場の均衡
1.5.1 市場の均衡
1.5.2 完全競争市場均衡の効率性
1.5.3 市場が均衡に向かって調整するメカニズム
1.5.4 均衡の変化
1.5.5 ミクロ経済学が価格理論とも呼ばれる理由

第2項 不完全競争市場と市場の失敗2.1不完全競争市場
2.1.1 独占市場
2.1.2 寡占(複占)市場
2.2 市場の失敗
2.2.1 費用逓減産業
2.2.2 公共財
2.2.3 外部性
2.2.4 情報の非対称性
2.3 ゲーム理論
2.3.1 主な用語
2.3.2 代表的な枠組みー囚人のジレンマ
2.3.3 ナッシュ均衡
2.3.4 展開型ゲームの場合の結論の変化
2.4 多期間にわたる消費者の選択(不確実性がないとき)
2.4.1 選択の問題は飛躍的に複雑になる
2.4.2 2期間にわたる予算制約と消費者の選択

第3項 不確実性がある場合のミクロ経済学と状態価格
3.1 期待効用理論.
3.2 状態価格(アロー証券の現在の価格)
3.2.1 金融資産の価格評価の枠組み
3.2.2 アロー証券
3.2.3 状態価格と一物一価の法則
3.2.4 状態価格の簡単な計算方法
3.2.5 複製による状態価格の計算

第II部 マクロ経済学
第1項 予備知識-GDPの関連事項
1.1 GDPと基本的な用語
1.1.1 GDP-付加価値の合計
1.2 GDPに含まれる項目と含まれない項目
1.3 GDPに関連するその他の事項
1.3.1 「国内」と「国民」,「総」と「純」
1.3.2 名目と実質
1.4 日本の名目GDPの内訳

第2項 一番シンプルなマクロ経済モデル-45度線モデル
2.1 45度線で示されるマクロ経済の均衡
2.1.1 総需要と総供給の一致
2.1.2 総需要に関する仮定
2.1.3 45度線モデルの下での均衡
2.1.4 均衡に向かう力
2.2 均衡生産量の式と乗数
2.2.1 均衡生産量の式
2.2.2 乗数
2.2.3 乗数のバリエーション
2.3 均衡生産量と非自発的失業の問題.
2.3.1 潜在GDP-完全雇用に対応する生産水準
2.3.2 財政政策の役割.

第3項 IS-LM分析
3.1 名目利子率と実質利子率
3.1.1 実質利子率の計算式
3.1.2 フィッシャー関係式
3.2 総需要と利子率の関係を表すIS曲線
3.2.1 利子率が総需要に及ぼす影響.
3.2.2 右下がりのIS曲線
3.2.3 投資の限界効率
3.2.4 流動性のわな
3.2.5 IS曲線の傾斜を決める要因
3.2.6 IS曲線を移動(シフト)させる要因
3.2.7 IS曲線の名称の由来
3.3 総生産と利子率の関係を表すLM曲線
3.3.1 利子率はどのように決まるか
3.3.2 貨幣市場の均衡
3.3.3右上がりのLM曲線
3.3.4 LM曲線の形状を決める要因
3.3.5 LM曲線を移動(シフト)させる要因
3.3.6 LM曲線の名称の由来
3.4 IS-LM分析における経済の均衡
3.4.1 IS曲線とLM曲線の交点
3.4.2 2つの曲線のシフトと均衡の変化
3.4.3 クラウディング・アウト
3.4.4 IS曲線とLM曲線の極端なケース
3.5 IS-LM分析の関連事項
3.5.1 金融政策の理解
3.5.2 消費の理論

第4項 AD-ASモデル一価格変化と供給側の反映
4.1 AD-ASとIS-LM分析の違い
4.2 AD-ASモデルとミクロ経済学の市場均衡
4.2.1 右上がりの総供給曲線
4.2.2 右下がりの総需要曲線
4.3 AD-ASモデルにおける均衡と曲線のシフト
4.3.1 AD曲線とAS曲線をシフトさせる要因
4.3.2 均衡の変化
4.4 完全雇用の達成とAS曲線
4.4.1 ケインズ経済学と新古典派の前提の違い
4.4.2 新古典派の主張

第5項 金融と財政
5.1 金融
5.1.1 金融の役割と部門別資金過不足
5.1.2 金融市場
5.2 財政
5.2.1 財政の機能
5.2.2 財政収支に関連する事項

第6項 経済成長会計
6.1 コブ=ダグラス型生産関数
6.2 経済成長会計

第7項 国際金融
7.1 国際収支統計
7.1.1 国際収支統計の内訳
7.1.2 国際収支統計と複式簿記
7.1.3 誤差脱漏
7.1.4 日本の国際収支
7.2 外貨準備と為替市場介入の金融面の効果
7.3 海外部門まで含めた場合の資金過不足
7.3.1 45度線の均衡式の書換え
7.3.2 部門別の資金過不足
7.4 通貨先物の価格とアンカバーの金利平価
7.4.1 通貨先物の価格
7.4.2 アンカバーの金利平価
7.4.3 金利等の変化と為替レートの反応
7.4.4 ポートフォリオ・バランス・アプローチ
7.5 購買力平価
7.5.1 基本的な考え方−実質為替レート
7.5.2 購買力平価
7.6 実効為替レートと実質実効為替レート
7.7 経常収支を説明するモデル
7.7.1 弾力性アプローチ
7.7.2 アブソープション・アプローチ
7.8 国際金融論のまとめ

第3章 財務分析
第1項 財務会計のイントロダクション
1.1 財務会計とは
1.2 複式簿記の会計
1.2.1 1つの取引をかならず左右の2ヶ所に計上する
1.2.2 名目勘定と実在勘定を使い分けて損益も同時に把握する
1.2.3 損益計算書
1.2.4 発生主義会計とキャッシュ・フロー
1.3 財務会計に関係する規制の概要・
1.3.1 金融商品取引法と会社法による規制
1.3.2 財務会計と税務会計
1.3.3 財務諸表の監査

第2項 貸借対照表など
2.1 貸借対照表
2.1.1 資産と負債の項目
2.1.2 純資産の部
2.2 その他の財務諸表

第3項 損益の計算
3.1 売上高
3.1.1 長期請負工事
3.1.2 一定の契約に従い継続して行う役務提供の提供済みで対価未受領の部分
3.1.3 割賦販売など
3.1.4 収益に関する会計基準の適用開始
3.2 棚卸資産の評価(その1)と売上原価
3.2.1 会計基準
3.3 棚卸資産の評価(その2)-低価法
3.3.1 会計基準
3.4減価償却費.
3.4.1 会計基準
3.5 退職給付費用
3.5.1 会計基準
3.6 純資産直入と包括利益
3.6.1 包括利益.
3.6.2 包括利益の開示
3.7 リースの借手側の会計処理
3.7.1会計基準
3.8 有価証券の評価に関係する損益
3.8.1 会計基準
3.9 固定資産の減損処理
3.9.1 会計基準
3.10 税効果会計
3.10.1 会計基準
3.10.2 純資産直入項目に関する税効果会計など

第4項 その他の会計基準とキャッシュ・フロー計算書
4.1 ヘッジ会計
4.2 外貨換算
4.2.1 1取引基準と2取引基準
4.2.2 決算時の外貨換算
4.3 企業結合
4.3.1 企業結合
4.3.2 連結
4.4 セグメント情報
4.5 キャッシュ・フロー計算書
4.5.1 営業活動によるキャッシュ・フロー
4.5.2投資活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フロー

第5項 財務諸表分析
5.1 財務諸表分析の枠組み
5.2 架空のM社の財務諸表
5.3 収益性の指標
5.3.1 ROEの分解
5.3.2 使用総資本事業利益率(ROA)
5.3.3 経営資本営業利益率
5.3.4 資産回転率と回転期間
5.4 安全性の指標・
5.4.1 インタレスト・カバレッジ・レシオ
5.4.2 流動比率,当座比率,手元流動性比率
5.4.3 自己資本比率,有利子負債比率
5.4.4 固定比率,固定長期適合率
5.5 損益分岐点分析
5.6 成長性の指標
5.6.1 1株当たり当期純利益(EPS)の基本的な計算
5.6.2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益の計算
5.7 財務諸表分析の問題の解き方
第6項 株式評価に関連する事項の要点整理
6.1 配当割引モデルと残余利益モデル.
6.2 EBITDAの関連事項

佐野 三郎 (著)
ビジネス教育出版社、出典:出版社HP